当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 まあ、勝俣の説はどうでもいいのです。筆者が注目したのは2本目の説です。
 漫画「ジョジョの奇妙な冒険」を題材にとり、芸人たちに強制的にとあるゲームをさせていました。

 ルールは単純です。
 一人の芸能人を神奈川の倉庫街に用意した檻に閉じ込めます。閉じ込められた芸能人は、自分で身代わりとなる別の芸能人を呼び出して檻に入れなければ脱出ができません。身代わりで檻に入れられてしまった新たな芸能人も、やっぱり脱出するには別の身代わりを用意する必要があります。

 見どころは、閉じ込められた人間が神奈川の倉庫街という怪しげな場所に身代わりを呼び出すべく言ってのける様々な嘘と化かし合い、騙されて身代わりになってしまった芸能人が番組や自分を騙した脱出者に向ける怒りや絶望といった生の言動と感情です。一種の極限状況で人間の醜い部分が、分かりやすく出ていました。こういう人間の素の汚さを出すのは、藤井氏が過去に手掛けた「カイジ」より成功していたと思います(そういえば、こっちも題材は漫画ですね)。笑いのコンテンツには全くなっていませんでしたが、閉じ込められた芸能人たちの狂騒には危険で妖しい魅力があり、映画のような見応えがありました。

 もしかしたら藤井氏は笑いよりこういった人間の醜さを全面に押し出したコンテンツを作りたいのかもしれません。それは、大衆の熱狂を得られるエンターテインメントに仕立てるのは難しいでしょうから、そうだとしたら彼も作り手のやりたいことと受け手の受容したいものの乖離に悩む表現者の一人なのかもしれません。自分の同類が一人増えたと思っておいた方が気楽だから、こういうことを言ってるんですよ。

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