当wikiは、高橋維新がこれまでに書いた/描いたものを格納する場です。

 2022年9月1日放映のアメトーークを見ました。今回は「脱毛しました芸人」という企画でした。

 雛壇には脱毛サロンで顔やら体やらVIOやらの脱毛をした中年芸人(男性のみ)が集まっていました。雛壇の面々は(日本では恐らくまだまだ少数派の)成人男性の脱毛を勧める役回りであり、まだ脱毛をしていないMCのホトちゃんとその横のフット後藤は、聞き手であるとともに雛壇の連中がおかしな論拠を振りかざしてきたときのツッコミ役を果たしていました。
 脱毛の話はどうしてもシモの話に関わってくるので、ゴールデンではできない深めの下ネタが数多く出てきたのは良かったと思います。その下ネタと絡めることで、雛壇の面々が挙げる脱毛推進の論拠もいい意味で下らなくなり(「部屋に陰毛が落ちない」など)、その結果後藤のツッコミがよく効いていたのも良かったです。

 ただ脱毛をするかどうかというのは、どうしても美容という外面の話であると共に、かなりプライベートなシモの話でもあるため、気持ちよく喧嘩(プロレス)がしづらい話題だったのは確かです。ちょうど、「包茎」やペニスサイズや女性の胸のサイズの話と一緒で、ともすれば脱毛を推進する芸人たちの主張が、脱毛をしていない人たちへの煽りのように響いてしまうのです。「包茎」と露茎や巨乳と「貧乳」の間でプロレスをさせても地上波では番組としての成立が危ういのと同じ構造です。「包茎」や「貧乳」の方々をかなり傷付ける発言が出る危険性は高いです。そのバランスは崩れかけているビルのようにとても微妙で、一歩間違えば一気に倒壊しかねません。私がその点にずっとハラハラしていたので、気持ちよく笑えませんでした。
 また雛壇にはとある脱毛サロンの広告塔をしているアンタ柴田がいたほか、麒麟川島が自身の脱毛サロンで施術を受ける様子が放映されていました。高須クリニックがメディアを使って包茎に対するマイナスイメージ戦略を展開し、需要を創出したように、脱毛サロンが番組を使って非脱毛の人たちを否定する価値観を作り上げ、自ら儲けようとしている構図が透けて見えてしまい、その意味でもかなり嫌でした。フット後藤には、その構図に対しても(「お前ら脱毛サロンの回し者か!」といったような)ツッコミを入れて欲しかったです。番組でそこまでやってくれればこちらの溜飲も下がったでしょうが、できないことに何か理由があったのでしょうか。それが仮に「スポンサー」の意向(あるいはそれに対する忖度)だったのであれば、残念でなりません。これ以上はOAだけからは何も言えません。
 念のため申し上げておきますが、脱毛するしないは個人の自由でいいと思います。特に雛壇にいた方々は曲がりなりにも芸能人なのですから、自分の見た目に気を遣う必要性はそうでない人よりは高いと思います。ただそれはあくまで一つの考え方に過ぎないので、(その「考え方」の内容が何であれ)それを押しつけてくる構図が見え隠れしてしまうと、鼻につくというだけです。

管理人/副管理人のみ編集できます