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Days Gone

 新作のオープンワールドゲームです。
 一言で言うと、「オープンワールドになったラスアス」ですね。舞台は、「謎のパンデミックにより近代文明社会が崩壊した地球(の中のオレゴン州近辺)」でありまして、外を歩くとウィルスに感染してゾンビみたいになった「フリーカー」という連中がウヨウヨしています。生き残った人間はめいめい集まって集落を形成し、そこで生活しているわけですが、食料も他の生活物資も不足気味で人間どうしの奪い合いもしょっちゅう起きているような世界観なので、人間を相手に戦う展開も頻繁にあります。ほら、完全にラスアスですよ。オープンワールドになった結果、ホラー要素はだいぶ薄めにはなっていますが。
 オープンワールドゲームとしては、インタフェースやゲームプレイの内容諸々含めてFARCRYと非常に似通っています。主人公が、孤高のバイカーとして生存者たちから「あいつを殺してくれ」だの「あれを持ってきてくれ」だのと色々なお使いの依頼を受けながら、死んだと思っていた妻を探す、というのが大まかなストーリーラインになっています。FARCRYがFPSなのに対して今作はTPSですが、依頼をこなしてお金を稼ぎながらだんだんといい武器を揃えていく、っていうのはまんまFARCRYです。ゲームバランスも、バイオやラスアスのように少ない弾薬やアイテムをやりくりするという感じではなく、「バカスカ撃ってガリガリ削られてジャブジャブ回復する」というFARCRY寄りの偏差値低めな調整になっています。

 まあ、グラフィックだとかゲームシステムだとか難易度調整だとかはきっちりとできているので、ラスアスFARCRY的なガンシューティングゲームが好きな人はやって損はありません。ボリュームはかなりのものですが、やることは良くも悪くも徹頭徹尾フリーカーか人間との銃撃戦なので、飽きは早いかもしれません。ただ「ゲームプレイの内容がずっと変わらない」というのはこの手のオープンワールドゲームほとんどに共通する問題点なので、好きならば気にならないでしょう。

 ストーリーは、一応ハッピーエンドにはなっていますが、かなり重いです(一部、続編につなげたいかのような謎は残っています)。設定上、崩壊後の世界で生き残ってきた人々はみな少なからず汚いことに手を染めてきています。そのことがゲーム内の登場人物により「語られる」のはラスアスと一緒なのですが、今作では「語られる」に止まらず、実際に主人公陣営がムービーでその手の「汚いこと」(無抵抗の人間を殺す、だとか)をやる展開がかなりあります。プレイヤーは、それを見ないといけません。主人公が助け出した少女が集落での生活に耐えかねて家出してしまったり、ようやく打ち解けてきたと思った人間に裏切られて敵に売られたり、頼もしい味方がしょうもない人物にあっさり命を奪われたり(しかも、実際に命を奪われる場面のムービーは存在しません。これは、敢えてあっさりとしか描かないことで、簡単に命が奪われる世界観の無情さを描きたかったのではないかと推察します)といった、人間の醜さや世の無情さをまざまざと見せつけられるような展開も豊富です。最後の最後に立ちはだかるのもフリーカーではなく同じ人間で、こんな状態になっても相互に疑心暗鬼で内ゲバに終始する人間の意地汚さをずっと見せつけられるので、苦手な人は気が滅入ってしまうかもしれません。その点に自覚的だったつもりのある私も時折ゲームをやることに疲れてしまいました。

 いやまあ、重めのストーリー以外に目新しさはほとんどないですが、ちゃんとしたゲームですよ。この手のジャンルが好きな人は是非やってみてください。

<その他>
・主な移動手段はファストトラベルとバイクですが、バイクはいちいちガソリンを補給しないと使えません。ファストトラベルもバイクの近くにいる状態じゃないと使えず、使うと距離に応じたガソリンを消費します。面倒くさいと思う人はかなりいるんじゃないでしょうか。シビアなサバイバルを表現したかったのかもしれませんが、店に行けばガソリンも弾薬も無尽蔵に買えるので、そっちの印象の方が強くてあんまりシビアさを表現しきれていないと思いました。片手落ちなので、面倒くささだけが残ります。どうせやるならそれこそバイオやラスアスなみに徹底的にシビアにしないとダメでしょう。
・ゲーム内の通貨もなぜかフリーカーの耳を売ることで手に入るんですよね。この仕組みだと弾薬をジャブジャブ使ってフリーカー狩りをする人間が後を絶たないと思います。実際、主人公もそうやって生計を立てていた人間です。やっぱり、弾薬に関してはそこまでシビアな状態ではないのではないでしょうか。

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