【安定期の視点】
薬物療法等の治療によって、幻覚、妄想といった陽性症状が消失あるいは軽減すると、本来もっている精神機能が低下する陰性症状が前面に現れてくる
つまり感情の平板化と鈍麻、意欲の欠如,自閉などが現れる
さらに,原因が明らかではないが,急性症状の後に引き続いて生じる抑うつ気分によって自殺念慮をもつ場合がある
陰性症状によって,活動力が低下して無気力で自閉的な生活傾向となる
1日中布団を被って臥床していないか、誰とも関わりをもとうとせずじっとうずくまっていないか、何もやることがなくても退屈もせず、漫然と時間を過ごしていないかを観察する。「やる気がない」「何もしたくない」という意欲低下を示す発言はないか、日常生活行動にどの程度看護師の援助を必要としているか、生活リズムを自分で整えようとする意欲があるかを観察する
【今後どうなっていくか】
この状態で長期間病院施設で過ごすことにより、社会での体験が失われ(ホスピタリズム)、社会で生活するための能力低下を招きやすい
【看護の視点】
安定期の患者に対して、看護師は症状の一つひとつにこだわるより、むしろ全体として状態が回復してきたことをセルフケア能力の回復と合わせて評価する。食事、排泄、清潔などの最低限度の日常生活行動が自立するように、具体的目標を細かく立案し短期間で評価していく
患者が幻聴や妄想等の症状への対処をしながら、服薬管理とセルフケアの自立が達成できれば、退院してある程度の社会生活が可能である
また、社会適応能力の回復に向けて、生活指導、レクリエーション療法、作業療法、SST(生活技能訓練)、その他のプログラムを活用する
病室以外で過ごす時間はどのような活動をしているか、生活の中で患者が楽しみにしている活動はあるか、病棟プログラムにはどの程度参加しているか、どのようなプログラムに関心や意欲を示すか、プログラム参加中の他者との交流、集中力、持続力はあるかなどを観察する。プログラムに参加したかどうかの結果だけでなく、最初の動機づけ、行動,肯定的評価のフィードバック、次の行動の動機づけといったプロセスに視点をおき援助することで、患者の自発性を刺激し、現実感や自信の回復を高めていく。この時期は状態の慢性化を防ぎ、セルフケア能力を回復することが必要である
【安全の確保】
急性期にみられたような激しい衝動的な行動が消失し、自傷、他害の危険性がなくなるが、抑うつ感に伴う自殺念慮に対する注意が必要である。患者からの訴えがないことが多いので、行動パターンを把握しておいて、いつもと違うささいな変化を見逃さないよう観察することが必要である
【観察のポイント】
病棟ではどのように過ごされているか
他患者との関わりはあるか
1日中布団を被って臥床していないか
誰とも関わりをもとうとせずじっとうずくまっていないか、
何もやることがなくても退屈もせず、漫然と時間を過ごしていないか
「やる気がない」「何もしたくない」という意欲低下を示す発言はないか
日常生活行動にどの程度看護師の援助を必要としているか
生活リズムを自分で整えようとする意欲があるか
【デイケア】
病室以外で過ごす時間はどのような活動をしているか
生活の中で患者が楽しみにしている活動はあるか
病棟プログラムにはどの程度参加しているか
どのようなプログラムに関心や意欲を示すか
プログラム参加中の他者との交流,集中力、持続力はあるか
プログラムに参加したかどうかの結果だけでなく、最初の動機づけ、行動、肯定的評価のフィードバック、次の行動の動機づけといったプロセスに視点をおき援助することで、患者の自発性を刺激し、現実感や自信の回復を高めていく
【言語的コミュニケーション】
相手との話し方、頻度や量などコミュニケーション行動
声の調子や抑揚などの言葉に付随する非言語、話の内容を観察する
何回も同じことを繰り返すか
話さない人が急に話すようになるか
反対に急に何も話さなくなったりするか
話の内容にまとまりがなく話題が変化したりしていないか
病状が不安定な徴候がみられないか
【病状が安定している徴候】
ゆっくり相手の話を聴く
誰に対しても落ち着いた口調で話す
【非言語的コミュニケーション】
表情、行動、態度,
日中の活動への参加状況
落ち着いた態度、日中の活動に参加できるといった病状の安定がみられるのか判断する
【行動】
まとまりがあるか
思考内容との一致状況
服装(頻回に着替えるという病状の不安定さを示唆する行動がないか、もしくは、就寝時、起床時に更衣をするといった病状の安定を示す行動がみられるか観察する)
1回の観察で判断するのではなく、何回かの観察結果を統合して安定度を評価する
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