ことばの認知空間
出展
「ことばの認知空間」山梨正明 開拓社 ; ISBN: 4758921202 ; (November 2004)概要
いわゆる言語能力(言語的な知識)の自律性は認められない言語能力は単なる知性の産物として獲得された能力ではなくて、進化の
文脈における生物一般の身体的な経験に根ざす認知能力を不可欠の前提
としている。
日常表現は、ミクロからマクロレベルにいたるまで、主体が外部世界を解釈してゆく認知プロセスの反映として規定される。
- 基本認知プロセス
焦点化,図・地の分化、図・地の反転、スキャニング、イメージ形成 イメージ・スキーマ形成、スキーマ変換、メタファー変換、メトニミー変換 プロファイルシフト、スーパーインポジション
言葉には外部世界に対する我々の解釈のモード(あるいは意味づけのモード)が反映されている。
視点・パースペクティブは主体と外部世界の関係に相対的に規定される。
視線の移動
視線の移動、スキャニング、焦点化主体の移動
図/地の分化と反転省略と参照点
ターゲットの認知プロセス、ミトニミー等イメージスキーマのマッピング→推論
<容器>,<起点-経路-到達点>のほげ焦点連鎖と言語現象
- 主体の認知能力の制約に根ざしたアプローチが必要
- 焦点と焦点の推移、焦点の選択は次の焦点の遷移を可能とするしかるべき文脈を起動
あの運動場の向こうの川のそばの草むらのなかにヒバリの巣がある
- この文脈→焦点→文脈→。。は制約である。
- ↑は対象世界のの概念化!を可能にする1大認知プロセス
- Lagacker1997
- 焦点の移行と絞り込みの認知プロセスは、参照点(Reference Point)からターゲット(Target)へのメンタルコンタクトの推移を基本
- C認知主体,R,T,D支配領域
- 参照点とターゲットの認知プロセスは動的で相対的
- 談話レベルにも、文レベルにもある。
田中さんは、古本のコレクションがすごい
焦点連鎖と文法
- 主語=一時的な参照点
- DO/IOは二次三次的な焦点
- 相対的な際だち(prominence)により文法関係が規定される
- トラジェクター:一時的な焦点、
- ランドマーク:より低い際だちの焦点
太郎がポスターを壁に張った
探索表現
ターゲットがすぐに見つからない場合は、到達するための参照点を認知してこれを起点にして、探索するを反映した認知プロセス。- <入れ子式探索表現>
花子の人形は、2階の寝室のタンスの一番上にある。
- <連鎖的探索表現>
赤い椿の花が、納屋の隣の花壇の奥の竹藪に咲いている
- ズームインの認知プロセス
東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる(啄木)
- ズームアウト認知プロセス
うづみ火や我がかくれ家も雪の中(蕪村)
参照点関係からみた所有表現
<全体-部分>の所有表現の場合は、修飾部と被修飾部の間の直接的なスコープ制約に基づいて、入れ子式所有表現の規定が可能になる
- <連鎖的所有表現>
彼の息子の友人の父親の姉
- <入れ子式所有表現>
家の台所のドアの取ってのネジ
メトニミーと参照点構造
- メトニミー:近接関係の認知に基づく慣用表現n
- トポニミー:空間・場所の近接関係
花子は机に座って手紙を書いた
- パートニミー:部分・全体の近接関係
自転車がパンクした<机>が参照点となりこれを起点として<机の前>の意味へのアクセスが可能になる。
2006年02月23日(木) 12:55:34 Modified by miwamasa3