開業医の先生方へ

　抜歯するべきか口腔外科へ紹介するべきか悩んだ場合、以下の分類を参考にして下さい。分類で容易と判定されたにも関らず３０分以上経過しても脱臼すらできない場合、予想外のことがおきていると思ってよいでしょう。１時間以上を要して抜歯できても、その患者さんは大変な思いをすることに変わりはありません。早く中断を決断して、患者さんの都合の良い日に口腔外科へ紹介して下さい。2段階法と考えて、説明していただければ幸いです（手術前に、歯冠切断法・2段階法の説明を行っておくことがポイントです、あくまでも手術前ですよ！）。分類で容易と判定されても困難である場合は、私たち口腔外科でも困難なことも多いようですので、患者さんのために良い方法を考えていきましょう。

ポイント：手術前に、術後感染・ドライソケット・下唇麻痺の説明・歯冠切断法の説明は必ず行っておく。手術前の数分の説明と違って、手術後に何時間も説明しても、患者さまの理解は得られません。

表　第3大臼歯抜歯の難易度分類（改変）
（Classification of difficulty of surgical removal of impacted third molars by Yuasa）

回転パノラマX線写真にて、以下のどれかがあてはまる場合に困難と判断。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⇒できれば歯科口腔外科への紹介が望ましい

• 第２大臼歯咬合面に対する埋伏歯の深さ：第２大臼歯咬合面より下

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（第２大臼歯歯頚部より下）

• 第２大臼歯遠心部と下顎枝前縁との間のスペース：第３大臼歯の歯冠幅経より狭い

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（狭い）

• 歯根の形態：歯頚部より太い（樽状根）・歯根が屈曲

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（歯頚部より太い（樽状根）のみ）

注意：根の頬舌側への屈曲は判断できない
(　)内は、オリジナルであり、改変で困難の基準を厳しくした