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▼動画:Akela Freedom「ALBM 2PZD-21」(2023年4月22日)。空地21/2PZD-21の外観を確認できる。

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性能緒元(公式情報ではないので注意が必要)
全長7〜7.3m
直径76〜79cm
重量約2t
推進装置固体燃料ロケットモーター
最大射程推定1,000〜2,000km
誘導システム
速度 
弾頭重量

AKD-21(空地21)は2022年の珠海航空ショーでその存在が明らかにされたALBM(air-launched ballistic missile: 空中発射型弾道ミサイル)。主翼パイロンに合計二基のAKD-21を搭載したH-6K爆撃機が実機展示された[1]。珠海で公開されたこの新型ミサイルの弾体には「2PZD-21」の型式名が記載されていた。これは訓練用の「配重弾(ダミーウェイト弾)」を意味しており、中国軍の命名規則から判断すると、ミサイルの制式名称はAKD-21/KD-21/空地21であると推測されている[1][2]。以下、本項ではAKD-21の名称を用いることにする。

【性能】
AKD-21のサイズは、全長7〜7.3m、直径76〜79cm、翼幅1.56m、重量は約2tとされる[2][3]。これは、ロシアのKh-47M「キンジャール」ALBMよりも小型で、KD-63など既存の空対地ミサイルと大差ないサイズにまとまっており、H-6K爆撃機であれば最大4発の搭載が可能と見られている[2][3]。

その形状は、先端部の絞りの角度が段階的に変化する二段円錐構造のノーズコーンを採用した極超音速ミサイルで、極超音速で滑空することを想定した設計が施されている[1]。この設計は、すでにYJ-21空対艦弾道ミサイル(鷹撃21/CH-AS-X-13)やDF-21D ASBM(anti-ship ballistic missile:対艦弾道ミサイル)、輸出用のCM-401 ASBMにも用いられており、先行者の設計が反映されていることが伺える[1]。

推進装置は固体ロケットモーターで、最大射程は資料[4]では1,000〜1,500km、資料[2]では約2,000kmに及ぶと見積もられている。速度については不明だが、マッハ5以上の速度は確保されていると推測される[3]。中間誘導に関する情報は少ないが、同種のミサイルから推測すると慣性航法システムと「北斗」衛星位置測定システムを基本として、データリンクによる修正を加味していると思われる。先端のノーズコーン内には合成開口能力を備えたレーダーが搭載されており、終末段階ではこのレーダーを用いて目標を補足して突入すると見られている[2]。AKD-21は、強化された地下施設に対して高い貫通打撃力を有する可能性が指摘されている[2]。AKD-21は、固定目標のみならず、水上航行中の水上艦艇に対する攻撃能力も有している[2][5]。

AKD-21は、母機から切り離されるとロケットモーターに点火して急上昇して、弾道軌道の頂点に達すると降下を開始して、滑空しながら目標に向かう[5]。その際には、空中で進行方向を変更したり、上下動軌道を行うことで不規則な飛行コースを採る。目標直前に達すると垂直に近い急降下姿勢をとって目標に突入する[5]。AKD-21は、その高い防空網突破能力と速度において、既存の防空システムによる迎撃を困難にすると見られている[5]。

【今後の見通し】
AKD-21の中国空軍への配備状況は定かではない。初公開が珠海航空ショーであることから、輸出専用の可能性もあり得る訳だが[3]、AKD-21が中国軍の配備された場合、その影響は少なくないものがあると考えられる。

中国空軍では既に YJ-21空対艦弾道ミサイル(鷹撃21/CH-AS-X-13)の開発を行っていることが知られていたが、YJ-21Dは10mを超える大型ミサイルであり、専用母機であるH-6N爆撃機が必要であり、かつその搭載弾数は一発に限定されていた[1]。それに対して、小型のAKD-21は、H-6シリーズの主翼パイロンであればどのタイプでも搭載可能であり、H-6Kであれば最大4発のAKD-21を積むことができる[2]。これは、空軍のH-6K、H-6N、海軍のH-6Jなど多くの機体にALBMの運用能力を付与することを意味しており、複数発のALBMを空中発射できることは中国航空戦力による遠距離攻撃能力を大きく底上げすることに繋がる。対艦攻撃においては、H-6K/J/N爆撃機が一機当たり4発のAKD-21を搭載すると想定すると、射程2,000kmのALBMによる飽和攻撃能力を中国軍が有することを意味する点も重要であると考えられる。

AKD-21は、その射程と命中精度を生かして。敵飛行場や指揮所、強化バンカーなどの高価値目標、そして水上艦艇に対する精密打撃に用いられる。CCTVの報道では、H-6K爆撃機がAKD-21と空中発射式ドローンを組み合わせて運用する動画が公開されており、ALBMとドローンによる高いスタンド・オフ攻撃能力を実現しているものと想定される[1]。巡航ミサイルよりもはるかに高速なAKD-21を用いることで、目標に対して短時間で打撃を加えることが可能となり、巡航ミサイルなど他のミサイルと組み合わせることで迎撃側の防空システムに対して高い負荷をかけることに繋がると思われる。AKD-21のサイズは既存のAKD-20/CJ-20巡航ミサイルと比較すると、前者は直径は僅かに大きく、全長は大差ないので、将来的に次世代爆撃機であるH-20 が就役すれば、AKD-21をH-20 のウエポンベイに内蔵可能でステルス性を損なうことなくALBMを運用することが可能となることが指摘されている[4]。

【参考資料】
[1]大公报「火力升级/轰6K空中利刃 高超音速斩首」(2022年11月21日)https://www.takungpao.com/news/232108/2022/1121/78...
[2]Chnese Military Aviation「KD-21」https://chinese-military-aviation.blogspot.com/p/m...
[3]每日头条「轰-6K携双锥体导弹亮相航展 高超音速武器要白菜化 关键还要看平台」(雏菊西瓜Peterpan/2022年11月4日)https://kknews.cc/military/35mjbqg.html
[4]腾讯网-腾讯新闻「中国版“匕首”亮相!轰6K携带全新高超导弹,将震撼亮相珠海航展」(东方点兵/2022年11月4日)https://new.qq.com/rain/a/20221104A03CMW00
[5]每日头条「轰-6K亮相珠海航展,机翼下搭载新型导弹,美航母打击群更加头疼」(沐风谈兵论道/2022年11月3日)https://kknews.cc/military/6jp8b3v.html

【関連項目】
H-6爆撃機(轟炸6/B-6/Tu-16)
中国空軍

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