日本の周辺国が装備する兵器のデータベース





性能緒元
重量45トン(自走ロケット発射機の全備重量)/19トン(シャーシのみの重量)
全長11.43m
全幅3.05m
全高3.05m
エンジンディーゼルエンジン
最高速度60km/h
航続距離650km
渡渉深度1m
武装300mm5連装ロケット発射機×2
370mm4連装ロケット発射機×2
戦術弾道ミサイル×2
その他、300mm/370mm/610mm/750mmサイズの各種ロケットやミサイルの運用能力あり
乗員4名

AR-3 300mm/370mm 10/8連装自走ロケット砲は、2010年にその存在が明らかにされた輸出向け多連装ロケット・システム[1]。開発は、中国北方工業公司(NORINCO)により行われた。300mm/370mmという名称は。口径300mmと370mmの二種類のロケットの運用が可能であることを表している。

NORINCOでは、輸出向け大口径多連装ロケットとしてARシリーズと呼ばれる一連のロケットを開発しているが、AR-3はその中でも最も新しく登場したタイプで、370mmという大口径ロケットの搭載を可能として射程や威力を増しているのが特徴。

【車体性能】
ロケット弾を搭載する自走ロケット発射機は万山特殊車輌製造廠製WS-2400八輪重機動トラックが使用される。これはAR-2/05式と同じ。WS-2400八輪重機動トラックは、万山特殊車輌製造廠がソ連のMAZ-543Mをリバースエンジニアリングして開発した大形野戦トラックで、シャーシのサイズは、全長11.43m、全幅3.05m、全高3.05m、車体重量19トン、最大積載量22トン。全備重量は自走ロケット発射機の場合45トンに達する[1][2]。AR-3の自走ロケット発射機の最高速度は60km/h、最大航続距離は650km、水深1mまでの徒渉水深能力が与えられている[1]。

車体前方には乗員4名の乗員室が配置されており、後部に荷台が配置されている。乗員登場区画はNBCエアコンや防護システムが標準装備[1]。発射に際しては、第3、第4車輪の間に装備されたジャッキを接地させて車体を安定化させる方式を採用している。

AR-3が搭載しているロケット発射機は金属製のフレームで構成されており、モジュール化されたロケット発射筒コンテナ2基を装填する。ロケットを発射した後は、コンテナごと取り外して、新たなコンテナを再装填することで、迅速な装填・換装を可能としているのが特徴[1]。発射筒に収められたロケット弾はメンテナンスフリー化されており、整備の手間を軽減している[5]。口径370mmのロケットの場合は4連装コンテナ、300mmロケットの場合は、同じモジュールシステムを採用しているAR-1A 300mm10連装自走ロケット砲と同じ5連装コンテナを使用している。

【兵装】
AR-3が使用するロケット弾はAR-2/AR-1Aと共通の口径300mmのものと、AR-3になって新たに導入されたBRE6 370mmロケット弾が存在する[3]。さらに、2016年の珠海航空ショーでは610mm/750mmの単装ランチャーに搭載する戦術弾道弾に登場[6]。それらを合わせると、AR-3では、BRC3/4、BRE2/3/6/8、火龍140/220/280ロケット弾、火龍480戦術弾道ミサイル、TL-7B対艦ミサイルといった豊富なラインナップが取り揃えられている[6]

口径300mmのロケットは重量800kg、直径300mmの固体燃料ロケット推進式の大型ロケット弾で、最大射程70km、130km、150kmと3種類のロケット弾が用意されている[4][5]。弾頭については、BRE2高性能榴弾、BRE3対人子弾収納型、BBRC4クラスター弾頭型、RE4対戦車子弾収納型、サーモバリック弾頭などが用意されている。BRE3、BRE4は480〜623発の子弾を内蔵しており、前者の制圧面積は80〜160平方メートル、後者のそれは20〜70平方メートル[3][5][6]。ロケット弾は、単射もしくは一斉発射が可能。2016年に存在が明らかにされた同じ300mmのサイズの火龍140はGPS+慣性誘導で一定程度の移動目標に対する攻撃能力も付与されたことで、水上艦艇への打撃も可能となる[1]。

370mmの場合、BRE6の射程は220km(開発時の試射では290kmの射程を実現している)、ロケット弾の弾頭部には方位の調整を行う目的で300mm口径のロケットには無い4枚の制御翼が追加されている[3]。誘導にはGPS制御を採用しており半数必中率(CEP: Circular Error Probability)は50mとされる[3]。BRC3は射程が100〜220kmのクラスター弾頭型。弾頭に600発の子弾を搭載し、ロケット一発で9.6平方劼量明僂魏仞する[1]。火龍220/280はGPS+慣性航法の併用で、射程や弾頭の中身が異なる[1]。370mmロケット弾は、射程が200kmを超え、弾頭威力も300mmロケット弾の倍に達する [1]。その性能は単なる対地ロケットを超えて、戦術弾道ミサイルに近いものになっていると評価されている[1]。

AR-3は本格的な戦術弾道ミサイルの運用能力も付与されている。750mmという最大のサイズのランチャーに一発を搭載する火龍480は、弾頭重量480kg、射程290kmの戦術弾道ミサイルで、GPS+慣性航法+各種終末誘導システムの併用で高い命中精度を有する[6]。290kmという射程は国際規約であるミサイル技術管理レジーム(MTCR)に抵触しない300km未満という規制に従ったものであり、意図的に射程を抑えている。

AR-3は沿岸防衛任務での活用を想定して地対艦ミサイルを搭載することも可能。AR-3が搭載するのは射程180kmのTL-7Bで、火龍280などと同じ370mmランチャーに収納される[6]。

【運用】
AR-3自走ロケット砲は通常ロケット砲大隊〜中隊での運用を想定しているが、自走発射機単独での射撃も可能。効果的な射撃と目標制圧を可能とするため、高度な指揮管制システム、気象観測システム、各種支援装置を備えている[1]。

AR-3は、その長射程と命中精度を生かして、遠距離の敵部隊に対する打撃、クラスター弾頭による面制圧、点目標に対するピンポイント攻撃などを行うことが想定されている[1]。現時点では採用国は現れていないが、今後ほかのARシリーズと共に各国への売込みが行われるものと思われる。

【派生型】
中国軍ではAR-3の技術をベースにした発展型を191型多連装自走ロケット砲(191式/PHL-191/16式/PHL-16)として制式化し、2019年10月1日の建国70周年記念軍事パレードで一般公開した[6]。PHL-191は2022年までに約200基が中国軍に配備されている[7]。

【参考資料】
[1]Army Recognition「AR3 370 mm MRLS Multiple rocket launcher system」
[2]「遠火呼嘯、万鈞雷霆-我国遠程火箭炮発展全掲秘」(『全球防務叢書』第四巻 輔国号/内蒙古人民出版社/6〜17頁)
[3]平可夫「北方工業公司推出AR3型遠程火箭砲」(『漢和防務評論』2009年7月号/33頁)
[4]平可夫「SMERCH的強烈競争対手A100和AR2/1多管火箭炮」(『漢和防務評論』2009年10月号/52〜58頁)
[5]平可夫「中国向摩洛哥提供AR2遠程火箭砲」(『漢和防務評論』2011年1月号/34頁)
[6]「陆上作战模块 第五方队—自行火炮方队之新型大口径火箭炮、新型155毫米车载加榴炮」『兵工科技甦 中华人民共和国成立七十周年国庆大阅兵典藏版』(兵工科技杂志社)37〜46頁
[7]荒木雅也「中国人民解放軍陸軍主要装備カタログ」『現代中国人民解放軍総覧』(アルゴノーツ社/2023年/25〜120頁)96頁

【関連事項】
191型多連装自走ロケット砲(191式/PHL-191/16式/PHL-16)
03式300mm12連装自走ロケット砲(PHL-03/AR-2)
AR-1A 300mm10連装自走ロケット砲
AR-1 300mm8連装自走ロケット砲
中国陸軍

amazon

▼特集:自衛隊機vs中国機▼


▼特集:中国の海軍力▼


▼特集:中国海軍▼


▼中国巡航ミサイル▼


























































メンバーのみ編集できます