日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼「Norinco Chinese China defense industry armored vehicles tanks air defense UAV UGV AirShow China 2016」 こちらの動画の6:24-6:40にCS/SH4が登場している


性能緒元
重量 
全長  
車体長 
全幅
全高 
エンジンCA5DL2-35E3Rディーゼルエンジン(最高出力348hp)
最高速度 
航続距離 
武装122mm榴弾砲×1
最高発射速度 
俯仰角度
方向射界
装甲均質圧延鋼装甲
乗員4名

CS/SH4車載式122mm自走榴弾砲(中国語ではCS/SH4型122毫米车载榴弹炮)は、中国兵器装備集団によって輸出市場向けに売り込みが行われているガン・ポーディ式装輪自走砲[1]。もともとは、山岳合成旅向けの次世代車載122mm自走砲の地位をPCL-161型122mm装輪自走榴弾砲と争って、選定を得られなかった試製自走榴弾砲を輸出市場向けに仕立て直した自走砲である[1][2]。

【開発の背景】
中国軍では2010年代に、山岳合成旅向けの次期122mm車載式自走榴弾砲として二種類試作車両が製造された[2]。その一つが、砲架全体を地面に下ろして射撃する方式の「落地」式であり、これが後のCS/SH4となった[2]。これは砲の反動を地面が吸収するので車載状態よりも砲が安定し、全周射撃が可能という利点があった。

もう一種類は、砲は車載したまま折り畳み式の駐鍬を設置させて安定を確保する「後撐(「後ろで支える」という意味)」式であった[2]。こちらは射界という点では遜色があったが、即応性では勝っていた。既に、PCL-181でも実証済みだったことも功を奏してか、選定されたのは「後撐」式であり、「落地」式は輸出向けにCS/SH4型122mm車載榴弾砲の名称を与えられて海外市場への売り込みが図られることになる[2]。

【性能−車体】
CS/SH4のシャーシは、中国軍の新世代野戦トラックであるMV-3中型高機動野戦トラックのファミリーの一種であるCTM-133型(積載量3.5t級、4×4駆動、4人乗りキャビン)中型高機動汎用戦術車両を用いている[2]。MV-3はエンジンの後ろにキャビンを配置しているが、CTM-133はエンジンの上に乗車スペースが乗ったキャブオーバー型を採用しており外観はかなりの相違がある。

PCL-161もCS/SH4も同じCTM-133をシャーシとして用いているが、装甲キャビンの設計はかなりの相違があり、PCL-161が二分割式フロントガラスを採用しているのに対して、CS/SH4は三分割式になっている。中央のガラスは平面だが、左右の分割ガラスは傾斜が付けられており、より広い正面視野を得るための工夫であるとみられる[1]。

CTM-133型の構造は、車体前部が動力部とキャビン。車体中央は砲弾や関連機材の搭載区画で、左右で計12個の砲弾ボックスが備え付けられている[1]。車体後部は榴弾砲積載区画。PCL-161は砲撃の反動を抑制し車体を安定させるための油圧式ジャッキ付き底板を二基備えているが、砲全体を地面に下ろすCS/SH4ではPCL-161ほど砲撃の反動に対処する必要性が薄いので底板は未装着[1]。

エンジンはCA5DL2-35E3Rディーゼルエンジン(最高出力348hp)を搭載し、変速機は半自動式[3][4]。野外走破性を高めるため、足回りは独立懸架式の油気圧サスペンションを採用し、タイヤの空気圧の中央調整機能を備えている[4]。CS/SH4の油気圧サスペンションは姿勢制御能力も備えており、射撃の際には車体を低姿勢にしてシャーシの安定性を高める。CTM-133シャーシは、高温や寒冷下での運用に備えて、油気圧系統や水加温機能を備え、零下41度でも問題なく運用できる能力を備えている[4][5]。近年の戦場の情報化に対応して、情報システムを充実させ対電磁波能力にも配慮を加えるなどの工夫が施されている[4]。これらの工夫により、CTM-133は、良好な野外走行性能に加えて、気象環境の厳しい高原地帯での特殊作戦で求められる特性を備えることに成功している[4]。


乗員は合計4名で、車体中央の装甲キャビンに乗車する。キャビン両側面にそれぞれ二枚ずつドアがあり、迅速な乗り降りを可能としている。PCL-161の装甲は、小銃弾や砲弾の弾片から乗員を保護するレベルのものを備えている。

【性能−砲システム】
PCL-161の主兵装である122mm榴弾砲は車体後部に砲架ごと搭載されており、走行時には前方に向けてトラベリングロックで固定される。装甲キャビン後部には凹状のくぼみがあり、走行時には122mm砲の先端をここに収納するようになっている[1]。

CS/SH4の122mm榴弾砲は軽合金を用いるなど軽量化に勤めた設計が採用されており、同じタイプの砲が2014年に開催された珠海航空ショーでCS/SH1型122mm空挺自走榴弾砲(中国語だとCS/SH-1型122毫米空降自行火炮)として登場している[5]。CS/SH4とCS/SH1で共通するのは、移動時は砲架全体を荷台に搭載しているが、射撃の際には油気圧ジャッキを用いて砲架全体を地面に下ろしてしまう手法である。この方法のメリットは、砲撃時の衝撃は地面に吸収されるので、砲撃時の車体の剛性への配慮をせずに済む点がひとつ[5]。そして、PCL-161のような車載式自走砲に比べて、間接射撃と直接射撃の双方で広い射角を取ることが出来るのも利点である[5]。欠点としては、砲架全体を地面に下ろさないと射撃ができないので、発射可能になるまでの時間が(緊急の場合は)駐鍬を下ろせば射撃可能になるPCL-161よりも遅くなるのは否めなかった。その点から言うと、CS/SH4は車載式自走砲といっても、自走砲というよりは牽引砲に移動手段を持たせたという意味合いの強い車両であった。

CS/SH4の122mm榴弾砲は牽引式の96式122mm榴弾砲(PL-96/D-30)を設計の基本としているが、徹底した軽量化が施されており、その構造はかなりの相違点が見られるものとなっている[1]。D-30の流れをくむ三脚型をコンパクトにしたような形状の砲架に凹状の砲座を設け、その間に122mm砲を載せている[1]。反動吸収用の駐退復座装置は揺架の上に並列に並べられている砲の先端部は反動抑制のため多口式マズルブレーキを装着[1]。砲耳左部は砲の付仰角制御用ハンドルや照準器、そして砲弾初速を計測する砲口測定レーダー、「北斗」衛星位置測定システムのアンテナなどを配置し、砲耳右側には制御用端末や半自動装填装置を配置している[1]。

旋回用ハンドルの上には照準器が配置されており、目視照準の場合はこちらを用いて諸元を算出するが、通常は射撃統制システムを使用して端末に目標の座標を入力すると、後の計算は自動で行われ、砲の旋回及び付仰角の調整まで行われる[1]。また、データリンクを活用して、他部隊から得られたデータをもと自動で諸元を算出し、自動で操砲、砲撃を行うことも可能[1]。砲弾の装填には装填補助装置が用意されている。装填手が砲尾右側に装備された装填ラックに砲弾を置くと、以降の装填作業は自動で行われる[1]。CS/SH4の装填補助装置はPCL-161のものよりも構造が簡易で、取得コストこそ安かったが性能では遜色があったとされる[1]。砲弾が装填されると装填手が装薬を手動で装填して発射準備が完了する。砲撃は撃発スイッチもしくは拉縄のいずれかを選択できる[1]。

使用可能な砲弾は96式12mm榴弾砲のものと共通しており、榴弾、ERFB(Extend Range Full Bore:低抵抗)弾、ERFB-BB(Extend Range Full Bore-Bass Bleed:低抵抗ベースブリード)弾、ERFB-BB-RA(Extend Range Full Bore-Bass Bleed Rocket Assisted:低抵抗ベースブリード/ロケット推進)弾、照明弾、発煙弾、誘導砲弾など各種122mm砲弾の射撃が可能。最大射程は、ERFB弾で18,000m、ERFB-BB-RA弾で27〜30,000m[1][7]。

近年の中国軍の自走砲の類に漏れず、CS/SH4の射撃統制システムも、衛星位置測定システム、車輌位置測定装置、統合型データリンクシステム、弾道計算機、制御システムなどで構成されており、自部隊での照準のみならず、データリンクを活用して上級の砲兵指揮所、他部隊、他軍種と情報を共有し、統合運用下で砲撃を行うことも想定されている[1]。

CS/SH4が射撃を行う場合は、油圧装置を駆動させて車体後部に搭載している砲架を地上に下ろす。すると、砲架の三脚が展開して接地することで砲撃可能な状態となる。その後、諸元を算出して砲を任意の方位/仰角にしたのちに、装填手が砲弾を半自動装填装置に載せると砲弾が装填され、続いて装填手が装薬を人力装填すると射撃準備が完了する。

【不採用とその後】
最終的に、山岳合成旅の次期122mm自走砲として採用されたのはPCL-161だった。両者の利点と欠点については先述の通りであるが、CS/SH4の砲架全体を地面に下ろして射撃する方式の「落地」式を選択したこと自体が、中国軍の要求にそぐわない自走砲になった大きな要因だと思われる。

「落地」式のメリットは、シャーシの剛性を問わずに大口径砲を搭載できるところにあるが、CS/SH4のシャーシであるCTM-133野戦トラックはPCL-161が実証したように駐鍬などを用いれば122mm砲を車載できる十分な剛性を確保できる車輛であり、「落地」式をあえて採用する必要性に乏しかった。

さらに近年の砲撃戦では、短時間に集中的な砲撃を行い、すかさず陣地転換を行って対砲兵射撃を回避することが重視されているが、CS/SH4は「落地」式を選択し、さらに装填補助装置の性能で劣った事も相まってPCL-161に比べて射撃開始までに要する時間が長くなってしまった。これもCS/SH4にとって不利に働いたと見られている。

競争試作で敗れた同自走砲は、輸出用名称CS/SH4を付与されて輸出市場での売込みを図っているが、現在の所、採用の報はない。中国軍が不採用とした問題点は、他国の軍隊で採用を検討する際にも共通する問題となり得るので、その懸念を抑えてCS/SH4が採用を勝ち得るには課題が多いのが現状だと思われる。

【参考資料】
[1]汉阳防务 6park.com「竞标失败转外销的巨丑卡车炮——CS/SH4型122mm卡车炮」(2020年9月20日) https://web.6parkbbs.com/index.php?app=forum&act=v...
[2]每日頭條「又一款車載炮露面,三型國內重點車載火炮武器系統這就齊活兒了」(2019年4月5日/喜之狼的札記)https://kknews.cc/military/gjb282y.html
[3]雪球「【神州军工】猛士3代车载122mm榴弹炮亮相,变身轻型旅打击利器,猛士底盘体系化」(2020年8月27日)https://xueqiu.com/7956505474/157694842 ----
[4]搜狐网「宋楠:解读一汽解放MV3型第三代通用军车」(2016年10月19日)https://www.sohu.com/a/116513867_117833
[5]知乎「西藏军区轻高机旅列装新型模块化轮式火箭炮(图) 」(2021年1月11日)https://zhuanlan.zhihu.com/p/343844674
[6]新欧洲华人新闻网「国产新型伞兵自行榴弹炮比山猫全地形车还小,能打会炮呆萌凶猛!」(2018年4月18日/来源:虹摄库尔斯克) https://www.xinouzhou.com/detail/235404
[7]听箭「装甲“猛士”车载炮– PCL-171型122毫米车载榴弹炮」『兵工科技2021.1 2021中国新兵器』(兵工科技杂志社)23-26ページ

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