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▼GSL-132水陸両用装甲地雷処理車の各種能力を紹介するCCTVのショート動画(YouTube)


GSL-132水陸両用装甲地雷処理車(中国語ではGSL132两栖装甲破障扫雷车)は、05式水陸両用歩兵戦闘車(ZBD-05)をベースに開発された戦闘工兵車両であり、着上陸作戦において防御側が敷設した地雷や障害物の処理や、防衛陣地の破壊などを任務とする[1]。

揚陸作戦では、限られた時間の中で、地雷や鉄条網やコンクリートブロックなど上陸部隊の活動を阻むために設置された各種障害物を除去する必要がある。そして、敵の反撃を被る危険性の高い場所であることから、無防備の工兵による作業は困難となる。これらの問題に対処するための車両がGSL-132であり、同車は、着上陸作戦における水陸両用AFV部隊の突破路を切り開くため、水陸両用AFVと共に着上陸が可能な高い水上航行能力を有する装甲地雷処理車として開発された[2]。

【構造】
GSL-132は、前述の通りZBD-05のシャーシを用いて開発されたAFVである。ただし、車内配置には大きく手が加えられた模様で、ZBD-05のフロントエンジンからリアエンジンへと動力部の位置を変更している。ZBD-05ではエンジンが搭載されていたフロント部は乗員区画となり、その背後に8連装ロケットランチャーを格納、車体中〜後部は地雷原啓開用の爆索と展開用ロケットの連装発射機を搭載している[1]。

水上航行時の抵抗軽減のため、ZBD-05と同じく車体の前後には大形のボウ・フラップが設けられており、水上航行時にはこれを展開して車体後面にある2基のウォータージェットにより航行を行うことで、水の抵抗を軽減して水上航行速度の改善が図られている。

GLS-132の乗員は、車長、操縦手、装備操作手の三名[1]。走行状態から障害処理状態に移行するのに必要な時間は50秒とされる[1]

【装備】
GSL-132は、地雷や障害物、陣地といった上陸部隊の展開を阻害する各種障害を除去することが求められており、それらに対応する各種装備が搭載されているのが特徴。

GSL-132の車体中央部には地雷原処理用の爆索が、その後方に爆索展開用のGBP-127型連装ロケット発射器が配置されており、これらの装備は車体上面に配置された外付け格納庫に収納されている。ロケットが発射されると、それにけん引された爆索が縦一列に地雷原上に落下し、発射から20秒後に一斉に爆発して地雷を爆破処理する。これにより、数十メートルの通行可能な通路を一気に啓開することができる[2][3]。車体後部には啓開済みの通路を示す標識収納具が配置されており、適宜地面に標識を落として後続部隊処理済みの通路であることを示すために用いられる[2]。

GBP-127型連装ロケット発射器は、爆索投射用ロケットと障害物破壊用ロケットのいずれも運用可能であり、任務に応じて使い分けを行う。シリア内戦やロシア・ウクライナ戦争で、ロシア軍が地雷処理用の爆索を市街戦での建物破壊に転用したように、GSL-132も同様の運用が可能と見られ、市街地や複雑な地形において広範囲を一斉に爆破する際に用いられるのではないかと指摘されている[2]。

爆索によって処理しきれなかった地雷を除去するのは、車体前方両側に装備されたマインプラウである。これは走行状態では上方に跳ね上げられており、地雷処理時に接地させて使用する。マインプラウによって掘り起こされた地雷は土砂とともに車両の両側に押しやられ、啓開路は安全な車両通行が可能となる[4]。

乗員区画の直後には、8連装ロケット発射器が格納されており、射撃時には発射機を上方にせり上げて発射する。これはトーチカや洞窟陣地、防波堤やコンクリートブロックなどの障害物を破壊するための装備であり、ロケット弾弾頭はタンデム式に搭載された成形炸薬弾から構成されている。これは目標打撃確率を高める為の構成であり、最初の弾頭が貫通孔を開け、その直後に爆発した第二弾頭の高速・高圧の燃焼ガスが陣地内に浸透することで爆発破壊効果の最大化を図ったものとされる[3]。乗員区画側面には発煙弾発射筒が合計8基装備されており、地雷処理作業の直前など必要に応じて煙幕を展開する[1][3]。

【運用方法】
GSL-132は、水陸両用作戦を担う部隊の合成营(大隊に相当)の支援保障连(中隊に相当)に配備され、ZBD-05譲りの高い水上航行能力を生かしてZBD-05や05式水陸両用戦車(05式両棲突撃車/ZTD-05)と共に着上陸の第一陣として作戦に参加することになる[1]。作戦においては、上記の地雷処理用装備を用いて、地下20cmまでの地雷を処理しながら、平均で毎時3〜5kmの地雷原を啓開する能力を有している[1]。地雷処理作業に入る直前に発煙弾発射器を用いて煙幕を展開して、敵の作業妨害に対する欺瞞を行った後、地雷処理を開始する[1]。

水際防衛用に構築されたトーチカなどの陣地、防潮堤やコンクリートブロックなど部隊の前進を阻む構造物に遭遇した場合は、8連装ロケットによる直射打撃、もしくは連装ロケットを用いた曲射打撃という複数の攻撃選択肢を有しており、必要に応じてそれらを使い分ける[1]。

GSL-132は、衛星位置測定システム、光学電子センサー、敵味方識別装置、車両間情報システムなど充実した電子装備を搭載している。衛星位置測定システムを活用して車両の正確な現在位置を掌握し、高精度な地雷原啓開が可能であり、処理済みの区域と未処理の区域を明確に識別することができる[3]。これらの情報は、搭載された指揮通信システムを活用して、部隊の各車両や後方の指揮センターなどと情報共有される[3]。迅速な進行が求められる着上陸作戦においては、速やかな障害物の除去により進撃路を啓開し、確保した通路から防衛線後方に進出しなければならないため、地雷原の位置や進撃路の情報共有は極めて大事な能力となるため、これらの情報戦用システムの搭載は必須である。

【参考資料】
[1]腾讯网「国产两栖扫雷车亮相?抢滩开路还能打巷战,号称为“街区删除者”」(武堂说事/2022年5月1日)https://view.inews.qq.com/k/20220501A0B04X00?web_c...
[2]搜狐「抢滩登陆开路先锋——两栖装甲破障车」(2018年1月26日) https://www.sohu.com/a/219094558_600478
[3]新浪网「我军新战车有三大绝技 配专用破障弹可劈开坚固工事」(空军世界/2018年1月25日)http://mil.news.sina.com.cn/jssd/2018-01-25/doc-if...
[4]大公报「05式两栖装甲破障车」(2019年12月9日)http://www.takungpao.com/news/232108/2019/1209/387...

05式水陸両用歩兵戦闘車(ZBD-05/ZBD-2000)
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