日本の周辺国が装備する兵器のデータベース


▼インド空軍のIL-78



性能緒元
重量89,000kg
全長46.59m
全幅50.50m
全高14.76m
エンジンアビアドビガーティリD-30KP 12,000kg ×4
最大速度850km/h
巡航速度750km/h
給油速度430〜590km/h
行動半径1,000km(給油燃料65,000kg)
 2,500km(給油燃料36,000kg)
給油高度2,000〜9,000m
燃料搭載量112,840kg
乗員7名

旧ソ連・ロシアの空中給油機。1970年代末、旧式化してきたミャシーシチェフ3MS2/3MN2バイソン給油機の後継として、ペイロード積載能力の高いIL-76MD をベースに開発された。初飛行は1983年6月で、量産はタシケント工場で行われた。IL-78は46機以上が生産され18機以上がロシア空軍に配備されているほか、ウクライナやインドでも運用中。

最初の量産型IL-78(IL-78T)は胴体の貨物室内に2個の円筒状の燃料タンクが増設され、合わせて28,000kgの燃料が追加搭載されているが、このタンクを外すと貨物機としても運用可能だった。1987年にDA(遠距離航空隊)に就役した当初の機体は戦略爆撃機用で、プローブ・アンド・ドローグ方式のUPAZ-1A給油ポッドを胴体後方左側に1基装備した1点給油式であった。後にSu-24、Su-27、MiG-31など戦術任務の戦闘機等にも複数機同時に給油できるよう3点給油式に改められ、給油ポッドが左右主翼下面に追加装備された。給油速度は毎分900〜2,200Lの間で選択可能。IL-78Mは改良標準型で1987年3月に初飛行し、引渡しは1989年12月である。貨物室内の燃料タンクを大型化し固定装備となったため、貨物機には転換不能となった代わりに自重が低減された。これによる燃料容量の増加で給油可能燃料は36,000kgに増加、これに伴って最大離陸重量も210,000kgに引き上げられた。搭載システムはIL-76と同様の気象レーダー、航法レーダーのほかクーポル航法システム、RSBNヴストレチャー短距離航法システムなどの装備により、全天候下で300km離れている受油機の捜索・誘導が可能という特殊能力を持っている。尾部胴体下面にはレーダー測距機も装備されている。空中給油作業は目視で行われるが、尾部のIL-76では銃座であった部分には空中給油オペレーターが座る。

2005年9月、中国空軍はロシアか30機のIL-76MDと共に8機のIL-78を購入する総額10億ドルの契約に調印したとの報道がなされた。それまで保有していたH-6U給油機はシステムの問題でSu-30MKKに給油できなかったが、これにより中国空軍の最新鋭戦闘機Su-30MKKの行動範囲を大幅に拡大する事が可能となる。

しかし、IL-76/78を生産していたタシケント工場があるウズベキスタンとロシアとの間で生産された機体の利益分配をめぐる論争が発生し、現在タシケント工場でのIL-76/78の生産は不可能な状態になってしまった。メーカーのイリューシンでは、ロシア領内のウリヤノフスクに新たに工場を建設する事を計画したがそのためには巨額のコストが必要である。ロシアはこの問題の解決を模索しているが、納期の遅延はさけられない状態になっている。また、近年のロシアの物価上昇に伴い当初の契約費用では注文分の機体を製作すると利益が出ない事も明らかになった。ロシアは中国に対して、納入を2007年から2010年に延期する事と経費の追加負担(追加分は約5億ドルとみられている)を要請することになったが、両者の合意は成立せず、最終的に契約は解除された。

ロシアとの契約解消後も中国はIL-78の導入に向けた模索を続け、2011年にウクライナの国有兵器輸出公社Ukrspetsexportとの間で、3機のIL-78の輸出に関する契約を結ぶことに成功した[1]。このIL-78は元はウクライナ空軍に所属してた機体であった。衛星写真の分析により、2014年10月には湖北省の武漢にある空軍基地にIL-78が駐機していることが確認され、IL-78が中国空軍に引き渡されたことが判明した[1]。

【参考資料】
[1]「Il-78空中給油機−中国空軍の基地で初めて確認」『軍事研究』2015年4月号(ジャパン・ミリタリー・レビュー)171〜172ページ

世界航空機年鑑2005 (酣燈社)
Chinese Defence Today
プラウダ 2007年5月24日“Russia does not mind refusing from a billion dollars contract”

IL-76MD輸送機(キャンディッド)(中国)
中国空軍

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