スローライフ21



「大丈夫だった?」
「彼、なかなかかっこいいじゃない!」
もうお昼だというのに
朝からずっとこんな調子
「ねね、そういえば彼ってさ、どんな人なの?」
「それ俺も聞きたい!」
ただの質問だった
「え、えーと…優しいよ…?」
答えなのになぜ疑問形なのか
「…それだけ?」
「ほ、他にもいろいろあるよ!」
「趣味は?」
「……うーん…」
首をかしげる、ごくたまに本を読んだりテレビを見てたりするのはあるのだが
夜は寝るだけだと彼の口から聞いたこともあった
「好きな料理は?」
「………んー…私の作った料理は美味いって食べてくれるケド…」
特別何かを好きだと言った事はなかった
あんまり高いもの買うと怒ったっけ……
「ふむ…奥さんでもわからないか」
「……///」
少し顔が熱くなった
「アイツってあんまり自分から話さないよな」
「うん、私がこの間仕事頼んだらやってくれたから悪い人じゃないんだけどー」
「なんていうか変な言い方だけど希薄って感じ?」
「あー分かる分かる、凄く仲のいい友達もいないみたいだし」
と口々に話をしている



…そう言われてみれば、彼が自分から何かをした事をあまり見た事が無かった
遊んでるところも
まぁ休みの日は大体私が連れ回すんだけど
あれ?でも昔はよく遊びに誘われたような……
というよりは専ら遊びに誘うのは彼だったな
いつからだっけ…なんか彼が変わったの……
「…たの……どうしたの?」
ハッと我に帰る
「あ…うん…ゴメン、ぼーっとしてた」
「ひょっとして看病疲れ?」
「はぁー、何にせよあいつは羨ましい、こんな可愛い人に看病させて……」
「そこまで!どうせアンタじゃこの子の心は動かせない!」
友人の1人が私に抱きついてそう言った
……私は彼の事を何も知らないのかな




「先に帰っててくれ、寄るとこがある」
「………」
「…大丈夫か?」
「えっ、えっ?大丈夫!大丈夫だよ?」
お昼の事が気になってずっと考えていた
「……あんまり気負うなって…」
「うぅん、その事じゃなくて…別の事。えとさ、なんの用事?」
「部に少し…長引くかもだから」
「うん、分かった、何が食べたい?」
「…なんでもいい」
「えぇ〜?何か言ってよ、好きなもの」
「本当になんでもいい」
「そういうのは困るよ!!」
つい声を張り上げてしまった
キョトンとした様子の彼
「…ご、ごめん…考えてた事で…その…」
すっとおでこに手が置かれる
「熱…ってわけじゃなさそうだな」
「……!…/////」
音が彼に聞こえそうなくらい胸がドキドキしている
「俺、ラーメンが好きだ」
「え…?…くすっ…ふふっ、夕御飯にラーメンは嫌だよ〜?」
「じゃ、なんでもいい」
「ふふふ…仕方ないなぁ…」「……やっぱ熱あるんじゃないか?」
「熱があったら…看病してくれる?///」
「…しない」
「ガ、ガーン!……酷い…」


「それじゃ、なるべく早くね!」
「ああ」
そう言って見送った


ままなら良かったのだが



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2008年02月19日(火) 19:55:51 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




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