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第七十一景 虎殺(とらころし)

あらすじ

彼岸の頃、笹原邸の源之助の下へ、掛川藩より一腰の太刀が届けられた。産地は備前、刀工は不明、その名は虎殺七丁念仏。名に虎殺と加えられたのは、刀を預かっていた岩本家の没落による。次いで刀を預かった孕石家では、当主が自刃し子息が病死。禄を立たれた岩本家であったが、御家に災いをもたらす妖刀の所持は許された。その波紋を見つめる源之助は、三重によって持ち出されたときの出来事を思い出していた。そのときの三重の体と、七丁念仏を。
鮮やかな手並みで薪を割る三重。そこに現れた修三郎が、源之助よりも手際がいいと褒めた。三重は、源之助の胸にあるのは清玄を打つことのみでお許しを得ようとした。修三郎は清玄と源之助の関わりから、どのような門人であったかを三重に尋ねた。虎眼流の内弟子たちが道場で激しい稽古を積み、ぬきんでるために更に自分をいじめ上げなければならない、そんな中清玄は稽古が終えたとたん、涼しき場所で惰眠をむさぼる毎日だと告げた。それでいながら腕は確か、それが剣の聖を汚すとも。聞いていた修三郎は、自分もそうであったと三重を驚かせた。自分も怠けていると陰口をたたかれていたが、道場で錯綜するすべての槍を敵と心得て気を配り、さながら戦場の如く稽古をしており、余力などは残っていなかったと。次に源之助のことを尋ねる。三重は困惑した表情で語りだした。稽古のあとはひたすらに刀を眺め、やがては刀と一体化するの如く。そのとき、工夫がついたと源之助が現れた。
道場に移り、再び手合わせ。伊良子のように下構えの修三郎に対して、源之助は木刀を上段に突き出した。先に動いたのは源之助、一直線に切り込む源之助は、修三郎の喉に剣先が届く前に、下から突き上げられた槍にあごを打ち上げられる。そのとき、吹き飛ぶ源之助の影からもう一人の源之助が現れ、虎拳が修三郎に襲い掛かった。槍をへし折る源之助の虎拳。源之助が二体、否それは源之助の投げた木剣。剣鬼の執念吹き込まれし得物ゆえに、修三郎の目をも欺いていた。修三郎は青ざめた顔で、剣を投げるとは邪法、御前試合でそれをやるなど正気ではないと言い放つ。しかし、源之助の顔は清清しい。

"此度の武芸、真剣を持ってせしむべし"
駿府城にて催される上覧試合に於いて、真剣の使用が命じられたのは、この四月である。
登場人物
藤木源之助伊良子清玄いく岩本虎眼(回想)、孕石備前守(回想)、岩本三重笹原修三郎
徳川忠長、ほか清玄護衛2名
舞台
駿府城、笹原邸、廃堂(回想)、岩本道場(回想)
道具
虎殺七丁念仏、鉈、木剣、かじき、日本刀、木槍
主要単語
虎殺、禄、濃尾無双、御前試合(上覧試合)
詳細

掲載ページコマ文字
チャンピオンRED 2009年8月号
単行本13巻
32ページ125コマ文字

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最終15巻

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