[44] ざふぃふぇ! sage 2008/02/06(水) 22:15:48 ID:K8LDCgdx
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[47] ざふぃふぇ! sage 2008/02/06(水) 22:18:07 ID:K8LDCgdx

奥様の名前はフェイト、そして、だんな様の名前はザフィーラ。
あまり普通でない二人は、あまり普通でない恋をして、ごく普通の結婚をしました。

でも、見ればわかるような気もしますが、だんな様は狼だったのです!



『ざふぃふぇ!』 第三幕 よるのいとなみ



西洋行燈を模した電気照明の、仄かな灯りに照らされた寝台、清潔感の漂う白いシーツのその上に、
大き目の首輪を身につけた全裸の新妻執務官が、両手は膝上、見事な正座で夫を待ち構えていた。

寝室へ訪れた青き狼に、弾んだ音色の声をかける。

「お風呂に入る前に、食べるか寝るか遊びませんか?」

省略された須らくの主語は、私を私と私で、である。
以前、言葉どおりに受け取って酷い目にあったトラウマが、ザフィーラにはあった。

魔力光を思わせる暖かな照明が、きめ細かい肌を均一に染め、白く透き通る印象を際立たせる。
身を震わすたびに、形の良い、無自覚な乳房が弾み、揺れた。

「いや、服を着ろ」
「着衣で、ですか……望むところだ、です!」

意気揚々と、ナース、スク水、秘密の小窓付き下着などを取り出し始める執務官。
まずは金色の頭頂に、素早くザフィーラが装着されたと言う、かぷりと音を立てながら。

「じ、地味に痛いです痛いんだ痛いってばザフィーラぁ!?」

手足をジタバタとバタつかせて抗議する執務官を、反省するまで延々と噛み続け、
まったく、何を言っているのかと嘆息した装着型守護獣が、人間形態へと姿を変えた。

手甲などの武装を取り外し、簡略化された騎士甲冑の式を身に纏う。
鍛え抜かれた浅黒い体躯と、そして、その精悍な顔つきにあるものは、諦観。

寝台の上にあぐらをかいて座り込む膝の上に、きめ細かい肌が腰掛けた。

「うー、おしとやかな奥さんを目指しているというのにー」
「無理をするな、どうせ無駄に終わる」

そもそも方向性が捻れている。

さらに何事かを言わんとしていたザフィーラだったが、逡巡、一言も発する事はなく、
自らの頭を軽く掻き毟り、そのまま無言でフェイトの首輪をとりはずした。

「あ、駄目だよザフィーラ、せっかくペアルックにしようと買ってきたんだから」
「そういうのは、服とか装飾品でやれ」

見てみれば、首輪を外したあとの肌が紅く、やや腫れている。
少しばかり痛々しいそれらを、ザフィーラが舐めとりながら口を開いた。

「蚤避けとかのせいでな、人間が耐えられる代物では無い、この手の首輪は」
「あぅ……道理でさっきから首筋が痒いと」

痒みを辿る舌の動きに、目を瞑り頬を染める妻の姿に、少しばかりザフィーラの表情が緩む。
舐めとり終わるころには、こてんと脱力した肢体を支えるように抱きとめて、

「……何も感じないのかな、やっぱり」
「何の話だ?」

上目遣いの呟きに対して、素直に問いかけた。

「えーと………何と言いますか、奥様が旦那様を誘っているのですが、いちおー」
「どこかに出かけるのならば、まずは服を着ろ」

ザフィーラあなたってひとはーと、ぽかぽかとグーパンチを繰り出す新妻執務官。
わけがわからないと言わんばかりに、表情が固まっているザフィーラに抱きついた。

「どーせどーせザフィーラにとって私なんか、毛皮の無い猿でしかないんだあぁ…」
「ふむ、確かに発情期でもないのに、猿に欲情するような性癖は無いな」

薄々と勘付いていた嫌過ぎる現実に、瞬間的に真っ白に燃え尽きたフェイト奥様は、
ますくめろーん、などと謎の悲鳴を口走りながら、シーツへと豪快に倒れ臥した。

少しは自信があったのに、とか、はやての嘘つき、とか、ぼそぼそと呟きながら、
シーツに「の」の字を描き続け、陰々滅々とした雰囲気を展開しはじめる。

流石に自分が何か、とんでもない事を言ってしまったかと気がついたザフィーラが。
何某かのフォローを入れようと髪を撫で付け、口を開こうとしたその刹那、

どこまでも据わりきった眼差しが、その身体を石化させた。

ドス黒い笑顔の額に微かに青筋を立て、濁りきった瞳で胸倉を掴み上げて、押し倒す。
されるがままのザフィーラに覆いかぶさり、鼻が触れ合うほどに顔を寄せて、止まった。

勢いで押し倒したは良いが、そこから先を考えていなかったらしい。

見る間に頬や耳が朱に染まり、なんとも言い難い微妙な表情でうろたえて、涙ぐむ。
その、少しばかり涙の零れている不様を、指で拭いながら、ザフィーラが問いかけた。

「何をしたいんだ? わかり易く言ってみろ」

頬を撫で付ければ、瞼を閉じる。

無骨な掌から伝わる暖かさに、掌に伝わる暖かさに、
ただそれだけで不思議と落ち着いた執務官は、正直な心情を言葉に乗せた。

「私は、今、ものすごく、ザフィーラが欲しいんだ」

思いのたけを込めた宣言で、いつの間にか緊張で強張っていた身体を、預ける。
蜘蛛の巣の如く乱れ散る金髪が、お互いの身体に絡み付いていた。



(付録、次回予告)



この、果てしなく無理な夫婦関係は、スルー萌えのためにあるとしたら。
まったりとしたネタが、エロのある回のためにあるとしたら。

天国はこの、発情フェイトさん求愛行動全弾回避伝説の隣にあるはずだ。

ここまで充分にスルーした、充分に。
たとえそこが、禁断の地であろうとも。

次回 『ざふぃふぇ!』 第四幕 うそとほんとう

だが、エロのある回が、ネタのためにあるのだとしたら。

(続く)



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目次:『ざふぃふぇ!』
著者:33スレ263

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