[21]スマン グロ?注意<sage>2007/10/16(火) 00:12:51 ID:XJhxhqmJ
[22]BAD END<sage>2007/10/16(火) 00:14:44 ID:XJhxhqmJ
[23]2人の執務官<sage>2007/10/16(火) 00:17:58 ID:XJhxhqmJ
[24]2レス短くなる<sage>2007/10/16(火) 00:20:30 ID:XJhxhqmJ
[25]短い<sage>2007/10/16(火) 00:22:04 ID:XJhxhqmJ
[28]2人<sage>2007/10/16(火) 00:23:58 ID:XJhxhqmJ
[29]BAD END<sage>2007/10/16(火) 00:24:53 ID:XJhxhqmJ

「入らないの?」
そう告げるエイミィの顔は、不遜に微笑んでいる。
だが、フェイトには、エイミィの顔を見ることが出来ない。
「フェイトちゃんとクロノ君の部屋なんだから」
動けない。
体が言うことを聞かない。
ここにいるということは、自分が身篭ったこと以外は、全て知っているのだろう。
だが、しかし
「そんな所に立ったままじゃ、お腹の子供にも悪いよ」
手だけが動いてお腹に行く。
もうフェイトには、何も考えることが出来ない。
フェイトのそんな状況を気にすることもなくエイミィは、近付いていく。
「ほら、だから、ね」
「うん…」
エイミィの目に見られて、勝手に口が開いた。

「夕飯、まだでしょ?」
ベッドに座ったフェイトに語りかける。
そんな声は、フェイトに届かない。
フェイトは、テーブルに乗っている自分のカルテを凝視していた。
「キッチン借りてるから」
コトコトと何かが煮えたぎる音が聞こえる。
お玉杓子で鍋の中を掻き回すは、機械的なものだった。
「実はね、大分前から疑ってたんだ」
フェイトの方を見ることなく呟く。
その声にフェイトは、ゆっくりとそちらを見る。
「やっぱりね、匂いって分かるものなんだよね。あ、お皿借りるね」
頃合いなのか、鍋の中身をお皿に盛っていく。
「それでね、盗聴機。今、フェイトちゃんのバックにも入ってると思うよ」
2枚のお皿を持ってフェイトの元へ近付いてくるエイミィは、さも当たり前にように告げる。
バックの中身を漁ろうとしたフェイトは、目の前に置かれた皿に盛られたものを見て、その
動きを止めた。
「これ…は…?」
半端な体勢のまま、フェイトは視線を離すことが出来ない。
「シチューだよ」
嘘としか思えない。
こんなシチュー見たことがない。
野菜は何も入っていない。
具は肉だけだ。
その肉も牛とも豚とも違う見たことのない肉。
そして、何よりそのシチューは赤かった。
「きっとフェイトちゃんの大好きな味だよ…」
「エイミィちゃん…お兄ちゃん…は…」
体も声も震える。
外れて欲しい、違っていて欲しい。
「クロノ君はさぁ…私の旦那さんなんだよね…」
フェイトの質問に答えない。

「それで、2人の子供がいて」
淡々と語るエイミィ。
耳を塞いで、目を閉じて、ここから逃げ出してしまいたい。
「そして、妹と不倫して、子供を作って…」
もう嫌だ。
「…クロノ君が冷めちゃうよ。…フェイトちゃん」
胃から吐き気が上がってくる。
思わず目を逸らす。
「食べなよ、好きなんでしょ?クロノ君のこと。結婚してても、子供がいても…!」
ガタッという音に反応したフェイトは、確かな殺意を宿した瞳を見た。
フェイトは、エイミィの動きを認識出来なかった。
フェイトの首に伸びる右手、バルディッシュを窓の外へ投げ捨てる左手。
「え、いみ…」
「フェイトちゃんは、賢いから分かるよね?」
力の加わる右手。
元々、通信士であるエイミィの手を跳ね退けることぐらいいつものフェイトには、簡単だ。
だが、今のフェイトには、出来なかった。
「家庭のある人とのそういうことがどういう意味を持っているか。どういう報いを、罰を、
痛みを受けるべきか!」
煮えたぎるエイミィの瞳。
力を入れた為に噛み切ったのか、エイミィの唇の端から血が流れている。
フェイトは、酸素が不足し、視界がぼやけ始める。
当然の帰結かもしれない。
自分は、この人の幸福を奪ったのだ。
人の幸福を奪って、自分が幸福になろうとした報い。
「…ごめんね」
そう呟いたエイミィの左手には、小さなナイフが握られていた。
エイミィは、既にフェイトの顔を見ていない。
見ているのは、フェイトのお腹、その中にいる新しい命。
そう自分と夫とフェイトとの命。
鈍い刃の光がそこへ向かう。
「え、い…」
半分、諦めていたフェイトは思い出す。
この子を産むと決めた。
この子には、何の罪も無いのだ。
「くっ」
落ちようとする意識の弱々しくエイミィの腕を掴み、魔力を込める。
刃がフェイトの腹部にあと少しで刺さろうかという時、掌にメキッという感触が伝わった。
「ぐぁっ」
エイミィは痛みに喘ぎ、ナイフを落として後退する。
「はぁ…はぁ…バル…ディッシュ…」
体が酸素を吸い込む間に探って、投げ捨てられたバルディッシュを寄せる。

「はぁ…ふぅー、セットアップ」
体に酸素が行き渡り、視界がはっきりとしてきた。
魔力で刃を形成するバルディッシュを強く握り絞め、疼くまって折れた右腕を抑えるエイミ
ィを見る。
「当然だと思う。エイミィが私を殺したい程、憎むのは。…でも、何故クロノまで!分から
ないよ!エイミィだってクロノのことが…」
「フェイトちゃんが家庭を持ってないからだよ」
流れようとする涙を必死に抑えて、叫ぶフェイトの言葉をエイミィが遮る。
赤く腫れた右腕は力無く垂れているが、その瞳に宿る殺意は無くなっていない。
「それに、この子に罪は無いでしょ」
新しい命には、なんの罪も無いのに、罰を与えるというか。
だが、そんなフェイトをエイミィは一弊する。
「罪?存在が罪なんだよ?」
その言葉に驚愕する。
2人の我が子を優しく見守るエイミィを見て来た。
そんなエイミィに母というものを教えられたのに。
「あの日のエイミィは、もういないの?」
何にも負けない強さを持っていたエイミィは、目の前にいない。
「あの日の?私はいつだって私だよ?」
表情を変えることなくエイミィは返す。
違う。
自分の知っているエイミィは、優しくて強くて、女性として母として憧れた。
そんなエイミィをここまで追い込み、壊したのは?
そう自分だ。
自分が彼女を壊したのだ。
永遠に続くと思っていた家族との幸福は、妹の崩されたのだ。
「そんなことない…!この子に罪なんてない!」
それでも、この子は、護る。
エイミィがこの子を憎むというのなら、自分がこの子への憎みも背負う。
「私は、この子を産む」
宣言のように気持ちを吐露する。
「産ませない…」
エイミィは、狂気の目でフェイトとその子を見る。
「フェイトちゃんもその子もここで…死ぬんだから」
まともに戦って、エイミィがフェイトに勝てる可能性など、万に1つも無いだろう。
だが、フェイトにはエイミィの瞳に勝てる気がしなかった。
「この子を産むまで…死なない」
そして、続けた。
「義理の兄との不倫の末、産まれた子供。父はもういない。そんな子供が幸せになれると本
当に思うの?フェイトちゃん」
その言葉が重くのしかかる。
しかし、フェイトの心は折れない。

「なのはやクロノ、ユーノ、はやて、シグナム、エリオ、キャロ、他にも沢山の人が私を助
けてくれた。辛かった時もあった。でも、皆がいたら幸福を感じられた。皆が幸福をくれた。
母さんは、私を失敗策だと言った。絶望を味わった。だからこそ、幸せが嬉しかった。永遠
の幸福なんて存在しない。絶望があるからこそ、幸福がある。…でも1番悲しいのは、幸福も
絶望も知らないこと。産まれてこないこと。この子も逃げたりしない。きっといつか幸福に
辿り着く。その機会を与えるのが、皆に救ってもらった私の役目」
間も入れぬまま、ただ想いの全てを放つ。
「そんなこと…そんなこと…私には関係ない!」
響いた叫びと共にエイミィは、飛び掛かる。
赤いシチューが弾け、宙に舞う。
ナイフを持って左腕を振りかざす、エイミィをフェイトはなんなくかわす。
バランスを崩して、倒れそうになるが、折れた右腕で支え、ナイフを再び奮う。そのナイフは、閃き、フェイトの腹部に傷をつける。
バックステップで距離を取り、フェイトは腹部に手を伸ばす。
傷は浅く、自分にも子供にも支障がないのは、明らかだった。
だが、ただの刃物で傷がつくはずもない。
魔力で覆っているのだろう。
「エイミィ!」
心を潰して、バルディッシュでエイミィの右腕を突く。
エイミィは、痛みに顔を歪めるが、向かってくる。
再びかわすとエイミィは、倒れ掛けたまま、フェイトの大腿を狙った。

「くっ!」
フェイトは動かず、ナイフは深々と突き刺さった。
激しい痛みに、倒れ掛けるが、なんとか踏ん張る。
踏ん張った際の一際大きい痛みに顔をしかめたフェイトは、ナイフを抜こうとするエイミィ
の腕を掴んだ。
「エイミィ、もうやめようよ…」
「あ、あぁぁぁぁ!!」
悲しい瞳で語りかけるが、エイミィは、割れた皿を手に取り、フェイトを狙った。
「エイミィ!」
振り抜かれるバルディッシュ。
エイミィの右腰から左肩に閃光が駆け抜け、次の瞬間、紅が溢れ出す。
噴き出る血が、フェイトを汚す。
エイミィは、フェイトに倒れ込む。
「う、うぅ…」
泣かないと決めたのに、涙がとめどなく流れ出る。
「うぅ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!」
痛々しく刺さったナイフの先からとめどなく流れる鮮血も気にせず、叫び、子供のように泣き
続けた。

「面会時間は、10分間です」
そう告げられ、なのはは、開いた扉の中へ進む。
真っ白な部屋の中央にあるベッドに親友の姿を見付けた。
「フェイトちゃん…」
名前を呼ぶと、虚な瞳をなのはに向ける。
「なのは…」

負傷した被疑者が治療受けるこの施設。
フェイトは、魔力反応を探知した管理局員に拘束された。
紅に彩られた部屋で、衰弱し倒れていたフェイトと既に心臓の鼓動が止まっていたエイミィ
を見た局員は、呆然し、腰が抜けたらしい。
「なのは、私、エイミィを…」
本当に自分を見ているか分からないような顔で、言い放つ。
フェイトは、自分のやったことを認めているが、正当防衛だとは、言わなかった。
「ねぇ、なのは、頼みがあるんだ…」
フェイトの言いたいことは、大体分かる。
「私の子供育ててくれないかな…?」
迷惑なのは分かる。
ヴィヴィオはもう手が掛からないくらいになったが、なのはだってユーノとの子供が欲しい
だろう。
そんな時、違う子供なんて邪魔でしかないだろう。
だけど、なのはにしか頼めなかった。
「分かったよ、フェイトちゃん…でも、フェイトが戻ってくるまでだからね…」
フェイトの手を握ってしっかりと1文字ずつ囁いた。
「待ってるからね、フェイトちゃんの子供と一緒に」
フェイトは、なのはの手を握り返す。
弱々しかったが、確実にしっかりと握り返した。


「あっん…あかん…もうイッてまう…」
男の中ではやては、快感に喘ぐ。
「僕も…もう…くっ、はや、て…!」
「あっくっ、イッ、クロノくん、イッあぁん!」
クロノから注ぎ込まれたものが1番奥を汚していく。
はやては、痙攣しながら恍惚の表情を浮かべていた。

「上手くいったなぁ」
俯せで足をバタバタさせながらはやてが笑う。
「シャマルが作ってくれた人形、完璧やったなぁ。うちも1体貰っておきたいくらいや」
楽しそうに喋るはやては、クロノの不安そうな顔を見る。
「大丈夫やて。ヴォルケンリッターからバレることはあらへんよ」
「ん、あぁ、そうだな」
いまいちすっきりしない表情のクロノが気に入らない。
「すっきりせんならすっきりさせたる」
素早く動きクロノの下半身へ向かう。
すっかり収縮したそれをぐにゃぐにゃと揉みしだく。
「うっ」と漏らすクロノにニヤニヤとする。
「ぐぁ!!」
はやてがくわえようとした時、クロノが悲痛な叫びを上げる。
ベッドが紅に染まる。
クロノの左足は、消滅していた。
「…なのは…ちゃん」

ベッドの横に立つのは、エース・オブ・エース。
握られているのは、鋭く輝くレイジングハート。
その瞳には、怒気も殺気も悲しみも無い。
「…なのはちゃん」
はやては、もう1度名前を呟くが、なのはは反応しない。

「ごめんね、フェイトちゃん…約束守れないや…」
小さく呟いて、レイジングハートを2人に向けた。

END

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目次:2人の執務官
著者:33スレ473

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