[44] 再び機動6課の休日 その4 sage 2007/12/13(木) 21:49:04 ID:utkDkoWv
[45] 再び機動6課の休日 その4 sage 2007/12/13(木) 21:49:57 ID:utkDkoWv

「ど……どちら様、ですか?」
 フェイトの袖を面白そうに掴みながら首を傾げるヴィヴィオを目の前に、エリオの時と同じように別人のフリをしてしらばっくれる作戦に出るが……。
「フェイトちゃん……どうしたの? そんな姿になっちゃって」
 ヴィヴィオの後ろを見上げると、今一番会いたくない親友のなのはが不思議そうな様子でフェイトを見下ろしていた。
「あの……フェイトって誰ですか?」
 アニメや漫画なら顔に大きな冷や汗がフェイトの顔に描かれるであろう、それほど切羽詰った表情で半ばやけっぱちで嘘の返答する。
「え……フェイトちゃん、記憶が無いの? もしかして……また変なロストロギアでも見つけておかしくなっちゃった!? 私のことは解る?」
 なのはは慌ててしゃがみこみ、フェイトの両肩に手を載せ懸命に説得を開始するが、子供の姿になった当人は困惑したままだ。
 そもそも、フェイトがなのはの魔力を感知したのと同じように、なのはもフェイトが常に持ち歩いてるバルディッシュの待機状態の魔力を良く知った上で感知している訳で、
この状態で本人じゃないと言い張るのであれば何かによって記憶を操作されたか、一時的な記憶喪失になっていると判断するのは当然の結果であった。
「えー? フェイトママじゃないけどフェイトママだよ。ね? なのはママ?」
 ヴィヴィオもそれを感じ取ったらしく、前者はフェイトの姿そして後者はフェイトの魔力についてなのはへ確認を取った。
「間違いなくフェイトママだね、ヴィヴィオ。だからなのはママはフェイトママの記憶を取り戻すために、ちょっとショック療法をやってみるね」
「うん! なのはママ頑張って!」
 左手でヴィヴィオの頭を撫でながら、右手で赤く丸い宝石の形をしている魔法デバイス、レイジングハートを取り出すなのは。
「レイジングハート。ブラスター1をコンパクトモードで」
《All Right》
「えっ? あ、ちょっ……」
 片手で持てる小さな魔法のステッキの様な形状になったレイジングハートを構えたなのはが、状況が把握できていないフェイトにじわりじわりと迫り寄る。
「フェイトちゃん、ちょっと痛いけど我慢してね」
 レイジングハート先に魔力の集束が始まっている、どう見ても攻撃するき満々のなのはを見てようやく自分の状況を把握する。
「ごめん、なのは! ちゃんと記憶もあるし体が小さい意外は問題ないよ」
 平謝りするフェイトに、振り上げていたなのはの手が止まる。
「あれ? 本当に大丈夫なの? フェイトちゃん」
「う、うん。この姿になってるのはちょっと事情があって、ね……」
「あー、やっぱりフェイトママだー。フェイトママ、ヴィヴィオと一緒だね」
 ヴィヴィオは爪先を立てながら、フェイトの隣で無理やり背丈を合わせつつその頭を撫でていた。
「えへへ。フェイトママ正直に謝ったからヴィヴィオがいいこいいこしてあげる」
「うん、ありがとう。ヴィヴィオ」
 それを喜んで受け入れている様子は、あたかも仲の良い幼い姉妹の様な光景であった。

「……そう言う事だったんだ」
 ヴィヴィオがフェイトにいいこいいこしてから少し経ってから、フェイトが今までの経緯をなのは達に説明した。
 話してる最中に解った事が、なのはとヴィヴィオも街で買い物などを済ませた後に遊園地に来る予定だったらしい。
 もっと早く把握しておけば、回避できる手段はあったかもしれないと更に後悔した瞬間だった。
「そう言う事なの。だから2人が戻ってきたらそう言うことにしてもらえないかな?」
 ベンチに座っているなのはの上に座らされているフェイトはそうお願いした。
「そうだね……」
 その要望になのはは軽く考え込んでいた。
「じゃあ、こう言う約束してくれるなら手伝ってあげても良いよ?」
 耳打ちをされたフェイトの顔が、終わりかけの夕暮れ時の景色からでも解るほど見る見る真っ赤になる。
「え……で、でもそんな事したら仕事が……」
「大丈夫。何かあっても私が手伝うし、その辺ははやてちゃんも保障してるんだよね?」
「あ、うん……そうだけど……」
 顔を赤らめたまま顔を背けるフェイト。
「どうしてもダメって言うなら別のお願いにでもするけど」
 困った表情のなのはを見てフェイトは首を横に振った。
「ううん。なのはがそれで良いならそれで良いよ」
 フェイトも少々困り気味であったが賛成する。
「それじゃあヴィヴィオ。今日だけフェイトママの事はプレセアお姉ちゃんって呼んでね?」
 なのはは膝上に座らせているフェイトの更に膝上に座っているヴィヴィオにそう話しかける。
「うん、フェイトママじゃなくてプレセアおねえちゃんだね。ヴィヴィオ解ったよ」
 後ろを向いて2人の話を聞いていたヴィヴィオが元気良く答えた。
「よし、ヴィヴィオは良い子だね」
「うんうん、良い子だから私もいいこいいこしてあげる」
 2人が頭を撫でるとヴィヴィオは嬉しそうに微笑んだ。
「うん、それにしても……」
「な、何? なのは」
 ふにふにと自分の膝上にいる子供姿のフェイトのあちこちを軽くつまんでいるなのは。
「この時のフェイトちゃんって、こんなに柔らかかったっけ?」
「それは……あっ……なのは、そんな所揉んじゃ……」
 感覚は大人のままなのであろうか、本当の子供であればくすぐったいと反応する場所をまさぐられると大人の反応をするようである。
「へぇ、感覚は大人のままなんだね。今夜が楽しみだよ、フェイトちゃん……」
「ヴィヴィオもするー。お医者さんごっこー」
 耳元で艶やかに呟くなのはと同時に、ヴィヴィオも無理やり体を捻りフェイトを正面からあちらこちらをいじり始める。
 だが、こんな最中に2人が戻ってきたらマズい。
 早く止めて貰いたいと願うものの、子供の感覚を大人の脳で感じ取るかつて無い感覚も捨てがたいと、複雑な心境でそれに甘んじるフェイトであった。



前へ 次へ
目次:再び機動6課の休日
著者:39スレ641

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

メンバーのみ編集できます