復讐鬼エピローグ��
最終更新：
nano69_264 2010年08月23日(月) 22:44:02履歴
599 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:23:47 ID:jb0QLGuw [2/11]
600 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:24:36 ID:jb0QLGuw [3/11]
601 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:25:14 ID:jb0QLGuw [4/11]
602 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:25:44 ID:jb0QLGuw [5/11]
603 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:26:17 ID:jb0QLGuw [6/11]
604 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:26:50 ID:jb0QLGuw [7/11]
605 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:27:56 ID:jb0QLGuw [8/11]
606 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:28:45 ID:jb0QLGuw [9/11]
607 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:29:29 ID:jb0QLGuw [10/11]
男は、復讐劇が始まるほんの少し前まで、その身を戦いの中においていた。
それは管理局が把握さえしていない時空での、覇権争い。
敗れれば、男は殺し、女は犯される……そんな日々の繰り返し。
それはどこにでもある戦争の一幕。
戦力的に劣る男の率いる勢力は、こと陵辱方面に力を発揮する者が多く……。
男自身も、美しく強い女を打ち倒し犯すことを好んだ。
それをみせつけることで、相手の陣営にも大きなショックを与えられる。
男の側が有利に戦いを進められた一因だった。
だが、戦力の差というものは無慈悲なものだった。
凄惨を極めた戦争の末、男の率いる勢力はついに敗北。
男は残った僅かな仲間とともに、時空を越えて落ち延びる。
そして、たどり着いたのが……この世界だった。
仲間は戦争に疲れ、平和な日々を送ることを望んだ。
愛する女性もそれを望んだ。男もまた……戦いに疲れていた。
だが、待っていたのは『時空管理局』と呼ばれる組織の突然の攻撃だった。
再三の交渉の入電も、返事が得られない。
攻められる日々の中で、やむを得ず男達は防衛線を張り抵抗を試みる。
そんな中、管理局の幹部と言う一人の人間と、交渉が許された。
『この世界で平和に暮らしていきたい』
そんな想いを伝えるために、男は管理局との和平の交渉に向かった。
だが……その直後に悲劇は訪れる。
男の目の前で、男が暮らしていた場所は焼き払われ……生きているものの全てが失われた。
『この件に関わったもの全てを破滅させる』
愛する恋人も、仲間も全てを失った男は復讐を決意する。
その最初のターゲットは……空に佇んでいた三人の少女達だった。
気高く、美しい少女達に男が選んだ復讐の手段は陵辱。
その強い信念をも快楽の果てに流し去り、身も心も完全に堕とす……。
それが、周囲に与える影響を……男は敗れた戦いの中で学んでいた。
ついに……男は三人の少女に復讐を果たす。
淫らに堕ちた美少女達。
だが、その宴でさえも……男の最後の復讐の布石に過ぎなかった。
────────────────────
「ふん。今日はこれくらいにしてやるか……」
大量の白濁を注ぎ込まれ、ベッドの上に倒れこみ気を失った最後の少女を見て男は呟く。
全身を汗と白濁に覆われたままで、３人の少女は互いに身を寄せ合い、疲労の中でも幸せそうな顔を浮かべて眠りについていた。
「少しは体力を回復させておくがいい。明日は……こんなものでは済まさぬ」
部屋の灯りを消し、男はドアから外へと出て行く。
３人の少女がようやく安らかな眠りにつき、男が出て行ったのはアースラ内部にあてがわれたなのはの部屋。
「あの不時着で船に損傷がほとんどないとはな。誰かは知らぬが、その腕は惜しかったかも知れぬ」
男は、なのは達との行為の続きの舞台を、アースラの船内に移していた。
航行のためには多くのメンテナンスが必要となるが、そこは居住空間とするにはなんら問題がない場所だった。
「そうだ。あの男に連絡を入れてやるとするか」
男が向かうのはアースラの通信室。
すでになのはから船内の案内は一通り受けているため、迷うことなくたどり着く。
「復讐の完結のためには……あの男は欠かせんからな」
はやてに無駄な心配をかけたくないと独力で男の下に現れたはやての守護騎士達。
それを心配し、やはり友達に無駄な心配をかけたくないと単独で来たフェイト。
人質をとられたことと、その力で周囲を巻き込むことを恐れたはやて。
そしてなのはを含む、幹部に敵対する可能性のある不穏分子がまとめて送られたこの時空。
皮肉なことだが、なのは達の仲間を想う心と正義感と、幹部の保身への執念。
それが、男の復讐における被害を管理局の規模から言えば狭いところでとどめていた。
『復讐の標的は、三人の少女』
自らに明確な危害が加えられない限り、男は今後もその約束を破るつもりはない。
だが、あくまで男の復讐の完結は『仲間の全滅に関わった者全ての破滅』のみで成し遂げられる。
そして、手を直接下さなくとも男の復讐は完結を迎えようとしていた。
「久しぶりだな」
男はモニターに大映しになった『取引』の相手に語りかける。
「不用意な通信は勘弁して欲しいな。俺とお前の繋がりがばれると互いにまずかろう」
「そうだな」
「しかも……アースラの通信室からとはな。大胆な奴だ」
まずいのは一方的に『幹部』だけだろう。
そう言って大笑いしたい想いを、男は押し殺して頷く。
繋いだのは男のプライベート回線だ。
万が一のことがあろうとも、絶対に足がつかないように何重もの手が施されていることだろう。
「その様子では、目的は達したようだな」
「ああ。おかげさまでな。標的の三人は手に入れた」
「他の者は？」
声色だけは心配そうに……。
だが、すぐに聞いてくる辺り、幹部の心が透けるようだった。
「皆殺しだ」
「なに！ それは約束が違うではないか！ 高町なのは以外に手は出さないのではなかったのか？」
怒りの声をあげる幹部だったが、その根にある喜悦の色は隠しようがない。
それこそが、幹部の望んだ結末だったはずだ。
「復讐を邪魔する場合は容赦しないと言ったはずだ。奴らは高町なのはを救おうと我に抵抗を試みたのでな」
「……彼らならそうだろうな。正義感に溢れた……惜しい者達を亡くしたよ」
涙さえ流しそうな幹部に男はあきれ果てる。
これ以上幹部の三文芝居に付き合わうのは苦痛ですらあった。
「それで？ 高町なのはの陵辱映像は用意できたか？」
「記録はしてあるが、慌てるな。これから、あの２人と同じように仕上げに入るところだ」
未だなのはの膣内は男のモノ以外を受け入れていない。
最初に魔物に犯されるときには……まだ抵抗を試みることだろう。
その絶望と、抗えず堕ちていく様を加えてから幹部に送るつもりでいた。
「今ある分だけでいい。送ってもらえぬか？」
「構わぬが……何をそんなに慌てている」
「金がいるんだよ。こういう立場にいると、何かと物入りでな」
あの幹部の言葉だから、それはかえって説得力があった。
どんな工作に使うかは知らないが、確かに金はいくらでも必要だろう。
なのはの陵辱映像は新たなＡＶとなり、膨大な利益を生むことになるだろう。
「なるほど。では、先行で送るとしよう」
「ああ。心遣い感謝する」
幹部は男から転送された画像を確認する。
なのはが陵辱され堕ちていく様子……。
期待と違わぬその姿に、男は股間を膨らませ、唇を歪ませる。
これならば……フェイトとはやてのＡＶを越える売り上げが期待できるだろう。
「だが……これは管理局で売れるのか？」
当然の疑問を男は口にする。
フェイトやはやてのときとは違い、なのはは任務に出て行方不明という扱いだ。
さすがに、何が起こっているかをほとんど全ての管理局の人間が知ることになる。
「買うのを拒むような奴は……また、どこかの時空に送ってやるだけだ」
「……恐れ入ったよ」
肩をすくめて見せるが、それは男にとっても狙い通り。
すでに心ある人間の多くは、なのはと共にこの時空に乗り込み、命を落している。
そしてまた、なのはのＡＶで選別される哀れな犠牲者が出たのならば管理局には自浄作用は期待できない。
「なに。あくまで管理局に売るのは最後だよ。他に買ってくれるところはたくさんあるからな」
幹部の邪悪な笑みに、男はより邪悪な笑みで応える。
管理局の良心とも呼べる存在は、いつしか三人の少女の周りに集っていた。
その才能に嫉妬し、失脚を願うものもいた。
日々美しくなっていく少女に恋心……もしくは欲望を抱く者もいた。
彼女達を堕とし、その様を見せつける。
それに対する反応が……管理局の希望を潰し、暗部を浮かび上がらせはびこらせることになる。
そのために男は、復讐の対象として最も優先度の高い幹部と手を組むことも厭わなかった。
最終的に、幹部も破滅の道を歩むことになるのだから。
「残りは後日送る。上下巻にした方が利益が出るであろう？」
これがＡＶ化され、爆発的に広がるようであれば……。
男が手を下すまでもなく、腐敗しきった管理局という組織は遠からず終焉を迎えるだろう。
それこそが男の描いた復讐の終結の形だった。
「それとも、こちらに来るか？ １度くらいなら……好きな娘を抱かせてやってもいいぞ？」
狡猾な幹部が自らの前に姿を現すことなどあり得ない。
だからこそ、言葉にもないことを口にして幹部を挑発する。
あくまで……取引の主導権は自分になければいけないのだから。
「いや。魅力的なのだが……どちらも辞退させてもらおう」
幹部のその口元が笑っていることが男の癇に障る。
もう少し悔しがる姿を想像していただけに、むしろ男の脳内では警鐘が鳴らされる。
「続きも……いらんだと？」
「正しくは受け取れないし、もう抱けないと言ったところだな」
幹部は言葉を切ると、勝ち誇った笑みを浮かべる。
「なにしろ……お前達はここで死ぬんだからな！」
幹部の宣言の直後……アースラが激しい揺れに襲われる。
地殻変動による地震ではない。
だが、その正体を男はすぐに看破する。
「時空震だと！？」
時空そのものを揺らし、存在すらなくしてしまう現象。
巻き込まれれば、いかなる者も助からない。
「はははははは！ 不穏分子を向かわせるのに、俺が何の対策も練っていないと思っていたのか？」
「アースラに……仕掛けをしたということか」
このタイミングでの時空震……。それは人工的に引き起こされたものであることは明白だった。
この時空に新たに持ち込まれた人工物は、この戦艦。
そして、悲劇の起動を行ったのはモニターの向こうの相手のほかには考えられない。
「今からでは何もできん！ いくらお前が……お前達が強くとも、時空そのものがなくなってしまっては助かる術はない！」
「ち……っ！」
外部からの干渉は健在のため、容易に時空を越えることはできない。
時空震が、その全てを飲み込むまでに、その術を男が整えることは不可能だ。
「あかん！ 時空震や！」
「早く退避を！」
バリアジャケットに身を包んだフェイトとはやてが飛び込んでくる。
「ははははははは！ 無駄だ！ 無駄だ！ お前達はここで死ぬんだよ！」
「あ、あんたは！」
「……どこまで下種なの？」
モニターの向こうで笑う幹部を、２人は肩を震わせ睨みつける。
だが、それ以上のことはできない無力さを噛み締める。
「お前らの断末魔を見るのも悪くないのだがな！ だが残念だ。間もなく……つう……しん……」
時空震が、通信までも飲み込みモニターには砂嵐が映し出されるだけとなる。
止める手段を持っていたかもしれない男との連絡も絶たれ……希望は失われた。
「そんな……」
「っく……なんでこうなるんや！」
その場に、フェイトとはやては力なく膝をついてしまう。
優秀な魔法使いであるからこそ……この状況の打開が不可能であることを悟ってしまう。
「どうした？ 諦めるのか？」
こんな状況でも男は、腕を組み静かに考えをめぐらせていた。
「３人でずっと一緒にいるのではないのか？ まあ、それがあの世でいいというなら構わぬが」
「でも、でも！」
「何か……策があるんか？」
すがるような瞳を向ける２人の少女に、男は小さく首を振る。
「だが、絶望する暇があれば足掻け！ 足掻いても無駄だと？ 足掻けぬものに未来などない！」
「……っ！」
「……っ！」
心を折られ抵抗を諦め、男に屈した少女には胸に突き刺さる言葉だった。
この心の強さこそが……男を彼女達より高みに置いている理由なのを、極限で２人は悟る。
「そうだよ！ 諦めたら……そこで終わりなんだから！」
時空震の影響がアースラにも及び、船体が軋む音が響く中……。
素肌をわずかに今まで寝ていたシーツで隠しながら、なのはが通信室に飛び込んできた。
レイジングハート亡き今、バリアジャケットも身に纏えない。
それでも極限の状態の中で……その瞳には、もはや懐かしく感じるほどの強い意志の光が宿っていた。
「みんな。諦めないで！ 約束したでしょ？ 『４人』……ずっと一緒だって！」
口にした言葉に変化がなければ、なのはが男に快楽に染め上げられたことを信じるものはいないだろう。
だがそれさえも受け入れて得た強さは、親友と同じくらい大切な存在として男を受け入れていた。
「そうやな。足掻くしかできないんなら、じたばた足掻くか」
「うん。奇跡は信じないと起こらないもんね」
親友の言葉に、フェイトとはやても顔をまっすぐに上げる。
強い眼差しは……快楽に染め上げられる前にも負けない意思の光を宿している。
「ふん。いい目だ。その眼差しを……今１度快楽に染めてやる。それまでは死ねぬな」
「うん。望むところだよ！ 言っておくけど……並みの気持ちよさじゃ足りないよ？」
「あははは。なのはちゃんのが一番大変そうやね」
「わたし達も加勢した方がいいかもね」
船体の隔壁が次から次へと時空震に巻き込まれ消滅していく。
迫り来る破滅の足音の中、４人は身を寄せ合い……最後の可能性を信じていた。
────────────
「惜しかった気はするがな」
通信が途絶えたモニターの前で幹部は呟く。
それは、アースラのクルーの死を伝えられたときとは違い、心からのものだった。
なのは達を意のままにする……それは幹部の夢の一つだった。
失うには……彼女達は余りに愛らしすぎた。
「まあいい。代わりは……すぐにみつかるさ」
そのためにも、ＡＶで得る莫大な資金と今まで築いてきた人脈で管理局で上り詰めてみせる。
そうすればどんな美少女も思うがままに出来る。
あれほどの美少女に出会えたのなら……今度は他に奪われ失うようなマネはしない。
「おやすみのところ申し訳ありません！」
砂嵐だったモニターに、管理局からの連絡が入る。
「どうした？」
「アースラが行方不明になっていました時空の……消滅が確認されました。原因は時空震。現在調査中です」
「そうか……無事を信じたかったのだがな」
俯き、悲しい体を作ってみせる。
だが、その口元が緩むのは抑えられない。
（見ていろ……！ 俺はこの程度では終わらんぞ！ 死んだお前達には分からぬだろうがな！）
歪んでいるとはいえ、飽くなき権力への執着。
それは……男の思惑通りに、管理局を蝕んでいくことになる。
男がいなくとも……蒔かれた種は静かに育ち、芽吹くときを待っていた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
アースラが調査に向かった時空の消滅。
それは、乗員全ての生存が完全に絶望となったことを示していた。
行方不明は正式に、死亡へと変わる。
乗務員の中には、大きな事件を解決し管理局に多大な貢献をしていた者が多数いた。
その死を悼み、合同葬儀が管理局の総力をあげ行われていた。
（異例の速度の出世だったな。これにはさすがに俺も敵わぬ）
表面的には悲しみを示しながら、男は内心でほくそえんでいた。
こういった組織の定番。殉職した者への何階級もの特進も行われた。
（だが、死者にはそんなものは何の意味も持たぬ）
自分が死んだ後の地位や名誉に男は一切興味はない。
人生が限られているのであれば、頂点を目指すのは急がなければならないのだ。
頂点を極めていられる時間を、少しでも長く享受するために。
──────────
「なあ。また買っちゃったぜ」
「お前も好きだなぁ……。ま、気持ちは分かるけどな」
まだアースラの乗務員の喪も明けないというのに、管理局を不謹慎な話題が独占していた。
「だってさ。あの高町なのはが恐怖で失禁だぜ？ しかもそれでイっちゃうんだぜ？」
「分かるよ。まさかあんな変態だったなんてな」
声を潜めることさえなく、まるで挨拶をするように最近頒布されているＡＶの話題が局員の口から話題に上る。
それは休憩時間のみならず、勤務時間にまで及び業務に支障をきたす者もいた。
「しかも、３人揃ってのレズプレイまであるんだぜ？ もうたまらねーだろ」
「まあな。でも、俺はリンディ提督がいいな。もっと見たかったぜ」
「なに、熟女好きかよ？ 確かにあのレベルなら歳なんか関係ねーけどな」
「それならオペレーターのエイミィの方がいいだろ。あんな喘ぎ声で俺をオペレートして欲しかったぜ」
フェイトとはやてのときは、特撮の類だと思っていた下級士官も、さすがに今回の件が現実に起こった出来事であることを理解する。
だが、そのことに憤るよりも、彼女達の痴態に見入る者ばかりだった。
「あのクロノの野郎が最高だったよな！ 普段偉そうにしてるくせに目の前で全部寝取られてやがるの」
「分かる分かる。いい気味だぜ、まったく」
雄雄しく戦い散った仲間にも何の配慮もない。
それをたしなめる者もいない。それが……今の管理局の実態だった。
無論、僅かにとはいえ、この状況に嫌悪を覚える者もいた。
だが、この一件は黒幕に逆らう者の末路を示す警告にもなっていたため……。
事実上の黙殺。残された心ある者は管理局から去っていった。
「しかし……さすがにあこぎな商売だよなぁ」
「ああ。ダウンロードに期限があるなんてあんまりだぜ」
初めて男達の声が潜められる。
メディアの保存期間は１週間程度。
その期間を過ぎれば、ＡＶは消滅してしまう。
あらゆる手段を使ってそのプロテクトを突破しようとする者もいた。
だが、そういう者は『なぜか』事故に遭ったり、致命的ミスが発覚し追放されたりで悲惨な末路を辿っていた。
元々違法行為を働いている上、それを招いている相手も察しがつくだけにやがてそれを試みようとする者はいなくなった。
「俺、もうこれでダウンロード１０回目だぜ！」
どれだけ理不尽な販売形態であろうと、どれだけ法外な値段であろうと……。
獲物は魅入られたように何度も何度も、その陵辱される様を求めた。
ＡＶの販売価格は、下級職員の給料の三か月分程。
『結婚指輪かよ！』
誰かが言い出したことがきっかけで、ＡＶの購入のことは隠語で『嫁入り』と呼ばれるようになっていた。
多くの男に嫁入りし、その結婚生活の維持のためには莫大な金がかかる。
現実以上の厳しさを告げられるが、多くの男はその『嫁』に夢中になっていく。
「でも、さすがにそろそろ限界だろ？ なの破産も近いんじゃないか？」
そして、その『嫁』のために多額の借金をし破産することはいつからか『なの破産』と呼ばれるようになった。
「そうなったとしても……我が人生に悔いなし！」
「お前すげーよ！ 漢だよ！」
「くくくく。いいぞ。欲望に忠実であればあるほど素晴らしい」
そんな下級職員の様子を幹部は高い場所から笑いながら見ていた。
有り金を全て失い、借金に走る業者さえも幹部の息がかかった場所。
幹部は今までとは比較にならない利益を得て、その資金で益々管理局での立場を強くしていった。
「生かさず殺さず……どこまでもむしりとってやるからな」
こうして……管理局の腐敗は止まらず、どこまでも進んでいく。
男の蒔いた種は芽吹き……復讐の大輪が花開くときが間近に迫っていた。
※※※※※※※※※※※※※※※
前へ 次へ
目次：復讐鬼
著者：マルチマックス
600 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:24:36 ID:jb0QLGuw [3/11]
601 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:25:14 ID:jb0QLGuw [4/11]
602 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:25:44 ID:jb0QLGuw [5/11]
603 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:26:17 ID:jb0QLGuw [6/11]
604 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:26:50 ID:jb0QLGuw [7/11]
605 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:27:56 ID:jb0QLGuw [8/11]
606 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:28:45 ID:jb0QLGuw [9/11]
607 名前：復讐鬼エピローグ�� [sage] 投稿日：2010/06/28(月) 10:29:29 ID:jb0QLGuw [10/11]
男は、復讐劇が始まるほんの少し前まで、その身を戦いの中においていた。
それは管理局が把握さえしていない時空での、覇権争い。
敗れれば、男は殺し、女は犯される……そんな日々の繰り返し。
それはどこにでもある戦争の一幕。
戦力的に劣る男の率いる勢力は、こと陵辱方面に力を発揮する者が多く……。
男自身も、美しく強い女を打ち倒し犯すことを好んだ。
それをみせつけることで、相手の陣営にも大きなショックを与えられる。
男の側が有利に戦いを進められた一因だった。
だが、戦力の差というものは無慈悲なものだった。
凄惨を極めた戦争の末、男の率いる勢力はついに敗北。
男は残った僅かな仲間とともに、時空を越えて落ち延びる。
そして、たどり着いたのが……この世界だった。
仲間は戦争に疲れ、平和な日々を送ることを望んだ。
愛する女性もそれを望んだ。男もまた……戦いに疲れていた。
だが、待っていたのは『時空管理局』と呼ばれる組織の突然の攻撃だった。
再三の交渉の入電も、返事が得られない。
攻められる日々の中で、やむを得ず男達は防衛線を張り抵抗を試みる。
そんな中、管理局の幹部と言う一人の人間と、交渉が許された。
『この世界で平和に暮らしていきたい』
そんな想いを伝えるために、男は管理局との和平の交渉に向かった。
だが……その直後に悲劇は訪れる。
男の目の前で、男が暮らしていた場所は焼き払われ……生きているものの全てが失われた。
『この件に関わったもの全てを破滅させる』
愛する恋人も、仲間も全てを失った男は復讐を決意する。
その最初のターゲットは……空に佇んでいた三人の少女達だった。
気高く、美しい少女達に男が選んだ復讐の手段は陵辱。
その強い信念をも快楽の果てに流し去り、身も心も完全に堕とす……。
それが、周囲に与える影響を……男は敗れた戦いの中で学んでいた。
ついに……男は三人の少女に復讐を果たす。
淫らに堕ちた美少女達。
だが、その宴でさえも……男の最後の復讐の布石に過ぎなかった。
────────────────────
「ふん。今日はこれくらいにしてやるか……」
大量の白濁を注ぎ込まれ、ベッドの上に倒れこみ気を失った最後の少女を見て男は呟く。
全身を汗と白濁に覆われたままで、３人の少女は互いに身を寄せ合い、疲労の中でも幸せそうな顔を浮かべて眠りについていた。
「少しは体力を回復させておくがいい。明日は……こんなものでは済まさぬ」
部屋の灯りを消し、男はドアから外へと出て行く。
３人の少女がようやく安らかな眠りにつき、男が出て行ったのはアースラ内部にあてがわれたなのはの部屋。
「あの不時着で船に損傷がほとんどないとはな。誰かは知らぬが、その腕は惜しかったかも知れぬ」
男は、なのは達との行為の続きの舞台を、アースラの船内に移していた。
航行のためには多くのメンテナンスが必要となるが、そこは居住空間とするにはなんら問題がない場所だった。
「そうだ。あの男に連絡を入れてやるとするか」
男が向かうのはアースラの通信室。
すでになのはから船内の案内は一通り受けているため、迷うことなくたどり着く。
「復讐の完結のためには……あの男は欠かせんからな」
はやてに無駄な心配をかけたくないと独力で男の下に現れたはやての守護騎士達。
それを心配し、やはり友達に無駄な心配をかけたくないと単独で来たフェイト。
人質をとられたことと、その力で周囲を巻き込むことを恐れたはやて。
そしてなのはを含む、幹部に敵対する可能性のある不穏分子がまとめて送られたこの時空。
皮肉なことだが、なのは達の仲間を想う心と正義感と、幹部の保身への執念。
それが、男の復讐における被害を管理局の規模から言えば狭いところでとどめていた。
『復讐の標的は、三人の少女』
自らに明確な危害が加えられない限り、男は今後もその約束を破るつもりはない。
だが、あくまで男の復讐の完結は『仲間の全滅に関わった者全ての破滅』のみで成し遂げられる。
そして、手を直接下さなくとも男の復讐は完結を迎えようとしていた。
「久しぶりだな」
男はモニターに大映しになった『取引』の相手に語りかける。
「不用意な通信は勘弁して欲しいな。俺とお前の繋がりがばれると互いにまずかろう」
「そうだな」
「しかも……アースラの通信室からとはな。大胆な奴だ」
まずいのは一方的に『幹部』だけだろう。
そう言って大笑いしたい想いを、男は押し殺して頷く。
繋いだのは男のプライベート回線だ。
万が一のことがあろうとも、絶対に足がつかないように何重もの手が施されていることだろう。
「その様子では、目的は達したようだな」
「ああ。おかげさまでな。標的の三人は手に入れた」
「他の者は？」
声色だけは心配そうに……。
だが、すぐに聞いてくる辺り、幹部の心が透けるようだった。
「皆殺しだ」
「なに！ それは約束が違うではないか！ 高町なのは以外に手は出さないのではなかったのか？」
怒りの声をあげる幹部だったが、その根にある喜悦の色は隠しようがない。
それこそが、幹部の望んだ結末だったはずだ。
「復讐を邪魔する場合は容赦しないと言ったはずだ。奴らは高町なのはを救おうと我に抵抗を試みたのでな」
「……彼らならそうだろうな。正義感に溢れた……惜しい者達を亡くしたよ」
涙さえ流しそうな幹部に男はあきれ果てる。
これ以上幹部の三文芝居に付き合わうのは苦痛ですらあった。
「それで？ 高町なのはの陵辱映像は用意できたか？」
「記録はしてあるが、慌てるな。これから、あの２人と同じように仕上げに入るところだ」
未だなのはの膣内は男のモノ以外を受け入れていない。
最初に魔物に犯されるときには……まだ抵抗を試みることだろう。
その絶望と、抗えず堕ちていく様を加えてから幹部に送るつもりでいた。
「今ある分だけでいい。送ってもらえぬか？」
「構わぬが……何をそんなに慌てている」
「金がいるんだよ。こういう立場にいると、何かと物入りでな」
あの幹部の言葉だから、それはかえって説得力があった。
どんな工作に使うかは知らないが、確かに金はいくらでも必要だろう。
なのはの陵辱映像は新たなＡＶとなり、膨大な利益を生むことになるだろう。
「なるほど。では、先行で送るとしよう」
「ああ。心遣い感謝する」
幹部は男から転送された画像を確認する。
なのはが陵辱され堕ちていく様子……。
期待と違わぬその姿に、男は股間を膨らませ、唇を歪ませる。
これならば……フェイトとはやてのＡＶを越える売り上げが期待できるだろう。
「だが……これは管理局で売れるのか？」
当然の疑問を男は口にする。
フェイトやはやてのときとは違い、なのはは任務に出て行方不明という扱いだ。
さすがに、何が起こっているかをほとんど全ての管理局の人間が知ることになる。
「買うのを拒むような奴は……また、どこかの時空に送ってやるだけだ」
「……恐れ入ったよ」
肩をすくめて見せるが、それは男にとっても狙い通り。
すでに心ある人間の多くは、なのはと共にこの時空に乗り込み、命を落している。
そしてまた、なのはのＡＶで選別される哀れな犠牲者が出たのならば管理局には自浄作用は期待できない。
「なに。あくまで管理局に売るのは最後だよ。他に買ってくれるところはたくさんあるからな」
幹部の邪悪な笑みに、男はより邪悪な笑みで応える。
管理局の良心とも呼べる存在は、いつしか三人の少女の周りに集っていた。
その才能に嫉妬し、失脚を願うものもいた。
日々美しくなっていく少女に恋心……もしくは欲望を抱く者もいた。
彼女達を堕とし、その様を見せつける。
それに対する反応が……管理局の希望を潰し、暗部を浮かび上がらせはびこらせることになる。
そのために男は、復讐の対象として最も優先度の高い幹部と手を組むことも厭わなかった。
最終的に、幹部も破滅の道を歩むことになるのだから。
「残りは後日送る。上下巻にした方が利益が出るであろう？」
これがＡＶ化され、爆発的に広がるようであれば……。
男が手を下すまでもなく、腐敗しきった管理局という組織は遠からず終焉を迎えるだろう。
それこそが男の描いた復讐の終結の形だった。
「それとも、こちらに来るか？ １度くらいなら……好きな娘を抱かせてやってもいいぞ？」
狡猾な幹部が自らの前に姿を現すことなどあり得ない。
だからこそ、言葉にもないことを口にして幹部を挑発する。
あくまで……取引の主導権は自分になければいけないのだから。
「いや。魅力的なのだが……どちらも辞退させてもらおう」
幹部のその口元が笑っていることが男の癇に障る。
もう少し悔しがる姿を想像していただけに、むしろ男の脳内では警鐘が鳴らされる。
「続きも……いらんだと？」
「正しくは受け取れないし、もう抱けないと言ったところだな」
幹部は言葉を切ると、勝ち誇った笑みを浮かべる。
「なにしろ……お前達はここで死ぬんだからな！」
幹部の宣言の直後……アースラが激しい揺れに襲われる。
地殻変動による地震ではない。
だが、その正体を男はすぐに看破する。
「時空震だと！？」
時空そのものを揺らし、存在すらなくしてしまう現象。
巻き込まれれば、いかなる者も助からない。
「はははははは！ 不穏分子を向かわせるのに、俺が何の対策も練っていないと思っていたのか？」
「アースラに……仕掛けをしたということか」
このタイミングでの時空震……。それは人工的に引き起こされたものであることは明白だった。
この時空に新たに持ち込まれた人工物は、この戦艦。
そして、悲劇の起動を行ったのはモニターの向こうの相手のほかには考えられない。
「今からでは何もできん！ いくらお前が……お前達が強くとも、時空そのものがなくなってしまっては助かる術はない！」
「ち……っ！」
外部からの干渉は健在のため、容易に時空を越えることはできない。
時空震が、その全てを飲み込むまでに、その術を男が整えることは不可能だ。
「あかん！ 時空震や！」
「早く退避を！」
バリアジャケットに身を包んだフェイトとはやてが飛び込んでくる。
「ははははははは！ 無駄だ！ 無駄だ！ お前達はここで死ぬんだよ！」
「あ、あんたは！」
「……どこまで下種なの？」
モニターの向こうで笑う幹部を、２人は肩を震わせ睨みつける。
だが、それ以上のことはできない無力さを噛み締める。
「お前らの断末魔を見るのも悪くないのだがな！ だが残念だ。間もなく……つう……しん……」
時空震が、通信までも飲み込みモニターには砂嵐が映し出されるだけとなる。
止める手段を持っていたかもしれない男との連絡も絶たれ……希望は失われた。
「そんな……」
「っく……なんでこうなるんや！」
その場に、フェイトとはやては力なく膝をついてしまう。
優秀な魔法使いであるからこそ……この状況の打開が不可能であることを悟ってしまう。
「どうした？ 諦めるのか？」
こんな状況でも男は、腕を組み静かに考えをめぐらせていた。
「３人でずっと一緒にいるのではないのか？ まあ、それがあの世でいいというなら構わぬが」
「でも、でも！」
「何か……策があるんか？」
すがるような瞳を向ける２人の少女に、男は小さく首を振る。
「だが、絶望する暇があれば足掻け！ 足掻いても無駄だと？ 足掻けぬものに未来などない！」
「……っ！」
「……っ！」
心を折られ抵抗を諦め、男に屈した少女には胸に突き刺さる言葉だった。
この心の強さこそが……男を彼女達より高みに置いている理由なのを、極限で２人は悟る。
「そうだよ！ 諦めたら……そこで終わりなんだから！」
時空震の影響がアースラにも及び、船体が軋む音が響く中……。
素肌をわずかに今まで寝ていたシーツで隠しながら、なのはが通信室に飛び込んできた。
レイジングハート亡き今、バリアジャケットも身に纏えない。
それでも極限の状態の中で……その瞳には、もはや懐かしく感じるほどの強い意志の光が宿っていた。
「みんな。諦めないで！ 約束したでしょ？ 『４人』……ずっと一緒だって！」
口にした言葉に変化がなければ、なのはが男に快楽に染め上げられたことを信じるものはいないだろう。
だがそれさえも受け入れて得た強さは、親友と同じくらい大切な存在として男を受け入れていた。
「そうやな。足掻くしかできないんなら、じたばた足掻くか」
「うん。奇跡は信じないと起こらないもんね」
親友の言葉に、フェイトとはやても顔をまっすぐに上げる。
強い眼差しは……快楽に染め上げられる前にも負けない意思の光を宿している。
「ふん。いい目だ。その眼差しを……今１度快楽に染めてやる。それまでは死ねぬな」
「うん。望むところだよ！ 言っておくけど……並みの気持ちよさじゃ足りないよ？」
「あははは。なのはちゃんのが一番大変そうやね」
「わたし達も加勢した方がいいかもね」
船体の隔壁が次から次へと時空震に巻き込まれ消滅していく。
迫り来る破滅の足音の中、４人は身を寄せ合い……最後の可能性を信じていた。
────────────
「惜しかった気はするがな」
通信が途絶えたモニターの前で幹部は呟く。
それは、アースラのクルーの死を伝えられたときとは違い、心からのものだった。
なのは達を意のままにする……それは幹部の夢の一つだった。
失うには……彼女達は余りに愛らしすぎた。
「まあいい。代わりは……すぐにみつかるさ」
そのためにも、ＡＶで得る莫大な資金と今まで築いてきた人脈で管理局で上り詰めてみせる。
そうすればどんな美少女も思うがままに出来る。
あれほどの美少女に出会えたのなら……今度は他に奪われ失うようなマネはしない。
「おやすみのところ申し訳ありません！」
砂嵐だったモニターに、管理局からの連絡が入る。
「どうした？」
「アースラが行方不明になっていました時空の……消滅が確認されました。原因は時空震。現在調査中です」
「そうか……無事を信じたかったのだがな」
俯き、悲しい体を作ってみせる。
だが、その口元が緩むのは抑えられない。
（見ていろ……！ 俺はこの程度では終わらんぞ！ 死んだお前達には分からぬだろうがな！）
歪んでいるとはいえ、飽くなき権力への執着。
それは……男の思惑通りに、管理局を蝕んでいくことになる。
男がいなくとも……蒔かれた種は静かに育ち、芽吹くときを待っていた。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
アースラが調査に向かった時空の消滅。
それは、乗員全ての生存が完全に絶望となったことを示していた。
行方不明は正式に、死亡へと変わる。
乗務員の中には、大きな事件を解決し管理局に多大な貢献をしていた者が多数いた。
その死を悼み、合同葬儀が管理局の総力をあげ行われていた。
（異例の速度の出世だったな。これにはさすがに俺も敵わぬ）
表面的には悲しみを示しながら、男は内心でほくそえんでいた。
こういった組織の定番。殉職した者への何階級もの特進も行われた。
（だが、死者にはそんなものは何の意味も持たぬ）
自分が死んだ後の地位や名誉に男は一切興味はない。
人生が限られているのであれば、頂点を目指すのは急がなければならないのだ。
頂点を極めていられる時間を、少しでも長く享受するために。
──────────
「なあ。また買っちゃったぜ」
「お前も好きだなぁ……。ま、気持ちは分かるけどな」
まだアースラの乗務員の喪も明けないというのに、管理局を不謹慎な話題が独占していた。
「だってさ。あの高町なのはが恐怖で失禁だぜ？ しかもそれでイっちゃうんだぜ？」
「分かるよ。まさかあんな変態だったなんてな」
声を潜めることさえなく、まるで挨拶をするように最近頒布されているＡＶの話題が局員の口から話題に上る。
それは休憩時間のみならず、勤務時間にまで及び業務に支障をきたす者もいた。
「しかも、３人揃ってのレズプレイまであるんだぜ？ もうたまらねーだろ」
「まあな。でも、俺はリンディ提督がいいな。もっと見たかったぜ」
「なに、熟女好きかよ？ 確かにあのレベルなら歳なんか関係ねーけどな」
「それならオペレーターのエイミィの方がいいだろ。あんな喘ぎ声で俺をオペレートして欲しかったぜ」
フェイトとはやてのときは、特撮の類だと思っていた下級士官も、さすがに今回の件が現実に起こった出来事であることを理解する。
だが、そのことに憤るよりも、彼女達の痴態に見入る者ばかりだった。
「あのクロノの野郎が最高だったよな！ 普段偉そうにしてるくせに目の前で全部寝取られてやがるの」
「分かる分かる。いい気味だぜ、まったく」
雄雄しく戦い散った仲間にも何の配慮もない。
それをたしなめる者もいない。それが……今の管理局の実態だった。
無論、僅かにとはいえ、この状況に嫌悪を覚える者もいた。
だが、この一件は黒幕に逆らう者の末路を示す警告にもなっていたため……。
事実上の黙殺。残された心ある者は管理局から去っていった。
「しかし……さすがにあこぎな商売だよなぁ」
「ああ。ダウンロードに期限があるなんてあんまりだぜ」
初めて男達の声が潜められる。
メディアの保存期間は１週間程度。
その期間を過ぎれば、ＡＶは消滅してしまう。
あらゆる手段を使ってそのプロテクトを突破しようとする者もいた。
だが、そういう者は『なぜか』事故に遭ったり、致命的ミスが発覚し追放されたりで悲惨な末路を辿っていた。
元々違法行為を働いている上、それを招いている相手も察しがつくだけにやがてそれを試みようとする者はいなくなった。
「俺、もうこれでダウンロード１０回目だぜ！」
どれだけ理不尽な販売形態であろうと、どれだけ法外な値段であろうと……。
獲物は魅入られたように何度も何度も、その陵辱される様を求めた。
ＡＶの販売価格は、下級職員の給料の三か月分程。
『結婚指輪かよ！』
誰かが言い出したことがきっかけで、ＡＶの購入のことは隠語で『嫁入り』と呼ばれるようになっていた。
多くの男に嫁入りし、その結婚生活の維持のためには莫大な金がかかる。
現実以上の厳しさを告げられるが、多くの男はその『嫁』に夢中になっていく。
「でも、さすがにそろそろ限界だろ？ なの破産も近いんじゃないか？」
そして、その『嫁』のために多額の借金をし破産することはいつからか『なの破産』と呼ばれるようになった。
「そうなったとしても……我が人生に悔いなし！」
「お前すげーよ！ 漢だよ！」
「くくくく。いいぞ。欲望に忠実であればあるほど素晴らしい」
そんな下級職員の様子を幹部は高い場所から笑いながら見ていた。
有り金を全て失い、借金に走る業者さえも幹部の息がかかった場所。
幹部は今までとは比較にならない利益を得て、その資金で益々管理局での立場を強くしていった。
「生かさず殺さず……どこまでもむしりとってやるからな」
こうして……管理局の腐敗は止まらず、どこまでも進んでいく。
男の蒔いた種は芽吹き……復讐の大輪が花開くときが間近に迫っていた。
※※※※※※※※※※※※※※※
前へ 次へ
目次：復讐鬼
著者：マルチマックス
- カテゴリ：
- 漫画/アニメ
- 魔法少女リリカルなのは
タグ
コメントをかく