921 名前:勇者フェイトとなのは姫 1 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/07/30(木) 21:43:31 ID:kXT5juqc
922 名前:勇者フェイトとなのは姫 2 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/07/30(木) 21:45:37 ID:kXT5juqc
923 名前:勇者フェイトとなのは姫 3 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/07/30(木) 21:46:41 ID:kXT5juqc
924 名前:勇者フェイトとなのは姫 4 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/07/30(木) 21:47:33 ID:kXT5juqc
925 名前:勇者フェイトとなのは姫 5 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/07/30(木) 21:49:04 ID:kXT5juqc
926 名前:勇者フェイトとなのは姫 6 ◆6BmcNJgox2 [sage] 投稿日:2009/07/30(木) 21:50:51 ID:kXT5juqc

 昔々ある所に高町王国と言う平和な国があったそうな。しかし、その高町王国に大事件が発生したとの事で
高町王国の士郎王と桃子王妃直々の命によって、勇者と名高い魔導師フェイトが招かれたのであった。

「勇者フェイト。ただいま参上いたしました。」

 と、高町王国の城で士郎王・桃子王妃の二人の前にやって来た勇者フェイトだが、その士郎王と桃子王妃の
二人が目から涙を流し泣いているでは無いか。

「一体何があったのですか? 涙をお拭き下さい。」
「おお勇者フェイトよ。良くやって来てくれた。実は大変な事が起こったのだ。」
「その大変な事とは一体何なのでありましょう?」

 二人が涙を流す程の事であるからただ事では無い。そして士郎王は涙を吹きながらこう答えたのだ。

「実は…淫獣大魔王ユーノに…我が娘…なのは姫がさらわれてしまったのだ。」
「な…なんですって!?」
「だからお願い…なのは姫を助けて…お願い…。」

 淫獣大魔王ユーノ。それは世界中の魔物を束ねるという魔王の中の魔王と呼ばれる程の恐ろしい存在であった。
そんな大物に高町王国の姫であるなのはがさらわれてしまったのだ。助け出そうにも通常の兵力では歯が立たない。
 この状況において淫獣大魔王ユーノの魔手からなのは姫を助け出す事が出来るのは世界広しと言えども
勇者フェイトただ一人のみ。勇者と言う肩書きは伊達では無いのである!

 と言う事でなのは姫救出の為に勇者フェイトは旅立つわけだが…彼女の瞳には怒りの炎が燃え上がっていた。
流石は勇者と言う正義のなせる技か…と思われていたのだが…

「寄りにもよって私のなのはを拉致るなんて…淫獣大魔王ユーノ…許せない…。なのは姫は私の物なのに…。」

 とまあこんな具合だった。彼女は勇者ではあるが…性格的にやや危険な所が無い事も無かったのであった…

 しかし、例え性格的に危ない面があろうとも…腐っても勇者。行く手に立ち塞がる魔物達を千切っては投げ
千切っては投げ……それを繰り返しながらついに淫獣大魔王ユーノの居城にまで辿り着くのであった。
まあ何と言うスピーディーな展開!

 だが決して油断は禁物。何故ならば淫獣大魔王ユーノの居城には四天王と呼ばれる恐るべき四人の腹心が
待ち構えている。そして勇者フェイトはその四天王最初の一人へ挑むのである!

「テスタロッサー! もうそんな勇者ごっこなんてやめて私と一緒に幸せになるんだー!!」

 四天王の一人目、シグナム。クールさが売りの剣術の達人であったのだが…勇者フェイトに
ぞっこんになって以降性格が捻じ曲がり、勇者フェイトを合法的にNTRする為に
淫獣大魔王ユーノの四天王の一人になったのであった…が…

「触れるな! 気持ち悪い!」
「そんな事言わないでおくれテスタロッサー! 私は真剣にお前を愛しているんだー!」
「うるさいうるさい! 私はレズじゃないんだ!」

 と、自分のなのは姫に対する感情を棚に上げてこんな事を言い出す勇者フェイト。
おかげでシグナムはショックでコタツの中に引きこもってしまったとさ。
何はともあれ四天王最初の一人はクリア。

「フェイトそん! フェイトそん! もうこんな事はやめて一緒に帰りましょうよー!」

 四天王の二人目、エリオ。かつて勇者フェイトに助けられた孤児の一人であったが、
勇者フェイトがなのは姫に危ない感情を抱いているのを悟り、それを阻止する為に
淫獣大魔王ユーノの四天王の二人目になったのであったが…説明している間に倒されてしまった。
彼の実力を疑うわけではないが…流石に勇者フェイトには相手が悪すぎた。

「フェイトそん! こんなのやめて昔みたいに私とエリオ君とフェイトそんとで暮らしましょうよー!」

 四天王の三人目、キャロ。幼少時に故郷を追われ、放浪していた所を勇者フェイトに助けられた
竜使いの少女であったが、勇者フェイトがなのは姫に危ない感情を抱いているのを悟り、それを阻止する為に
淫獣大魔王ユーノの四天王の三人目になったのであったが…説明している間に倒されてしまった。
彼の実力を疑うわけではないが…流石に勇者フェイトには相手が悪すぎた。最初からヴォルテールを
呼び出して対抗していれば話は違っていたのだろうが…そんな事をしたら城が壊れてしまうので出せなかった。

「フェイトママー! これ以上来ちゃダメだよー! お願いだから帰って! お願いー!」

 四天王の四人目、ヴィヴィオ。勇者フェイトをママと慕っていたのだが…勇者フェイトがなのは姫に以下略

「私となのはの恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄に堕ちろぉぉぉぉぉぉ!!」
「うわーん! フェイトママがぶったー!」

 あらら…流石のフェイトもヴィヴィオが相手では手は出せないと思われたが…なのはを愛する余り、
ヴィヴィオすら眼中に無いと言う凄まじい事になってしまった。
 四天王が全て倒されてしまった以上、最後に残るの淫獣大魔王ユーノ一人のみ。ついに最終決戦だ!

「淫獣大魔王ユーノ! なのは姫を返しなさい!」
「残念だけどそれは出来ない相談だね。」

 やはり勇者と大魔王は相成れない運命にあるのか。勇者フェイトと淫獣大魔王ユーノが対峙し睨み合う。
勇者フェイトはついにここまで来た。そしてここまで来たからには必ず淫獣大魔王ユーノを倒してなのは姫を救出する。
その事を深く胸に刻み付け、勇者フェイトは淫獣大魔王ユーノへ挑んだ!

 勝負は一瞬かつ紙一重だった。淫獣大魔王ユーノのチェーンバインドによってフェイトが亀甲縛りにされるより
ほんのわずか先に勇者フェイトのザンバーが淫獣大魔王ユーノを斬っていたのだった。

 しかしまだ安心は出来無い。大魔王の人型形態は仮の姿で、倒される事によって真の姿を現し
第二ラウンドが開始されるのは良くあるパターン。そしてその通りに淫獣大魔王ユーノは
巨大フェレットとしての本体を現したのであった。

「キュ――――――――!!」

 巨大フェレットとなった淫獣大魔王ユーノの姿は可愛らしくも恐ろしい物があった。
その凄まじい力に勇者フェイトも窮地に陥るが…勇者フェイトは負けられなかった。

「負けられない! 私はここまで来たのに…ここで負けたら今までの苦労が全て水の泡になる…
そして、士郎王と桃子王妃に涙ながらに頼まれて旅に出た事を始まりとして、今に至るまでの
様々な冒険の数々が勇者フェイトの脳裏に走馬灯の様に蘇って行き…その結果フェイトは
ある物を見る。それは天使の様な優しい微笑をフェイトに対し浮かべるなのは姫。
その姿は勇者フェイトにとってこの世の何者にも勝る物があった。しかし、そのなのは姫も
淫獣大魔王ユーノに奪われんとしている。そんな事はさせない。そんな事は勇者フェイトにとって
絶対させてはならなかったのである!

「なのはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「キュッ!?」

 なのはへの愛が奇跡を起こしたのか? 勇者フェイトは立ち上がり、最後の切り札として
人工的に雷を落とす魔法、サンダーフォールを巨大フェレットと化した淫獣大魔王ユーノの
アホ毛に落とし、その全身を真っ黒コゲにしたのであった。勇者フェイトの大逆転勝利だ!

「やった! ついにやった! これでなのはは私の物だー!」

 腕を高々と上げてガッツポーズを取る勇者フェイト。そして目的であるなのは姫が現れ駆け寄って来た。

「なのは!」

 この後なのは姫と勇者フェイトの感動の抱擁シーンが描かれる…と思われたが、なのは姫は
勇者フェイトを無視し、その場に倒れていた淫獣大魔王ユーノの所へ駆け寄っていた。

「ユーノ君死んじゃだめー!」
「え…な…のは…?」
「どうして!? どうしてこんな事するの!? ユーノ君は何も悪い事はしてないのに!!」
「え……え…? な…なのは…?」

 勇者フェイトはなのは姫の取った行動が理解出来なかった。そもそも自分は勇者として
淫獣大魔王ユーノからなのは姫を助けに来たと言うのに…どうしてなのは姫は淫獣大魔王ユーノを
心配し、勇者フェイトを責めるのか………

「あ…あのね…私はなのはを助けに来たんだよ…。」
「何で!? 誰が助けてなんて頼んだの!? そんな助けなんていらない! 私はここでユーノ君と暮らすの!」
「え…どう…して…。」

 何故なのは姫は自分を拉致した淫獣大魔王ユーノを庇うのか…。そこで勇者フェイトはある事を思い出した。
世の中には『さらわれた人が、助けに来た人そっちのけでさらった人とラブラブになっちゃう路線』も
存在すると言う事実を…。実際、それやっちゃった為に『○ヨ氏ね』『ヨ○師ね』とか
言われちゃったりするヒロインもいたりするし。
 でも勇者フェイトにはなのはがそんな事になるなんてとても信じられなかった。なのはだけは
決してそんな事をする様な娘じゃないと信じていたと言うのに…。そう考えれば考える程…
淫獣大魔王ユーノが許せなくなって行く。

「淫獣大魔王ユーノ…許せない! 一体どんな手を使ってなのはをたぶらかしたと言うの!?」

 勇者フェイトは憎悪の炎を燃やし、ザンバーを握り締めて淫獣大魔王ユーノにトドメを刺そうと迫る。
しかし、そんな勇者フェイトの前になのは姫が立ち塞がり、淫獣大魔王ユーノを庇ったのである。

「そこをどいてなのは! 私はコイツにトドメをささなければならない! そうすれば魔法が解けて
なのはも正気に戻るはず!」
「そんな事はさせないし、私は魔法で操られてるわけでも無いよ! それに私とユーノ君は
昨日今日こんな関係になったんじゃない! 元々からこういう関係だったんだよ!」
「なん…ですって…?」
 そしてなのは姫は語り始めた。実は淫獣大魔王ユーノにさらわれるずっと以前からこっそり付き合っており、
時にはこっそり城を抜け出して二人で遊びに行った事もあった。でも姫×大魔王のカップリングなんて
両親である士郎王と桃子王妃が許してくれるとはとても思えないので、この状況を何とかする為に
あえて『ファンタジーで良くある大魔王が姫を拉致』と言うシチュエーションを作った上で淫獣大魔王ユーノと
ともに行く道を選んだとの事。その他、城でのなのは姫と淫獣大魔王ユーノの性活の数々等々、
自分と淫獣大魔王ユーノとの関係がどのような物であったのか、どれ程愛しているのか、どれだけ幸せだったのかを
なのは姫は頬を赤くし、目から涙を流しながら必死に勇者フェイトに語り続けた。と…その時だった。 

「話は全て聞かせてもらった。」
「どうやら私達の知らない内になのはも大人になった様ね…。」
「お父さん…お母さん…。」

 そこへ突然現れたのは何と士郎王と桃子王妃。二人が如何にしてここまで来たのかはともかくとして、
二人はなのは姫の話を全て聞いていた様子だった。

「どうやら我々は勘違いをしていた様だった。姫が大魔王に拉致されるシチュだから…と
勝手な先入観で勇者フェイトに救出を依頼したが…全ては間違っていたのだな。」
「そうですね。二人ともこんなに幸せだったんですから…。」
「え……ちょ……え………?」

 勇者フェイトが唖然とする中、士郎王はなのは姫に支えられて起き上がっていた淫獣大魔王ユーノへ
歩み寄って頭を下げた。

「すまない。君達に迷惑を掛けた事を私から謝罪したい。そして…これから改めて娘を頼みたい。」
「と言う事は…お父さん…私達の結婚を認めてくれるの!?」

 なのはの問いに士郎王はゆっくりを首を縦に振り、嬉しさの余りなのはは士郎王に抱き付いていた。

「やったぁぁぁ!! お父さんありがとう!!」
「士郎王…いや義父さんありがとうございます…。」

 と、士郎王と淫獣大魔王ユーノの感動の和解が描かれる……と思われてたいのだが………

「ちょっと待って! 私は……私の立場は!? 一体どうなるって言うの!?」

 そこへ割り込んだのが勇者フェイト。そうだ。こんな簡単に和解されてもらってもこっちが困る。
勇者フェイトの今までの苦難に満ちた冒険の数々は一体何だったと言うのか疑問に感じていたが…

「ごめんちゃい。」
「あ………………。」

 と、一言謝られるだけで済まされてしまった。しかしそんな事で引き下がる勇者フェイトでは無い。

「何がごめんちゃいですか!? なのは姫は高町王国の姫なんですよ! なのは姫をこんな淫獣大魔王に
あげちゃって…誰が高町王国の王位を継ぐって言うんですか!?」

 もう勇者フェイトもなりふり構ってはいなかった。とにかくそういう政治的な問題?も引き合いに出して
士郎王と桃子王妃に考え直してもらおうと考えていたのだが……

「でもなのはは末っ子だしな。」
「そうよね。それに王位を継ぐなら恭也と美由希の方が優先度は上だし、二人とも健在だし。」
「そういう事だ。ユーノ…いや我が義息子よ、なのはを頼んだぞ。」
「え………そんな……………。」

 それから…淫獣大魔王ユーノとなのは姫の結婚が士郎王と桃子王妃に認められ、皆で結婚式だーと
どんちゃん騒ぎになっている中…一人トボトボと城から立ち去る勇者フェイトの姿があったそうな。

「そんな…酷いよ……皆私を…裏切って…。本当なら私がなのはと結婚するはずだったのに…。」

 本来なら勇者フェイトが淫獣大魔王ユーノを格好良く倒し囚われのなのは姫を救い出した後、
なのは姫とラブラブになって結ばれると言うハッピーエンドになるはずだったと言うのに…
どうしてこんな事になってしまったのだろう。

「何が勇者よ! これじゃあただの道化じゃない!!」

 勇者フェイトは悔しさの余り目から涙を飛び散らせ、空に向かって叫んでいたのだが…

「そんな事は無いぞ! テスタロッサには私がいるでは無いか! さあテスタロッサよ…この悔しさを
バネにして私と結ばれて、あの二人が泣いて悔しがる様な幸せな家庭を築くのだー!」
「シ…シグナムゥゥゥゥゥゥ!?」

 そこへ背後から勇者フェイトを追って来たのは四天王の一人だったシグナム。そう。フェイトが大好きな
シグナムにとって見ればこの状況はまさに好機。このまま勇者フェイトを自分の物にしようと言う魂胆だったのだが…

「フェイトそん! 待って下さいよー!」
「私達も行きまーす!」
「フェイトママー! 皆で一緒に暮らそうよー!」

 と、四天王の残り三人であるエリオ・キャロ・ヴィヴィオまでもが後を追って来ていたのであった。
そしてそんな三人をシグナムが快く向かい入れる。

「ああ良いとも。今日から皆は家族だ! 皆であの二人が泣いて悔しがる様な幸せな家庭を築くのだー!」
「えええええええええええええええええええええ!?」

 勇者フェイトが愕然とする中、シグナム・エリオ・キャロ・ヴィヴィオに一斉に抱き付かれ…………
やがて勇者フェイトは……考えるのを……やめた……………

                     END


著者:◆6BmcNJgox2

このページへのコメント

四天王の内の三人子供じゃん。

0
Posted by 名無し 2012年07月18日(水) 20:53:25 返信

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