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K-020

双子とクローン関係の補足


キラとカガリのことを「双子」と呼んでいる人が多いようです。確かに、誕生日が同じきょうだいは、普通は双子です。しかし、この二人の場合に限っては違います。
二人は単に「同じ日に生まれただけのきょうだい」であって、双子の定義である「同じ胎内で育ち、同じ時に生まれた二人の子」じゃないからです。

  • ヴィアが喋っていた言葉から考えて、体内に二つあった受精卵のうち1つを取り出したんでしょ? 同じ胎内にいた時期があれば、双子って言ってもいいじゃない? しかも、小説でそうなってるよ?
→いいえ、違います。あれは、ヴィアが誤解されるような発言をしてますが、そんな状況は現実としてあり得ません。そもそも、「母胎の影響を完全に排した成功体」を作るのが目的なんです。受精した直後の受精卵を取り出す超技術がCEに存在していた、と仮定したとしても、それを使ってわざわざ実験する必要性があるでしょうか? 単に卵子を事前に取り出していて、それを使用していただけです。つまり、カガリが存在する前の出来事なので、関係がない。小説は、作者の無知故の表現でしかありません。

  • でも、公式で双子という表現がされてるよ。カレンダーだって、キラのこと「双子の弟」ってなってるし!
→わかってないスタッフが作ってる公式なんて、意味がないのですが・・・スタッフとしては、「きょうだいが同じ誕生日=双子」という意識なのでしょう。
本編では、たまたまキラしか最終的に育ちませんでした。しかし、もしヴィアの卵子とユーレンの精子を掛け合わせて出来た受精卵を使った子供が、複数の人工子宮内で同時に育った場合は? それが、カガリと同じ日に9体同時に取り出されたとしたら、それでも「10つ子」と言いますか? (兄弟としては似ているが、もちろんそっくりなわけではない)彼らが全員無事に育って、離ればなれに暮らしていて、何らかのきっかけでそれがわかった場合、「僕たちは10つ子なんだ」と言うでしょうか?
.・・・・・・いえ、「僕たちはきょうだいなんだ」としか言いませんよね? それと同じおかしさがあるんですよ、キラとカガリが双子という表現は。

あ・・・その前に、もっと基本的な事を知らない人々が多数かもしれません。
ええと・・・「男女の双子でうり二つ(一卵性)というのはあり得ません」から、最初の段階で「受精卵を2つに分割して、一方をヴィアの胎内に入れ、もう一方をコーディネイト後に人工子宮で育てた」という様な解釈は成り立ちません。同性なら可能性がありましたけどね。
「キラカガが双子だからそっくり〜」とか「二人は半身」とかそういう表現が多いので、それを見るたびに心の中で突っ込んでいます。
たとえ本当にキラとカガリが双子(二人ともヴィアの胎内で育ち生まれてきた)だとしても、きょうだいだから似てるだけです。同じ母胎から生まれてそれ以降も一緒に育っていれば、かけがえのない人という意味の半身表現はおかしくないのですが・・・キラカガは違いますし。

双子に幻想を抱くのは、中高生迄ならある意味しょうがないと思います。
たまたま小学生の時、かなり同学年に双子が多かったので、興味を持って色々調べて知っていた私ですら、物語の一卵性双生児にあこがれてましたもの・・・
でも、もしそれ以上の年齢だったら、双子というのがどういう存在なのか、多胎妊娠するというのはどういう事なのか、という現実を知って欲しいです。友達や知り合いがもしそうなった時、平気で傷つけるようなことを言わないように。自分がそうなった時、驕り高ぶることもなく、嫌なことを言われても毅然と言い返すことが出来るように。

一卵性の双子以外、二卵性の双子や三つ子などは、同じ母胎で育っただけのきょうだいです。といっても、両者とも単体では考えられないリスクがありますが。1人のスペースに2人以上が育つわけなので、どうしても小さめにしか育てられません。一卵性の数%はこれ以外にも深刻なリスクがあります。一人で母胎を占拠してるカガリは、大きく育ったんでしょうね。
でも、日本語として・・・いや、英語でも同じですが・・・「ふたご」「双生児」「twins」は、一卵性だけを指す言葉ではなく、二卵性も含んでいます。「同じ母胎から同じ時期に生まれた子供」という点が、意味を持っているからです。

だから、「同じ日に生まれただけのきょうだい」は、「きょうだい」でしかありません。
(ちなみにキラカガの場合は、カガリが生まれてから「どうせなら同じ誕生日にしてやるか、もう十分育ったから」と取り出した可能性が高いと思うので、おそらく姉弟ですな)


実例として・・・実は、「同じ時期に生まれたわけではない双子」というのも、存在します。
1日遅れとかそれ位の誤差ではなく・・・・・・なんと、2ヶ月違う双子。
どういう事かと言えば、このままでは二人とも危ないという状況に陥った双子の一方の子を、早期に帝王切開で取り出し、もう一方はそのまま母胎で育てて十分育ってから出産した、という例です。
人間の場合、通常は一人しか育てないような体の構造になっているので、二人以上を同時に育てるのはきついです。しかし、いくら危険だからといって、早期に生ませて外界で育てるよりは、母胎の中で育てる方が早く大きく育ちますし、安全です。おそらく先に取り出した方は外で育つことが出来る程度に大きかったが、もう一方は違ったのでしょう。
だから、双子の定義としては、やっぱり「同じ母胎で育った」というのが重要なのかもしれません。
.・・・あ、その双子は一卵性だったらしいのですが、もし二卵性だとしても、「それは双子じゃない」とは言いません・・・よね?

ただ、もしも・・・受精卵を分割した上で、別々の母胎に戻してそれぞれが別個に生まれたという、お話があったとしたら・・・それは双子だという認識になるのでしょうか。
(自然分割と同程度の人為的力が加わった上での)同一の遺伝子情報を持つ二人、というのは、どんな状況で生まれても、一般的な意識としては双子という定義になるかもしれません。
.・・・まぁ、極端に違う状況で育っていれば微妙ですけど。
(例えば、一方はすぐに育てられず、数年後に育てられるというネタだったら、クローンと似たような状況ですからねぇ・・・)

もしキラとカガリが同性だったら、素直に「双子だとなってるなら、受精卵を分割して、それぞれ別個に育てたという感じかな? カガリがナチュラルということは、同一条件での比較じゃないから、かなり意味がない設定だと思うけど・・・まぁ、種だし。同じ母胎で育った訳じゃないけど、一卵性なら双子と言ってもしょうがないな」という認識に、私もなったはずです。
状況の切り分けが必要なだけで、何が何でもこれは認めない、と言ってる訳じゃありません(^^;

さて一方で・・・もしも、体外受精時に、全く違う夫婦の受精卵2つを同じ胎内に戻して、それが育った場合には・・・それを一般的に双子と認識するんでしょうか?
つまり、A×Bの受精卵=Xと、C×Dの受精卵=Yが・・・まぁ、代理母にしてみようか・・・代理母Eの胎内で育ったという場合。
.・・・私の認識では、この場合でも双子と言ってもいいんじゃないかと思っています。同じ胎内で育つということに意味があると思っているので。
これを双子だと言わない、って切り捨てたら、二卵性だって単なるきょうだいじゃん、とか言われます。・・・それは嫌なので(笑)。
(ただこの場合は、血の繋がりという点で考えると他人なので、問題が違うといえますが・・・うーん、ややこしい)

まぁ、一卵性至上主義の一般的意識から考えると・・・「受精卵分割の上で別々の母胎で育った」のは双子だが、「遺伝子的に何の関係もない、同母胎で育っただけの子達」は双子どころかきょうだいとも言わない、という結果になるんでしょうね、アンケート取ったりすれば。
(その後、同じ家で育つ事が出来れば、血の繋がりに関係なくきょうだいと言えるでしょうけど)


さて、クローンについても補足を。

「一卵性双生児と同程度」とさんざん書いてましたが、実はクローンは一卵性双生児よりも遺伝子的に相違があります。

何故かと言えば・・・現実の技術の話においてですが・・・・・・クローンというのは、「未受精卵子(レシピエント卵子)」の核を壊して、「クローンを作りたい細胞(ドナー細胞)」の核をそこに移植し、卵と融合させて細胞分裂を促し、育てる技術です。

その時、「未受精卵子(レシピエント卵子)」の細胞質に存在する「ミトコンドリア」などは、クローン体にそのまま引き継がれます。クローン体の中に存在するミトコンドリアなどは、「クローンの元となった細胞(ドナー細胞)」のものとは異なっているわけです。

つまり、「ミトコンドリアなどの細胞質まで完全コピー」ではないのです、クローン体は。(一卵性双生児は、この点も含めて完全コピー)

ミトコンドリアの役割は、細胞の呼吸に関すること等なので、外見に影響を及ぼすようなものでは(おそらく)ありませんが・・・運動能力、持久力、長寿に関連するようです。マラソン選手はある一定のミトコンドリアDNA形質を持っている率が高い、長寿の人はある一定のミトコンドリアDNA形質を持っている率が高い、等。

あ、実際、普通の受精卵において・・・ミトコンドリアDNAは母親のものだけが子供に伝わり、父親のミトコンドリアDNAは関与しません。核DNAは、父親と母親のDNAが受精した際に混じり合って、両者の特徴を受け継ぐのですが。
つまり、元の卵子のミトコンドリアが子供に伝わるということ自体は、通常の子供と同じです。

.・・・・・・ここで、ちょっと嫌な予感が浮かんだのですが。
えー・・・「長寿に関連する」「細胞の運動能力に関係する」んですよね。
生きている間、ミトコンドリアDNAは常にそのまま複製されるわけではなく・・・活性酸素の働きによってDNAに傷が付いてしまい、加齢と共にミトコンドリアDNAに変異が蓄積、細胞機能に悪影響を与えるという説があるようです。

.・・・まさか、細胞質まで完全コピーを目指した結果、という落ちじゃないだろうな?>ラウ&レイ

.・・・・・・ははははは。嫌だなぁ、そんなことをして何のメリット・・・あ、でも、アルの若い頃の持久力がずば抜けていたから、それを受け継がせたいと思えば・・・そりゃ、そういう考えでもおかしくはないか。でも、悪い変異をしていたら、事前検査でわかるはず・・・聞く耳持たなかったってことかな? 
母親のミトコンドリアが脆弱だったら、息子はいくら望んでも同じ持久力を持つことはない。
似たような型のレシピエント卵子を探すのではなく、完全に細胞質までコピーさせた結果・・・あんな、謎発作が起きる体になってしまったのか。
少なくとも、「テロメアが短いから発作が起きる」という謎設定よりは、よっぽど納得がいく話になったぞ(苦笑)。


ただ、このことを応用して・・・というか、まぁ自然な考えだろうな、と思ったのですが・・・・・・レズビアン(女性同士)のカップルが二人の子供を授かりたいと思った時には、「クローン技術を使えば、二人の遺伝子を引き継いだ子供をつくることが出来る」という結論になるんです、実は。
一方は核由来、もう一方は細胞質由来という大きな違いがありますが。
生むことを選択する母胎がどちらだとしても・・・卵子提供側(細胞質のみ自分、つまり自分とは全く似ない)か、核提供側(遺伝子情報のほぼすべてが自分なので、通常は自分そっくりに育つはず)か、に関わらず・・・愛する二人の子供になるのでしょう。


私は、設定に何でも噛みつく訳じゃありません。
かなり現実から考えるとおかしいと思っても、コーディネイターの設定については殆ど受け入れてます。それについては、現実では今の所実現不可能な技術な上に、一応解決策(ナチュと融和)が示されているから、受け入れているという形なのですが。
逆にクローンは現実の技術で、現実で禁止されている理由はコーディにも当てはまることばかり。
「考察を進めることが出来ないような設定は設定とは言わない」という意識なので、「コーディは合法だがクローンは違法という設定」を、そのまま受け入れる事は出来ないのです。

(2006/5/21-23)

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2006年05月23日(火) 21:26:51 Modified by reyz




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