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K-025

クローンの一般的な認識と、現実的に考えた場合の設定


意図的にフィクションで都合のよい設定を考える、というのは、創作上誰もがやるものだとはいえ、何処までやって良いのかという線引きは難しい。

種本編は、科学的というにはおかしいが、全くのフィクションというほどは酷くない。一昔前のSFファンが好んだ設定よりは、現実寄りになっている部分が多いので、ややこしい。

SF的なクローンの場合
  • 材料………対象者の髪の毛or細胞一欠片(未受精卵子など、人間の生殖細胞は不要)
  • 生育場……人工的な機械(外から中が見える水槽型)
  • 外見………水槽内で対象者と同年齢外見まで成長。何年もかけてそこまで育つわけではない。または、成長促進剤投与ですぐに同年齢まで育つ。外見はうり二つ。大抵は複数作られて、ずらりと並ぶ。
  • 目的………対象者の体のスペア、実験体として、など。
  • 意識………大抵、水槽を出るまでは意志なし。対象者と同じ意識を注入されて、その代わりとして行動。または、複数のクローンが同じ意識を共有している。対象者が死んだ時に脳移植で記憶を引き継ぐネタもある。対象者が同じ空間に存在する場合は、オリジナルを倒して取って代わろうとするネタ多し。

現実のクローンの場合(クローン牛などでの技術をそのまま人間に応用)
  • 材料………対象者の細胞の核+女性から未受精卵子の提供が必須
  • 生育場……女性(代理母)の母胎で通常の妊娠期間、約10ヶ月
  • 外見………生まれた時は赤ん坊、通常の子供と同じく成長していき、対象者と同遺伝子の為、かなり似た外見に育つ可能性が高い。但し、天然のクローンと呼べる一卵性双生児が「必ずいつまでもそっくりに育つ」とは限らない以上、双子以上に全く異なる環境で育つクローンは、そっくりに育つか不確定。細胞質が対象者とは異なる(未受精卵子を提供した女性のものがそのまま引き継がれる)為、その点でも異なる外見に育つ可能性があり得る。動物実験でも、その点に加えて胎内環境に左右されるらしい体毛など、全く異なった外見になっている。(クローン牛、クローン猫)
  • 目的………通常手段では子供が出来ない夫婦などへの生殖補助医療の一環として。または(倫理的に許されないはずだが)臓器移植用として。(将来、脳機能を全部デジタル化&自由に入出力可能になった場合)意識注入して不老不死化を可能とする為。
  • 意識………対象者と全く同じ生育環境で育つということがあり得ない&たとえかなり酷似した環境で育つ一卵性双生児であっても「同じ意識」を持つということはあり得ない以上、対象者とクローン体は全く異なった意志、意識を持つ。教育の方向性の結果、似た考えを持つ事はあり得ても、それを他人(対象者や他のクローン体であっても)が手に取るようにわかるレベルで察知することは出来ない。脳移植をしたとしても、その人間の意識になるというのはあり得ない……かどうかは不明。可能だという説もあるようだ。

種のクローンの場合(はっきり描かれてない部分も多いので推測込み)
  • 材料………対象者の細胞の核+未受精卵子のはず。コーディ技術と同軸技術なのだから、こうでなければおかしい。
  • 生育場……外から中が見える水槽型人工子宮で、通常の生育期間約10ヶ月(クローン話の時に、イメージ映像としてこの型が出てくる為。それは無視して代理母と考えても問題ないかもしれないが)
  • 外見………通常と同じように、赤ん坊から少年、青年へと成長。同じ遺伝子を使ったラウとレイだが、かなり異なる外見に育つ。これは全く異なる環境で育った為と考えれば、それ程おかしいことではない、はず。但し、髪の色や瞳の色は同じ。
  • 目的………ラウは、一応生殖補助医療の一環と同軸の「(同じ能力が確約されている)息子として」作られたはず。レイは、(アルの空間認識能力などの特殊能力を調べる)「研究の為の実験体として」?
  • 意識………アル、ラウ、レイは全く異なった意志、意識を持つ。意識を他人に注入出来る技術は、種世界で確認されていない為、アルがラウを若返りの為の体として使用するつもりだったか、それが出来たかは不明。強化人間やネオの洗脳技術、アストレイのGG脳の扱われ方を見る限り、それが出来たとしてもおかしくはない。


ということで、種の本編はだいぶ現実寄りです。
でも、二次創作などでSFとしてのクローンネタを使っているのは、パラレルとしてなら楽しめます。

ただ、「これだけは、SFネタとしてもあり得ないんじゃないか?」と思う話を見かけるのが、非常に謎です。
「性別が違うのに、クローン」というネタ。
……男女の双子で一卵性双生児、ってのと同様に、見た瞬間、思わず頭抱える話なのですが。

それはクローンじゃありません。
元の遺伝子が男性なら、正常な女性……「普通求められることが可能な女性」にはなり得ません。
また、元の遺伝子が女性なら、正常な男性にもなり得ません。二次成長前までなら、遺伝子的に女性でも男性外性器有りという状態を作り出すことは、一応可能だと考えられますが……(それ以降は、正常な男性ではあり得ないことが起こるはずなので、男性として過ごすのは無理) 

コーディネイター技術で、性別変更なんか可能なのでは?という声もあります。
ただ、コーディネイターを作る際に、わざわざそんな手段を模索する必要は全くありませんので、そんな研究が行われた確率は非常に低いです。顕微授精する際に精子を選別しておいて、女が欲しければ女となる受精卵にコーディ化すれば良いだけですので。

クローンの性別変更は、「見た目」だけの問題ならともかく、正常な遺伝子配列にして子孫も残せる……というのは、「クローンを作る際の目的」とは合致しませんので、それが行われるはずがありません。オリジナルの人物(男性)が、女性として生まれ変わりたい為に、脳移植の拒絶反応が少ない手段を模索して……というネタはあるかもしれませんが、「そのような設定や人物が種には出ていない」以上、種世界の設定としては、そんな可能性を考えるべきではありません。

キラとカガリの場合……「双子」で「元は一つの卵」というのを夢見るために、キラはコーディ化の際に性別を変更した、というネタを好む人も多いようですね。「同じ細胞だから惹かれあう」ってネタがみんな大好きなんでしょう……が、そういう人達が、現実に無神経なことを言う確率が高い人になっている、という点は少し困ります。

……クローン設定が必須なキャラだけでなく、何の関係もないキャラもそういうネタを使われてるので、なんというか………世間一般のクローンに対する認識って、「取り替えの効く入れ物」なのでしょうか。種では一応、そういう認識を否定されるような描かれ方をしたはずなのに……
(二次創作で性別を変えている一番の理由は「生殖機能を持つ」という点らしいですが、これが超常現象によってとか、またはクローンじゃなくて、通常の人間がそういう状況に陥ったのならまだ受け入れられる……と思うのは、私の方が間違ってるんでしょうか……)

(2006/07/22)

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2006年07月24日(月) 19:30:27 Modified by reyz




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