ストロベリー・パニックのSS保管庫です。

著者:窈 ◆IrM43MqsnY(4-306)


「たーまーおーちゃんッ」
「ふぁっ!?…な、渚砂ちゃん?」
「玉青ちゃん大好き!」
「ちょ、あの、凄く嬉しいんですけど、ココ廊下で…」
「…玉青ちゃんは、私の事、嫌い?」
「そ、そんなハズありません!私は渚砂ちゃん一筋です!」
「ホント!?良かったぁ〜」
「私が渚砂ちゃんの事嫌いになるハズありませんよ。…さ、部屋に入りましょう」

バタン。


「…」
「…アンタも渚砂さんくらい素直なら可愛いんだけどね」

隣でボソッと何か聞こえたけど、あえて聞いてないフリをした。
あ、申し遅れました。聖スピカ女学院1年、奥若蕾です。
今夜のお茶会のお誘いを、と思い、渚砂さん達の部屋に来た所なんですが…声をかけるタイミングを完璧に失ってしまった訳です。

「…ど、どうしましょう」
「玉青さんの目、完璧に渚砂さん狙ってたからね…今ノックでもしようものなら…まぁ、野暮よねぇ」
「ね、ね、狙っ…!?」
「…まぁ、とりあえず私も部屋に戻るわ。じゃあね」
「あ、ハイ、また………って、もも、戻っ…?」

危ない!そのまま返事しちゃうトコだった!

「何よ」
「あ、えと…よ、用事が無いなら、私の部屋に居てもいいですよ?お、お、お茶ぐらいなら、準備しますけど?」

別にこのまま1人になるのが嫌とか、渚砂さんと玉青さん見て羨ましいと思ったとか、そんなんじゃないんだから、ね!?


めんどくさい、とか。眠い、とか。散々言ってる夜々先輩を、どうにか部屋まで連れてくる事は出来た。
夜々先輩は私のベッドの上で雑誌を読んでいる。
私は、紅茶の準備。冷房が効いてて涼しいけど、温かい紅茶を飲む気にはなれなくて、冷たい紅茶を用意する。

…でも、ホント、冷房よく効いてるな…半袖だと少し肌寒い。
長袖着ようかな…てか、ちょっとコレ、冷房、さ、寒……

「寒ッ!!!夜々先輩設定何度にしました!?」
「17度」
「えェッ!!?ちょっと何考えてるんですか!リモコン貸して下さい!」

慌てて夜々先輩の所に駆け寄り、リモコンを探す。
いくら暑いからって、適温ってあるのに…コレじゃ地球温だ…………要先輩が煩そうだし…

「寒いわね」
「当たり前です!もー夜々先輩ホントに何考えて―――…」

ぎゅっ。

背中に柔らかい感触と、胸の前で組まれてる、自分のじゃない、腕。
座ったまま抱き寄せられたから、体を全部、後ろに居る人…夜々先輩に預けてる状態。

「寒いね…」
「…あ、あの…夜々先輩…!?」
「アンタ馬鹿だし、体温高そうだから……」

耳元で声が広がる。冷たいハズなのに、顔は火照ってくるのが簡単に分かった。

冷房のスイッチ切れば良いじゃないですか、なんて。
…そんな事言うのも…野暮、ですよね?


「…もっと上手に甘えられないんですか?」
「ッ!う、うるさいわね…」
「寒いから抱き着く、なんて…安直ですよ」

夜々先輩の腕の中で、クルリと反転する。
頬を赤く染めた夜々先輩が、愛しくて、可愛くて。

「…私も素直じゃないけど、人の事言えませんよ?」
「あ、安直で悪かったわね…」
「…そんな夜々先輩も、好きですよ」

目の前に居る、年上だけど可愛い恋人を抱きしめる。
…今ぐらい、リードしても良いよね?
何だかんだ言って優しい夜々先輩は、いつも私を甘えさせてくれる。
夜々先輩にも、甘えて欲しかったんだ、本当は。

「…何か、ムカツク…けど……私も、好きよ」
「夜々先輩…」

目と目があって、夜々先輩が目をつぶる。
…こ、これは、良いんだよね…?

ゆっくり口付けると、背中に手を回され、私はそのまま夜々先輩をベッドに押し倒した。
シャツの中に手を滑り込ませると、体がピクリと反応した。嫌がってる様子は無い。
私はそのまま、夜々先輩の首筋に顔を近付け、舌を這わせ――。


コンコンコン! ガチャッ!

「蕾ちゃーん、私ッ、渚砂だよ!今夜のお茶会の事なんだけ…ど…」
「な、渚砂ちゃん、勝手に開け、ちゃ…」

「「「「…あ………」」」」



…渚砂さん、玉青さん、酷いです…



END

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