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【定義】

沙弥が持つべき十戒のこと、沙弥十戒。
次に戒の作法を授く。次に懺悔三帰五戒尽形受。次に沙弥十戒、尽形受。次に菩薩三聚浄戒〈今身従り仏身に至るまで〉。次に根本十重禁戒〈今身従り仏身に至るまで〉。各おの三拝して之を受く。後、仏を礼して去る。 『出家略作法

なお、その具体的内容は、種々有るようだが、禅宗で用いるのは以下の通りである。

不殺生(生き物を殺さない)
不偷盜(盗みをしない)
不淫欲(淫欲に耽らない)
不妄語(うそを言わない)
不飲酒(酒を飲まない)
不花髻瓔珞香油塗身(装身具や香を付けない)
不歌舞作唱故往観聴(歌や踊りを見聞しない)
不坐臥高広大床(広く高い寝台に寝ない)
不非時食(正午以後食事しない)
不捉金銀銭宝(金銀財宝を蓄えない)
   『禅苑清規』巻9「沙弥受戒文」

【内容】

曹洞宗における「沙弥戒」は、その授受の可否について江戸時代に議論となった。上記で見た通り、道元禅師に係るとされる『出家略作法』には「沙弥戒」授受があり、瑩山禅師に係るとされる『出家授戒略作法』も同様である。だが、江戸時代になると、まず面山瑞方禅師が『得度略作法』において、菩薩戒として受ける「沙弥戒」を主張した。これは、道元禅師が菩薩戒を重視していたとする宗義的主張の結果である。それに対し、逆水洞流禅師は自著において、「沙弥戒」の授受を否定し、菩薩戒(十六条戒)のみで良いとした。

現代は、やはり菩薩戒重視という宗旨の展開などもあって、菩薩戒(十六条戒)のみとなっているが、出家性を「沙弥戒」が担保しているという時、果たしてその授受が不要であるのかどうか、継続した議論が必要であると思われる。

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