つらつら日暮らしWiki〈曹洞禅・仏教関連用語集〉

【定義】

万仭道坦が記した、禅戒論を展開する著作。全１巻、撰述年代不明。

【内容】

この著作は、江戸時代の学僧である万仭道坦が、室内三物の中の、戒脈を中心として、伝戒相承の経過や、伝戒の意義などを、証拠を示しながら、簡明に記述したものである。そもそも、万仭は宗統復古運動以後の、宗門嗣法論にて、様々な著作を残しており、『洞上伝法弁?』『室内三物秘弁』等を書いているが、それに列なった著作である。

この当時は、室内三物に対する様々な異論が噴出しており、万仭は本書を撰述することで、伝戒の本義を解明しようとした。特に、本書は、天台宗・光定の『伝述一心戒文』、『一心戒儀規』、『正法眼蔵』「受戒」巻、『仏祖正伝菩薩戒作法』などを挙げて、戒脈相承の証拠を挙げている。

また、伝戒と受戒の違いを検討するなど、見るべきところは多い。これまでも、多くの写本が見つかっている本書だが、現在このテキストは、『曹洞宗全書』「禅戒」巻にて見ることが可能である。