最終更新:ID:lWNbwnff6A 2011年09月14日(水) 01:15:24履歴
ふんわり柔らかな匂いが鼻腔をくすぐる。貴音はぼんやり覚めた目を開けた。
眩しい朝日が瞳を刺して、ついまた目を閉じてしまいそうになるが、
このまま目蓋をくっつけてしまうと離れなくなってしまうことは重々承知していたから
貴音はのっそりと身体を起こした。
「お、貴音、自分で起きれたのか!」
台所で朝食を作っていたらしい響が振り向き笑う。
それだけで貴音は一日分の幸せを手に入れたような気分になった。
「私をなんだと思ってるんですか、響……おはようございます」
「ん、おはよ」
そういえばこうして朝の挨拶を交わすのは何日ぶりだろう、と貴音は考えた。
けれど寝起きの頭で考え事と言うのは貴音の性には合わない。
ベッドを下り、洗面所で顔を洗う。背後で感じる響の存在と冷たい水が心地よい。
二つ並んだ歯ブラシや、そんなものが妙に愛おしく感じる。
貴音は洗面所を出ると、音もなく響に近付いた。
そのまま、卵を焼いているらしい響を後ろからぎゅっと抱き締めた。
「貴音、くすぐったいぞ」
「お腹が減ったので」
響の耳を甘く噛みながら、貴音はフライパンを持つ響の手に自分の手を重ねる。
もうすぐできるから、という響の言葉にしぶしぶ唇を離すが身体は離さない。
「甘えん坊だな」
くくっと笑い響が言う。
貴音もそうですね、と笑い返した。
じじじっと目覚まし時計が鳴った。
そうだ、今日は一日ずっと。
久しぶりに二人っきりの休日。
「今日はずっと、こうして甘えていたいです」
「甘えん坊」
もう一度、響は笑った。
卵の焦げた匂い、鳴り続ける目覚まし時計、そして重なる体温。
二人の休日が始まった。
眩しい朝日が瞳を刺して、ついまた目を閉じてしまいそうになるが、
このまま目蓋をくっつけてしまうと離れなくなってしまうことは重々承知していたから
貴音はのっそりと身体を起こした。
「お、貴音、自分で起きれたのか!」
台所で朝食を作っていたらしい響が振り向き笑う。
それだけで貴音は一日分の幸せを手に入れたような気分になった。
「私をなんだと思ってるんですか、響……おはようございます」
「ん、おはよ」
そういえばこうして朝の挨拶を交わすのは何日ぶりだろう、と貴音は考えた。
けれど寝起きの頭で考え事と言うのは貴音の性には合わない。
ベッドを下り、洗面所で顔を洗う。背後で感じる響の存在と冷たい水が心地よい。
二つ並んだ歯ブラシや、そんなものが妙に愛おしく感じる。
貴音は洗面所を出ると、音もなく響に近付いた。
そのまま、卵を焼いているらしい響を後ろからぎゅっと抱き締めた。
「貴音、くすぐったいぞ」
「お腹が減ったので」
響の耳を甘く噛みながら、貴音はフライパンを持つ響の手に自分の手を重ねる。
もうすぐできるから、という響の言葉にしぶしぶ唇を離すが身体は離さない。
「甘えん坊だな」
くくっと笑い響が言う。
貴音もそうですね、と笑い返した。
じじじっと目覚まし時計が鳴った。
そうだ、今日は一日ずっと。
久しぶりに二人っきりの休日。
「今日はずっと、こうして甘えていたいです」
「甘えん坊」
もう一度、響は笑った。
卵の焦げた匂い、鳴り続ける目覚まし時計、そして重なる体温。
二人の休日が始まった。
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