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注意:
合宿所を舞台に、春香と千早のおにゃに事情をテーマにしたSSですが、
話の都合上、同性愛っぽい描写がありますので苦手な方はご注意願います。



◆1 千早
合宿所での共同生活と聞いて真っ先に浮かんだ心配事。
相談しようにもプライベートな事を話せるような相手に心当たりはなく
もしいたとしても、私の”個人的習慣”を打ち明けられても困るだけだと
思うだけの自覚はあった。
合宿初日、大部屋の隅っこを寝場所にしたのは、皆が寝静まってから
こっそり済ませようという消極的な解決策だった。
我慢するという選択肢は、それが到底無理なのは分かっていたから
はなから存在していなかった。

夕食後の自由時間はトレーニングルームでしっかり汗を流しておく。
その程度の疲労で眠れるわけもなく、単なる気休めにしか過ぎないけれど
女の子同士の雑談の輪に入ることに比べたらはるかに気が楽だった。
就寝時間の直前に入浴を済ませ、布団に入って目を閉じる。
慣れない集団生活の場ですぐ眠れるわけもないのは分かっていたから
寝たふりを装ってただ時間が過ぎるのを待つ。
一時間も過ぎた頃、気配を探って皆が寝静まっているのを確信すると、
神経を周囲の警戒に残したまま、パジャマの下に手を入れた。

まずは下着の上から大事な部分に指を軽く這わせる。
息を弾ませないよう、声を漏らさないよう、物音をたてないように。
そんな事を気にしながらでも触れた部分はいつものように熱を帯びて潤い始める。
クチュっと濡れた感触にため息を漏らしてしまい、慌てて動きを止め気配を探る。
大丈夫、誰かが目を覚ました様子はない。
布団を被ればため息くらいなら誤魔化せても周囲の警戒ができなくなる。
声と呼吸に気をつけさえすれば、触ったときの湿った音は布団が遮ってくれる、
そう高をくくって指を下着の中に潜らせた。
肉体の感覚に集中できない分をスリルが補い、徐々に潤いが増していく。
気を抜けば漏れそうな吐息を苦労して整え、指の腹でマッサージするよう
性器の柔らかい肉襞を撫でていると少しづつ体がふわふわしてくる。
指を入れたり敏感な部分を弄りたい衝動を我慢して、いつもより小さい波に
何度か身を任せたあたりで切り上げることにした。
下着で指先を拭いパジャマを直すと、とろとろと眠りに引き込まれていく。
いつものようにはいかなくても、本来の目的はどうやら果たせたらしい。
だけど目覚めたときの物足りなさはどうしても否めなかった。



眠るために必要だった行為、それを覚えたのは小学5年生の時だった。

入浴中に勃発していた両親の諍いから逃れるため、バスタオルを巻いただけで
部屋に戻って布団の中に潜り込んだ。
自分を抱え込むよう体を丸めると、バスタオルがほどけて湿った肌が触れる。
風呂上りで火照ったまま右手を下腹部に伸ばしたのは、母親の厳しい躾に
反発するつもりだっただろうか。

”女の子の大切なところだから無闇に触れてはいけない”

お風呂で洗うときにも表面をさっと撫でるように済ませいていたから
実際に指で確かめてみると思った以上に複雑なつくりになっていて
性教育を受ける前の無知だった私は、好奇心のまま指先の探索を続ける。
ぷにぷにと柔らかい襞、その内側が熱く湿っているのはお風呂のせいでは
なさそうで、触れるほど頭も体もぼーっとしてくる奇妙な感覚。
当時の私はそれが快感だと分らないまま行為を続け、いつの間にか眠りこみ
気づけばもう朝だった。


嫌なことも忘れ、朝まで熟睡できて目覚めの気分はよかった。
それが昨夜の行為のせいなら、この結果は願ってもないこと。
こうして私は熟睡を得るためその行為に耽るようになった。
のちに性教育を受けて、夜の習慣が自慰と呼ばれる性的行為と知った時、
それなしで眠れなくなっていた私は後ろめたさを誤魔化すため
快感を得るためではないのだと自らの行為を正当化したのだった。





二日目、三日目と密かな行為を続けるにつれ物足りなさは蓄積していく。
少し大胆に刺激しても欲求不満を煽るだけの結果に私の我慢は限界を越えた。
このままでは集中力の欠如が仕事やレッスンに悪影響を及ぼしかねない。
どういう口実を用意すればプロデューサーが部屋の移動を認めてくれるかを
真剣に考えなければ。


◆2 春香

初日の夜に感じた気配。あの子に限ってそんな事はないと思いながら、
密かな観察を続け、4日目の夜疑惑は確信に変わった。

千早ちゃんがしているとは意外だった。
本当は私が一から教えてあげたかったけど、あの子をパートナーにするという
目的にはその方が都合がいいし、私が教えてあげられる事もまだ沢山あるはず。
そのためにもまず千早ちゃんと二人きりになる必要がある。
幸い合宿所には手頃な空き部屋があり、そこに移る口実も考えてある。
オフ前で合宿所に人が少ない夜、プロデューサーさんに相談を持ちかけた。


「部屋を移りたいって、理由は何だ?」
「一つは就寝時間が早いこと。高校生に10時は早すぎます」
「うーん……そうはいっても共同生活が目的でもあるからなぁ」
「じゃあ勉強とか他の大事なことを犠牲にしろってことですか?」
「そうはいってないけど、他の大事なことって何だ?」
「気付いてないんですか? ここんとこ千早ちゃんの調子が悪いこと」
「千早、どこか具合でも悪いのか?」
「はぁ……違いますよ、精神的な方。ノイローゼっていうか」


プロデューサーさんが慌てて千早ちゃんを呼び出して事情を聞いて
あとは私の計算通りだった。
他の子の手前、就寝時間のあとに勉強をするためということにして
その夜から私と千早ちゃんは8畳ほどの空き部屋に移る事になった。
荷物と布団を運んだあと、千早ちゃんからお礼を言われたのがこそばゆい。
本当は一人になりたかったのが分っているから。
でもね、安心して。悪いようにはしないから。
むしろ一人じゃ絶対味わえないような凄いことも教えてあげたいの。



それを覚えたのは中学1年のことだった。
放課後の人気がない校舎の女子トイレ。1箇所だけ使用中の個室から聞えた声に
つい心配になり声をかけたのがきっかけだった。
ドアの隙間から顔をのぞかせたのは私でも顔と名前を知っている3年生だった。
生徒会の役員も勤める文武両道の秀才で、大人びた顔立ちと体つきのせいか
高校生や大学生と付き合っていると噂が立つような有名人。


「あの、具合が悪いのかと思って、その……」
「そう、気にしてくれてありがとう。あなた名前は?」
「1年の天海…春香です。先生に頼まれて掃除道具の交換にきて、その……」
「ふーん、それよりあなた可愛いのね。少し手伝ってもらえるかしら?」

彼女は私を個室に引っ張り込むと、おもむろにスカートを捲り上げる。
私の目に写ったのは茂った陰毛とむき出しの股間だった。
呆気に取られる私を見ながら、彼女は自ら股間をまさぐり始めた。
知識はあるけど経験したことのないオナニー、それも他人の行為を目の当たりにして
衝撃と興奮を隠せない私の顔を見て先輩が悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「あなた、したことないのね。私が教えてあげる」
「えっ、やっ、先輩……あぁっ」

初めて触れる他人の性器は思ったより熱く、水飴のようにとろとろだった。
彼女の声はさっきより切羽詰った響きを帯び、言われるがまま性器を愛撫し
最終的に中指を奥深くまで入れた直後、小さな悲鳴を上げて動きが止まった。
いつもより満足できたという彼女になぜか胸がドキドキしていた。
お礼だという彼女の手が伸びてきた時は心臓が口から飛び出るくらい興奮し
初めての愛撫で呆気なく絶頂し快感の味を覚えてしまった。

それから彼女とは何度も密会を重ね、一人でするのとは比べ物にならない
快感を与え合う関係は彼女が卒業するまで続いた。
彼女と別れた後パートナーを持たなかったのは、そういう関係になりたいと
思える相手にめぐり合わなかっただけのことだった。

そう、千早ちゃんと出会うまで。


顔は似ていなくもないくらいだけど体つきと雰囲気は先輩そのもの。
性格はまるで正反対だけど、それが私の庇護欲を誘ったのかもしれない。
かつて先輩が私を導いてくれたように、私も千早ちゃんを導いてあげたい。
それが千早ちゃんをモノにしたいと思った理由。


◆3 千早と春香

部屋の移動が叶ったのだから、春香との二人部屋をよしとしなければ。
私一人だとあんな風にプロデューサーを説得できなかったかもしれないし
他の子への説明など考えてもいなかったのだから。

「お礼なんていいよ。でも、千早ちゃんがどうしてもっていうなら……」
「一緒にお風呂って。いいの、そんなことで?」
「じゃあ千早ちゃんに背中を流してもらうってことで」

私がいつも一人で最後に入るのも気にしていたらしい。
別に人を避けていたわけじゃないと言い訳したら、これからは一緒に入ろうと
約束させられたけど、春香となら裸の付き合いというのも悪いものではない。
寝る前にストレッチをした効果なのか、そのまま眠れそうな気もしたけれど
豆電球も消した部屋は真っ暗で、離れて布団を敷いた春香も熟睡しているらしく
穏やかな寝息だけが聞えている。
声さえ出さなければ大丈夫だろうと、自宅でするのと近い状態でできたせいか
その夜の行為は満足いくもので、久しぶりに熟睡することもできた。



部屋の移動はあくまで計画の第一段階に過ぎない。
千早ちゃんをスキンシップに慣れさせたり、私が教える行為の予備知識を覚えて
もらうまでは安心して励めるよう思い切り熟睡してあげるからね。
プロデューサーさんの手前、千早ちゃんのコンディションを回復させなきゃだし。

そして1週間が過ぎる頃、千早ちゃんは目に見えて元気になり、一緒の入浴や
ストレッチ(に名を借りたボディタッチ)にも抵抗がなくなっていた。
あの子がしっかり励んでいるのはスマホの録音アプリで確かめてある。
これなら計画を進めても大丈夫、というかそろそろ私の欲求も限界にきてて
千早ちゃんにばれないようこっそり私もしちゃったくらいだから。
次に合宿所に人が少なくなる日に決行しようと、その日を指折り待った。


「春香は帰らなくていいの? 先週のオフも帰らなかったでしょ」
「う、うん……うち遠いし、どうしても帰る用事もないから」
「ご両親が心配するんじゃないかしら」
「大丈夫だよ、連絡は入れてあるし、こっちに大事な用事もあるから」
「なあに、大事な用事って?」
「ふふっ、今夜は千早ちゃんと二人きりなんだよ!」
「あっ、ちょっと、だめ、くすぐったい!」

日課のストレッチをしながら、隙をついて後から脇腹をくすぐってみる。
千早ちゃんが特に弱い部分はこの1週間で大体確かめてある。
だから今日はまだ触れていないところを完全制覇しなくちゃね。

「逃げちゃだめだよ、今日は徹底的に鍛えてあげるんだから」
「きゃっ、くすぐったいってば……そんなとこまで、あぁっもう!」
「うぇへへへ、千早ちゃん敏感だねぇ」
「お願い、そこはやめて、本当に駄目なの」
「分った、ごめん……」

あっさり手を離して千早ちゃんを解放したのはもちろん作戦。
泣きそうな顔をつくると、とぼとぼと離れた自分の布団にもぐりこむ。

「ちょっと、春香? ねえ、聞いてる?」
「ごめんなさい、もうしないから……」
「止めてとはいったけど、別に怒ってはないから」
「ほんと、ほんとに怒ってない?」
「ええ、だから顔だして。お休みの挨拶しましょう」
「やっぱりだめ……顔みたらぎゅっとしたくなる」
「もう、しょうがないわね。それくらいならいいから、ほら!」
「いいの?」

しおらしい顔のまま起き上がり、正面からそっと抱きつくと千早ちゃんの腕が
私をぎゅっと抱きしめる……と、この反応はまあ想定通りとして。
今からが正念場。ええい、もういくしかない!

「私なんかとハグしてどこがいいのか分らないけど」
「千早ちゃんだからいいんだよ。こうしてしっかり受け止めてくれるでしょ」
「それは春香がそんな顔するから」
「千早ちゃんって柔らかくていい匂いがする」
「な、何、急にそんなこと」
「千早ちゃん、可愛いね」
「ちょっと春香、耳元で変なことささやかないで」
「変なことじゃないよ……千早ちゃんは私のこと、好き?嫌い?」
「嫌いなわけないでしょ」
「じゃあちゃんと好きっていってくれなきゃ、やだ」

表情は見えないけど、抱擁が解かれていないのはいい兆候のはず。

「……私、春香が好き」
「嬉しい! 私も千早ちゃんが好きだよ! 愛してるよ!」
「…………」

沈黙は考えている証拠ね。千早ちゃんってホントわかりやすいんだから。
だけど安心してね、私千早ちゃんが心配するような性癖じゃないから。
だけど面白いからもう少しだけ……

「千早ちゃんのこと、愛してるよ?」
「そ、そんなこと急に言われても……どう返事していいか分らないわよ」
「そういうときは『私もよ』っていえばいいんだよ」
「ねえ春香、変なことを聞くけど気を悪くしないでね。もしかして春香って
その……ど、同性が好きなの?」
「えっ、どうして? 私恋愛対象は男のひとだけど」
「だって今私のこと愛してるって」
「えーー!? それは千早ちゃんが大切な友達だからだよ。あっ、分った!
千早ちゃん、私のことレズだと思っちゃった?」
「ち、違うの?」

真っ赤になった千早ちゃんが超可愛いくて力いっぱいぎゅっとしてあげた。
こんなに可愛い子ならそっちもありだけど、私は普通にノーマルだから。
確かに先輩とはキスやそれ以上の事もしたけど、あくまで行為の一環だし。

「あは、あははは、違うよぉ! もう千早ちゃんたら」
「春香が紛らわしいこというから悪いんでしょ……」
「ごめんごめん、千早ちゃんがあまりに可愛いからつい」
「もう、知らない。寝るから離してちょうだい」
「あーん、怒らないでよ。ね、ちーちゃん?」
「離さないと本当に怒るわよ」
「お詫びの印にチューしてあげるから、機嫌なおして?」

無理矢理抱擁が解かれ、ついでにほっぺをぎゅーってされちゃった。
うん、でも痛くないって事は千早ちゃんが怒ってないってことだよね。
急にいろんなこと言われて戸惑っちゃって、照れ隠しなのかな。
だとしたら今夜はあと、もう一押しだけ。

◆4 春香と千早

他愛のない会話、あの子が見せるふとした仕草。ちょっとしたスキンシップ。
いつの間にか一人でいるより春香と二人でいることに馴染んでいた。
春香に触れられると、春香に触れると気持ちが安らぐことに気付いた一方で
そういった感情に戸惑いを覚えているのも事実。

だから面と向って好きだ、愛してるなんて言われてドキドキしてしまい
それが私の思い違いだと知らされてなぜだかがっかりしてしまい
もう本当にどうしたらいいのかも分らなくて、春香の顔も見れなくて
ただ布団をかぶってこの現実から逃げ出したかったのに
春香はそれを許してくれなかった。

「春香、さっきので懲りていないのかしら」
「千早ちゃん、寝つきよくないでしょ? だからいい方法教えてあげる」
「もう……少しだけよ。で、どうすればいいの?」
「私を抱き枕だと思ってね、ほら遠慮しないで」

彼女なりに私を心配してくれているのだろう。
一つの布団に二人入れば窮屈で眠るどころではなかったけれど
頭や背中を撫でるというかさすられるのは心が安らいだから
去り際にほっぺにキスをされたのはとがめだてしないことにする。
その夜春香が寝静まったあとの行為の途中、春香の感触や匂いを
つい思い出してしまったのはキスのせいだろうか。
次の夜、消灯したあとふと思いついて私から春香の布団のもぐりこむと
彼女は驚きもせず、待ってましたといわんばかりに私を抱き寄せる。

「今日は千早ちゃんが抱き枕になってくれるんだ」
「……昨日のお礼よ。変なことするのは無しだからね」
「えっと、変なことってこんなこととか?」
「こら、分っているなら胸を撫でないの」
「千早ちゃん、寝るときブラつけない派なんだね」
「窮屈だし、そもそも寝るときには必要ないから」
「……じゃあ私も今日は外して寝てみようかな」

ごろりと布団から転げ出て、ごそごそ着替えをしてから再び布団に戻ってくる。

「うーん、やっぱ開放感あるよね……寝るとき用のブラ買ってみようかな」
「そんなものがあるのね」
「今度一緒に買いに行こっか」
「考えておくわ」

取り留めの無い会話を続けながら、春香が昨夜のように撫でてくれるから
私もつい春香の髪を触ったり、指で体をそっとなぞったりしてみる。
布団の中で誰かとそんな風にするのが何故か懐かしい気分がする。

「千早ちゃんにも撫でてほしいな」
「いいわ、こんな感じでいいかしら」

求められるまま、今度は私が春香を抱きかかえるようにして
その手で背中をそっと撫でる。
私の胸に顔を埋め、くすくすと嬉しそうな春香が可愛く思える。

「もっと下も……」

背中をなでる手を腰のほうまで下ろしていく。

「もっと下まで」

パジャマのウェストを越え、やわらかい部分に触れたときの違和感。

「春香……あなた」
「うん、さっきブラと一緒に脱いじゃった」
「もう、何を考えているのかしら」
「やってみると意外な開放感があるよ。千早ちゃんもやってみる?」
「ば、馬鹿なこといわないで」
「えー、いいじゃんやろうよ。私だけなんて恥ずかしいよ」
「恥ずかしいならパンツ履きなさい。でないともう寝るから」
「だーめ、千早ちゃんもしてくれるまで寝かさないもん」

仕方ないので春香の言うとおりにして布団に戻る。
落ち着かない感じはするけれど、ゆったりした開放感は確かにある。

「これでいいでしょ。もう寝るわよ」
「うん。今夜こそゆっくり眠れるといいね」

下半身が落ち着かなくて、ゆっくり眠れるどころじゃないと思ったけれど
春香の言ったような開放感と締め付けがない心地よさはいいかもしれない。
それに下着がないと触りやすい。濡れた指の後始末が少し厄介だけど。
◆5 はるちは

「どうだった、千早ちゃん。よく眠れた?」
「え、ええ……その」
「あんまり効果なかったかな」

前夜と同じように春香の事を考えながら日課の行為をした気恥ずかしさで
言葉を濁してしまったけれど、確かにいつもよりは眠れた気はする。
ノーパンを強要された時には引きそうになったけど、春香が私のために色々と
考えてくれたのを思えば素直に感謝すべきだろうから。

「春香のおかげでよく眠れたと思う。ありがとう」
「えっ、やっ、千早ちゃんたら、あは、うれしいな」

ハグしてほっぺにキスのお返ししてあげただけなのに
春香ったら真っ赤になってあたふたして、可愛い。
スキンシップというのは結構いいものなのね。



二人の間でストレッチと同じく日課となった”抱き枕ごっこ”。
より良い睡眠をテーマに、お互い意見を出し合ってあれこれ考えた末。
私は全裸で抱き合ってみようと提案した。

「全部脱いで見ないって……風邪引くわよ?」
「寝るときはちゃんとパジャマ着るよ」

流石に全裸は抵抗あるかと思ったけど、千早ちゃんは少し躊躇ったあとに
服を脱ぎ捨て布団に潜り込んできれくれた。
抱きしめるとすべすべの肌が汗ばんで少ししっとりしているかな。

「どうかな、千早ちゃんの感想は」
「んっ……あたたかい、というより少し熱いくらい」
「うふっ、千早ちゃんのほっぺ、真っ赤だもん」
「春香だって同じじゃない。今日はいつもと違う感じよ」

そりゃそうだよ……今日こそ始めようと決心しているんだから。
最初は千早ちゃんがしているところを押さえ、なし崩しで体を奪うつもりで
いたのに、気が付けば先に心を奪っていたみたい。
それで分ったの、大人びた表情の裏には怯えた小さい女の子の素顔があることに。
守ってあげたい、なんて殊勝なことじゃない。千早ちゃんと秘密の関係を持つために
怯えたり傷つきそうな方法は取れない、だから私から始めるんだって。

「ね、千早ちゃん……聞いてくれるかな」
「どうしたの春香、改まって。告白でもするつもりかしら?」
「うん、そうだよ。よく分ったね」

千早ちゃんの背中から外した手を自分のそこに添える。
熱っぽく、少し湿った中に指を入れると、思い切って布団をはねのける。

「私ね、いつも一人でこういうことしてるの」
「は、春香?」
「不安で眠れない時、寂しいとき、あと……エッチな気分になったときに
こんな風に自分でするの。ここで寝るときもこっそりしてたんだよ」
「どうして、春香……そんなこと」
「ごめんね、でも千早ちゃんのことを変な目で見たりはしてないから」
「…………」
「こんな私のこと軽蔑してくれても構わない。でも……」

言うべきこと、伝えたいことは考えてあったのに、千早ちゃんにじっと
見つめられるとテンパってしまい頭が真っ白になる。
あー、この作戦は駄目だったな……やっちまったって奴?

「……軽蔑なんてするわけないでしょ」
「えっ?」
「別におかしなことでも変なことでもないって学校で教わったわよ。
そ、それに私も一応経験くらいはあるから」
「そ、そうなんだ」

知ってる、と言えばちーちゃんたらどんな顔しただろうな。
とりあえずカミングアウト作戦は成功……というか失敗ではなかったけど
なんだか流れ的には私の目論見から反れていく感じ?

「ごめんなさい、春香……私もここで……その」
「してた?」

真っ赤な顔でコクンと頷く千早ちゃん、やっぱり可愛いよ。

「私の寝ている隣で?」
「う、うん……」
「そっか、うん。なんか、お互い様だったんだね。あーよかった」
「そ、そうね……こういうのは人に言うことじゃないと思っていたから。
ねえ、春香はどうしてこのことを打ち明けようと思ったの?」

あーもうだめ! 我慢なんてしてられないって!!
ごめん千早ちゃん、今度こそホントにごめんね!

「一緒にしたほうが気持ちいいからだよ!」

起き上がると、きょとんとした千早ちゃんに覆いかぶさり自由を奪うと
逃げも暴れもせず、ただ潤んだ目で見上げるだけの千早ちゃん。

「いいの、ホントにするよ?」

「……うん、いいわ。春香となら」

恥らう顔が可愛すぎて、そんなつもりは無かったのに思わずチューしてしまった。
唇に唇が重なる瞬間、そっと目を閉じた千早ちゃんに私は理性を吹っ飛ばし
まだ性感に目覚めてなさそうな千早ちゃんをあんなことやこんなことでメロメロに
翻弄し尽くしてやろうと、鼻意気荒く覆いかぶさっていく。


◆6 ハルチハ

「千早ちゃん! 千早ちゃん! あぁ、千早ちゃんとずっとこうしたかったよ」
「ちょっと待って春香! 落ち着いて、ねっ?」
「千早ちゃ……ん?」
「もう、そんなガツガツ来たら驚くじゃない」
「あ。ご、ごめん……なんか、つい」
「こういうことはきちんと段階を踏んで進めるべきだと思うの」
「そうだね、うん。 ごめんね千早ちゃん。もう落ち着いたから」
「するのはいいけど、その前に少し話をしない?」

一旦跳ねのけた掛け布団を被りなおすと、身を寄せ合い見つめ合う二人。
しばらくして口を開いた千早は、行為を始めたきっかけを、一部分は省略
しながら説明を始めた。

最初はそれをオナニーとは知らずにやっていたこと。
学校の性教育で性的行為と知ってからは後ろめたさを抱えていたこと。
眠るための習慣になっていたため、不安を抱えつつほぼ毎日していた事。
合宿所でこっそりした時に感じたスリルが実は癖になりそうだったこと。
それから春香と相部屋になってから感じたことなど。
全て話し終えると、秘密を解放した安堵で長いため息をつく。

じゃあ今度は私の番だね、そういって春香は自分の経験を包み隠さず話し始める。
上級生に教え込まれた他人の手による性の悦び、それはいつしか自分の手で
誰かを悦ばせたい願望となり、その相手こそが千早だったこと。
同性は恋愛対象ではないはずなのに、千早と関係を持ちたいという思いは
胸が焦がれるほど強く深かったこと。
全てを話終えたとき、千早と違い春香の胸は不安で一杯だった。

カミングアウトに了解は得ているけれど、あまりに赤裸々な欲望過ぎて
引かれたのではないかと思うが布団の中では表情が見えない。
恐る恐る千早の手を握りしめようとして、不意にその手が解かれた。
拒絶された痛みと苦みが胸に広がりかけ、それが早とちりだと分かったのは
解かれた手が千早の方から指を絡めて握られたから。

「千早ちゃん、これって恋人繋ぎっていうんだよ」
「ええ、知ってるわ」
「えっと、じゃあそういうことで…いいのかな」

返事のかわりに千早の方から唇がぴたりと重ねられる。
不器用で下手っぴなキスだけど、こんなに嬉しいキスもないや……
春香は溢れる涙に戸惑いながら、千早を抱き寄せお返しをする。
そうして何度かキスの応酬のあと。


「ねえ、春香……ひとつだけお願いがあるの」
「なあに、千早ちゃん。一つと言わずいくつでもいって?」

しばらくの無言にも、春香は焦らず千早の言葉を待つ。

「全部春香に任せるから、あなたがしたいこと、したいようにして。
そのかわり、ゆっくり、優しくしてほしい」
「うん」
「したいことは遠慮しなくていいし、いちいち聞かなくてもいいから」
「本当にいいの、それで?」
「春香は私が嫌がるような無茶はしないでしょ」
「えへへ、信頼されてるっと嬉しいな」
「だ、だけどね……どうしてもっていう時は”ストップ”っていうから」
「わかった。じゃあ私からも一つ言っておくね、千早ちゃんのいう通り、
すごーくゆっくりするつもりだけど、途中でじれったくなっても知らないよ」
「……ば、馬鹿。そんなこと絶対いわないから」
「あはは、じゃそろそろ始めていい?」

千早の返事をもらう前、春香は背中に回した手をゆっくり降ろしていく。
見事にくびれた腰の形を一通り確かめると、くすぐったさに身をよじる千早。
それが終わると手のひらで包み込むよう、ヒップを愛撫しはじめる。
総じてスリムな千早の中で唯一、綺麗に張りだしたヒップライン。
だけどその魅力が柔らかさに秘められた手応えある弾力だと知ると
春香はただ撫でるだけでなく、揉み、軽く叩いたりもしてみる。

やりたい放題の愛撫にも千早は心地よさそうに目を閉じ身を任せる。
実際撫でられるのはくすぐったく、それよりペチペチと叩かれた方が
気持ちよかったのもあるが、春香の手であちこち触れられているだけでも
満足できていたに違いない。

一方の春香も約束した通り、愛撫の手順に抜かりはなかった。
背中からお尻の愛撫は以前に試したから千早に抵抗はないはずで
軽く叩いたりつねったりしたのも、愛撫の中に遊戯的な要素を加えて
千早に緊張を与えないためである。
愛撫に慣れた千早が別の場所に気持ちを移したタイミングを見計らい
春香の手が移動を開始する。

お尻の次は太ももだった。
それまで何度か触れたように、太ももの裏側を降りていった春香の手は
膝の辺りで折り返すとさりげなく内腿に触れながら登ってくる。
そして大事な場所に近づいたことで千早の緊張を敏感に感じ取ると
陰毛を迂回してから引き締まった下腹部をあやすように撫でまわす。
千早の緊張が緩んだのを見て、春香は再び攻めに転じた。

ささやかな隆起に達すると、手のひらで膨らみを包み込んで動きを止め
息遣いに合わせて起伏する胸に動きを任せる。
初めて他人に触れられた戸惑いで息を荒げた千早だが、しばらくして
感触に慣れると春香の手のひらの柔らかさ、温かさに落ち着きを取戻し、
軽く抑えられた乳首に軽い疼きを感じていた。
少しくすぐったい……ううん、これは気持ちいいというべきかしら。
穏やかな呼吸を心掛けつつ胸の感覚に集中する。

そのタイミングに合わせ、春香が動きを再開させる。

「んっ!」


膨らみ始めた乳首をこすられ、つい声を漏らしてしまう千早の反応に
春香の愛撫が大胆さを増す。
包み込んだ乳房をゆっくり撫で、その合間に指先で乳首を軽く触れる。
刺激と興奮で乳房全体がしっとりと汗ばんでくると、小さかった乳首も
ツンと立ち上がってくる。

「あっ、やぁ、そこ……くすぐったい」
「じゃあやめておこっか?」
「んっ、ふぁ、もうちょっとだけ……」
「もうちょっとなあに?」
「つ、続けても平気だから」

それならばと春香は少し力を加えて乳房を揉みしだき、その合間に
指先で乳首を摘まんで転がしたりする。

「だめ、はるかぁ……そんな、あぁ、きもちいい」
「やっと正直にいえたねぇ、えらいよ千早ちゃん」
「うん、春香、胸がすごく感じるみたい、あぁ、はぁ、はぁ、んっ!」
「よかった、でもね千早ちゃん。もっと気持ちよくなる場所があるんだよ」

横臥していた千早を仰向けに寝かせ、そのそばに座る春香。
千早に配慮して可能な限りゆっくりと愛撫を進めたつもりだけど、
いよいよ最後の目的を果たすとなれば、この先もう自分ブレーキを
掛けられなくなるかもしれない。
そんなことになれば大切な千早を傷つけたり怖がらせたりしてしまう。
千早の頭や頬に触れながら、自分を落ち着かせようと深呼吸を繰り返す。

一方の千早は、愛撫を中断した春香を見て躊躇いの原因が葛藤だと悟り
自分の頬を撫でる手を口元に運びそっとその指を咥えてみせた。
そしてもう片方の手で春香の右手を誘うと、閉じた足をそっと開いて
最後の場所に導いた。


「千早ちゃん……本当にいいの?」

感情がごちゃまぜになり、泣き笑いのような表情を浮かべる春香。
それを見た千早は限りない愛おしさを感じたまま微笑み頷く。

下腹部に置かれた手がゆっくり下がり、まばらな陰毛に触れる。
ぴくりと反応した千早に一瞬手を止めた春香だが、指先が秘部に触れた瞬間、
躊躇いを捨て手のひら全体を股間に滑り込ませていた。

「春香っ、あぁっ!」
「千早ちゃん! あぁ、ずっとこうしたかったの!」
「うん、春香、いいわよ、いっぱいして」

千早の秘部に触れて感じたのは、火傷しそうな熱さと驚くほど濃密なぬめりだった。
自分の愛撫を受け入れてくれたこと、そしてこんなになるまで反応してくれたこと、
それが春香とっては限りない幸せであり、千早をもっともっと乱れさせてあげたいと
いう刺激になった。

千早の秘裂をまさぐりながら、その形を指先に覚え込ませように。
その千早も春香の興奮が伝染したのか、それまでの慎みや恥じらいを忘れ
他人の指先に蹂躙される快感を喘ぎ声で春香に伝える。
撫でられ、まさぐられ、拡げられ、そしてついに指が膣口を捉え。
ゆっくり犯されるときにも千早に恐れは無かった。
体の中に春香を感じた悦びとそこから生まれる新たな快感。
自分の指ではあり得ないそれが千早の体を何度も飲み込み
激しい波に揉まれるよう何度も翻弄され、その度絶頂を繰り返して
快感の頂点を一瞬ごとに更新していく千早。
やがて膨大な快感が千早の限界を超えたとき、千早は性器に咥え込んだ
春香の指をきつくしめつけながら絶頂を越えて意識を失った。



「大丈夫、千早ちゃん?」
「ええっ、もう平気よ……まだ体がふわふわしているけれど」
「良かった。まさか気を失っちゃうとは思わなかったから」
「あのね春香……こういうことって同性愛になるのかしら」
「もしかして千早ちゃん、私に惚れちゃった?」
「そ、そんなことは……ないと思うけど」
「私は深く考えてないよ、これが私と千早ちゃんのコミュニケーションであり
愛情表現であり、あとは……ストレッチみたいなものでもあるから」
「性的な関係、あるいはセックスとは違うのかしら」
「千早ちゃんの顔と声エッチだったから、エッチってことでもいいんじゃない?」
「……バカ」
「ね、千早ちゃん。こういうの、またしてみたい?」
「ま、まあ春香が望むのならって、ちょっと、あっ、まってまだ」
「素直に言わないともっと滅茶苦茶にしちゃうよ!」
「わ、分ったからとめて……春香とならまたしたいから」
「えへ、私もだよ。それとさ、私のお願いも聞いてくれるかな」
「ええ、無茶なことでなければ」
「うん、簡単なことだよ。私も千早ちゃんにしてもらいたいだけだから」


おしまい。

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