最終更新:ID:Q6r8l70OQg 2012年01月24日(火) 15:53:45履歴
雪、かあ。
事務所から窓の外を見つめて、ぽつりとそうつぶやくと笑いが込み上げてきた。
ボクの頭の中は目の前の雪よりも、雪歩のことで一杯で、
この白い光景を見て彼女はどう思うんだろうって想像してみたり。
「犬が庭を駆け回るのを怖がっていやしないかな」
外に出たくないですぅなんて、涙目で言ってるかもしれない。
声までばっちり脳内再生できて、またくすりと笑いが漏れた。
雪歩は想像でも可愛いな。そんなだからどうしてもほっとけない。
「あーもー、雪見てたら雪歩に会いたくなってきちゃったな。早く遊びたいや」
こんな銀世界は、きっと雪歩の白い肌にとても似合うだろう。名は体を表すっていうのは間違いじゃない。
今日はオフだったはずだけど、来るのかな。もし来たら、雪の中に半分無理矢理でも連れ出してしまおう。
そしたら、そのあとは雪歩が淹れたお茶であったまって、のんびりと事務所でくつろいで。
ずいぶん身勝手だけど、雪歩相手だったらこれくらい強引な方がいいだろう。
ワクワクして仕方がないや。早く来ないかな。
「にやにやして、どうしたの?」
「う、うわぁ! 小鳥さん、いたんですか!」
「……事務員なんだからいますよぅ」
「ごめんなさい!」
小鳥さんがぐすんと泣き真似をして、真ちゃんひどいわ、と続ける。うぅ、面目ない。素で忘れてました。
「他のみんなが出払っちゃってるから、真ちゃんに雪かき頼もうと思ったんだけど」
「あ。ああ、そうですか。うん。分かりました」
確か、雪歩のシャベルがロッカーに置いてあったはずだ。
「えっと、これか。じゃあ行ってきます」
申し訳なさのせいか、なんとなく小鳥さんから目を逸らしながら事務所を出ようとする。
「あ、雪歩ちゃんが来たらよろしくねー」
すってん。雪に滑ったわけでもないのに、転んでしまった。
「な、な、ななな、んでそこで雪歩が出てくるんですか!」
「だって、それ雪歩ちゃんのでしょう?」
「あ」
ナチュラルに手に取っていたけど、そっか。雪歩のか。
「そうですよね」
「うんうん。いってらっしゃい」
「はーい」
納得はしたけど、小鳥さんはさっきから人を驚かせすぎだと思う。
……ボクが勝手に驚いているだけな気もするけれど。
もしかしたら、狙ってるんじゃないかってくらい。
体を動かせば気分転換にもなるかな、とため息をついて事務所のドアを開ける。
と、雪歩とちょうど鉢合わせた。
「どわぁ!?」
「きゃあああああ!?」
ボクの叫び声に驚いたのか、雪歩が叫二び返してきて、二人して固まる。
なんでこのタイミングで来るんだろう。ベタな少女漫画じゃあるまいし!
「どうしたの?」
ぱたぱたと駆け寄ってきた小鳥さんが、雪歩を見つけてあらおはようって呑気な挨拶。
雪歩が涙目なまま、ぺこりと頭を下げ返すのを呆然としたまま見つめて、
ボクはばっくんばっくんと心臓に運動を強いていた。
「あ、あの、真ちゃん、大丈夫?」
「うん。まさか人がいるとは思わなくて。驚かせちゃってごめん」
言い訳みたいに笑って、雪歩のシャベルを持ち直す。
すぐにでも遊びに行きたかったけど、雪かきを終わらせないとダメかあ。
「真ちゃん? どうしたの?」
「雪遊びしたいんだけど、雪かき頼まれちゃっててさ。終わったら遊ぼうよ」
ちょっと唐突すぎたのか、雪歩はきょとんとして首をかしげた。
「い、いいけど。雪合戦とか、私、本当にへっぽこだよ?」
「……なんで雪合戦限定なのさ。かまくらづくりとか、平和な遊びでもしようよ」
「あ、うん。それならできるかも」
「やーりぃ! さっさと終わらせてくるから待ってて!」
雪歩が嬉しそうにいってらっしゃいと言ってくれて、やっぱり早く遊びたいなあって気持ちが強くなる。
やってやるぞー。燃えてきた!
「それなら、二人でしてくればいいんじゃないかしら」
「小鳥さんっ」
喉まで出かかったまだいたんですかを飲み込んで、何を言っているんだと視線を送る。
「どうせ遊ぶなら、その方がいいでしょ? 真ちゃん、さっきから雪歩ちゃんと遊びたいって言ってたし」
「なっ、それは言わなくてもいいじゃないですか! っていうか、聞いてたんですか!」
「真ちゃん……その、ありがとう」
「なんでお礼を言うんだよそこで!」
ああああ。なんか耳まで熱くなってきた。すっごい恥ずかしいことを言ってた気になってくる。
「とにかく、雪歩は来たばっかなんだから休んでなよ! それじゃボク、行ってくるから!」
逃げ出すように事務所を飛び出る。
小鳥さんがさっき真ちゃんがねーと言う声が微かに聞こえてきて、それがまた恥ずかしかった。
あとで空手パンチだ。
とにかく、雪かきをしよう。
外で頭を冷やしてしまわないと、このあと、雪歩と遊ぶときにちゃんと顔を見られるかどうかも怪しかった。
事務所から窓の外を見つめて、ぽつりとそうつぶやくと笑いが込み上げてきた。
ボクの頭の中は目の前の雪よりも、雪歩のことで一杯で、
この白い光景を見て彼女はどう思うんだろうって想像してみたり。
「犬が庭を駆け回るのを怖がっていやしないかな」
外に出たくないですぅなんて、涙目で言ってるかもしれない。
声までばっちり脳内再生できて、またくすりと笑いが漏れた。
雪歩は想像でも可愛いな。そんなだからどうしてもほっとけない。
「あーもー、雪見てたら雪歩に会いたくなってきちゃったな。早く遊びたいや」
こんな銀世界は、きっと雪歩の白い肌にとても似合うだろう。名は体を表すっていうのは間違いじゃない。
今日はオフだったはずだけど、来るのかな。もし来たら、雪の中に半分無理矢理でも連れ出してしまおう。
そしたら、そのあとは雪歩が淹れたお茶であったまって、のんびりと事務所でくつろいで。
ずいぶん身勝手だけど、雪歩相手だったらこれくらい強引な方がいいだろう。
ワクワクして仕方がないや。早く来ないかな。
「にやにやして、どうしたの?」
「う、うわぁ! 小鳥さん、いたんですか!」
「……事務員なんだからいますよぅ」
「ごめんなさい!」
小鳥さんがぐすんと泣き真似をして、真ちゃんひどいわ、と続ける。うぅ、面目ない。素で忘れてました。
「他のみんなが出払っちゃってるから、真ちゃんに雪かき頼もうと思ったんだけど」
「あ。ああ、そうですか。うん。分かりました」
確か、雪歩のシャベルがロッカーに置いてあったはずだ。
「えっと、これか。じゃあ行ってきます」
申し訳なさのせいか、なんとなく小鳥さんから目を逸らしながら事務所を出ようとする。
「あ、雪歩ちゃんが来たらよろしくねー」
すってん。雪に滑ったわけでもないのに、転んでしまった。
「な、な、ななな、んでそこで雪歩が出てくるんですか!」
「だって、それ雪歩ちゃんのでしょう?」
「あ」
ナチュラルに手に取っていたけど、そっか。雪歩のか。
「そうですよね」
「うんうん。いってらっしゃい」
「はーい」
納得はしたけど、小鳥さんはさっきから人を驚かせすぎだと思う。
……ボクが勝手に驚いているだけな気もするけれど。
もしかしたら、狙ってるんじゃないかってくらい。
体を動かせば気分転換にもなるかな、とため息をついて事務所のドアを開ける。
と、雪歩とちょうど鉢合わせた。
「どわぁ!?」
「きゃあああああ!?」
ボクの叫び声に驚いたのか、雪歩が叫二び返してきて、二人して固まる。
なんでこのタイミングで来るんだろう。ベタな少女漫画じゃあるまいし!
「どうしたの?」
ぱたぱたと駆け寄ってきた小鳥さんが、雪歩を見つけてあらおはようって呑気な挨拶。
雪歩が涙目なまま、ぺこりと頭を下げ返すのを呆然としたまま見つめて、
ボクはばっくんばっくんと心臓に運動を強いていた。
「あ、あの、真ちゃん、大丈夫?」
「うん。まさか人がいるとは思わなくて。驚かせちゃってごめん」
言い訳みたいに笑って、雪歩のシャベルを持ち直す。
すぐにでも遊びに行きたかったけど、雪かきを終わらせないとダメかあ。
「真ちゃん? どうしたの?」
「雪遊びしたいんだけど、雪かき頼まれちゃっててさ。終わったら遊ぼうよ」
ちょっと唐突すぎたのか、雪歩はきょとんとして首をかしげた。
「い、いいけど。雪合戦とか、私、本当にへっぽこだよ?」
「……なんで雪合戦限定なのさ。かまくらづくりとか、平和な遊びでもしようよ」
「あ、うん。それならできるかも」
「やーりぃ! さっさと終わらせてくるから待ってて!」
雪歩が嬉しそうにいってらっしゃいと言ってくれて、やっぱり早く遊びたいなあって気持ちが強くなる。
やってやるぞー。燃えてきた!
「それなら、二人でしてくればいいんじゃないかしら」
「小鳥さんっ」
喉まで出かかったまだいたんですかを飲み込んで、何を言っているんだと視線を送る。
「どうせ遊ぶなら、その方がいいでしょ? 真ちゃん、さっきから雪歩ちゃんと遊びたいって言ってたし」
「なっ、それは言わなくてもいいじゃないですか! っていうか、聞いてたんですか!」
「真ちゃん……その、ありがとう」
「なんでお礼を言うんだよそこで!」
ああああ。なんか耳まで熱くなってきた。すっごい恥ずかしいことを言ってた気になってくる。
「とにかく、雪歩は来たばっかなんだから休んでなよ! それじゃボク、行ってくるから!」
逃げ出すように事務所を飛び出る。
小鳥さんがさっき真ちゃんがねーと言う声が微かに聞こえてきて、それがまた恥ずかしかった。
あとで空手パンチだ。
とにかく、雪かきをしよう。
外で頭を冷やしてしまわないと、このあと、雪歩と遊ぶときにちゃんと顔を見られるかどうかも怪しかった。
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