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ディテクティブシティ―この町に、世界一の名探偵を目指す一人の少女がいた。


喫茶店「221B」、その上の階の窓に「萩原探偵事務所」の文字が書いてある。


その事務所にいるのは、二人の少女。


「やよいちゃん、掃除終わった?」

「はい、ピカピカです!」

「じゃあ、お茶にしましょうか」

「はい!!」


萩原雪歩:世界一の名探偵をめざす探偵。穴掘り探偵の異名を持つ。
 穴を掘りながら事件のことを考えると、真実を掘り当てる。

高槻やよい:雪歩の助手。お掃除大好き。
  お金の心配を良くするが、雪歩の為に頑張っている。


「あの、雪歩さん?」

「なぁに?」

「家賃は大丈夫ですか?」

「ぶぅっ!!」


この事務所はちょっと貧乏だが、やよいの節約術の御蔭でなんとかなっていた。


「やよいちゃん!! 私、そこだけは気にしちゃダメって言ったよね!?」

「ご、ごめんなさい……でも……」

「私はやよいちゃんにずっと笑っていてほしいだけなの!!」

「雪歩さん……」

「やよいちゃん……」


二人は頬を赤く染めて見つめあっている。

すると……


「……そろそろいいかしら?」

「わっ!!」

「きゃっ!!」

「まったく、どこのどいつがココを推薦したんだか……」


おデコがきらりと光る刑事・水瀬伊織が二人に呆れていた。


水瀬伊織・巡査部長。分かりやすく言うと刑事。ストレスで前庭が広くなってきた。


「伊織ちゃん! 来たなら来たって言って……」

「言ったわよ。ラブラブ空間出してたのはどこのどいつよ!」

「はいはい。うらやましいからって妬かないの」


そう言って、事務所に入ってきたのは伊織の上司、秋月律子である。


秋月律子・警視。口癖は「最後にもう一つだけよろしいですか?」


「なっ!? 誰が妬いてなんか……」

「こっちも見せ付ければいいのよ!」

「って、ちょっ、律子!?」


律子が伊織の頭を撫で回し始める。


「あのぅ……お仕事の話は……?」

「そ、そうね。ちょっと調子に乗りすぎたわ」


伊織の頭から手を離す律子。


「いつもこうだといいのに……」

「伊織、ぶつぶつ言わないの。警察に予告状が届いたの。例の二人からね」

「怪盗マコマコリンと……」

「怪盗スカーレッドですね……」


怪盗マコマコリン・闇に潜む黒衣の怪盗。その妖しい魅力にメロメロになった女性は数知れず。

怪盗スカーレッド・赤い夢に住むと言われている真紅の怪盗。物に価値をつける事が許せず、
 「神の前では皆同じ」ということを証明するために、数多くの美術品を破壊してきた。


「でも、なんで私なんかが? これは警察や四条警備会社の仕事ですよね?」

「今回二人が狙ったターゲットが、偶然にも同じでね」

「それは?」



同時刻・喫茶店「221B」


「幻の箱? それはまた興味深いデスね?」


店のカウンターでグラスを洗いながら妄想にふけるマスターを横目で見つつ、
金髪ツインテールのゴスロリ少女・鈴木彩音は目の前の人物に話しかけた。


鈴木彩音・通称サイネリア。ひきこもり探偵:絵理の助手で、元巡査。


「そう、四条家に残されている謎の遺産。貴女の所の探偵さんが興味をそそられる内容じゃない?」


彩音の前には二人の女性がいたが、そのうちの一人、
隠しても隠し切れないオーラが彼女の強烈な存在感をかもし出していた。


日高舞・元探偵。この町で起こった最大級の事件を見事解決したが、
現在は情報屋になっている。通称:クイーン。


「で、あのぅ鈴木さん……」

「鈴木言うなっ!!」

「ご、ごめんなさい……」


もう一人の女性は、彩音に余計なことを言ってしまい、
自分のメガネのそばに手を当てながらしゅんとなってしまった。


岡本まなみ・情報屋。通称:エリザベス。優秀だが、交渉スキルはほぼ0で損ばかりしている。


「まぁ、今回の話はエリザベスが持ってきたものよ。邪険にするものではないわ」

「う……」

「えーと、サイネリアさん。絵理さんに受けるかどうか聞いてもらえますか?」

「ああ。それの確認だったんデスか? 大丈夫デス。センパイはやる気はありますから」


サイネリアが胸の辺りから携帯電話を取り出すと、向こうから声が聞こえてきた。


『……とりあえず、話だけでも聞かせてもらえる?』


水谷絵理・ひきこもり探偵。元警部補。ある事件をきっかけに自分の部屋から出れなくなってしまう。
 部下であったサイネリアに外に出てきて事件を探してきてもらい、一緒に解決するという  スタイルで探偵業を行っている。情報を白い壁にマジックで書いていき、  その事件が解決すると、白いスプレーで上から塗っていくのが実は一番の楽しみ。



同時刻・水谷家:絵理の部屋・通称A別館


「……じゃあサイネリア、お願いね?」

『まかせてくだサイ!!』


白い壁に情報を次々と書いていく絵理。

そこに、一人の女性が近づいてくる。


「また、事件?」

「……尾崎さん?」


尾崎怜子・元警視正。ある事件をきっかけに警察を辞め、絵理のサポートに徹している。


「でも、どういう事件なのこれ?」


白い壁には
『幻の箱』『四条家』『スカーレッド』『マコマコリン』
と、書かれている。


「……まだ、わからない?」

「四条家の幻の箱なら私も聞いた事があるわ」

「……教えて?」

「その箱を開けたせいで、四条家の当主が娘に代わったって話よ」


絵理は白い壁に『現当主の陰謀?』と書く。


「いや、そうと決まったわけじゃないでしょうが」


場所は変わって……再び喫茶店「221B」


妄想しながらコーヒードリッパーを見ている店主を横目に、
ポニーテールの女性と、第一印象は海老みたいな女性が会話している。


「さすがは、ウォッチャガール。情報の正確さにおいては群を抜いているわね」

「へへーん。自分完璧だからな、なんくるないさ〜」


我那覇 響・情報屋。通称ウォッチャガール。
  自分で完璧だと言っているが、そうでもない。


「ま、夢子には感謝してるよ。自分をこんなに頼ってくれるんだもんな」

「私は真実のためならどんなこともするだけよ」


桜井 夢子・検事。真実のためならどんなことでもする。


と、そこに……。


「あ、夢りん発見!!」

「とっつげき〜!!」

「って、ちょっと!? いきなり!?」


双海亜美・二人で一人の弁護士。
双海真美・彼女達の法廷は常にめちゃくちゃになる。


「はぁ……上の探偵さんもこの二人くらい元気があれば、自分みたいにすごくなれるのにねぇ……?」



四条家の屋敷―


その門の前で、3人の女性が言い争っている。


「だから! ここは関係者以外立ち入り禁止なんですっ!!」


この3人の中では一番背の小さい女性が文句を言っている。


日高 愛・四条警備会社のルーキー。
     以前怪盗スカーレッドから物品を守った功績のおかげでスカーレッド担当に任命されている。
 得意技は突撃。


「けれど〜、事件がおきる予感しかしないので、入ってもいいですか?
 私、探偵の三浦あずさと申します」


三浦あずさ・今のところこの町で一番の探偵。しかし、方向音痴のため、一人で事務所に帰れたためしがない。
  ただし、行った先の事件はすべて解決していて、その間だけは迷わない。


「え? あなたがあの、三浦あずさなの?
 悪いけどぜんぜん、すごそうには見えないの」


金髪の女性がものすごく失礼なことを言う。


星井美希・四条警備会社のベテラン。
     以前怪盗マコマコリンに惚れてしまい、捕まえようと努力している。
 夜型なので昼間は寝てることが多い。


そこに、青色のワゴン車が猛スピードで来て門前でとまる。

そこから車と同じ髪の色の女性が降りてくる。


「申し訳ありません! あずささん! また迷惑かけて!!」


如月千早・あずさの助手。GPSで常にあずさを追いかけている苦労人。でもがんばる。


「あら、千早ちゃん。今日は早かったのね?」

「行く先々で事件を起こさないで下さい!」

「逆よ〜。事件が私の行く所で起こるだけよ」


千早の文句は見事なまでにあずさにスルーされていく。


「あれ? あずささんじゃないですか?」

「あら〜、雪歩ちゃん。やっぱり事件はココで起こるのね」

「雪歩先輩!?」


そこに、雪歩とやよいがやってきた。

あずさはそれを見て自分が間違っていないことを確信し、
愛はちょっとびっくりしながらも雪歩のことを呼んだ。


雪歩と愛は、探偵を育てる学校の先輩後輩だった。
しかし、愛は推理する方よりも守る方を選び、四条警備会社に入社したのだ。


「警察からの要請もあるし、あずささんも一緒に入れてくれないかな?」

「ええ〜? それはめんどくさいの……」


美希から文句が出る。


「ちょっと待つデス!」

「……えーと?」


そこに、サイネリアまで登場してきた。


「あなたは確か、さいばすたーさん?」

「そうそう、サイフラッ……って違う!! サイネリア!!」


やよいのボケにノリツッコミするサイネリア。


「探偵は多く要ればいいでしょう?」

「確かに、これだけ探偵が要れば心強いですね……」

「四条さん……」


そこにとうとう、この家の当主まで姿を現した。


四条 貴音・四条家当主。
  四条警備会社の社長でもある。


「外の警備は他のものに任せ、ココにいる全員中に入ってください。問題の品をお見せします」



―四条家・リビング



「二人の怪盗から守ってほしい物、それは母上が手にしている箱です」


執事服を着た人物が、車椅子を押して歩いてきた。

車椅子には小箱を抱えた女性が座っていた。


「あの人が……」

「四条家の財を数十倍に増やした人……」


四条 実・四条家前当主。四条警備会社会長。
 夫の死後、その資産を数十倍にまで増やしたが、  今はその影すらない。旧姓は石川。


「箱の中身を守ればいいんですね?」


と、雪歩は聞くが貴音は首を横に振る。


「見ていただければ分かるのですが……」


執事服を着た人物が箱の蓋を開ける。


「空っぽ……!?」

「はい。不思議なことに、この箱は空なのです」

「……この箱を開けてから、様子がおかしいんデスよね?」


サイネリアが実を指差しながら言う。


「はい。母上はうわ言ばかりを呟いて……」

「……声が無いのがいけなかった……。
 ……出現条件が厳しいのがいけなかった……。
 ……パネルが多すぎるのもいけなかった……。
 ……何より、あの箱を開けたのが一番いけなかった……」

「いけなかったばかり言ってますね〜」

「この箱には何の仕掛けも無かったんですよね?」

「はい。本当にただの木の箱なのです」


全員の頭に?マークが浮かぶ。

二人の怪盗は、なんでこんな箱を盗もうとするのか。

周りに宝石が付いているわけでも無し、中身があるわけでも無し。


「あの、あなたは何かご存じないのですか?」

「ボク、ですか?」


雪歩は実を連れてきた執事服の人物に話し掛けた。


菊地 真・執事服を着ているが女性。ボディーガードらしい。


「まったく分からないですね」

「そうですか……」


そこに、ティーセットを持ってメイドが歩いてきた。

だいぶ足元がふらついているが、こけないのが不思議だ。


天海 春香・メイド。物を持っているとこけない。物を持たないと1mmの段差で躓く。


「ダージリンを御持ちしました」

「ありがとうございます。皆さんお茶に……」

「あの、ちょっと待ってください〜」


突然あずさが言った。


「そこのメイドさん、どっちかは分からないけど怪盗さんですね〜?」

「え?」


春香は、 〆(のワの) な顔をしている。


「とぼけてもダメですよ。今ティーカップにお茶より先に砂糖入れたでしょ?」

「そ、それは……」

「その砂糖は、睡眠薬だと思います。私達を眠らせるための」

「…………!!」


あずさは春香を指差し、


「あなたのやったことは、全部まるっとおみとおしです!」

「バレては、しかたない……」


メイド服を放り投げ、春香は正体を現した。


「……怪盗スカーレッド、参上」

「今日こそ捕まえますよ!!」


愛は張り切っている。


「いいや、獲物はボクのものだ」

「え……?」


真が、執事服を放り投げると彼女もまた正体を現した。


「怪盗マコマコリン、参上!」

「ならこっちはミキが捕まえるの!!」


美希も張り切っている。


「では、問おうか? ボクが狙っているものは何なのか?」

「アタシのセンパイが答えを導き出したデス!」


サイネリアの携帯から絵理の声が聞こえる。


『……キーワードは、「箱」、「前当主の変わりよう」、「目に見えない」。
 その箱はパンドラの箱。だから開けた前当主は絶望にまみれてしまった。
 けれど、パンドラの箱にはもうひとつ別のものが入っている。
 それが怪盗マコマコリンが狙っているもの、それは?』


「その箱の中の『希望』デス!!」

「な、なんと面妖な!!」

「動かないでもらおうか」


マコマコリンはピストルを取り出し、実の頭に押し付ける!


「母上!!」

「ご心配なく」


マコマコリンは実に耳打ちをする。


「そうか……」

「母上!?」


突然、実が普通に喋り出した。


「絶望にはまだ早い! 私はまだやれる!!」

「母上!!」


貴音が実に泣きつく。


「モノは頂いた。ではさらば!!」


マコマコリンは逃げ出した。


「待つの!!」


美希がその後を追いかける。


「けど、どういうことですか? 怪盗マコマコリンは何も盗んでませんよ?」

「やよいちゃん、怪盗マコマコリンはちゃんと盗んでたよ?」

「え、雪歩さん?」

「四条実さんの『自信喪失』をね」



「母上、あの方はなんと?」

「『物の価値は変わっても、人の価値は変わらない。
  欲望に忠実に生きるのも悪くはない』、と」


実は貴音をぎゅっと抱きしめる。


「は、母上!! 放してください!」

「欲望に忠実に生きるって決めたからダメ」

「ほ、微笑ましい事を!!」


なぜか、千早が叫ぶ。


「ああ〜、逃げられた……」


愛ががっくりと肩を落としながら帰ってきた。


「スカーレッドの狙いは、ダージリンだったんですよ……ああ、もったいない……」


こうしてこの事件は幕を閉じました。


いまだに二人の怪盗は捕まっていません。

貴音さんはあれ以来マコマコリンを「嫁にする」といって聞かないし、

実さんはかわいい女の子にハグをしまくりです。


けれど、これでよかったのかもしれない、と私は思います。


やよいは今回の事件のことを「そーさきろく」と書かれた日記帳に書いていた。


「やよいちゃん、事件だよ!」

「はい、すぐ行きます!」


ディテクティブシティ―

ここは乙女たちが関係を織り成す場所である―

あれ、なんかちがくね?

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