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「ちょっと律子」
「律子さーん」
「りっちゃぁん」

今月は出費が多い。
三倍返しだなんだ騒がしいホワイトデー。
本来男性が女性に贈り物をするべき日の筈だが、友チョコなんかが流行り出すとその体を全く成さない。
当然我が765プロでも友チョコのお返しの友チョコが絶賛流行中だ。

この様子を見てると、ホワイトデーなんかではなく、第二のハロウィンとかにしてしまったほうが良い気がする。
だって、この子たちはただお菓子を配りたいだけだし。

「律子、さん」

今度は美希が来た。
はいはいちゃんと用意してあるわよ。

私もこの流行に乗らないと大変なことになる。
ある双子はゴネて、ある双子は嘘泣きし、ある双子は私を恫喝し・・・。
だから私もちゃんとマニュアルに従って、手作りでお返しを製作した。

「えっ・・・くれるの・・・?」

美希は心底驚いた顔をしている。
何がそんなにおかしいのか。

「ううん、ミキ、バレンタインのお返ししようと思って」

美希がお返しかぁ。
バレンタインの日、美希にあげたっけ?

売れ出してくると、期間中に会うことが難しい子が出てくる。
人数分用意したのに余ってしまうのはそういうことだ。

「むぅー憶えてないの?一番最初に貰いに行ったのに・・・」

はいはい失礼しました。
ってどんだけチョコが欲しかったのよ。

「そうじゃなくて・・・もう!律子のそういうとこ、やっなの!」

律子さんでしょうに。
そう注意したところで、そっぽを向いてしまい、聞く耳を持たない美希。
はぁ、もういいから早く移動しなさい。

というよりバレンタインに、私は美希から何か貰っただろうか。
もし貰っていなかったならば、これはお返しにならないような気が。

「ぇ・・・本当に憶えてないの・・・?」

そ、そんなことないわよ?
確か貰った・・・ような気が・・・。

ショックを受けた美希の声に思わず狼狽える。
そんな顔しなくていいじゃない、悪かったわよ。
だって自慢じゃないけどかなり多かったし・・・。

では晴れて私のホワイトデープレゼントはお返し成立ということでして。
では何故美希は驚いていたのかということでして。

「律子、さんからチョコを貰ったからだよ。お返ししようとしたらお返しされたから」

なる程。
美希も私にお返しするつもりだったのね。
白ヤギさんと黒ヤギさんか。

「はい、あげる。頑張って作ったんだよ?」

どうやら美希も手作りらしい。
凝ってるわね。

「その・・・いつもありがとう、律子さん」

驚いて美希の顔を見たが、その時にはもう後ろ姿で顔は見えなかった。
だけど、その一言にどれだけの覚悟が必要だったかは、私にも推し量る事が出来た。
だって耳まで真っ赤になってるんですもの。

ありがとう、美希。嬉しいわ。

美希は逃げるように事務所を出て行った。

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