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私の名前は日高愛!
これでもちょっとは知られたアイドルなのです。
そんな私が散歩していると、道の向こうから同じ事務所の涼さんの従兄弟の涼太郎さんが歩いてきました。
前に涼さんの学校で見掛けた時のようなラフな格好のままで、隣には赤いトップスの女の人と一緒です。
「涼太郎さん! こんにちは!」
「…えっと、愛ちゃんだったかな? こんにちは」
その人はとても爽やかな笑顔で答えてくれました。
涼さんに眼鏡を掛けさせた感じの、少し線の細い人だけど、
す〜っごく格好いいお兄さんです。
イケメンオーラとでも言うのでしょうか?
アイドル顔負けの、年下の私でさえクラクラ来るような笑顔です。
眼鏡の奥の切れ長の目をちょっとだけ細めて、
真っ白い歯が光ってます輝いてます。
芸能人はハガー命とか冗談言ってる場合じゃありません。
日高愛13歳のハートを直撃です。
お話ししているだけでドッキドキしちゃってます。
もう何年かしたらトレンディドラマで引っ張りだこは間違いありません。
でもその腕を組んでいる同い年くらいの女の人は複雑そうな表情。
デートの邪魔しちゃったみたい。
そりゃそうだよね。
涼太郎さんくらいイケメンで優しい人に彼女さんがいないわけがありません。
お邪魔虫はとっとと退散しましょう。
「それじゃあ涼太郎さん、さようなら!」

「うん、涼によろしくね」
台風のように去っていったチビっ娘を見送ると、
この馬鹿はひとつ溜息をついてからいつものようにヘラヘラ顔に戻って、
「危なかったね。でも僕の演技もなかなかだったでしょ?」
さっきの映画俳優ばりのイケメンオーラはどこへやら。
あたしにだってその顔を向けて欲しいのに。
横顔を見ていただけで、正直濡れちゃったのに。
「あれ、どうかしたの? 夢子ちゃん熱でもあるのかな。
 さっきより顔が赤いよ?」
やっぱりこいつは女心ってのをまだ理解していない。
だからあたしは。
「ねぇ、涼?」
「うん?」
右手の握り拳に力を溜めながら、とびっきりの笑顔で告げる。
「あんたアイドルだから顔は勘弁してあげるわ」

「ぎゃおぉぉぉぉぉん!」
今日も今日とていつもの悲鳴が青空に響き渡る。    (おわり)

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