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「よーし書けたぞ」
「七夕の短冊…響はどんな願い事を書いたのでしょう?」
「もちろん!トップアイドルになって、皆を感動させたり喜ばせたり出来ますように、だ!」
「ふふ、やっぱり。だけど響らしい、素敵な願い事です」
「そういう貴音はどんなお願いを書いたんだ?折角の七夕なんだし、思い切ったことを書いちゃっても良いと思うぞ」
「私は……私の願いは…」
「……貴音?」
「響…確か、七夕という行事には、星の海によって別たれた男女の逸話がありましたね」
「ああ、離れ離れになった織姫と彦星が、年に一度だけ、七夕の日に天の川で再会することが出来るんだ。
 なんだか可愛そうな話だよな、好き合っている相手と一日しか会えないって言うんだから」
「しかし雨が降る年には、二人が再会することはままならぬ…。
 …もし、七夕の日にずっと雨が続くとしたら、永久に別たれたままだったとしたら、織姫と彦星はどうなってしまうのでしょうね。
 想い人との再会を夢見ながら…決して叶わぬ願いに、その身を焦がし続けるのでしょうか」
「貴音、お前…」
「私だったら、きっと耐えられません。星を眺めながら、失われた過去を想って泣き腫らすだけでしょう。
 いつまでもずっと……今みたいに、ひとりぼっちで」
「なあ、貴音」
「はい」
「自分さ、家出同然にこっちの方に出て来ちゃってな。
 トップアイドルになって結果を出すとかしないと、家に帰り辛いんだよ。
 そういう意味じゃあ、自分も今は帰る家が無いのと同じかもしれない」
「以前、お聞きしたことがあります」
「でもな、やっぱり家に帰りたいと思う時があったりするんだ。
 大丈夫、なんくるないさーって自分に言い聞かせても、結構辛かったりするんだよ。
 そんな時は…こっちで出来た友達のことを思い出すことにしてる。
 貴音、お前とかな。お前っていう友達がいるから今の自分は頑張れている、これは間違いないぞ」
「………」
「…願い事、書いてみたらどうだ?
 それで貴音の気が紛れるなら良いだろうし、いつか本当に願いが叶えば万々歳だ。
 もちろん、自分も貴音の力になってやるぞ。自分に出来ることがあるなら、遠慮しないで何でも言ってくれ」
「では…響、今の私の願いを聞いて下さいますか?」
「ああ、何をしたらいいんだ?」
「では――」

 ぎゅっ

「僅かの間、その胸をお貸し下さい。故郷を想って涙を流す、弱い私を…どうかお許しになって下さい…」
「うん…いいよ」
「ありがとうございます、響。……うぅっ、うっ…ぐすっ…」
「…七夕の雨は織姫が泣いてるせいだって話だった。だったら、思っきり泣けばいい。
 涙が涸れちゃえば、雨が止んで…織姫の願い事は叶うってことだもんな…。
 貴音、お前の気持ちは良くわかる。自分だって、家に帰りたいって…泣いたりすることがあるんだぞ…」

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