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何歳ぐらいだったかな…急に遠くへ家族で買い物に行ったんだ。どうせ父さんは、ドライブのついでに僕のトレーニングの為の道具でも買う、ぐらいのつもりだったんだろうけど。
着いたのはオープンしたばかりの、その頃日本一大きかったらしい郊外にあるショッピングモールで、人がいっぱいいて…そして、あの子がいたんだ。

「うっうっ…うわ?ん、おかあさ?ん…ひっくっ…」「お嬢ちゃん、迷子か?放っておくわけにはいかないな…」
父さんは自分で探すつもりだったようだけど、迷子センターに預けた方が確実だと母さんが止めたので、その子を抱きかかえて連れて行った。
「それでは、よろしくお願いします…よし、後は任せよう。行くぞ真」
うなづいて歩き出した所で振り返ってみると、その子はまだ泣いていた。僕と同じぐらいの年に見えた。
「お母さん、わたしを置いて帰ったのかも…電車に乗って遠くからきたのに、わたしもう帰れないの…」
あの子はお母さんのことが大好きなんだ、僕もお母さんと急に離ればなれになったら…そう考えると、そのままにしておけなかったんだ。
「お父さんとお母さんは2人でお買い物に行ってて。ぼく、この子のお母さんが迎えに来るまでいっしょに待ってる」
父さんはにこっと笑って、それでこそ俺の子だと頭をわしわしなでてくれた。…正直痛かった、子供相手なんだから考えてほしかった。

それからお父さんとお母さんは側のベンチに座って、僕はあの子のお母さんが来るまでずっと手をつないで、少しでも元気付けようといろんなことを話した。
それで歌が好きだって言うから適当に歌ってみたら、急に笑顔になって一緒に歌い始めて、迎えが来た時には4曲目を歌い終わっていたっけ。
「ごめんね、お母さんが少し目を離しちゃったばかりに心配させちゃって…本当によかった……」
優しそうなあの子のお母さんは僕の方を見て微笑んだ、「あなたのおかげね、ありがとう。私の娘を守ってくれて」

「それじゃバイバイ!」「ちょっとまって、わたしの宝物あげる!お母さん、いいよね?」「ええ、もちろん」
その子はそう言うと、頭に結んでいた2つの赤いリボンを取って、僕に手渡してくれた。
「今日のお礼!ありがとう、また一緒に歌おうね!」「うん、また一緒に歌おう!またね!!」

「…なんて事が昔あったんだけど、昨日部屋の掃除してたらあの時のリボンが出て来て急に思い出しちゃってさあ」
「へぇー、真ったらその頃からかっこよかったのね」「…いやここは優しいとか言ってよ、なんでわざわざかっこいいって言うの」
「ごめんごめん、でも私も似たような事あったよ!真とは逆に、迷子で泣いてたところを助けてもらったんだけど…かっこよかったなあ、あの男の子」
「男の子、かあ…あ!まさか春香、それって……初恋!?」
「!?やだ真ったら、急に何言い出すのよ!べ、別にそういうのじゃないの!!…でも、またねってお別れしたのに、あれから一度も会えなくて残念だったな」
「僕も会えないままだなあ…あの時あの子と一緒に歌った時、歌うのがこんなに楽しいって初めて知ったんだ。いつかまた一緒に歌いたいな!」

「ねーねー律子……さん、つっこんであげた方がいいのかな?」「ほっときなさい。さ、休憩終わり!リハーサルを続けましょう、次は春香と真のパートから!」

『はい!!』





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