最終更新:ID:Fk4EbDUIQA 2009年01月16日(金) 08:42:55履歴
「・・・ふぅ・・・」
千早、誰もいない事務所の会議室で、一人、ため息をついている。
春香、赤いバラを手に歌を歌いながらドアを開けて入ってくる。
「♪ひゃくまんぼんの、バ〜ラのは〜な〜を〜」
「は、春香!?あ、こ、この会議室、使うんですか?」
「ううん。いいよ千早ちゃん、気にしないで。別に仕事しに来た訳じゃないから。それより千早ちゃん、どうしたの?溜め息なんて吐いて」
「・・・い、いえ、何も・・・」
「ふぅん?・・・そっかぁ。これがマリッジブルーってやつなんだ」
「まっ、マリッジブルー!?」
千早、声を裏返らせて立ち上がる。
「あれ、違うの?」
「違うも何も・・・いったいどうして、どこから、そんな発想が出てくるのかと」
「え?だって千早ちゃん、結婚するんでしょう?」
「けっこん?だ、誰が、そんなもの!?」
「千早ちゃんと、プロデューサーさんが。だって、もう事務所中の噂になってるよ」
「ど、どうしてそんな噂が・・・」
「うーん、やっぱり、あれじゃないかなぁ」
<回想シーン>
千早、事務所のキッチンスペースでエプロンを着け、鍋をかき混ぜている。
「♪おっかしなお菓子がふふんふ〜ん ありそでなさそでふふんふ〜ん」
千早、ふと視線を感じて振り向く。
「・・・ひうっ!」
真っ青な顔で凍り付いて立ちつくす、雪歩と目が合う。
雪歩、首を傾げる千早の前で、震えながら目に涙を浮かべて首をぶんぶんと振る。
「雪歩・・・なにをしているの?」
「ご、ごめんなさいっ!見てませんっ、聞いてませんっ!私、なにも知りませんっ!!」
「・・・?」
あずさ、雪歩に気付いて近寄ってくる。
「あら〜?雪歩ちゃん、どうしたの?」
「・・・あ、あずささ〜んっ!」
雪歩、あずさの胸にしがみついて泣き出す。
あずさ、首を傾げたままの千早の方へ向き、うなずく。
「あらあら、まぁまぁ。なるほど〜、そういうことだったの〜」
<回想終了>
「・・・ええと・・・それで、つまり、・・・何を言いたいの?春香」
「プロデューサーさんに、チョコを作ってたんでしょ?もう事務所中の、噂だよ♪」
「だっ・・・誰がそんなでたらめを・・・!」
「そうなの?でも、だって、・・・千早ちゃん、他にあげる人がいるの?」
「えっ?・・・わ、私の事より、春香はどうなんですか?」
「私?私は、まだそういうの、ちょっと早いかなぁ、なんて。お世話になってるお礼に、プロデューサーさんには渡したけど」
「そう・・・そうよね」
「あ、やっぱり怪しいなぁ?千早ちゃん、いま、ほっとしたでしょ?」
「そ、そんなことはないかと。春香の気のせいです」
「ふんふん。私と千早ちゃんの仲なんだし、別に照れなくてもいいじゃない。・・・チョコ、渡したいんでしょ?」
「春香と、私の・・・はい。・・・渡したい、・・・です」
「そうこなくっちゃ。素直が一番!じゃあ私がプロデューサーさんの役やったげるから、練習してみない?」
「れ、練習!?」
「うん。それじゃ、まず挨拶からね」
千早、うなずいて軽く会釈。
「おはようございます、春・・・プロデューサー」
「おはよう、千早。なかなか素敵な服だね」
「春香・・・プロデューサーこそ、とってもかわいらしい服で」
「あ、えへへ〜。わかる?昨日買ったばかりなの♪」
「ああ、なるほど。どうりで、ここに値札が・・・」
「えっ!?うそ!ほんとだ、980円、おつとめ品、って・・・ちがーう!おつとめ品って、どこにつとめてるのよ千早ちゃん!」
「え?え?765プロ・・・では?」
「そうじゃないでしょ!・・・続けるからね。千早、今日も君の髪、なめらかでとても輝いているよ」
「春香こそ・・・そのリボン、とても素敵です」
「ありがと♪・・・じゃなくて!私じゃなくてプロデューサーさん!プロデューサーさんをほめるの!」
「ご、ごめんなさい・・・」
春香、額に手を当ててため息。
「もう。それじゃ、プロデューサーさんにチョコなんて渡せないじゃない、千早ちゃん」
「わ、私はプロデューサーに渡したいわけでは・・・」
「え?じゃあ、誰に渡すの?ひょっとして、社長さん?」
「い、いえ・・・まさか」
「じゃあ、誰なの?」
「そ、それは・・・その・・・」
春香、千早に顔を寄せて、こそこそとささやく。
「誰にも、絶対に言わないから。私だけに教えて?千早ちゃん」
「は、春香・・・」
千早、ごくりとつばを飲み込む。
「・・・くっ。ぜ、絶対に誰にも言わないと、約束してくれますか?」
「もっちろん!」
「じゃあ、そ、その・・・」
千早、リボンでラッピングされたチョコを取り出して、うつむいたまま春香に差し出す。
「・・・夢?そっかぁ、そうだよね。あは、あはは・・・」
上半身を起こしぎこちなく笑う春香の隣で、シーツがもぞもぞと動く。
「・・・え」
「あ、春香、おはよう」
千早、頬を染めて横になったままシーツで顔の半分を隠す。
「・・・うはぁ」
会議室の向こうに眠る、怪しい世界
以下略
千早、誰もいない事務所の会議室で、一人、ため息をついている。
春香、赤いバラを手に歌を歌いながらドアを開けて入ってくる。
「♪ひゃくまんぼんの、バ〜ラのは〜な〜を〜」
「は、春香!?あ、こ、この会議室、使うんですか?」
「ううん。いいよ千早ちゃん、気にしないで。別に仕事しに来た訳じゃないから。それより千早ちゃん、どうしたの?溜め息なんて吐いて」
「・・・い、いえ、何も・・・」
「ふぅん?・・・そっかぁ。これがマリッジブルーってやつなんだ」
「まっ、マリッジブルー!?」
千早、声を裏返らせて立ち上がる。
「あれ、違うの?」
「違うも何も・・・いったいどうして、どこから、そんな発想が出てくるのかと」
「え?だって千早ちゃん、結婚するんでしょう?」
「けっこん?だ、誰が、そんなもの!?」
「千早ちゃんと、プロデューサーさんが。だって、もう事務所中の噂になってるよ」
「ど、どうしてそんな噂が・・・」
「うーん、やっぱり、あれじゃないかなぁ」
<回想シーン>
千早、事務所のキッチンスペースでエプロンを着け、鍋をかき混ぜている。
「♪おっかしなお菓子がふふんふ〜ん ありそでなさそでふふんふ〜ん」
千早、ふと視線を感じて振り向く。
「・・・ひうっ!」
真っ青な顔で凍り付いて立ちつくす、雪歩と目が合う。
雪歩、首を傾げる千早の前で、震えながら目に涙を浮かべて首をぶんぶんと振る。
「雪歩・・・なにをしているの?」
「ご、ごめんなさいっ!見てませんっ、聞いてませんっ!私、なにも知りませんっ!!」
「・・・?」
あずさ、雪歩に気付いて近寄ってくる。
「あら〜?雪歩ちゃん、どうしたの?」
「・・・あ、あずささ〜んっ!」
雪歩、あずさの胸にしがみついて泣き出す。
あずさ、首を傾げたままの千早の方へ向き、うなずく。
「あらあら、まぁまぁ。なるほど〜、そういうことだったの〜」
<回想終了>
「・・・ええと・・・それで、つまり、・・・何を言いたいの?春香」
「プロデューサーさんに、チョコを作ってたんでしょ?もう事務所中の、噂だよ♪」
「だっ・・・誰がそんなでたらめを・・・!」
「そうなの?でも、だって、・・・千早ちゃん、他にあげる人がいるの?」
「えっ?・・・わ、私の事より、春香はどうなんですか?」
「私?私は、まだそういうの、ちょっと早いかなぁ、なんて。お世話になってるお礼に、プロデューサーさんには渡したけど」
「そう・・・そうよね」
「あ、やっぱり怪しいなぁ?千早ちゃん、いま、ほっとしたでしょ?」
「そ、そんなことはないかと。春香の気のせいです」
「ふんふん。私と千早ちゃんの仲なんだし、別に照れなくてもいいじゃない。・・・チョコ、渡したいんでしょ?」
「春香と、私の・・・はい。・・・渡したい、・・・です」
「そうこなくっちゃ。素直が一番!じゃあ私がプロデューサーさんの役やったげるから、練習してみない?」
「れ、練習!?」
「うん。それじゃ、まず挨拶からね」
千早、うなずいて軽く会釈。
「おはようございます、春・・・プロデューサー」
「おはよう、千早。なかなか素敵な服だね」
「春香・・・プロデューサーこそ、とってもかわいらしい服で」
「あ、えへへ〜。わかる?昨日買ったばかりなの♪」
「ああ、なるほど。どうりで、ここに値札が・・・」
「えっ!?うそ!ほんとだ、980円、おつとめ品、って・・・ちがーう!おつとめ品って、どこにつとめてるのよ千早ちゃん!」
「え?え?765プロ・・・では?」
「そうじゃないでしょ!・・・続けるからね。千早、今日も君の髪、なめらかでとても輝いているよ」
「春香こそ・・・そのリボン、とても素敵です」
「ありがと♪・・・じゃなくて!私じゃなくてプロデューサーさん!プロデューサーさんをほめるの!」
「ご、ごめんなさい・・・」
春香、額に手を当ててため息。
「もう。それじゃ、プロデューサーさんにチョコなんて渡せないじゃない、千早ちゃん」
「わ、私はプロデューサーに渡したいわけでは・・・」
「え?じゃあ、誰に渡すの?ひょっとして、社長さん?」
「い、いえ・・・まさか」
「じゃあ、誰なの?」
「そ、それは・・・その・・・」
春香、千早に顔を寄せて、こそこそとささやく。
「誰にも、絶対に言わないから。私だけに教えて?千早ちゃん」
「は、春香・・・」
千早、ごくりとつばを飲み込む。
「・・・くっ。ぜ、絶対に誰にも言わないと、約束してくれますか?」
「もっちろん!」
「じゃあ、そ、その・・・」
千早、リボンでラッピングされたチョコを取り出して、うつむいたまま春香に差し出す。
春香、ベッドの上で飛び起きる。窓から差し込む朝日に、思わず顔をしかめる。
「・・・夢?そっかぁ、そうだよね。あは、あはは・・・」
上半身を起こしぎこちなく笑う春香の隣で、シーツがもぞもぞと動く。
「・・・え」
「あ、春香、おはよう」
千早、頬を染めて横になったままシーツで顔の半分を隠す。
「・・・うはぁ」
会議室の向こうに眠る、怪しい世界
以下略
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