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目の前が徐々に明るくなった。
カーテンの隙間から漏れる光で、まどろんだ意識がはっきりしてくる。
「ん…」
視界に綺麗な長髪が見えた。
「千早」
寝たままその名をぽつりと呟くと、聞こえたのか彼女が振り向く。
「おはよう、真。起きたのね」
小さな笑みを湛えて。
それが少し嬉しい。
「ちょっと待って。今飲み物持ってくるわ」
そう言って奥に消えて行った。
ぼうっとしていると、昨晩のことが思い出されて顔が熱くなる。
あの時は嬉しすぎてつい勢いでああなってしまったが、後悔はしていない。
今冷静に考えると凄く恥ずかしいのだが…。
ふと、真は自分がジャージを着ていることに気づいた。
千早が着せてくれたのだろうか。
言葉に出さないさり気なさが千早らしい。
そんなことを考えていたら、千早がグラスを持って戻ってきた。
「はい、牛乳でいい?」
「うん。ありがとう」
真は上半身を起こしてグラスを受け取る。
わざわざ牛乳をチョイスするとは…いや、考えすぎか。
「真。身体大丈夫?」
すぐに昨夜のことだと気づいた。
確かに少しだるい気もするが、午後からのコンサートまでには治るだろう。
「平気平気。鍛えてるからさ」
「…ごめんなさい、その…コンサート前なのに、あ…あんなこと」
そう言って千早は俯いてしまった。
良く見えないがきっと顔は赤くなってる。
千早もそれなりに恥ずかしいんだ、と真は思った。
「ホントに平気だって。まあちょっとはだるいけど…でも、それの何倍も嬉しいんだ」
真の言葉に千早が驚いて顔を上げる。
「千早がこんなにボクを想ってくれてるんだって伝わってきて…ああ、凄く幸せだなあって」
「真…」
千早の頬が緩んだ。
以前の彼女の作り笑いとは違う、心からの笑み。
それを見て、真も笑顔になる。
すると突然、真の体が下に引っ張られ、ベッドに倒れた。
目の前には千早の顔と、背景に天井。
そこで初めて千早に押し倒されたのだと理解した。
「ちょっと…いくらボクが体力あるからって、今されたらコンサートで体持たないよ」
「安心して。最後までいく気はないから」
「ホントかなあ…」
疑いの目を千早に向ける。
それが千早には可笑しかったみたいで、クスッと笑い声が聞こえた。
「真、可愛い」
「なっ…」
また顔が熱くなった。
でも、悪い気はしない。
むしろ千早に言われているのだと思うと心が温かくなる。
(ああ…ボク千早のこと好きなんだなあ…)
唇に添えられたぬくもりを感じて、真はそっと目を閉じた。

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