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>210を薄めて引き延ばしてみた。ゆきまこは空気。




「暇だなー…」

20畳はありそうな青畳の上で、ボクと雪歩はだらしなく伸びていた。

GWは海外でロケの予定…だったのだが、件の流感のおかげで予定見合わせ、ぽっかりとスケジュールに穴が空いてしまった。

普段の休日ならお互いの家に遊びに行くし、夏休みなら旅行にでも行くところだけど5日程度の休みではしょうがない。

結局、いつもどおり雪歩の家に遊びに来ているが、3日目ともなるとやる事が無くなってくる、というわけだ。

「暇だね」

何回目になるか解らないやりとりだけど、雪歩は律儀に付き合ってくれている。いや、本当に退屈してるのかな。

ふと、確かめてみたくなった。




「どこかに出かけようか?」

繰り返しから外れたボクの一言に、隣でくつろいでいた雪歩の瞼が少し意外そうに開かれる。が、すぐにまた元の表情に戻って、答えた。

「きっとどこも人がいっぱいだよ」

その答えを聞いて、頬が緩んでしまう。ああ、やっぱり。なんだかんだ言って、ボクと雪歩はこの『退屈な時間』を楽しんでるんだな。

ちょっと考えたふりをして、決まりきった答えを返そうと思っていたら雪歩がこっちに寝転んできた。

「真ちゃん、今、笑った?」

「いや、雪歩と一緒にいられるのが楽しくて」

雪歩の居るほうにごろり、と転がって半身を起こす。

「残りの休みもこうやって過ごすのもいいかなって思ってさ」

と付け加えてみる。お互いが触れるか触れないかの距離だ。

「私も、真ちゃんと一緒ならこういうのも悪く無いかな…」

うつぶせになった雪歩がこちらを見上げてくる。




折角の連休に、この広い部屋でくっついて寝転んでいるボク達は傍から見たらかなり滑稽だろう。

しかし、お互いの存在が空気みたいに身近に感じられるこの状況には何者にも代え難い心地良さがあった。

ボクはまた寝転び、雪歩のほうを向いて言う。

「暇だなー…」

帯に短し襷に長しの休暇も、こんなふうに過ごせるなら悪くない。



作者:百合13スレ340

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