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パーン!

多くの人々が行き交う昼のオフィス街に、突然、乾いた破裂音が響く。
突然の事に誰もが足を止め、刹那の静寂が一帯を覆う。
直後、再びの破裂音。群衆が銃声だと気付いた。
即座に街はパニックへ陥る。怯え、叫び、人々が逃げ惑う。その中――
ただ一人の男が、音の発信源たる銀行へと歩みを向けた。


時同じくして、銀行のロビー。
硝煙が漂う中、それぞれが銃で武装した覆面に黒ずくめの四人組が、銀行を占拠していた。

「いいか、この鞄に入るだけ詰めろ!」
叫びながら、リーダー格と思しき男が銀行員の女性の背に拳銃を突き付ける。
「10分後に、見せしめに何人か殺す!それが嫌なら、早く用意するんだ!」
SMGを持った男が、隅の方へ押しやった客に睨みをきかせながら、肩越しに脅す。
ロビーには他に、ショットガンを持った男が二人。
無力な銀行員は、通報のスイッチに手を伸ばす事もできず、拳銃の男に奥の金庫へと連れ去られる。

「さて、と。アイツが戻るまで――おい、そこの嬢ちゃんども。脱ぎな。まずは下からだ」

ちょうど、多くの学校が願書受付を始める時期。中三や高三と思しき数名の少女に、SMGの強盗は命令した。
絶句し、凍り付く少女たち。だが、隣にいるオバちゃんが立ち上がる!

「アンタ達!?こんな若い子らに」
パーン!
「……オホホホホ……お好きなようにひん剥いてくださいませ……」

座り直すオバちゃん。救いの手は、無かったようだ。
改めて脅威に晒される哀れな少女たちは、蒼白になりながらも、各々のズボンやスカートの止め具を外した――

「ぐぉっ!」
「げぶっ!」
「がはっ!」

瞬間、ガチャッと金属の擦れる音と共に、突如現われた重量を持った何かが、背後から強盗を薙ぎ倒す!
ハッとして顔を上げると、そこには吹き飛ばされ、起き上がらんとする三人の強盗と――
ゴージャスに輝く黄金スパンコールのタキシードとシルクハット、更に金糸銀糸の刺繍が入ったマントに身を包み、道化師の仮面で素顔を隠した男。
その男の片手には、真鍮のような、黄色がかった輝きを放つ鞭。否――五円玉を連ねたものがあった。
鞭を振るった姿勢から一転、怪人は左手で帽子を押さえ、ポーズを決める。
「我が名はマネーマスク!人呼んで……」
マントを一払いすると、風もないのに布地がはためき、まくれ上がり、ぶわっと面積を広げる!
「金色の死神」
名乗り終わると同時、鞭状だった五円玉が瞬間の内に真直ぐな棒状となる。いわゆる蛇腹剣のような機構らしい。

余りにも異常な光景に、一人の少女はスカートの止め具を外した事を忘れてしまった。
手の力が抜け、ストンと落ちるスカート。
空色と白の横縞が、銀行のロビーに花開く。


少女が、もう少年誌でもその程度じゃ誰も喜ばねーよと言われそうなエロハプニングに叫び声をあげる。
だが、そんな事は誰も気にせず、起き上がった強盗の一人が、黄金の怪人に向けてSMGをぶっ放す。
だが、マネーマスクは、五円玉の剣を一振りすると、とぐろを巻くようになったコインを盾に、銃弾を弾く。
ゆるやかな錘形を描く盾は弾丸を左右に受け流し、無人の人の消えた街路へと受け流す。
「畜生が!」
「食らいやがれ!」
だが、SMGを凌いだ盾も、あまり大きくはなく、全身を覆う事は適わない。
同時に放たれた二つ散弾は、嵐の如くマネーマスクを襲う!
音速にも達する弾丸に、数メートルの距離を吹き飛ばされるマネーマスク。誰もが、即死だと思った。

「っぐ!?"御縁玉(タイズ・ウェポン)"では、散弾までは防ぎきれないか!?」

だが、彼は生きていた。
いったいどんな素材なのか、黄金のスパンコールは幾つかが吹き飛んだものの、弾丸の貫通を一切許さず、どこからも血は滲まない。
しかし、激烈な衝撃は、確実にマネーマスクに大きなダメージを与えていた。
強盗の二人が、ショットガンの次弾を装填する。

「できれば、この技は――使いたくなかったんだがな」
ふらつきながら立ち上がるマネーマスク。
ゆらり。彼の姿が歪む。
「!?う、撃て!」
「お、おう!」
重い銃撃音が鳴り、ショットガンが火を噴いた!

「残念だが」
声と同時、突然巨大な何かが出現し、マネーマスクの姿を遮る。
そこに現われた威容――古代人が転がしていそうな、巨大な石の輪によって。

「これこそが私の最終武器、"超古代の円環(エンシェント・ホイール)"」

誰もが言葉を失った。バカバカしすぎる。そして、一瞬の隙が生まれた。

「必殺!」
力強い一声がロビーに響き、漸く我に返る強盗たち。だが、その時には、もう遅かった。
横ざまに石貨を振りかぶったマネーマスクに、ショットガンの装弾も、SMGのトリガーを引く事すら間に合わない。

「"金は天下の回り物(ゴールデン・スパイラル)"!!!」

ジャイアント・スイングのように振り回された直径2メートル近い石環は、強盗たちの意識を、深い闇へと誘った。


回転を終えたマネーマスクは、残る一人の強盗を追い、銀行の奥へ駆ける。
すると、パンパンに札束の詰まった鞄を両手で提げた強盗がやって来る。
想定外の奇人に、目を丸くする強盗。
「成敗!!」
強盗の股間に、激痛が走る!
無言の内に、撃沈する強盗。それを武装解除し、担ぎあげたマネーマスクは、高笑いと共に言い放った。
「これぞ金の力!」


下ネタ失礼。
気絶した強盗を銀行のロビーに積み上げると、マネーマスクはどこへともなく姿を消した。

《了》




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