GENOウィルス蔓延中! うつらないうつさない  このWikiは2ちゃんねるBBSPINKの「金の力で困ってる女の子を助けてあげたい」スレのまとめサイトです

ある所に金持ちの男がいた
金の力で好き勝手やっていたその男は病に冒された
妻も息子も体を労わってくれた
しかしそれが表面上のものであることを男は知っていた
男は誰も信用しなかった
ある日男は路上で靴磨きをしている少女に出会った
みすぼらしい格好の少女にめぐんでやろうと思った
男は少女に靴磨きの代金としては多過ぎるほどの金を払った
少女は代金以上のお金を受け取らなかった
親切心を無下にされたと男は怒った
勢い余って男は少女の道具を壊してしまった
少女は悲しい目を無残に壊された道具ではなく男に向けた
男はなぜそんな目で見られるのか分からなかった
分からなかったがその日から男は毎日のように少女が気になった
多めの金を出しては断られたがそれでも足繁く毎日通った
夜遅くには少女を送りさえした
タクシーを呼ぼうとしてもったいないと怒られた事もあった
なぜか少女はいつも恥かしがって送るのは家の近くまでだった
二人が仲良くなるのに時間はかからなかった
少女には身寄りがいなかった
男は一生懸命生きる少女に自分の子供になって欲しくなった
何度か言ってみようと思ったがなぜか言えずじまいだった
ただ友情の印にと無理矢理髪留めを手渡した
その矢先男の病が悪化した
以前の覇気が無くなった男を妻と息子は屋敷から追放した
ついに金の力も無くなった
男は安いボロボロのアパートに移り住んだ
勝手の違う生活に男は困窮した
はした金にしかならなかったが身の回りのものは全部売った
顔を見せなくなった男を少女は心配した
男は自分の住んでいる所を見られたくは無かった
日課でもあった靴磨きを頼む金さえなくなった
心は荒れ男の体は日々蝕まれていった
男は弱気になり酔いで紛らわそうとした
残っていたわずかな金をかき集め安酒場へと歩いていると少女を見つけた
住所を知ることが出来なかったのを思い出し少女の後をつけた
そこは小さな橋の下だった
少女には帰る家さえなかった
古ぼけた毛布の中にまるで宝物でも隠すようには髪留めがしまってあった
男は泣いた
男は自分を恥じただ心から少女に何かしてやりたくなった
初めての感情だった
男はもう客ではなくなったが少女は男見ると嬉しそうに手を振った
男もボロボロのアパートの窓辺から手を振った
窓辺から手を振るのが日課になった
病でもうベッドから出られなくなっても男は手を振りつづけた
その日男に一通の手紙が届いた
男はそれを読むと満足げな顔をしてゆっくりと目を閉じた
少女が息を弾ませて窓を見上げても男はいなかった
知らせたい事がある少女は男を待つことにした
しばらくして少女の後ろにやさしそうな中年の女が歩み寄った
少女は幸せそうな笑顔を浮かべていた
窓辺を見るといつの間にか男が手を振っていた
少女は男に手を振り返した
養母に諭されて歩き始める少女の頭には髪留めが光っていた
小さくなるその背に向かって男はいつまでも手を振っていた
いつまでも手を振っていた




|目次へ戻る|

管理人/副管理人のみ編集できます