その3〜シグナさんと模擬戦


その3〜シグナさんと模擬戦

あらすじ
メンバーを紹介してもらい、ミディアと話をしていたリック。
部屋に訪れたシグナに誘われ模擬戦をすることになった。
そしてシグナに連れられ、ギルドの地下にある修練場にやってきた。

―リック視点―

「ここが修練所ですか…」
「広いですね…」
ギルドの地下には大きな部屋があった。
確かにここなら模擬戦ができそうだな。
「魔法とか使っても平気だぞ。この部屋全体に魔法がかかっていて傷がつかないようになってるから。」
「すごいですね。」
「ちょっと待ってろ。」
そういってシグナさんは奥の扉を開けて、中に入っていった。
「学校の演習所くらいの大きさです。」
「やっぱり、学校にもそういうところあったんだ。」
俺はミディアに聞いた。
「はい。」
「またせたな。」
そういって箱を持ってシグナさんが戻ってきた。
箱の中にはいろいろな武器が入っていた。
「シグナさん、これは?」
「これか?これは模擬戦用の武器だ。二人がどんな武器を使うかわからなかったから全部持ってきた。好きな武器を選んでくれ。」
俺とミディアは武器を選び始めた。
いろんな種類の武器があるな…。剣も普通の剣に大剣、短剣に刀まである。
どれにするか悩むな…。そういえばミディアは何を選んだんだろう?
俺がミディアの方を見るとミディアは何も持ってなかった。ミディアも考えてるのかな?
「ミディアは何を使うんだ?」
俺はミディアに聞いてみた。
「あ、私、魔法中心だから…杖にしようかなって思ったけど…模擬戦だから魔法はだめなのかな…?」
確かにどうなんだろう?
「シグナさん、魔法もありですか?」
「そうだな…、二人の身体能力が知りたいから今回は無しでいいか?」
「わかりました。ミディアどうする?」
「えっと…じゃあ、私は武器は大丈夫です…。」
「大丈夫なのか?」
「うん…少しなら格闘術つかえるから…。」
そうか、格闘術を使うのか。
なら俺は無難に…
「これでいくか。シグナさん、決まりました。」
「決まったか。」
俺は普通の剣を選んだ。
「じゃあ始めるか。」
俺の横にミディア、少し離れた正面にシグナさんが立っている。
「じゃあ、ルールはギブアップするまで続けるということで。魔法は使用禁止。そっちは二人がかりでいいぞ。」
騎士団の模擬戦と同じルールだな。
「それでは開始!」
こうして模擬戦は始まった。
シグナさんは剣すら抜かず立っている。
「かかってきなよ。二人の実力が知りたいから最初はしばらく攻撃しないでやる。」
ずいぶん余裕だな…。
「なら少し、時間をもらいます。ミディア、作戦会議。」
俺はミディアと小声で作戦会議を始めた。
「格闘術ってどれくらいできる?」
「基礎を少し自分なりに応用したくらいだからあまり…」
「なら、俺がシグナさんに突っこむから後ろからついてきて。で、俺が横にずれて攻撃をするから、攻撃をしたら少しタイミングをずらして攻撃をして。」
「同時じゃないの…?」
「本で読んだんだけど、同時より少しタイミングをずらした攻撃のほうがいいんだって。」
「まだか―?」
シグナさんが退屈そうに聞いてくる。
「じゃあ、そういうことで。」
俺は剣を構えた。
「お待たせしました。では、行きます!」
俺はシグナさんに向かって走り出した。
「お、まっすぐ来るか…。いいねぇ…。」
シグナさんはまだ剣を抜かない。あくまでも素手でやるのか。
俺は左にずれて左から斬りかかる。横からミディアが突きを出した。
「タイミングをずらしての攻撃か…。まあ、基本だね。けど、甘い!」
俺は体が浮くのを感じた。片手で投げられた!?
地面に着く前に体制を整え着地した。シグナさんのほうを見るとミディアの連続攻撃を片手だけではじいていた。
そしてミディアもシグナさんに投げられた。
「こんなものかい?」
強いな…けど、
「まだまだ!」
俺はミディアさんに向かって斬りかかった。
ミディアさんは避けた。
しかし俺は連続で斬りかかる。
だが、ミディアさんはすべて避けた。
あ、当たらない…。
どうにかして攻撃を当てないと…ミディアはシグナさんの斜め後ろで攻撃に向かうタイミングを計っている。
…やってみるか。
俺はミディアさんに再び斬りかかった。今度はさっきよりも大振りで。
「さっきより攻撃が雑だぞ?避けてくださいって言ってるようなもんだぞ?」
そういってシグナさんは攻撃を避けていく。俺は気にせず大振りで攻撃を続ける。あともう少し…
「今だ!」
俺は振り下ろした剣を素早く斜め斬り上げた。
「っ!」
シグナさんはバックスッテプで斬り上げを回避した。ここまで計算通り。あとは…
「頼んだ、ミディア!」
「うん!」
バックスッテプ中のシグナさんににミディアが殴りかかる。
俺の作戦とはわざと大振りの攻撃でシグナさんを誘導する。
ミディアの様子を見計らって横に回避しにくい攻撃をしてシグナさんを後ろに避けるように誘導。
そこをミディアが攻撃という運に頼ってところが多い作戦だ。
上手くいったと思ったが…
「さすがに今のは危なかった…。」
シグナさんはミディアの拳を剣の広い部分で受け止めてた。
失敗か…。
「二人に実力は十分わかった。体も温まってきたし、今度はこっちからいくよ!」
そしてシグナさんの攻撃が始まった。

―リック視点 OUT―


―視点なし―

「まだやってるの?」
そういって修練所に入ってきたのはリッシアだ。
模擬戦が始まってから結構経っている。
「ミディアちゃんは休憩?」
リッシアは壁際で座っていたミディアに聞いた。
「はい…、二人についていけません…。」
ミディアは二人を見ながらそう言った。
シグナとリックは剣を打ち合ってる。
「けど、シグナちゃんと打ち合えるってリックくんは期待できるわ。」
「そうなんですか…?」
「ええ。入ったばかりで手加減をしているとはいえシグナちゃんと打ち合えるってことは相当な実力ね。」
「……やっぱり私は足手まといなのかな?」
リッシアはミディアをなでながら
「そんなことないわよ。ミディアちゃんは魔法が得意なんでしょ?そっちで頑張ればいいのよ。」
といった。
一方、打ち合ってる二人は…
「けっこうやるね。」
「ありがとうございます。」
「どこかで剣、習ってたのかい?」
「騎士団の人に教えてもらいました。」
「へぇ―…、だから慣れてるのかい。ならもう少し本気を出そうかな?」
「え?」
「いくよ!剣技・五月雨!」
シグナは素早く突きを連続で放った。
リックは何とかすべて剣ではじいた。
「やるねぇ…なら、剣技・双牙!」
シグナは左から真横に斬りかかった。
リックは剣で防御したが、シグナが続けて上から剣を振り下ろしてきたため、バックステップで回避した。
「こちらからもいきます。瞬突!」
リックは着地と同時に素早く突きを放った。
シグナは回避した。
「続けて、空襲連斬!」
リックはジャンプして上からシグナに斬りかかった。
シグナは剣で防御した。
しかしリックはさらに連続で斬りかかり、最後に斜めに斬りあげた。
シグナは防御し続け斬り上げの時に大きく後ろに下がった。
「さて、そろそろ終わりにしようか。」
「そうですね…。」
シグナは剣を鞘に入れた。そして
「剣技・紅一閃!」
勢いよく剣を鞘から振りぬいた。するとリックに向かって炎の斬撃が飛んでいく。
「絶風撃!」
リックは向かってくる炎に対して勢いよく剣を突き出した。
突き出した剣から風が出て炎にぶつかる。
炎と風は少しの間、拮抗してたが、両方とも消えた。
「…今回は引き分けってことでいいか?」
「…いえ、シグナさんはまだ、余裕ありますよね?こっちはもう限界に近いんで、シグナさんの勝ちで。」
模擬戦はシグナの勝ちで終わった。
「二人ともお疲れ様。」
「あ、リッシアさん。」
「あ、ギルド長。」
リッシアがタオルを持って二人に近づく。
「ありがとうございます。」
「リックくんにミディアちゃん、汗かいたでしょ?奥にシャワー室があるから使っていいわよ。ちゃんと男女別だから安心してね。」
「あ、はい。」
「ありがとうございます。」
リックとミディアはシャワー室に向かった。そして二人がいなくなった後、
「シグナちゃん、二人の実力はどう?」
「そうだな…リックは間違いなく実力に問題は無し。ミディアは格闘術は素質はあると思う、実力は魔法のほうを見てないから何とも言えないがまあ、期待はできるな。」
「割と優秀な新人が入ってきてくれてうれしいわね。」
「しかもリックのほうはかなり使えるな。騎士団で剣を習ってたらしいが、優秀な人に教わってたのか筋がいい。半年後には私と実力が並ぶかもな。」
「あら?シグナちゃんがそこまでいうとは珍しいわね。シグナちゃんもシャワー浴びてくれば?もうすぐ夕飯よ?」
「もうそんな時間か?」
「ええ、いつからやってたの?」
「5時からだぞ?」
「約二時間もやってたの…。」
「ああ、久しぶりに楽しかったぞ。」
「片づけやっとくからさっさと入ってきなさい。」
「おう。」

―おまけ1―

「イルス、新人の二人見なかったか?部屋にいないんだが?」
「みなかったわ。何か用あったの?」
「いくつか説明し忘れたことがあったな。」
「ただいま―。」
「おかえり、リッシアちゃん。」
「リッシア、新人の二人見なかったか?」
「外に行ってたからわからないわ。そういえばシグナちゃんが修練所使いたいって言ってたから模擬戦でもしてるのかしら?見てくるわ。何か用なの?」
「修練所のことを説明し忘れたからしようと思ってたんだよ。」
「なら、ちょうどよかったんじゃないの?」
「そうだな。」
「ならお腹をすかしてそうね、夕飯作り始めておくわ。」
「手伝うか?」
「お願いできる?」
「私は様子を見てくるわ。」
イルスとプリズンは夕飯づくりにリッシアは修練所に向かった。



―あとがき―

約一か月ぶりの更新です。
リアルが忙しくて更新がなかなかできなくてすいませんでした。
ちなみにこの更新も大学のPCでやっています。
しばらく更新はこのくらいのペースになりますが、頑張って書いていくので、これからもよろしくお願いします。





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2012年08月17日(金) 13:59:23 Modified by kq800




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