すぐネタの寸評に移るが、この番組の作りがこれでいいと思っているわけではないということは肝に銘じておいて欲しい。
以下の寸評では「松本にやってほしい」ということを何回も書いているが、松本は変な人をきちんと演じ切る能力があり、かつそれがほぼアドリブでできる。ほぼアドリブでその変な人が言いそうな「変なこと」(=ボケ)をポンポンと言えるのである。アドリブで言えるからこそ、翻って「ナチュラルで変な感じ」も出るのである。ピンと来ない人は、「ガキの使い」の「ダウンタウン理不尽シリーズ」等を見てみるとよい。
「松本にやって欲しい」という発言は、「松本の下位互換でしかない芸人に存在価値はない」と言っているに等しいと思うが、私は常に一番おもしろいものを見ていたいだけである。自分に正直になったらそういう感想になってしまうのはしょうがないではないか。まあ、慰めるとすれば、全ての人間には存在価値がないから松本も他の芸人も対等である。
1.博多華丸・大吉
大吉が自虐的に言っていたが、ネタがおっさん向け(というより、社会人向け)なのである。でもまあ、背伸びしたい若者にもウケるだろうからいいんじゃないだろうか。
安定感はものすごい。
2.ロッチ
中岡の人間ポンプは本当にやっているのかはよく分からない。
それはともかく、ロッチがズレの根幹に置いているのは「出す時より飲む方が苦手だ」という部分である。しかし実際に笑いが呼び起こされるのは、あの風貌で苦心惨憺しながら飴玉を飲み込もうとする中岡の見た目である。「出す時より飲む方が苦手だ」というズレよりも、中岡の苦しむ様子の方がよっぽどおもしろいのである。
だから、飲むのがヘタなことに対するコカドのツッコミは特に要らない。
本当に人間ポンプができるんだったら、もうちょい遊んでもいいと思う。マギー司郎みたいな失敗を重ねれば大きな笑いがとれると思う。
3.TKO
珍しく木本がボケのネタだったが、フラ持ちの木下がボケた時よりパワーが足りない。
4.中川家
コントだったが、別に漫才でもできる内容だった。大阪のおばちゃんが会話しあうというネタで、細かいモノマネがふんだんに散りばめられている。
ネタの終盤では礼二が「まんじゅうこわい」という落語をほぼ丸々やっていた。ものすごく上手かったのはさもありなんという感じだったが、ほぼ丸々落語をやったことに対するツッコミは特になく、狙いがよく分からなかった。ただの「まんじゅうこわい」だったので途中の笑いもなかったし。
5.かまいたち
キングオブコント2016でやっていたネタ。きちんと途中からボケのパターンを変えていくのは実にえらい。
最初に音楽が鳴った後のボケは、音楽が止まってから首を下ろすまでの間をもうちょいあけた方がいいと思う。あと指パッチンが聞こえにくかったので何とかした方がいいかな。
6.トット
架空の邦画の予告編をボケの桑原がそれっぽく一人で再現するというネタ。予告編の再現自体が長いので大昔の漫才みたいに笑いどころが少ない。
「おもしろそう」というツッコミに共感できるかどうかが勝負になってくるので、再現の完成度は高いに越したことはない。もっと磨いていいはずである。
7.アンガールズ
田中が偏執狂的に新宿に住みたがっている変な人を演じるネタだが、演じきれてないよね。田中の役を松本がやっていたらもっとおもしろくなっていたと思う、って言っちゃうと身も蓋もないが。
8.スピードワゴン
いつも通り、小沢の世界観が全開のネタ。まあ、その点に文句はない。
井戸田は基本的に小沢を冷ややかに観察してツッコむ立場なのだたが、たまに乗っかってしまう。そして、乗っかった時には本来もっと大きな笑いが生まれないといけないのではないかなとも思う。ウケないのは、井戸田に演技力がそんなにないのが大きな原因である。小沢がその点をツッコミ返してやるのも、一つありなんじゃないかな。
あと、西武・ミッキー・日光江戸村のくだりのウケが思いのほか少なかった。井戸田の「東京周辺!!」というツッコミの前にもう少し間をあけた方がいいと思う。
9.テンダラー
まあ、うまい。こぎれいにまとまっている。
細かいことを言うと、一回目の「T」がマイクで見えにくかった。
10.エレ片
やついが嫌な人を演じるコント。
最後はウンコになっちゃうのがどうにもなあ。それでいいのかね。
アドリブでできたら理想である。こういうのは松本がやると天下一品である。ほぼアドリブでもできるし。
11.銀シャリ
おもしろい。普通におもしろい。
12.レイザーラモン
RGの細川たかしモノマネを主軸に置いた漫才。細川たかしの歌の知名度がそんなにないのが一番の問題か。
13.フットボールアワー
基本的にはボケの足し算だった。もっと練れる。
14.サンドウィッチマン
この人たちは足し算なのである。富澤も伊達もきちんと自分の役回りを演じられるから足し算でもあれだけウケるのである。もっと練って前後の絡みを入れるか、アドリブでいろいろなボケを繰り出していくかのどちらかをすればもっと高みにいけると思うので、筆者も同じことを言い続ける。
15.ロバート
やっぱ山本が大根なんだよなあ。あと秋山の変さは普通の人が一生懸命考えたような人工的なニオイがどうしても抜けないので、筆者は苦手である。
16.千鳥
ちょっとアドリブで遊んでる感じがいい。
17.吉本新喜劇ユニット
アレだよね、なんというか、すっちーが面接を受けている間小籔が黙っているのが勿体ない。小籔が割って入って「お前の番やないやろ」とツッコまれるみたいなくだりをアドリブで、そしてしつこくやって欲しい。
18.バカリズム
三者面談のシチュエーションで、バカリズムは教師役である。あとの登場人物に生徒と保護者がいるのだが、3人でやったらどうなるのかというのは少し気になる。
ピン芸は、ピンでやるのが一番おもしろいという場合にしかやってはいけないと思っているが、このネタにピンであることの必要性はそこまで感じなかった。
19.トレンディエンジェル
特になし。飽きてきたかな。ハゲに。
20.ハイヒール
非常に、良い。ずっと見ていたい。間違いなく今回のMVPである。
何がいいかというと、アドリブでフリートークをしている感じがするところである。無論、台本はちゃんとあるのだろうが、それでもアドリブでやっている感じを出せるのが腕である。
まず、2人ともボケもツッコミもできるし、実際にやっている。ボケとツッコミが固定されていると、台本で事前に決めた感じがどうしても出てしまうもんである。
そして、リンゴが「電車の中で子供が走っている」というのを「電車の中で車が走っている」と言い間違えてしまったところにモモコが即座にツッコめるから、2人が普段の会話のように掛け合いをアドリブでやっている感じが出るのである(無論、この間違いすら台本に書いてある既定路線の可能性はあるのだが)。そういうのが大事なのである。
21.シソンヌ
アレだね。アレ。ちゃんとしているんだよね。
まあ、言いたいことがないときに無理に言う必要はないね。
「テレビの引きこもりと言っていることは一緒なんだよなあ」というクダリには声を出して笑ってしまった。
22.オードリー
まあ、見飽きたオードリー。
23.南海キャンディーズ
山ちゃんのたとえツッコミは、おもしろい言い回しを一生懸命考えた感じが抜けないので少し苦手である。ネタ中で自ら批判していたテラスハウス系の人たちの浮ついた言葉遣いに若干似てしまっている。
24.麒麟
「オジサン専用遊園地」というネタ。博多華丸・大吉とカブっている。まあ、足し算ではある。
25.CONTS
河本・板倉・NON STYLE井上のユニット。
唐突に人が刺される展開が少し怖くて、笑いを阻害していた(おそらく、板倉の趣味ではなかろうか)。まあ、やりたいことをやった感じではあったが。
26.和牛
水田が神経質な変人を演じるいつものスタイルである。「シャーン」が毎回若干スベってないかなあ。違う擬音を試してみてもいいのでは。
あとちょっと、変人すぎるかなあ。
27.東京03
角田が変な人を演じるネタ。角田の役割の比重が大きい。こういうのはやっぱり松本にやってみて欲しい。
28.村上ショージ
何がやりたいんだか全然分かんないのが最早この人の芸風なんだろうなあ。40年、ずっと迷子である。
29.笑い飯
ダメな時の笑い飯だった。M-1で最後の3組に残れない時の笑い飯である。
30.爆笑問題
以下の寸評では「松本にやってほしい」ということを何回も書いているが、松本は変な人をきちんと演じ切る能力があり、かつそれがほぼアドリブでできる。ほぼアドリブでその変な人が言いそうな「変なこと」(=ボケ)をポンポンと言えるのである。アドリブで言えるからこそ、翻って「ナチュラルで変な感じ」も出るのである。ピンと来ない人は、「ガキの使い」の「ダウンタウン理不尽シリーズ」等を見てみるとよい。
「松本にやって欲しい」という発言は、「松本の下位互換でしかない芸人に存在価値はない」と言っているに等しいと思うが、私は常に一番おもしろいものを見ていたいだけである。自分に正直になったらそういう感想になってしまうのはしょうがないではないか。まあ、慰めるとすれば、全ての人間には存在価値がないから松本も他の芸人も対等である。
1.博多華丸・大吉
大吉が自虐的に言っていたが、ネタがおっさん向け(というより、社会人向け)なのである。でもまあ、背伸びしたい若者にもウケるだろうからいいんじゃないだろうか。
安定感はものすごい。
2.ロッチ
中岡の人間ポンプは本当にやっているのかはよく分からない。
それはともかく、ロッチがズレの根幹に置いているのは「出す時より飲む方が苦手だ」という部分である。しかし実際に笑いが呼び起こされるのは、あの風貌で苦心惨憺しながら飴玉を飲み込もうとする中岡の見た目である。「出す時より飲む方が苦手だ」というズレよりも、中岡の苦しむ様子の方がよっぽどおもしろいのである。
だから、飲むのがヘタなことに対するコカドのツッコミは特に要らない。
本当に人間ポンプができるんだったら、もうちょい遊んでもいいと思う。マギー司郎みたいな失敗を重ねれば大きな笑いがとれると思う。
3.TKO
珍しく木本がボケのネタだったが、フラ持ちの木下がボケた時よりパワーが足りない。
4.中川家
コントだったが、別に漫才でもできる内容だった。大阪のおばちゃんが会話しあうというネタで、細かいモノマネがふんだんに散りばめられている。
ネタの終盤では礼二が「まんじゅうこわい」という落語をほぼ丸々やっていた。ものすごく上手かったのはさもありなんという感じだったが、ほぼ丸々落語をやったことに対するツッコミは特になく、狙いがよく分からなかった。ただの「まんじゅうこわい」だったので途中の笑いもなかったし。
5.かまいたち
キングオブコント2016でやっていたネタ。きちんと途中からボケのパターンを変えていくのは実にえらい。
最初に音楽が鳴った後のボケは、音楽が止まってから首を下ろすまでの間をもうちょいあけた方がいいと思う。あと指パッチンが聞こえにくかったので何とかした方がいいかな。
6.トット
架空の邦画の予告編をボケの桑原がそれっぽく一人で再現するというネタ。予告編の再現自体が長いので大昔の漫才みたいに笑いどころが少ない。
「おもしろそう」というツッコミに共感できるかどうかが勝負になってくるので、再現の完成度は高いに越したことはない。もっと磨いていいはずである。
7.アンガールズ
田中が偏執狂的に新宿に住みたがっている変な人を演じるネタだが、演じきれてないよね。田中の役を松本がやっていたらもっとおもしろくなっていたと思う、って言っちゃうと身も蓋もないが。
8.スピードワゴン
いつも通り、小沢の世界観が全開のネタ。まあ、その点に文句はない。
井戸田は基本的に小沢を冷ややかに観察してツッコむ立場なのだたが、たまに乗っかってしまう。そして、乗っかった時には本来もっと大きな笑いが生まれないといけないのではないかなとも思う。ウケないのは、井戸田に演技力がそんなにないのが大きな原因である。小沢がその点をツッコミ返してやるのも、一つありなんじゃないかな。
あと、西武・ミッキー・日光江戸村のくだりのウケが思いのほか少なかった。井戸田の「東京周辺!!」というツッコミの前にもう少し間をあけた方がいいと思う。
9.テンダラー
まあ、うまい。こぎれいにまとまっている。
細かいことを言うと、一回目の「T」がマイクで見えにくかった。
10.エレ片
やついが嫌な人を演じるコント。
最後はウンコになっちゃうのがどうにもなあ。それでいいのかね。
アドリブでできたら理想である。こういうのは松本がやると天下一品である。ほぼアドリブでもできるし。
11.銀シャリ
おもしろい。普通におもしろい。
12.レイザーラモン
RGの細川たかしモノマネを主軸に置いた漫才。細川たかしの歌の知名度がそんなにないのが一番の問題か。
13.フットボールアワー
基本的にはボケの足し算だった。もっと練れる。
14.サンドウィッチマン
この人たちは足し算なのである。富澤も伊達もきちんと自分の役回りを演じられるから足し算でもあれだけウケるのである。もっと練って前後の絡みを入れるか、アドリブでいろいろなボケを繰り出していくかのどちらかをすればもっと高みにいけると思うので、筆者も同じことを言い続ける。
15.ロバート
やっぱ山本が大根なんだよなあ。あと秋山の変さは普通の人が一生懸命考えたような人工的なニオイがどうしても抜けないので、筆者は苦手である。
16.千鳥
ちょっとアドリブで遊んでる感じがいい。
17.吉本新喜劇ユニット
アレだよね、なんというか、すっちーが面接を受けている間小籔が黙っているのが勿体ない。小籔が割って入って「お前の番やないやろ」とツッコまれるみたいなくだりをアドリブで、そしてしつこくやって欲しい。
18.バカリズム
三者面談のシチュエーションで、バカリズムは教師役である。あとの登場人物に生徒と保護者がいるのだが、3人でやったらどうなるのかというのは少し気になる。
ピン芸は、ピンでやるのが一番おもしろいという場合にしかやってはいけないと思っているが、このネタにピンであることの必要性はそこまで感じなかった。
19.トレンディエンジェル
特になし。飽きてきたかな。ハゲに。
20.ハイヒール
非常に、良い。ずっと見ていたい。間違いなく今回のMVPである。
何がいいかというと、アドリブでフリートークをしている感じがするところである。無論、台本はちゃんとあるのだろうが、それでもアドリブでやっている感じを出せるのが腕である。
まず、2人ともボケもツッコミもできるし、実際にやっている。ボケとツッコミが固定されていると、台本で事前に決めた感じがどうしても出てしまうもんである。
そして、リンゴが「電車の中で子供が走っている」というのを「電車の中で車が走っている」と言い間違えてしまったところにモモコが即座にツッコめるから、2人が普段の会話のように掛け合いをアドリブでやっている感じが出るのである(無論、この間違いすら台本に書いてある既定路線の可能性はあるのだが)。そういうのが大事なのである。
21.シソンヌ
アレだね。アレ。ちゃんとしているんだよね。
まあ、言いたいことがないときに無理に言う必要はないね。
「テレビの引きこもりと言っていることは一緒なんだよなあ」というクダリには声を出して笑ってしまった。
22.オードリー
まあ、見飽きたオードリー。
23.南海キャンディーズ
山ちゃんのたとえツッコミは、おもしろい言い回しを一生懸命考えた感じが抜けないので少し苦手である。ネタ中で自ら批判していたテラスハウス系の人たちの浮ついた言葉遣いに若干似てしまっている。
24.麒麟
「オジサン専用遊園地」というネタ。博多華丸・大吉とカブっている。まあ、足し算ではある。
25.CONTS
河本・板倉・NON STYLE井上のユニット。
唐突に人が刺される展開が少し怖くて、笑いを阻害していた(おそらく、板倉の趣味ではなかろうか)。まあ、やりたいことをやった感じではあったが。
26.和牛
水田が神経質な変人を演じるいつものスタイルである。「シャーン」が毎回若干スベってないかなあ。違う擬音を試してみてもいいのでは。
あとちょっと、変人すぎるかなあ。
27.東京03
角田が変な人を演じるネタ。角田の役割の比重が大きい。こういうのはやっぱり松本にやってみて欲しい。
28.村上ショージ
何がやりたいんだか全然分かんないのが最早この人の芸風なんだろうなあ。40年、ずっと迷子である。
29.笑い飯
ダメな時の笑い飯だった。M-1で最後の3組に残れない時の笑い飯である。
30.爆笑問題
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