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避1-555

スレ番号 タイトル カップング 作者名備考 レス
避1誇り高き雌火竜 二ジンオウガ×リオレイア ◆WBRXcNtpf. 555〜559

誇り高き雌火竜 二


お願い、ジンオウガ。私を抱いて・・・


浜辺に降り注ぐ月明かりに照らされて、私はそう言った
ジンオウガは何も言わなかった。ただこちらをじっと見つめたままだ
良いとも悪いとも言わず、馬鹿な事を言うな、とも言わなかった
私たちは少しの間静寂に包まれた。やっとジンオウガが口を開いた
「それがお前の答えなんだな?本当にリオレウスと仔竜の事は忘れるんだな?軽々しく言ったのなら今すぐ撤回しろ。覚悟があって言ったのなら応じよう」


私はそのまま頷き、ジンオウガを見つめた
ジンオウガもこちらを見つめ、目を細めた


私はリオレウスを埋めた場所から少し離れた位置の砂浜で横になった
私は勿論の事だが、恐らく彼にとっても初めてなのだろう
少しジンオウガも緊張しているように見受けられた
そして私の顔に彼は逞しき狩人の顔を近づけ、そっと首筋にキスをした
彼は硬くて強そうな角を私に当てないようにしてくれたのだろう
少しだけ外側よりにしてくれたキスだった
私が彼を見て微笑むと、彼は顔をそらして目を細めて海を見た
今度は私が翼を彼の背に覆い被せ、そのままこちらへグッと近づけた
彼は突然の事に目を丸くしながらも、抵抗はしなかった
そのままもう片方の翼で彼を抱いた
彼はとても温かかった
こんな温もりを感じるのは何年ぶりだろう
仔竜を抱く事も無かった私にとってはリオレウスとの行為以来だろうか
そう思うと熱いものがこみ上げ、頬を伝った
彼は私の顔を見て少し強い口調で言った


「・・・まだお前には覚悟が無いようだな。覚悟を決めると言うことは、あらゆる事を想定し、その全ての想定に解決策が見出せた者しか使ってはならない。
己の覚悟をもう一度問いただせ。完璧な答えが見出せたら聞かせろ。
答えがどうであれ俺はお前を拒まないが、俺と交わるなら何時までもリオレウスの件の尾を引くな。
尾を引くのであれば俺はお前をリオレウスのいる場所へ送り届けるからな・・・」


どれくらい経っただろうか。いつの間にか月は真上の位置まで来ていた
ただ、彼とはそれ以上何もしなかったし、言わなかった
まだ私の中では異種と交わることに不安を抱いているらしい・・・
今は私も彼もこの状態で留まるのがベストなのかもしれない・・・
そんなことを考えながら月明かりの下で、私と彼は柔らかく冷たい砂上に寝たのだった


次に目が覚めたときには陽が昇っていた。既にジンオウガはいなかった
恐らく森へ帰ったのだろう
私も帰ろうと羽ばたいたその時、目の前を何かが覆った
バチン!!・・・何か硬いものが私の顔に当たった
あまりの痛さに私は地面へ落ち、身体は叩きつけられた
朦朧とする意識の中で必死に辺りを見回すと、そこには黒い巨体の竜がいた
ニンゲンは愚か、我々竜でも危険視している恐暴竜・イビルジョーだった


こいつは私を食べるつもりなのか?逃げなければ殺されてしまう!逃げろ!!逃げろ!!
心の中で必死に自分に命令した。しかし、体は動かない
誇り高き者としては惨めにも固まってしまっていた
そんな状況を知ってかイビルジョーはゆっくりとこっちへ歩いてきた
空に逃げてしまえばこっちの勝ちなのに・・・
こんな言葉を思い立ったことなんて一度も無かった。しかし、思い立ってしまった
もう私は死んでしまうと覚悟を決めていたから・・・
そして静かに目を閉じた


しかし、いつまでたっても痛みがこない
ただイビルジョーの気配はまだある
イビルジョーは私を吟味しているのだろうか
微かに目を開くとぼんやりとイビルジョーがこちらをじっと見ているのが分かった
その時私は己の愚行に気が付いた。黙って食われるわけにはいかない
私はモンスター・・・誇り高き者なのだ。誇りがあるのなら私は戦う!!


私は威嚇としてできる限り大きな声で咆哮をした。私は臨戦状態だ!
突然の咆哮だったのでイビルジョーも驚いたのか後ずさりした
しかし、癇に障ったのだろう。その竜は私に向かって大きな口を開けた
その竜の口からは薄気味悪い何かが漏れていた
そしてイビルジョーは私目掛けてそのブレスを吐き出した
私は飛び立つことすら出来ずに、もろにそのブレスを喰らってしまった
その瞬間私は意識が飛びそうになっていた
私は抵抗せずに死んでいくのか
次に私が目覚めるのは、リオレウスの居るところなのだろうか
イビルジョーの顔を睨むと奴は再び尻尾を振り回した
スローモーションのように尻尾は私の視界に入った
目を閉じるとリオレウス、仔竜・・・そしてジンオウガが走馬灯のように去っていく・・・


バチンッッ!!!!
さっきのよりも効いた
――そして私は完全に意識が無くなった


その頃ジンオウガはリオレイアの巣に朝飯を運んでいた
咥えていたアプトノスをそっと降ろし、巣に向かって飯だ、と言ったが反応が無い
不思議に思い巣を見ると彼女の姿は無かった
さすがに目覚めて巣に帰っているだろうと思っていたが、彼女はまだ寝ているのか
仕方が無い。起こしに行ってやろう・・・
彼はアプトノスの上にジャギィノスに託された花束を立てかけ、その場を後にした


時折上空にも目を配りながら浜に近づいていった
浜には彼女の姿が無かった
おかしいな、入れ違いにでもなったのか?
ふと浜を見ると確かに彼女の寝た後と足跡が微かに残っていた
キラッと何かが光ったような気がした
注意深く見てみると溶けたような後の残る緑色の鱗だった
まさか・・・人間にでもやられたか!?
確信があったわけではないが、どうしようもなかったジンオウガは走り出した
目的地などある訳がなかった。しかし、妙な胸騒ぎが彼にそうさせるのだった


浜辺、川、林、草地・・・いろいろな所を探したがリオレイアはいなかった
人間に彼女を持っていかれたのか?
いや、まだ生きているかもしれない・・・
ジンオウガは小さな希望と大きな絶望の間に立たされていた
せめて遺体だけでもあるなら諦めがつくのにな・・・
微かな光を求めてジンオウガは再び巨大な闇の中に突っ込んでいった
日などとうに暮れていた。これから来るのは暗くて長い夜だけだ


――――――――――
――――――――・・・・・・
うう・・・う・・・ん・・・
―――――・・・?
ここ、は・・・?私は・・・
・・・・・・・・・
そうだ、黒い竜・・・イビルジョーに負けた・・・


身体はどうやら支障は無いらしい。しかし頭が痛い
イビルジョーにやられた時よりかはマシになっているが、まだ痛みは残っている
とりあえず此処の場所の把握をしようと辺りを見渡すと、暗かった。地面は湿っている
どこかの洞窟であることは間違いないが、私の縄張りの圏内や近隣にはそんな洞窟の見覚えは無かった
今すぐ此処を発っても良かったが無闇にこの暗い中を飛び立つのは危険すぎる
しかし、だからと言ってこのまま此処に居たらいずれ奴が戻ってくる
しばらく考えた後月明かりの届く入り口に横になった
月明かりに照らされていた私はジンオウガとの夜を思い出していた。頬には涙が伝っていた
ジンオウガ、早く迎えに来て・・・


その頃イビルジョーはリオレイアを捕獲したあの森の地中に潜っていた
その竜が狙いをつけているのは、リオレイアを捜索中の彩鳥・クルペッコ
イビルジョーは飛び出すタイミングを窺っていた


クルペッコはまだ俺に気が付いていないらしい・・・フン、愚かな奴だ
まあ、気付かれれば気付かれたで厄介だが
そんなことより早く飛べ、鳥野郎!
飛べばすぐに楽になれるぞ


イビルジョーの思いが通じたのかクルペッコは羽ばたいた
その瞬間イビルジョーは思いっきり地中に飛び出た
地面は吹き飛ばされ、クルペッコの方へと飛んでいく
土埃で何も見えなかったクルペッコは、一瞬判断に迷ったためにもろに地面を喰らってしまった
不意打ちされたクルペッコは呻き声をあげながら、そのままイビルジョーの眼前へと落ちてきた
クルペッコは朦朧としている意識の中で助けを求めた
咄嗟に思い立ったあの雌火竜の声で何度も何度も・・・


ジンオウガは森の中に望みを託して彼女を探していた
一体どこへいったのだ、と何度も口にした言葉を再び口にしていた
ボーっとしていたから最初は聞こえなかったが、向こうから何か聞こえた
ォーーー・・・ ォォォーーー・・・
風の音か?いや、違うな・・・
オォォォォーー・・・グオオォォォォォーーーー・・・
い、今の声はまさかリオレイアの?
グオオオォォォォーーーーー!!!
やはりリオレイアの声だ!奴は生きているのか!!
俺はそのまま声のする方向へと走っていった


リオレイアは眠気と戦いながら月明かりの中外を見ていた
今寝てしまえば次に目覚めることは無いだろう
それに、さっきから仲間の助けを求める声のようなものが微かに聞こえてきている
すぐに助けに行きたいが、リオレイアならリオレウスがいるはずだ
もし助けに行くとそのリオレイアの夫の姿を見かねない
なんだかんだで私はまだ会いたくないのだ、リオレウスに
しかし、さっきからその助けを求める声が弱々しくなっていた。どうやらリオレウスの助けが無いらしい
私はほんの少しだけホッとしていた
そして助けを呼んでいたリオレイアを助けるために洞窟から飛び立った


イビルジョーはクルペッコを助けにくる愚か者も獲物にするために、叫ぶクルペッコを放置していた
リオレイアの声で鳴いているのだから火竜が来てくれるといいのだがな
おっと、あの野郎声が小さくなってやがる・・・
そんな事を考えていた時だった
視界の端でガサガサ・・・と葉が揺れ、ジンオウガが飛び出してきた
息を切らしているそいつは俺とクルペッコを睨むように見ていた
俺は思わずこみ上げる笑いを抑えてジンオウガをじっくりと見た
いい体つきだな。俺が満腹になるのには十分な大きさだ・・・


予想以上の大物の出現に満足行った俺は用なしのクルペッコの嘴に足を乗せその一点に体重をかけた
バキバキ・・・という音がして嘴は簡単に砕け散った
助けを求めていた奴は気絶したのか動かなくなった
そして、そのままクルペッコの頭を咥えると頭を噛み砕いた
砕かれた頭から吹き出る鮮血が辺りを真っ赤に染めていく
フン、脆い頭だ。そんなに脆いからお前はすぐに殺されるんだ
まあ・・・モンスターの一端としては人間に殺されるより俺に殺された方がマシだろう・・・?
そして俺は無言でクルペッコを食った


ふと横を見ると何に気が障ったのか分からないが、ジンオウガが帯電していた
おいおい、食事くらいさせてくれよ。狼野郎
帯電状態のジンオウガはそのまま俺へと突っ込んできた
俺は突っ込んでくるジンオウガに尻尾を振り回しながらこう言った


愚かな狼め、来るがいい!!今宵の晩餐はお前と新鮮なリオレイアだ!!!


!!!!!!!!
ジンオウガは動揺したからか、いつもなら簡単に避けられるようなイビルジョーの尻尾攻撃をもろに喰らってしまい、吹っ飛ばされてしまった


――愚かな狼め、来るがいい!!今宵の晩餐はお前と新鮮なリオレイアだ!!!


吹っ飛ばされながらその言葉が頭を駆け巡っていた
こいつがリオレイアを・・・!!こいつだけは此処で殺さなければ・・・!!!
・・・そのまま俺は地面に落下した。同時に帯電状態も解除してしまった
もう一度雷光虫を集め、帯電状態まで持っていく
イビルジョーは近くにあった岩を吹っ飛ばしてきた
俺はそれを雷で砕いた。焦げ臭いにおいと砂埃が視界を遮る
この隙を狙って再び雷光虫を集め、帯電を強めた
土埃が上に巻き上げられるのと同時に奴の体が宙にあったのが見えた
奴はこちらに向かって跳んだのだ
ドン!!
間一髪ギリギリの所で跳び、避けられたが着地した時に揺れていた地面に滑って転んでしまった
こうなると我々はすぐには立てない
それを知っているからか、奴は静かに俺を見ていた
そして立とうともがく俺を鼻で笑った後、俺に向かって再び跳んだ
まずいな・・・あんな巨体に乗られたら即死だろうな・・・
こちらに向かって跳んでくるイビルジョーを見ながらそんなことを考えていた


ドドオオォォォォーーーー・・・・・・ン


さっきのように地面が揺れて、辺りに土埃が舞っていた
俺は咄嗟に身体を捻った為胴の部分は踏まれなかったが、尻尾に物凄く強烈な痛みが走っていた
土埃が薄れていく中、俺は真上を見た
そこにはこちらを見下したように見ていたイビルジョーが俺の尻尾を踏んでいた
奴は笑いながら俺の尻尾に乗っていた右足に体重をかけた
更に激痛が走り、思わず悲鳴をあげてしまった
この反応に満足行ったのか奴はゆっくりと体重をかけるのをやめた
そして今度は尻尾に顔を近づけ、尻尾を咥えた
奴の強酸性の唾液が毛と鱗を溶かしていく・・・
次に奴はこちらを嘲ている目で見ながら咥える力を強くしてそのまま上へと尻尾を上げた


ブチッ!!


あまりの痛みに目を瞑ってしまったが、目を開けると奴が千切れた尻尾を咥えていた
俺の千切れた尻尾からは血が大量に流れているのが分かる程に、地面が生暖かくなっていた
奴は咥えていた尻尾を口の中に入れるとそのまま食った
食い終わるのにそう時間はかからなかった
奴の口からは俺の血が流れて赤い筋を残している
その赤い筋を見て眩暈がした。俺の血だと言う事に頭がついていけなくなる
あの件を思い出すからだ。俺に血を流させた人間のことを・・・
突然左前足に激痛が走った
余計なことを考えていたからか、奴の接近に遅れてしまい噛まれたのだ
再び赤い血が俺の足から流れ出て、地面を赤く染める
俺はまた人間のことを思い出していた。あの日の事を、忘れられない悲劇の日の事を・・・


あの日、リオレイアが仔の餌を求めて巣を飛び立った後に一人の人間がやって来た
そいつは全身黒っぽい物で身を固めていた
当時の俺は人間をよく知らなかったが、瞬間的に味方では無いことを悟ったのを覚えている
定番と言っては何だが大声で咆哮をした。大抵の小さい奴はこの咆哮を聞くと固まるからだ
しかし、そいつには何故か咆哮が効かなかった
咆哮している最中なのに俺に斬りかかったのだ・・・
何故俺の咆哮が効かなかったのか今でもよく分からない
ただ、そいつはとてつもなく恐ろしい威圧感を持っていた
人間がこの俺を恐れなかったのは初めてだった・・・


奴は俺の方を見下したまま近づいてきた
その歩きからは勝利を確信した余裕が感じられる
奴は地面に顔を突っ込んだ。かと思うと、思いっきり地面を引っぺがした
地面は岩になり此方へ向かって飛んでくる
俺は岩に目掛けて放電した
バリバリ・・・という音と共に一瞬電流が岩を貫く
岩はその位置で粉々に砕け、辺りは砂埃が視界を遮った
その時だった。目の前が一気に黒くなったかと思うと一瞬にして激痛が襲った
飛びつつある意識の中、前方を見ると黒い巨体のイビルジョーがいた
奴はとてつもなく余裕のある声で雄叫びを上げた


――――そして俺の視界は真っ黒になった


・・・そうか、俺は負けたのだ
俺は愛する雌の敵討ちすら出来ないのか・・・
リオレイアは俺をあの世で待ってくれているのだろうか
それともリオレウスと一緒に過ごしているのだろうか
どちらでもいい。リオレイアが幸せになるならば・・・


俺の愛する唯一の雌よ・・・


俺の愛する唯一の雌よ、今の世界は幸せだったか?
俺の愛する唯一の雌よ、俺と共に過ごした世界は楽しかったか?
俺の愛する唯一の雌よ、幸せになってくれ・・・


俺の愛する唯一の雌よ・・・


リオレイアはやっと声のする付近の上空へたどり着いた
しかし、今は助けを求める声が聞こえなくなっていた。どうやら残念なことになってしまったようだ
静かに地面に下りると真新しい血の跡が多く残っていた
私はその場で静かに目を閉じた
――もう見ぬ仲間のリオレイアよ、また逢える日までゆっくり休みなさい・・・
ふと横を見ると綺麗な真っ白の花が咲いていた
私はそれを供えようと花の場所へ歩みだした時だった
一瞬にして視界が無くなったかと思うと、土埃がたっていた
それが晴れるのに時間はかからなかった
そこに立っていた者を見て体が凍りついた
あの時のイビルジョーが此方を睨むように見て、口を開いた


よう、わざわざ会いに来てくれたのか?可愛いことしてくれるじゃねぇか、雌火竜さんよ・・・!!
2013年10月17日(木) 18:32:33 Modified by peach_115




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