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28-218

「ねえねえ人げ……りゅーえもん」
「なんでござりましょう、姫」

幸せとは、今のような日々を言うのでしょうか。りゅーえもん……龍衛門と一緒に居ることが本当に幸せです。恐らくダイミョウザザミのままだったら知らなかったでしょう。
『編み物をしているとき後ろから抱っこされる居心地の良さ』『美味しい物を2人で食べる満足感』『一緒に同じ時間を過ごすことの出来る幸せ』冷たくて大きいだけの甲殻には無い、小さくても温かい温度。それを感じることが出来る今、それが“幸せ”なんですね。

「もう仕事は無いんですか?この前みたいな」

この前、といってももう3シーズンくらい前でしょうか。大きなお城に黒竜を退治しに行ったと思ったらヒンシのジューショーを負ったとか仲間(絶さんという人)から聞き、身を裂く思いをしていたら、今度はおにぎりを盗み食い。
いつの間にかハリューとかいうすっごい竜まで倒しちゃったらしいですから、本当に驚きです。命が危うくなると強くなるとかいうすっごい力でも秘めているんでしょうか。

「生憎、先だって火山に襲来した覇竜――アカムトルムを倒してきたばかり。さしものギルドでも、しばらくはこき使おうとは思いますまい」
「そうなんでしょうか?またこき使われるんじゃないですか?」
「心配ご無用。今は拙者は――」

「こうやって、姫様を抱いていたいでござる」
「ばっばか!今マフラーを編んでる最中ですよ!手元が狂っちゃうじゃないですか!」

ハンターの割りに小柄だと言われているけれど、私にとってはとても大きくて、包みこんでくれるような抱擁感を与えてくれます。だから抱っこされるのは大好きなんですけど……
なんだか、なんだか最近、ずっと離れたくないような、そんな気持ちになってしまいます。これではいろいろ駄目です。けじめはしっかりつけないと……

「は、離れてください!雑貨屋さんまで毛糸買ってきたいんですから」
「相分かり申した」

こうやって素直なのはとても有難いんですけどなんというか……
なんでしょう、このもやもやした気持は。

****

「あら、龍衛門さんとこの若奥様じゃないかい。久しぶりだねぇ」
「えっ?」

買い物を終えて家に向かう道を歩いていた私と鉢合わせたのは、目付きがやたら鋭くて火竜の雌のなんでしたっけ、そう、リオレイアみたいな髪型をした女性。
腰に下げた黒と白の双剣がなんとなく嫌な感じです。

「ほらアタシよアタシ、朧――ああ、龍衛門か。アイツがやばかったことをアンタに伝えに来た時に会ったじゃないか」
「ああ!あの時、私と会うなり血を吐いた人ですね!」
「ま、まあね。そんなこともあった。あの時は少し不甲斐ない姿を見せちまったね」

「ところでアンタの旦那は?」
「家で留守してますけど……」
「なんだって。あんの東国の甲斐性無しは女房一人で買い物に行かせるのかい」

ところで若奥様とか旦那とかなんの話をしているのでしょう。
そしてなぜ怒っているのでしょうか。いまいちよく分かりません。

「ところでその、あのー」
「あー、そういや名前を伝えてなかったね。アタシはサフィア、サフィでいいよ」
「サフィさん、ですね。どんなご用事ですか?」
「あー、アタシも一応この村と似たような場所の駐在ハンターでね。依頼でこっちに来る用事があったから、ついでに来たって訳さ」

そういえばこの人間もハンターでしたね。自分の縄張りに外敵が出たから来た、うん、当然の行動です。

「で、アイツ、龍衛門との“性”活はどうなんだい?東国の男はむっつりスケベと聞くけど、まさか龍衛門もそう?」
「生活ですか?普通ですよ。一緒に御飯を作ったり、音楽を聴いたり、本を読んだり……」
「……毎晩よく眠れてる?」
「ばっちりです!一度寝たら朝まで起きませんよ」

なんか『可哀想に』という目でこっちを見ています。
私、人間の言葉がよく分からなかった頃は表情や筋肉の動きで好意や敵意を判断していたんですから、これくらいは分かります。だけど、サフィさんの機嫌を損ねるようなことでも言いましたっけ?

「むっつりどころか……奥手か。流石童貞侍」
「むっつ?どーて?すみません、ちょっとよく分かりません」
「龍衛門と一緒にいてなんかこう体が火照る、ほわっと熱くなったりしない?体が触れた時とか、風呂上りの姿を見てとかさぁ」
「よく分かりましたね!」

サフィさんは人の考えを見通せるような力でも持っているんでしょうか。
確かに最近一緒に居ると、砂漠で日光浴をしすぎたように頭と体がホワワっとしちゃう時があります。それに温泉帰り、なんとなく直視出来ないし……もちろんそんなこと、当人にはとても言えませんよ。私が胸のうちに秘めています。
そのことをサフィさんに話したら獲物を見つけたあの黒猫、メラルーみたいな表情になりました。

「龍衛門が好きなんだろ?」
「はい、大好きです」

脳内で叫ばれる『惚れ申した』という言葉。
私の口からも出たその言語、人間界の愛の言葉。

「もしかして、大好きだけど、どうしたらいいのか分からない?」
「……はい。私はまだ(人間について)不慣れなので、この胸のモヤモヤをどうしたらいいのか分かりません」
「……」
「大好きです、本当に大好きです。抱っこされたらずっと抱かれていたいし、頭を撫でてもらったらずっと手を置いておいて欲しい。だけどそれだけじゃ、このモヤモヤは大きくなるばかりなんです。どうして、どうしてなんでしょうか」

この気持は、私がダイミョウザザミだったら経験することは無かったでしょう。
人間になったからこそ出てきたこの気持、どうしたら良いか分かりません。徐々に焼かれるこの感じは、なんなんでしょうか。

「まったく龍衛門のバカはこんな世間知らずでボンボンのいい娘ちゃんを娶ったくせに、悲しませるなんて腐った男ねぇ。そんな顔しない!見てるとこっちまで心配になってきちゃう」
「えっ、えっ」
「しっかし、あの盆暗になんでアンタみたいな純水でできた氷結晶の塊みたいな良い娘が惚れるんだろうね。まったく、人生っておかしなもんさ」

ぶつくさとサフィさんは呟くと、ため息をひとつこぼしました。

「その悩みはね、アンタ1人じゃ解決できないのさ。かと言って、他の誰かが解決できるようなもんでもない。だけど悩みの解決の近道を教えることはできる」

そう言って、何か液体の入っている小瓶を私にくれました。
『夕食後落ち着いたとき、龍衛門が目を離した隙にそれを一気に飲むこと。くれぐれも飲んでいる姿を見られてはいけない』一体なんでしょうか、コレ。

「んじゃ私はそろそろ行くとするかね。龍衛門によろしく言っておいとくれよ」
「あっ、はい分かりました。どうもありがとうございます」
「OK、いいよ、問題ない。じゃあ私はもう行ってくるね」

はてさて気がついたら太陽が傾いてもう夕飯時です。
普段台所の管理を請け負っているアイルー5人衆は里帰りをし、台所に居るのは私と龍衛門の2人だけ。だから簡単に、そして温かい物を作ろうと決めました。
ポポ肉のロースに採れたて野菜のシチュー、ぜーんぶ炊きたて黄金米と一緒に召し上がれ。

でも、なんだか料理に身が入りません。野菜を切ってる最中も何度か危ない動作をしてしまいました。

「姫、大丈夫でござるか?」
「だだだ大丈夫ですよ。心配しないでくださいっ!」
「しかし……」

誰のせいでこうなってしまっているのでしょう。私?それともりゅーえもん?それとも小瓶をくれたサフィさん?分からない、もう何が何だか分かりません。
頭がぼぅーっとして、考えることがついてきません。あわわ、何と表現すればいいのでしょう。

「姫。大丈夫でござるか?気持ちこの場にあらず、というような感じに見えまするが……熱でもでているのでは?」
「な、何度も言わせないでください。私は大丈夫ですから火加減の心配を――」

妙に体が熱い。熱くて目の前まで真っ赤になってしまいそう。
そして訪れたふわりと空中を浮くような感覚。私は今立っているのは上なのか、それとも下なのか。

「危ないッ!!」
「ふえっ?」

私を支えてくれる2本のたくましい腕。
空中に浮くような感覚は消え、いつもと同じ安堵感が私を包む。打き抱えられていると気づくまで10秒は必要だったと思います。

「熱があるようですな、顔が真っ赤にござる」
「そんなこと……あ、顔に」

直前まで私は野菜を切っていました。当然、一緒に包丁を握っていた訳ですから……

「ご、ごめんなさい!」
「掠り傷。故、心配なさるな。姫を守った名誉の負傷とでも言いましょうか。拙者より姫、お体が優れぬようです。ここは拙者にお預けください」
「でも……」
「姫に傷を負わせてしまったとあっては拙者の責任は切腹物。別に料理を作るなと申しているのではございません、どうか今はお体を考えてくだされ」
「んむう……」

そう言って龍衛門は台所に戻っていってしまいました。
体を休ませろとは言っても、寝ているだけで治るようであれば苦労はしません。本当にどうしたらいいんでしょう。

「食後って言いましたけど……大丈夫ですよね。きっと薬です、毒なんかを渡すわけがありません」

私は手をポケットにある小瓶へと伸ばしました――


****

「なあ、アレはどうした?」
「アレって?シラナイナー」
「いやいや。アルビノエキスと狂走エキスを調合させたアレだよ。これからひどい場所に行くんだから滋養強壮に必要だろ?」
「……忘れてきた」
「え?」
「忘れたって言ってるでしょ!しつこい男は嫌われる、というか嫌いになるよ!」
「理不尽!?」

****

「えっへへー」
「ぬおお、姫、お気を確かに!」

なんでしょうこの愉快な気分は。以前お酒を呑んだことがありますけど、それ以上に体がふわふわします。さっきまであった焼けるような熱さは消え、なんだか温かいです。
さすがはお薬ですぅ。

「この匂い……アルビノエキスと狂走エキス。このようなものを作るのは1人しか居ないし、飲むような阿呆も1人しか居ない……いつのまに姫を誑(たぶら)かしたか」
「りゅーえもーん!!なぁに難しいこと言ってるんですかぁー?」

難しいことを考えている時の貴方ほど、似合わないものはありません。
むしろ私が嬉しくて、愉快な気分なのに貴方も笑わないことが理不尽でおかしいのです。だから貴方も笑うべきなのです。ほら、にこーっ。

「少し様子がおかしい。いくら精神を高揚させる滅茶苦茶なエキスを飲んだとしても、ここまで我を忘れるようにはならない筈でござるが……んむっ」
「えっへへ。ちゅーしちゃいましたぁ」
「姫、いくらなんでもそろそろ……お体が」
「私のこと事……嫌いなんですか?」
「へっ?」

なぜ拒否するんですか?私と一緒に居たくないんですか?
近くに居ることがそんなに嫌なんですか?私はずっと、こうしていたいのに。

「しょーじきに言います。私は、貴方の近くにいると顔が、体が、胸が熱くなります。だから思いっきり甘えたいんです。だけど、それじゃあ治らないんです」
「やはり先程の薬が原因かもしれませぬ。早急に解毒薬を作成します故、しばしお待ちくだされ」
「だぁーかぁーらぁー」

なんだろう、この言葉に現せないような、この熱情。喉が乾いたからといって水を飲みたいわけでなく、お腹がすいているのに食べたいというわけでもない。痒い場所に手が届かない、これが言い当て妙かもしれません。
ああ、なんだか体がまた熱くなってきました。

「お願いします……このままだと、どうにかなってしまいそうです。貴方はこれを冷ます方法、知らないんですか?」

『落ち着け龍衛門、据え膳食わぬは男の恥と言うではないか。姫は其れがしとの同衾(どうきん)を望んでおられるのだぞ』
『いや、それは一時の気の迷いかもしれぬ。それに変な薬を飲まされてこうなったかもしれぬし、その後の責任を取ることが出来るのか』
『しかし不思議だ、姫のこのように乱れた姿を拙者が見たのは初めて。なにか原因があるはず……!』

「はふぅ。ちょうど今はポカポカ陽気な春です。恋の季節ですよ。この時期はケルビやゲネポスだってラブラブな季節。元ダイミョウザザミである私だって甘えていいはずですよ」
『春、ポカポカ?まさか……』

『まさか発情期……?』

『いやいや。元来、人間常に発情期。元ダイミョウザザミだからって、特定の時期に性欲が強くなるなんてことは恐らくないはず』
『待てよ、姫は拙者に“行為”を求めてこなかったし、拙者も求めなかった。繁殖期をずっと我慢していて、薬の働きも手伝ってその容量を今越えてしまったのだとしたら……』

「なりませぬ。一時の気持ちの迷いで異性との同衾は、己の身体を汚すことになるますぞ」
「汚すってどういうことですか?私は貴方を汚いなんて思ってませんし、私はまだ誰にも体を許してないですよ?」
「そういう事では……」

『――姫は、これが繁殖欲だと気づいておられないのでしょう。少なくともこのシーズンが過ぎ去れば元に戻るはず』

この時私はサフィさんの言っていたことを思い出しました。最初言っていた部分は聞き取れませんでしたけど“奥手”だって。きっと臆病とかそのあたりの意味に近いんでしょうね。
それに何か、隠しているような気がします。女の勘ってやつですね。

「もしかして、私の体が熱いのは繁殖相手、つまり交尾の相手を求めているということなんでしょうか?」
「姫……」
「お願いします、もう、貴方を想うと胸が切ないんです。張り裂けそうなんです。お願い――」

「姫。後悔、なさらりませぬか?」

私はこくりと頷きました。


「んちゅっんっ」

普通のキスなら何度もしました。だけど今したのは、とろけるような、熱いキス。
舌と舌が音を立てて絡み合い、互いの息と視線が合わさってもっと熱くなる。こんなの初めてです。

「こんなちゅー初めてです……もっと、私に……」

キスだけで頭がぐるぐる回転するなんて……初めてです。
今日だけで私は何度初めてを経験し、これから経験するのでしょう。

「姫、失礼ばせながら、お着物をお脱がせいたします」
「ん」

ゆっくりと、私の着ていたワンピースが脱がせられました。
私が裸体を見せるのは多分、これが3度目。初めて出会ったとき、龍衛門が男湯と女湯を間違えたとき、そして今。前2回はそうでもありませんでしたが、今はとても恥ずかしいです。

「綺麗にござる。それに前見た時よりもその……女性らしい体つきというか、その……」
「気づきました?出会った頃よりおっぱいが大きくなったんですよ?」
「ええ、とても。拙者にはもったいないぐらいでござる」
「なにをいってるんですかぁー」

当然ですが、ダイミョウザザミに胸なんてありません。
私が人間になったとき戸惑ったことの一つですね。どうやらこれは女性のステイタスらしいです。正直邪魔ですけど、龍衛門が喜んでくれるなら、それでいいのです。

彼はゆっくりと、そんな私の胸へ手を伸ばしてきました。
最初は優しく揉んでいましたが、次第に手つきは荒々しくなり、乳首を口に含んだり……

「んくっ。なんか赤ちゃんみたいですね。くすぐったいです。可愛いです。んああっ」

胸を揉んだり、吸ったり。とても卑猥なのに、いやらしいのに……

「ねえ、ねえ龍衛門。ちょっと聞いてください」
「……どうなされました?」
「体が、お腹がさっきよりあっついのです。すごくすごく熱くて、もう我慢できないのです」

私の胸を弄っていた手を離し、龍衛門は自分の衣服を脱ぎ去りました。
ハンターというのはスゴイですね。何も身につけていない鋼のような肉体には、様々な戦闘で刻まれた無数の傷跡がついています。

「あ、この胸の傷はすごいです」
「黒竜と戦ったときの傷にござるね。そしてこれは覇竜の爪が掠った傷、そしてこれは鋼龍に吹き飛ばされたときに負ったものにござる」
「こんなに傷があるのに背中に傷は無いんですね。不思議です」
「背中への傷は武士の恥。そういうものにござりますよ」
「今日、私が顔に傷を付けちゃいましたけどね。いい顔を台無しにしてしまいました」

少し互いに笑いあった後私は『抱っこしてほしい』と両腕を突き出します。
そしたらいつものように、龍衛門は私を抱き寄せてくれました。いつもはそれで終わりですけど、今は意味が違います。
服を着ていない分、肌と肌が直に触れ合って火傷してしまいそうです。

「姫」
「ええ、分かっています。龍衛門、私の初めてを、貰ってください。そして貴方の精を、私にください」

言い終えた後、あてがわれたソレが私の中に入ってきました。ギチギチと私の体を割きながら奥深くを目指し、どんどん入ってきます。
私は人間時代は勿論のこと、ダイミョウザザミの時も誰かに体を許したことはありません。名実ともにこれで私は、龍衛門の物に……!

「はぁっ……んんっ」
「ひ、姫。大丈夫にござるか?もし痛みが酷いようであれば……」

最奥に到達したにも関わらず、身を引こうとする龍衛門の体を必死に掴みます。
絶対に離さない、離したくない。終わりたくない、終わってほしくない。

「いっ嫌です、抜かないでください。私の愛しい人、私の初めての人!一生に一度しか無いこの痛みを、私に刻んでくださいっ!」

私は元ダイミョウザザミ、またの名を盾蟹です。
人間になったとしても体の丈夫さは変わりません。だから、だから――

「お願いしますっ!私にあなたの全てを!私の全身に刻んでください!」

限界が迫ってきています。私も、龍衛門も。
腰の動きが徐々に激しくなり、私も痛みは徐々に快感へと変わっていきました。

「姫っ……!姫っ……!!」
「ふああああああああ!一緒に、いっしょに!中に、私の中にあなたの全てをっ!ください!」

「あっ――」

放たれた精が私のお腹をいっぱいにして、どんどん体を温めていきます。
その温かさは以前のような身を焦がすようなものではなく、包みこんでくれる温かさ。龍衛門が抱っこしていてくれるような温かさ。とても、とても落ち着きます。

「姫、破瓜の痛み、辛かったでござりましょう。拙者が下手なばかりに申し訳ござらん……」
「えへへ、私を誰だと思っているんですか。私は元ダイミョウザザミ、そして龍衛門の番(つがい)ですよ。こんなの、貴方をディアブロスから庇った時に比べればなんてことはありません。でも……」

そう言って、私は唇を突き出しました。
目をパチクリさせた後、私の最愛の人は顔を真赤にしながらその申し出に答えてくれます。

「実は、私、一度だけ貴方に襲われそうになったことがあるんですよ?」
「なんと……それは」
「あ、切腹は無しですよ?未遂でしたから。それにやっぱり貴方は度胸がなくて、私の体を触るだけで終わってしまいましたし、ね」
「はっはっはっ、拙者らしい」

そんな話をしている中、いつの間にか私は眠ってしまったようです。体の熱も消え去り、久々に良い夢をみることができそうです。私は幸せものです。
この幸せが、ずっと続けばいいのに――


****

「朧は居るかい?」

今夜の月は不気味なくらい青かった。
近いうちに良くないことが起こる。そう言われてきた。

「その声は――何のようにござるか?」

戸口に立っているのは3人の狩人。
その中から代表して双剣を差した女性が口を開いた。どうやら先刻の訪ね口上もこの女性らしい。

「ギルドからの通達よ。ポッケ村からそう遠くない村が、雪崩で壊滅した。住民の避難と、根源の討伐」
「して、その雪崩を起こした主は?まさか轟竜ごときの声が原因ではござらんのだろう?」

問いかけに女性は唇を歪ませる。龍衛門はこの表情を前に1度見た時があった。
そう、あの時だ。完全に負け戦になった、黒竜ミラボレアスを討伐しに行く、あの時。

「崩壊させたのは崩竜――ウカムルバス。天を滅ぼすとまで言われた覇竜と対を為す純白の災厄。このままだと」

「ポッケ村も雪崩に飲み込まれるわ」

To Be continued
2011年07月16日(土) 20:48:26 Modified by kim_kyon




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