おとみの庵

　現在盛岡市天昌寺町の位置にある厨川の柵は、周囲に川が流れ、更に空堀などをめぐらした堅固な柵である。 　安倍氏は鉄びしをまいたり、熱湯をかけたり、弩で石をとばしたり、川面に籾殻をまいて陸地に見せかけたり。夕顔の実に顔を書いて甲冑を着せ贋兵士をおいたりした。また、罵声を浴びせたり、戦いの合間には安倍氏の雑女が楼に登って歌を歌い舞を舞うなどし、官軍を挑発する余裕もあった。 　そこで、官軍は近くの民家の屋根の萱を柵の空堀に敷き詰め、皇城の方角に向き、八幡三所に祈り火矢を放ったところ、官軍の上を鳩が飛んだ後風がお
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　清原氏の参戦により、安倍氏は奧六郡の入り口河崎の柵、小松の柵と、清原氏と接する秋田県側に兵力を分散せざるを得なかった。官軍は両柵を真っ向から攻め、安倍氏は敗走する。 　そして、衣川関近辺にある石坂柵、業近柵も相次いで破られ、源頼義は衣川に入る。衣川館の戦いでも安倍軍はあっけなく破れ、館に火を放って更に北へ逃走する。 　このときの逸話に、源義家が 　「ころものたては　ほころびにけり」 　と叫ぶと、安倍貞任は振り返り 　「としをへし　いとのみだれの　くるしさに」 　と上の句を返した事が言い伝えられている。
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　源頼義は出羽仙北の豪族清原光頼、舎弟武則を参戦させるべく、珍しい贈り物をしては言葉巧みに清原氏を口説いた。清原氏ははじめ承諾しなかったが、ついに応じることとなった。 　後の、後三年の役の時に頼義がどういう策で口説いたかが露呈する。金沢城篭城の時、家衡の乳兄弟千任が櫓の上から源氏軍を罵倒する言葉に、源氏が清原氏に名簿を差し出したことをいう。このことは、頼義が清原氏の家来になることを意味する。 　話の真偽はともかく、清原氏は要請に応え一万余の兵を挙げた。頼義は大いに喜び三千余人の兵を引き連れ栗原郡営岡に集結
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　国司の任期交代の年になったが、新任の陸奥国司は戦が起こったことを聞くと、たちまち辞退してしまった。これにより、源頼義は陸奥守を重任する。官軍は陸奥奥地の鉋屋、仁戸呂志、宇曽利に勢力を持つ、安倍富忠を甘説し味方に付けた。これに驚いた安倍頼時は自ら二千人のみの兵を率いて安倍富忠を説得に赴いた。 　しかし、安倍富忠は伏兵を設け二日間戦った。このとき頼時に流れ矢があたり、鳥海の柵まで引き返したが息を引き取った。 　安倍軍は、大将頼時が死亡してもなお、抵抗を続けた。すでに貞任を中心とする体制が整いつつあった。 　
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戦の意をあらわにした。 　これにおいて、前九年の役が始まる。 　この阿久利川事件に関しては、源頼義が坂東だけでなく陸奥にもその勢力を広げるため、わざと戦を仕掛けたと思われる。藤原光貞の自作自演の夜襲であったかもしれない。 　このとき、官軍には安倍頼時の娘婿、伊具郡司平永衡と亘理郡司藤原経清がいた。平永衡は「鬼切部の戦い」では主君藤原登任に背き、安倍側に身を投じた。しかし今回は、舅安倍頼時に背き官軍に身を投じた。 　官軍が衣川にいよいよ攻め入るときに、平永衡は舅から賜った銀の兜を付け戦いに臨んだ。これを知っ
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　一〇〇〇年頃、陸奥の北部の郡は俘囚の長が郡司となって、各郡を治めていた。そのうちこのころ勢力を拡大し、奧六郡（胆沢、江刺、和賀、紫波、稗貫、岩手）の郡司を兼任していたのが安倍氏であった。そして、その勢力が胆沢と磐井との境、衣川をいよいよ越えると、当時の陸奥守藤原登任は、「賦貢しない」とか「傭役を果たさない」など理由を付けて秋田城介平重成とともに兵を発する。これを察知した安倍氏は兵を挙げ、鬼切部で官軍と衝突する。 　鬼切部の位置については宮城県鳴子の奧にある鬼首が有力な説だが、位置的に考えると、安倍氏が伊
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【[[鬼切部の戦い]]】 【[[阿久利川事件]]】 【[[頼時の死と黄海の戦い]]】 【[[出羽仙北の清原氏参戦]]】 【[[安倍氏敗走]]】 【[[厨川の柵攻防と安倍氏の最後]]】
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