帝国の竜神様71
地図というのは、戦略的に重要な情報である。
それがあるかないかで軍事行動は大きく制約を受けるからで、当然異世界の竜州と名づけた土地にやってきた日本人達は地図の作成に取り組んでいたのだった。
近くは兵を出しての測量、遠くは偵察機を出して写真撮影を。
そして、彼らはそれを見つけたのだった。
「こりゃ……何だ?」
「多分飛行機だと思うが……」
そして、写真に収められたそれは当然のように上層部に報告された。
「ふんふんふんふん〜〜〜♪」
鼻歌を歌いながら実に楽しそうに水人形を操るようじ……もとい丸耳族の前女王。
黒長耳族や長耳族、獣耳族の娘さん達をかき集めて作られた水人形と共に、ドックの中の巨艦のお掃除をしていた。
彼女の主が盛大にやらかした勘違いによって作られたこのドッグだが、現在竜州艦隊に所属している龍鳳がその巨体を横たえていた。
なお、堀みたいに海につながっていたそれをどうやって仕切って水を抜いたかというと……
「主。お願いします」
「わかったのじゃ」
魔法とはとてつもなく便利なものである。
水門よろしく堀の端だけ隆起させて、海から切り離すなんて器用なことを見せられたら誰もがそう思うだろう。
もっとも、排水はさすがにそんな大げさな魔法ではなかった。
「水人形作成!
おまえら、そのまま海まで歩け!」
堀の中の水を材料に水人形を作り海まで歩かせるのも大概だと思うが、人間ど派手なものを最初に見ると意外と陳腐に見えるものである。
このあたり、だんだん日本人も慣れるというか染まるというか。
半分ぐらい水が所で日本人から声がかかる。
「このまま水を抜いたら船が倒れちまうぞ!」
そして気づく幼女。
たしかに船底を見ればまっすぐ立つとも思えない。
考える彼女は数秒してぽんと手をたたいた。
「水人形召還!
船を支えろ!!!」
さすがに見物していた日本人達の開いた口はしばらく塞がらなかった。
で、びっしりとついているフジツボを剥ぎ取っている最中なのだが、これは精のつく食材として重宝されている地方があるらしく、現地妻をいっぱい抱える撫子三角州の今日の食事はこれに決まったなと考えていた矢先に彼女に竜州軍司令部に来てほしいと伝令がやってきたのである。
「こりゃ……よく見つけたね。
こんなの」
目の前の机にばら撒かれた写真を見て固まる一堂――石原中将・大河内中将・博之・撫子・メイヴ――を前に目を爛々とさせてブリーイッドが呟く。
「知っているの?これ」
「過去の遺物。
大崩壊時代の更に前、超古代魔術文明の物よ」
メイヴに振られたブリーイッドが写真を持ったまま答える。
「やっぱり、空を飛んだのか……これは……」
博之がその飛行機らしき残骸の写真を持ったまま呻く。
写真を元に大きさを計算したら、全長300m以上、全幅500m以上の超巨大機になるからに他ならない。
荒地だからこそわかった怪我の功名だが、その場所にはこの超巨大機の残骸のほかに大型機・中型機・小型機の残骸が散乱し、その滑走路は数キロ以上と推測されていた。
「中島さんあたりが見たら狂喜するんだろうなぁ。
こんなでかぶつ、飛ぶとしたらさぞ遠くまで飛べるんだろうな」
石原中将の呟きにブリーイッドがとんでもない爆弾発言をぶちかます。
「飛んでいるよ。この船」
人間三人が石化しているのに気づかない撫子は、ブリーイッドがドックでやったように手を叩き、軽快な音をたてた。
「そういえば、わらわを捕らえにくる人間どもの勇者達がこれに乗っていたような……」
「ということは、人類諸国家連合直轄軍のあれ!?」
「そう。
こっちにはもう来れないから、思い出すのに苦労したわ」
のほほんとする撫子に、真っ青になるメイヴ、淡々と首をふるブリーイッドに対して人間の代表として博之が当然の言葉を述べた。
「頼むから、最初から、俺達にわかるように、説明してくれ」
現在、博之達がいるのがこの世界では『西方世界』と呼ばれている。
そして、その西方世界から見て東方にあたる大陸を『中央世界』と呼び、多くの人類国家群は一つの国際組織に所属していた。
それが、人類諸国家連合である。
その国家組織は、各国の政治顧問(当然魔術師だ)や宮廷魔術師達の連絡組織から始まり、各国から代表を集めて諸問題を討議するという国際連盟みたいな形に近いのだが、決定的に違う所が二つある。
それが、人類諸国家連合自体が直接統治している魔術師学園のある空中庭園をはじめとする直轄領と、その直轄領を拠点に人類諸国家連合諸国の諸問題を解決する為の武力行使機関『直轄軍』の存在である。
「だいたいわらわが捕まるのはこいつらのせいじゃな」
「元は対竜の武装組織なので、勇者を数百人抱える人類最強の組織です」
「大陸のあちこちの問題を解決し、主みたいに勝手気ままに空を飛ぶ竜を捕まえるならこれぐらい当然だろう」
三者三様の説明をある種呆然と聞いている人間側の三人。
そんな事お構いなしにブリーイッドは技術的な歴史を語りだす。
「大崩壊前のエルフ達と人間の対立は聞いているわね。
その対立の前だけど、超古代魔術文明ってのがあった訳。
それが衰退して大崩壊前の古代魔術文明ってのになるんだけど。
メイヴ。超古代魔術文明の衰退の理由って知ってる?」
「知らないわよ。
そんなはるか昔のこと」
そのメイヴの言葉で、日本人達はこの話が数百年どころではない昔の話であることを現実感なく理解した。
「で、大崩壊後に世界各地の古代魔術文明は崩壊していったけど、ただ一つだけその崩壊にさらされずに古代魔術文明を継承できた場所があった。
それが人類側の知の殿堂。魔術師学園というわけ」
幼女らしからぬ憂い顔のまま、彼女は歴史を語り続ける。
「わたしらみたいな長寿種が一つの事に専念すると、まず人間が勝てない域まで達する事ができるわ。
そんな技術は、古代魔術文明の維持に絶対に必要だった。
けど、既に人は自分達以外の異種族に対して決定的な不信感を持っていたわ。
だから、わたしらのご先祖様と人間達の間で取引が成立したの」
一息ついて、その契約内容をブリーイッドは淡々と語った。
「『私達ドワーフは、古代魔術文明の技術全てを忘れる』とね。
人間達ができる技術を除いて、それ以外の技術は全て忘却の呪文で忘れさせられたわ。
で、それでも人間達は信用していなかったから、私達は自らの手で同胞を殺したって訳。
そこまでして、やっと人間達は私達を信用するようになりましたとさ」
その重たすぎる言葉に日本人は誰も何も言えない。
「わたしらの婆様の話よ。
もちろんそんな断絶があるから、彼らの持つこれらの船達はもう作られる事はない。
なんとか整備はしているみたいだけど、いつまで持つのやら……」
博之が何かに気づいたらしく、ブリーイッドに尋ねる。
「何でこんなデカ物がもうこっちに来れないんだ?」
「一つは西方世界の魔術師を束ねる魔法協会との盟約の為。
中央世界のこの手の船はデロス諸島までしか入れないの」
大崩壊後に起こった深刻なマナ汚染に対する対処をめぐって、ゆるやかに古代魔術文明を衰退させマナ汚染を浄化させる方針を取った西方世界の魔術師達が魔術師学園から離反。
これが中央世界と西方世界の分裂に繋がっていた。
衰退したとはいえ、魔法協会にも多くの勇者が属しており、竜が闊歩する中での同士討ちは避けたいという思惑がこの罰則無き紳士協定を成立させていた。
「もう一つの原因。
こっちの方がやっかいよ。
マナ汚染」
魔法は世界に満ちるマナを、オーラによって行使することで発動する。
そして、行使し終えたマナには、その術者の意思が残ってしまう。
これがマナ汚染である。
大崩壊はこの西方世界で甚大な被害をもたらしていた。
そのマナの残滓が何処に残っているか分からないので、この虎の子が出せないというのが最大の理由である。
万が一狂気に狂ったマナを勇者が吸い込んだら、億が一死や滅亡を願った呪文のマナを魔力炉が吸い込んだら……
第二第三の大崩壊の可能性は否定できなかったのである。
そんな重苦しい空気から我に返ったのは、良い意味で即物的であった石原中将だった。
「つまり、この廃墟に行けば、その超古代魔術文明とやらの技術が手に入るかもしれんという事か?」
「その可能性は高いけど、やめといた方がいいわよ」
石原中将の言葉を即座に切って捨てるブリーイッド。
彼が何かを言う前にその理由を告げた。
「そんなものが集まっているって事は、そこがこのグウィネヴィアの森を攻めていたやつらの本陣の可能性が高いわ。
さて問題。
この森の半分はなんで『虚無の平原』と呼ばれるようになったんだっけ?」
「それは、あの蜘蛛をはじめとした虫が……」
そこまで言って大河内中将も黙り込む。
彼が理解したのを悟って、ブリーイッドは答えを口にした。
「多分、虫達の巣は絶対この近くにあるわよ。
あの虫ね、人を食べるでしょ。
魔力で動いているけど、体の補修などは人の体を遣っているのよ。
で、あの化け物どもどうやって増えていると思う?」
はっきりと邪悪な笑みを浮かべたブリーイッドは、真実を日本人に告げた。
「巣の中にはエルフ・ダークエルフ・私達ドワーフや他の種、人間すら。
ありとあらゆる人型種族の牝が捕らえられて卵を産まされているわ。
女は新たな苗床になり、男はそのまま餌となる。
この広大な虚無の平原に無数にある虫どもの巣の大本、『母なる寝床』があるのが多分そこよ」
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それがあるかないかで軍事行動は大きく制約を受けるからで、当然異世界の竜州と名づけた土地にやってきた日本人達は地図の作成に取り組んでいたのだった。
近くは兵を出しての測量、遠くは偵察機を出して写真撮影を。
そして、彼らはそれを見つけたのだった。
「こりゃ……何だ?」
「多分飛行機だと思うが……」
そして、写真に収められたそれは当然のように上層部に報告された。
「ふんふんふんふん〜〜〜♪」
鼻歌を歌いながら実に楽しそうに水人形を操るようじ……もとい丸耳族の前女王。
黒長耳族や長耳族、獣耳族の娘さん達をかき集めて作られた水人形と共に、ドックの中の巨艦のお掃除をしていた。
彼女の主が盛大にやらかした勘違いによって作られたこのドッグだが、現在竜州艦隊に所属している龍鳳がその巨体を横たえていた。
なお、堀みたいに海につながっていたそれをどうやって仕切って水を抜いたかというと……
「主。お願いします」
「わかったのじゃ」
魔法とはとてつもなく便利なものである。
水門よろしく堀の端だけ隆起させて、海から切り離すなんて器用なことを見せられたら誰もがそう思うだろう。
もっとも、排水はさすがにそんな大げさな魔法ではなかった。
「水人形作成!
おまえら、そのまま海まで歩け!」
堀の中の水を材料に水人形を作り海まで歩かせるのも大概だと思うが、人間ど派手なものを最初に見ると意外と陳腐に見えるものである。
このあたり、だんだん日本人も慣れるというか染まるというか。
半分ぐらい水が所で日本人から声がかかる。
「このまま水を抜いたら船が倒れちまうぞ!」
そして気づく幼女。
たしかに船底を見ればまっすぐ立つとも思えない。
考える彼女は数秒してぽんと手をたたいた。
「水人形召還!
船を支えろ!!!」
さすがに見物していた日本人達の開いた口はしばらく塞がらなかった。
で、びっしりとついているフジツボを剥ぎ取っている最中なのだが、これは精のつく食材として重宝されている地方があるらしく、現地妻をいっぱい抱える撫子三角州の今日の食事はこれに決まったなと考えていた矢先に彼女に竜州軍司令部に来てほしいと伝令がやってきたのである。
「こりゃ……よく見つけたね。
こんなの」
目の前の机にばら撒かれた写真を見て固まる一堂――石原中将・大河内中将・博之・撫子・メイヴ――を前に目を爛々とさせてブリーイッドが呟く。
「知っているの?これ」
「過去の遺物。
大崩壊時代の更に前、超古代魔術文明の物よ」
メイヴに振られたブリーイッドが写真を持ったまま答える。
「やっぱり、空を飛んだのか……これは……」
博之がその飛行機らしき残骸の写真を持ったまま呻く。
写真を元に大きさを計算したら、全長300m以上、全幅500m以上の超巨大機になるからに他ならない。
荒地だからこそわかった怪我の功名だが、その場所にはこの超巨大機の残骸のほかに大型機・中型機・小型機の残骸が散乱し、その滑走路は数キロ以上と推測されていた。
「中島さんあたりが見たら狂喜するんだろうなぁ。
こんなでかぶつ、飛ぶとしたらさぞ遠くまで飛べるんだろうな」
石原中将の呟きにブリーイッドがとんでもない爆弾発言をぶちかます。
「飛んでいるよ。この船」
人間三人が石化しているのに気づかない撫子は、ブリーイッドがドックでやったように手を叩き、軽快な音をたてた。
「そういえば、わらわを捕らえにくる人間どもの勇者達がこれに乗っていたような……」
「ということは、人類諸国家連合直轄軍のあれ!?」
「そう。
こっちにはもう来れないから、思い出すのに苦労したわ」
のほほんとする撫子に、真っ青になるメイヴ、淡々と首をふるブリーイッドに対して人間の代表として博之が当然の言葉を述べた。
「頼むから、最初から、俺達にわかるように、説明してくれ」
現在、博之達がいるのがこの世界では『西方世界』と呼ばれている。
そして、その西方世界から見て東方にあたる大陸を『中央世界』と呼び、多くの人類国家群は一つの国際組織に所属していた。
それが、人類諸国家連合である。
その国家組織は、各国の政治顧問(当然魔術師だ)や宮廷魔術師達の連絡組織から始まり、各国から代表を集めて諸問題を討議するという国際連盟みたいな形に近いのだが、決定的に違う所が二つある。
それが、人類諸国家連合自体が直接統治している魔術師学園のある空中庭園をはじめとする直轄領と、その直轄領を拠点に人類諸国家連合諸国の諸問題を解決する為の武力行使機関『直轄軍』の存在である。
「だいたいわらわが捕まるのはこいつらのせいじゃな」
「元は対竜の武装組織なので、勇者を数百人抱える人類最強の組織です」
「大陸のあちこちの問題を解決し、主みたいに勝手気ままに空を飛ぶ竜を捕まえるならこれぐらい当然だろう」
三者三様の説明をある種呆然と聞いている人間側の三人。
そんな事お構いなしにブリーイッドは技術的な歴史を語りだす。
「大崩壊前のエルフ達と人間の対立は聞いているわね。
その対立の前だけど、超古代魔術文明ってのがあった訳。
それが衰退して大崩壊前の古代魔術文明ってのになるんだけど。
メイヴ。超古代魔術文明の衰退の理由って知ってる?」
「知らないわよ。
そんなはるか昔のこと」
そのメイヴの言葉で、日本人達はこの話が数百年どころではない昔の話であることを現実感なく理解した。
「で、大崩壊後に世界各地の古代魔術文明は崩壊していったけど、ただ一つだけその崩壊にさらされずに古代魔術文明を継承できた場所があった。
それが人類側の知の殿堂。魔術師学園というわけ」
幼女らしからぬ憂い顔のまま、彼女は歴史を語り続ける。
「わたしらみたいな長寿種が一つの事に専念すると、まず人間が勝てない域まで達する事ができるわ。
そんな技術は、古代魔術文明の維持に絶対に必要だった。
けど、既に人は自分達以外の異種族に対して決定的な不信感を持っていたわ。
だから、わたしらのご先祖様と人間達の間で取引が成立したの」
一息ついて、その契約内容をブリーイッドは淡々と語った。
「『私達ドワーフは、古代魔術文明の技術全てを忘れる』とね。
人間達ができる技術を除いて、それ以外の技術は全て忘却の呪文で忘れさせられたわ。
で、それでも人間達は信用していなかったから、私達は自らの手で同胞を殺したって訳。
そこまでして、やっと人間達は私達を信用するようになりましたとさ」
その重たすぎる言葉に日本人は誰も何も言えない。
「わたしらの婆様の話よ。
もちろんそんな断絶があるから、彼らの持つこれらの船達はもう作られる事はない。
なんとか整備はしているみたいだけど、いつまで持つのやら……」
博之が何かに気づいたらしく、ブリーイッドに尋ねる。
「何でこんなデカ物がもうこっちに来れないんだ?」
「一つは西方世界の魔術師を束ねる魔法協会との盟約の為。
中央世界のこの手の船はデロス諸島までしか入れないの」
大崩壊後に起こった深刻なマナ汚染に対する対処をめぐって、ゆるやかに古代魔術文明を衰退させマナ汚染を浄化させる方針を取った西方世界の魔術師達が魔術師学園から離反。
これが中央世界と西方世界の分裂に繋がっていた。
衰退したとはいえ、魔法協会にも多くの勇者が属しており、竜が闊歩する中での同士討ちは避けたいという思惑がこの罰則無き紳士協定を成立させていた。
「もう一つの原因。
こっちの方がやっかいよ。
マナ汚染」
魔法は世界に満ちるマナを、オーラによって行使することで発動する。
そして、行使し終えたマナには、その術者の意思が残ってしまう。
これがマナ汚染である。
大崩壊はこの西方世界で甚大な被害をもたらしていた。
そのマナの残滓が何処に残っているか分からないので、この虎の子が出せないというのが最大の理由である。
万が一狂気に狂ったマナを勇者が吸い込んだら、億が一死や滅亡を願った呪文のマナを魔力炉が吸い込んだら……
第二第三の大崩壊の可能性は否定できなかったのである。
そんな重苦しい空気から我に返ったのは、良い意味で即物的であった石原中将だった。
「つまり、この廃墟に行けば、その超古代魔術文明とやらの技術が手に入るかもしれんという事か?」
「その可能性は高いけど、やめといた方がいいわよ」
石原中将の言葉を即座に切って捨てるブリーイッド。
彼が何かを言う前にその理由を告げた。
「そんなものが集まっているって事は、そこがこのグウィネヴィアの森を攻めていたやつらの本陣の可能性が高いわ。
さて問題。
この森の半分はなんで『虚無の平原』と呼ばれるようになったんだっけ?」
「それは、あの蜘蛛をはじめとした虫が……」
そこまで言って大河内中将も黙り込む。
彼が理解したのを悟って、ブリーイッドは答えを口にした。
「多分、虫達の巣は絶対この近くにあるわよ。
あの虫ね、人を食べるでしょ。
魔力で動いているけど、体の補修などは人の体を遣っているのよ。
で、あの化け物どもどうやって増えていると思う?」
はっきりと邪悪な笑みを浮かべたブリーイッドは、真実を日本人に告げた。
「巣の中にはエルフ・ダークエルフ・私達ドワーフや他の種、人間すら。
ありとあらゆる人型種族の牝が捕らえられて卵を産まされているわ。
女は新たな苗床になり、男はそのまま餌となる。
この広大な虚無の平原に無数にある虫どもの巣の大本、『母なる寝床』があるのが多分そこよ」
帝国の竜神様 071
次帝国の竜神様72
2012年01月10日(火) 19:28:53 Modified by nadesikononakanohito