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「ゆーきーほー。」

事務所のソファーで本を読んでいると、美希ちゃんに後ろから抱き付かれた。声のトーンで不機嫌なのが分かる。何かあったのかな。

「どうしたの?」

栞を挟んで本を閉じ、美希ちゃんと手を重ねる。冷えてるみたい。外は寒いのかな?

「雪歩。」
「美希ちゃん。」
「ゆきほぉー。」
「美希ちゃん?」
「雪歩、恋愛ドラマに出るって本当?」

あ、もう知ってるんだ。プロデューサーから聞いたのかな。
でも不機嫌そうなのはどうして?

「うん、本当だよ。」
「…ふーん、そうなんだ。」

美希ちゃんはソファーを乗り越えて、私の膝に座った。
何だかますます不機嫌そう。

「恋愛ドラマって事は、やっぱりキスシーンとかあるんだよね。」
「キス…? あ、うん、そうだね。」

何となく不機嫌の理由が分かった。つまり、私が芝居で俳優とキスするのが嫌なんだ。でも、私は主役じゃないしキスなんて勿論しない。765プロはそう言うところがかなり厳しい。それは美希ちゃんも知ってる筈なんだけど…。

「雪歩、キスするんだ。」
「…。」

「しないよ。」と言おうとしたら、上目遣いで睨まれ、言葉が引っ込んでしまった。どうやら私の事で頭が一杯で忘れちゃってるらしい。尖った唇と膨らむ頬が可愛くて、思わず笑みがこぼれた。

「笑って誤魔化そうなんて許さないんだからね!」

美希ちゃんは啖呵を切ると同時に私の膝に跨り、私を押し倒そうとするが、そうは行かない。こんな事をしたって、後で傷付くのは美希ちゃんだから。

「美希ちゃん、私、キスなんてしないよ?」
「えっ?」

美希ちゃんが私を押す力が弱まった。その隙を突いて、私が美希ちゃんを押し倒す。

「え? え?」
「そう言う仕事は事務所が受け付けないし、それに、私は美希以外の人とはキスしたくないな。」

まさか私が反撃してくるとは思わなかったんだろう。美希ちゃんは目をぱちぱちさせて固まっている。

「…ショックだなぁ。」
「えっ!?」
「私は美希ちゃんの恋人なのに、美希ちゃんは私を信じてくれてなかったんだ?」
「あっ…。」
「だからもっと、分かってもらわないといけないね?」

私は美希ちゃんに覆い被さって、顔を近付ける。すると、真っ赤になって慌てだした。

「え、ちょ、ちょっと、ここで!?」
「キスだけだから。」

今さっき私を押し倒そうとしたのに、何を言ってるんだろう。
まだ何か言いたげな美希ちゃんの唇を、私のそれで塞ぐ。

「んっ…///」

私を押し返そうとしていた手が抵抗をやめ、何度もキスしている内に私の手を握ってきたので、指を絡める。

「ん…はぁっ///」

唇を合わせるだけじゃなく、徐々に徐々に、深く貪っていく。しばらく続けてから顔を放すと、美希ちゃんはとろけたような顔をしていて、息遣いも艶っぽくなっていた。

「美希ちゃん…。」
「ゆきほ…ひゃっ!?」

首筋にキスすると突然の刺激に驚いたのか、可愛い声を上げて肩を震わせる。

「ゆ、ゆきほ、そこはっ。」
「キスだけだよ?」

そのまま次の行動に移ろうとしたら、事務所のドアが開く音がした。

「おはようございまーす! わあああっ!?」

元気な挨拶とどんがらがっしゃーん。それが聞こえた途端、美希ちゃんが私を退けようとバタバタと暴れだす。

「だーめ♪」

起き上がろうとする美希ちゃんを制し、強引に唇を貪る。
見せ付けてあげようよ。前に美希ちゃんが私を押し倒した時みたいに。

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