慢性胃炎

慢性胃炎 chronic gastritis

病因

ヘリコバクター・ピロリの慢性感染
自己免疫性胃炎−悪性貧血と関連する
中毒性- アルコール・喫煙
術後胃炎-胃前庭部切除による十二指腸液逆流
胃運動障害
放射線
肉芽腫形成(クローン病・胃梅毒など)
その他- アミロイドーシス, GVHD,尿毒症


H.pyloriの慢性感染 幽門領域慢性胃炎の90%に感染している


H.pylori完全ゲノムシークエンス--TombJF et al.Nature 388:539, 1997

慢性感染確立のメカニズムの一つとして考えられる機序
  • H. pyloriは空胞化細胞毒Avacuolating cytotoxin A:VacA)と呼ばれる毒素を産生する
  • VacAは消化管上皮細胞を直接障害する-炎症がおこりT細胞の免疫応答がおこるが
  • VacAはT細胞の細胞周期を停止させることによってその活性化および増殖を阻害する。
  • この毒素は免疫反応遺伝子群を調節する分子(NFATと呼ばれる)を排除する。
  • H. pyloriは細胞間の接着結合を離開させることができ, VacAは細胞間隙を通って拡散することができるためかなり離れた距離のT細胞を攻撃することができる
(Gebert B et al. Helicobacter pylori vacuolating cytotoxin inhibits T lymphocyte activation. Science 2003 Aug 22; 301:1099-102.)


VacAの免疫抑制作用は、汎用されている免疫抑制薬であるtacrolimusのものにきわめて類似する。VacAおよびtacrolimusが同じ遺伝子セットをアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションすることをがGebert Bらにより示されている。
2007年05月20日(日) 15:42:15 Modified by youkyon76885117




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