痛みの分類

痛み(疼痛)についての解説 ★★☆ 97回の問題16に出題。


痛み(疼痛), painペイン(英) は病気の代表的な症状のひとつです。ある疾患の痛みの特徴とその痛みの種類について質問する形式の問題がでます。
痛みは,その特徴でいくつかに分類されているんですね。関連痛がよく問われるようですね。

関連痛:痛みは神経を通って脊髄から脳へと伝え られますが,その際、皮膚の特定の部分に不快感や痛みを感じることを 関連痛(または放散痛)と言います。


  • 関連痛の例
    • 肝臓疾患や胆石症発作の時に右肩が痛む
    • 心臓異常の時左上腕や左肩に痛みや不快感を感じることがあります。 歯が痛むことがある
    • 虫垂炎の痛みは最初, 心窩部(みぞおち)に放散する関連痛をきたすことがある。

これは脊髄で内臓からの感覚神経と皮膚からの神経が集まり、大脳皮質へ伝達される際、脊髄の同じレベルからの内臓神経痛を中枢が皮膚からの痛覚刺激として認識するからです(脳が内臓の痛みを皮膚の痛みと勘違いするわけね)。関連痛は内臓疾患の診断に非常に重要です。


体性痛、内臓痛というのは部位による痛みの分類です。


体性痛表面痛深部痛に分類されます。

表面痛(表在痛)皮膚や粘膜の体の表面の痛み。
侵害性機械刺激、侵害性冷刺激(15℃以下)、侵害性熱刺激(43-5℃以上)、侵害性化学刺激(薬品によるやけどなど)によって生じる。いずれも組織を傷害するか、長時間持続すると組織を障害する可能性がある。 限局性の(=体のある部分に限定した)痛み。速い痛みと遅い痛みに分けられる。それぞれ痛みを伝える神経の線維が違っているのです。速い痛みは刺す痛み(pricking pain)で、鋭く、局在が明確である(どこが痛いか簡単に指で指し示すことが出来る)刺激を止めると直ちに消失する。
遅い痛み:速い痛みに引き続いて怒る灼けつく痛みで、鈍く、局在がはっきりしない。刺激を止めた後も続く耐えがたい痛みです。

深部痛 とは体の深部とくに骨膜、靱帯、関節嚢、腱、筋膜、骨格筋の痛み。
限局性の痛み。速い痛みと遅い痛みの区別が明確ではない疼く痛み。侵害性機械刺激でもっとも強く痛みやすい(痛みの閾値が低い)のは骨膜で、痛みにくいのは骨格筋。

骨格筋の痛みは、血行障害のある骨格筋が持続的に収縮するときに現れやすい。
間欠性跛行(かんけつせいはこう)---下肢の動脈閉塞性疾患や腰部脊柱管狭窄-があると、歩行によって痛みが起こるが、休むと痛みはおさまる

内臓痛
  • 内臓におこる痛みのこと。内臓痛は皮膚の痛みとは違い、非常に限局した傷害では起こらず、臓器が広範囲に損傷を受けた場合に感じられます。
  • 痛みの原因となるものに虚血、化学刺激、けいれん等があります。特有な不快感を伴う痛み。 速い痛みと遅い痛みの区別が明確ではない疼く痛みです。
  • 体性痛に比べて局在が不明瞭で、性質がはっきりしないことが多い。(どこが痛むか指で指し示すのが難しく, いろいろな痛み方をする)

内臓における痛覚受容器(痛みを感知する組織-神経組織の一部)の分布が粗くて、脊髄内での終末分布が広範囲に広がるために、局在性がはっきりしないと考えられている。
内臓痛を起こす組織のうち、壁側胸膜や壁側腹膜は非常に敏感で、弱い機械刺激によって容易に痛みが起こる。

疝痛発作とは
正常な管状器官(胃、腸、胆道、尿管など)は、切られても焼かれても痛みは生じない。管腔臓器の急激な収縮が痛み刺激になる。(胆石症や尿路結石症などの仙痛発作で閉塞に逆らって、内容物を移送するために、強い収縮や伸展が起こると、強い痛みが起こる。経験したけど本当に痛い、じっとしていられず、転げまわる。対照的に腹膜炎や虫垂炎の痛みでは痛くてじっと動かずにいることが多い。 )

粘膜に充血や炎症があるときには弱い機械刺激や、酸、アルカリの希釈溶液によって、痛みが起こる。
腹痛によって、悪心、冷感などの自律神経反射が誘発される。また急性腹症時の筋性防御(腹膜炎などでおなかを指で押すと腹筋など筋肉が異常に緊張して硬くなっている)などの体性神経反射を伴う場合もある。

腹痛などには、内臓痛だけではなく、体性痛も含まれる。体性痛は、腸間膜、小網、横隔膜、壁側腹膜などの病変によって生じ、限局性、非対称性、持続性である。
2008年06月12日(木) 16:57:47 Modified by youkyon76885117




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