あにまん掲示板の各種スレッドに掲載されているR-18小説を保管するためのwikiです。

 はじめて彼女と体を重ねた日から、数日。
 白いデュエルディスクと彼女の間にはある種の『つながり』が生まれたようで、俺が召喚せずとも彼女は自分の意志でこちら側に来ることができるようになっていた。
 男のひとり暮らしとは彼女にとってえらく不健康な生活に見えるらしく、時折やってきては冷蔵庫の中身を食材と作り置きで埋めてひっそりと帰っていくことも多くなった――そんな、ある日のこと。

 仕事が長引き、家に帰るころにはすっかり夜も更けて、どこの店のシャッターも締まっていた。
 静まる商店街とは対照的に、Dホイールを乗り回すはりきりボーイが元気になる時間帯。
 毎夜よくやるもんだとテールランプの筋を尻目にドアを開けて帰宅する。それから鍵を閉めて、洗濯は明日の休みにやろうと洗面所にスーツを投げ込み、シャツとパンツだけ着てそのまま寝床にすっぽり収まろうとした――時。

 「……すー……すー………………ぁひっ……」

 俺の布団には、すでにハイネが収まっていることに気づく。
 夏場に使う薄い毛布がぴったりと彼女の体に重なっており、大きく膨らんだ胸元が呼吸に伴って上下するのが見て取れる。
 寝息とともに時折漏れる変な声がなんなのか気になったが、彼女の隣に収まろうと顔を近づけて、その理由が判明する。

 耳に、ワイヤレスイヤホンをつけている。
 接続先は枕元にある、俺の普段使いの小さな音楽プレーヤーだろう。
 そして、それに収まっている音楽ファイルは、単なる音楽ではなく――いわゆる、ASMRと呼ばれるもの。

 「……はぅ…………あふっ…………ふーっ……」
 
 「…………」

 びくんと体を反応させる様子から、だいたい何の作品を聴いているのかはわかる。
 俺も寝る前によく聴くし、寝落ちすることも珍しくないが……。
 ともあれ、ぐいと彼女の体を押して、その横に寝転がって俺も布団にくるまった。

 「……はぇ?」

 その拍子に、当然というべきか、ハイネも目を覚ました。

 「……えと……その」

 「…………」

 「……おかえり……なさい……?」

 「ただいま」

 ゼロ距離で顔を合わせながら、こくりと頷きながら返事をした。

 *

 曰く――。
 『帰りがこれだけ遅いということは、さぞかし疲れた様子で帰宅するだろう』と思い。
 何か俺を癒せるものはあるだろうかと、家にあるアイテムを探した結果、この音楽プレイヤーを見つけたらしく。
 中に入っている『癒し』や『安眠』といった単語を見て、これだ、となり。
 どんなものか聴いてみたところ、見事に寝落ちしたとのことだった。

 「えや……その、す……すごかったですねー……。耳元でこしょこしょって、ざわざわってするのに、安心するというかぁ……」

 カナル型のイヤホンから聞こえてくる声よろしく、俺の耳元で囁きながら感想を話すハイネ。
 それはいいのだが、先ほどの反応を見るに、明らかに聞いていたのはただの安眠用ではないと思った。
 枕元の音楽プレイヤーを手に取り、流れていたトラックの名前を確認する。

 …………『眠れない添い寝』。

 「あの……」

 …………。
 
 「あなたは、その……好き、なんですか? ……こういうの」

 ……まあ、好きだから買っているし、使っている。
 このトラックの内容は裸の女の子が布団の中でぎゅっと抱き着いてきて、耳元で囁くだけでなく、耳の奥に舌先をねじこむ……いわゆる『耳舐め』を要素として含んでいる。ハイネの反応から察するに、その部分に彼女はびくびくと刺激を受けていたのだと思う。

 「……そう、なんですね」

 布団の中で、ハイネの指先がするすると俺の腹を撫でる。
 そうして上へとのぼって来た手が頬を撫でると、いっそう彼女の顔が耳元に近づいてきて。……一言。


 「えっち」


 ぼそりと、呟かれる。

 そのまま、ぎゅっと彼女の胸が二の腕に押し付けられて、抱き寄せられて。

 「…………はむ」

 耳を。
 唇で、挟まれた。

 「ぁむ……んむ…………はむ」

 彼女の唇に耳を食まれ、ぞわぞわとした感覚が背中に走る。
 不快感はなく、むしろ心地良い。唾液で湿った、暖かい口内ではむはむと耳を弄られながら、俺も先程彼女が出していたような声を自然と漏らしてしまう。

 「ぁ……声、出てる。……きもちいいんですか? これ……」

 こくりと小さく頷いて答える。
 普段耳から聴いている音ではない、実際の感触にぴくりと体が反応し、たっぷりと溜まった全身の疲れから来る脱力感が、自然と俺に俺を抱きしめる彼女を求めさせた。

 ……ハイネ。

 「……はい、なんでしょう」

 もっと強く、ぎゅうっと抱きしめてほしい。

 「……はい♥」

 返事をするたび、彼女のウィスパーボイスが耳の穴をじんわりと撫でた。
 彼女の腕が俺の体に乗っかり、その先にある手が俺の頬をぎゅっと抱き寄せる。俺の二の腕……どころか半身が彼女の体に包まれ、やわらかく大きな乳房の向こう側から、とくん、とくんと彼女の心音が体を通して聴こえてくる。
 ……彼女の暖かい体温。体の感触、耳元への囁き声、吐息、心音。
 すべてがいっぺんに俺の体から疲労を拭い去り、とろりと融けて布団に飲み込まれるような錯覚すらやってくる。

 自分の体温が高まって、ぐわん、ぐわんと体が回転するような感覚。
 リラックスしきって、眠りに落ちかけていると、感覚で理解する。
 
 「……あなたの体……あったかい、ですね」

 ……お互い様だろう。
 返事は頭の中だけで行った。

 「あの…………ほんとは、私」

 ……。

 「はじめて、会ったとき。心のどこかで……喜んでたんです」

 「理由はわからないけれど……ずっと、ずっと会いたい人に、ようやく会えたような……初対面の相手に、ヘンですよね」


 「……もしかしたら」

 「あのカードに宿っていた、『私』の気持ち……なのかも、しれません」


 ……。

 ぎゅ、っと、また強く抱きしめられる。
 俺の頬を、細い指先がそっと撫でる。

 「それから」

 「……あんなふうに」

 「乱暴に、めちゃくちゃに、おかされたのも」

 
 「……嬉しかったんですよ、私」

 「気持ちよかったんです。悦んでたんです。……怖いとか、恥ずかしいとか、そんな気持ちを押しのけて」

 「……今でも思い出すと、お腹があつくなって」

 
 「私が過ごしてる、あっちの世界でも、私」

 「あなたのことが、頭から、離れないんですよ」

 意識は、半分、とろけている。
 彼女の声は聴こえているけれど、体は動かせそうにない。
 彼女の囁き声と、彼女の体温と、感触と、想いが、深い深い眠りへといざなってくれる。

 「たまに、ほんとうに、たまに」

 「……あなたのことがいとおしくて、たまらなくなって、めちゃくちゃにされたときのこと、思い出すことがあって」

 「そんなとき……私は」


 「あなたのことを考えて。あなたのことを思い浮かべて、めちゃくちゃにされるのを、想像して」

 「頭がとろとろになるまで………………するんです」

 ………………。

 「……あなたも」

 「私のこと、いっぱい、想像して……思い出してくれてたら」
  
 「ふふっ…………うれしいです」

 ちゅう、と小さく頬に唇が当たる。
 頬で感じた頬の熱りに、羞恥と興奮が入り混じった気持ちがあった。
 
 「大好き」

 「あなたのことが、大好き」

 「ずっとずっと、私を大事に想ってくれる、あなたのことが大好き」

 耳を食まれることはなかったけれど。
 もぞもぞと、額や頭をこすりつける感触が、くすぐったくて心地よかった。
 意識をとろけさせながら、俺もだと心の内に返事をする。

 「それと」


 「私…………めちゃくちゃにされるのが、大好き、だから」

 「いつでも私のこと、……してくださいね」

 ほとんど眠っている俺の意識は、ぷつりぷつりと途切れていた。
 もう少し、もう少しだけ意識を保ちたい、けれど。
 あたたかくて、ここちよくて、眠たくて。


 「一緒にいる間は……」

 「…………下着、脱いじゃいますから」 

 
 そんなような言葉が、最後に聴こえたような気がした。

 
 *

 じりじりと暖かい陽射しを体に受けて、とてもとてもすっきりした気持ちで目を覚ます。
 体が軽い。夢すら見ないほど深い眠りだったらしい。布団を除けて上体を起こし、寝る直前まで感じていた心地いい感触を思い出し……それがないことに気づいて、物足りなさと名残惜しさを覚える。
 とはいえ、またキッチンの方から物音が聞こえてくる。添い寝してくれていた彼女がまだ帰っていないことを確認すると、水の一杯でも飲もうかと布団の上に立ち上がろうとした、時だった。

 「……んう?」

 掛け布団の内側、足先に妙な感触がある。
 べろんと布団をめくってみてわかったそれの正体。
 質のいい黒い布切れ……と呼び捨てることが、あまりに憚られるような。

 「……」

 昨夜、かすかに覚えている言葉を思い出し。
 布団に暖められていたためか、ほのかに熱を持っているその女性の下着を、布団の横へと置いておく。
 
 ……彼女の囁き声を思い出して脳内で再生すると、隣にいないにもかかわらず、ぞわぞわとした感触が呼び起こされる。
 その声が求めていたものに従い、ゆっくりと立ち上がって、キッチンに向かう。


 「あ……! おはようございます、ぇと…………よ、よく眠れましたかっ!?」

 「お陰様で、とても……。ありがとう、ハイネ」

 「なら、よかったです。待っててくださいね、すぐに朝ごはんを用……意っ!?♥♥」

 ぎゅう、と。
 スカートの内側に手を潜り込ませて、あの黄色いタイツすら履いていない彼女の下半身を、後ろから直接触れて揉む。

 「っっ…………♥ ……ぁ、あの、まだ……起きたばっかり……ですよね? ……っ、その……」

 「ハイネ」

 「〜〜っっ♥♥」

 するすると手をすべらせて、お尻から、前へ。
 もう片方の手で、彼女の大きな乳房を掬いあげるように揉み。
 昨晩してもらったお返しに、俺も彼女の耳元で囁いた。

 「股、開け」

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