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軍貫マン
ゴルゴンダの決戦後

「これで終わりか………」

フルルドリスは何処かもしれぬ場所で呟く

一時的に体の自由を取り戻したフルルドリスであったが内にある600をも超える魂が溶け合うように心を蝕み自分というものが次第に消えていくのを感じていた

「これ以上火種を残すわけにはいかない。すまない。エクレシアあとは……」

フルルドリスは教導から出奔する時に誓った彼女を守るためならなんだってするとたとえそれで自身の命が失われたとしても

フルルドリスは剣を構え自らの命を断とうとした

「だめよ。こんなところで死なれても困るわ」

「誰だ?」

フルルドリスが声の主に問いかける

見た目は少女のような姿をしているがフルルドリスは直感で彼女にただならぬ力を感じていた

「私はシトリス。あなたがその力で誰かを傷つけることを恐れているならその命、私に預けてみない?」

この日よりフルルドリスの第二の人生が幕を開ける

「これはなんだ?」

フルルドリスはシトリスによって力を奪われていることを感じ取る

「こうすれば万が一あなたが自分を見失ったとしても誰かを傷つける前に私が終わらせてあげる。あと鎧は邪魔だから脱がてあげる」

粘着性のある分泌液がフルルドリスの身体を覆うとそれは肉体を傷つけることなく鎧だけをドロドロと溶かしていった

「綺麗な身体。あの子は喜んでくれるかしら」

「なっ!?」

フルルドリスは咄嗟に身体を隠す

「あら、別に裸を見られたからって恥ずかしがる歳でもないでしょう?この調子だとこれから先が大変よ」

「なにをするつもりだ?」

「それはね……」

シトリスはフルルドリスの耳元で囁くとフルルドリスは顔を真っ赤にしてしまう

「正気か!?そっ、そんなことをするわけが……それに今の私は異形なのだぞ。そんな状態で……」

「そう難しく考えないで。やってみたら案外悪くなかったりするものなのよ」
それからフルルドリスは初めて異性と交わることになる

それはフルルドリスにとって雷を浴びるような衝撃を与える

「んっ、そんなに……好きなのか?」

男はフルルドリスに甘えるようにちゅうちゅうと乳房に吸いつきながら懸命に腰を動かしている

「こうか?」

フルルドリスはシトリスの指示に従い頭を撫でてやると男は嬉しそうに目を細めた

「可愛いでしょ?」

シトリスはフルルドリスにそう語りかける

「可愛い?」

「そうよ。甘えることは相手を信頼していないとできない。つまり、あの子があなたを信頼している証。それはどんな愛の言葉よりも純粋で、真っ直ぐで、愛おしいと思わない?」

甘える男の姿はフルルドリスにとって最愛の妹であるエクレシアがまだ幼かったころを思い出させた

「うっ……くっ……」

フルルドリスは嗚咽を堪えるように肩を震わせる

「本当は彼女に会いたかったのね。でもこの姿では会えないと心を鎖で縛っていたのね」

シトリスはフルルドリスを落ち着かせるように優しく撫でる

「怖がらないで、あなたは人から忌み嫌われる存在ではないわ」

その証明と言わんばかりに男の肉棒はフルルドリスの膣内で一回り大きくなる

「くっ……あっ、まだ大きくなって……」

フルルドリスは初めての感覚に戸惑いながらも身体がそれを求めるように男の腰に脚を絡めてしまう

「甘やかすことは一方的に与えるだけじゃないのよ。幸せだって気持ちを分かち合うことで何倍もの幸福に変わる」

男はフルルドリスに甘えるように唇を重ねる

「んっ、ちゅっ……」

最初は驚いていたフルルドリスも男の求めに応じるように舌を絡めると唾液を交換していく

「んんっ……ちゅっ、じゅるっ」

二人は貪るようにキスを交わすと男はフルルドリスの子宮を押し上げるように激しく動く

「んぅっ!?」

突然の行動に驚くフルルドリスであったがすぐさま心地よさが身体を支配した

「そろそろみたいよ。ほら、あの子を受け止めてあげて」

男はフルルドリスを孕ませるために限界まで膨らんだ肉棒をフルルドリスの中へ押し込むと溜め込んでいたものを一気に放出する

「うっ、ああん!!」

あまりの量の熱さに驚きながらもフルルドリスの身体はそれを受け入れようと子宮口を亀頭に押し付ける

「はぁ、熱い……それにこんなにもたくさん……」

フルルドリスは恍惚とした表情を浮かべながらしばらく男と舌を絡め続けた

それからもフルルドリスは自身の身体を奪おうとする存在と心の中で戦いながらシトリスに従い男に幸福を与える日々を送る

そんなある日

「はい、がんばってるフルルドリスにお礼」

シトリスはフルルドリスに1枚の写真を手渡す

「エクレシア……テオ、アディン」

以前よりも少しだけ大人びた雰囲気のエクレシアが多くの仲間に囲まれていた

「エクレシアはあなたの無事を聞いてとても喜んでいたわ」

「そうか…」

「エクレシアの髪きれいね」

写真の中でのエクレシアは美しく結われた金の髪をなびかせながら仲間たちと共に幸せそうな表情を浮かべていた

「あまりにも綺麗だったから尋ねたら『お姉様を心配させないようにたくさん練習したんです』って嬉しそうに言ってたわ」

「ふふ、そうか。それは嬉しいな」

フルルドリスは写真を見て微笑むとシトリスに礼を言う

「会いたくなった?」

フルルドリスは理解していた

シトリスは決して逃がすつもりはないことを

この行為はフルルドリスの中にある僅かな未練を断ち切るためのものだと
フルルドリスはゆっくりと首を振る

「いいんだ。この身体はシトリスとご主人様に捧げた。エクレシアが幸せだとわかっただけで十分だ」

そう微笑むフルルドリスの表情は喜びと少しの悲しみが内包していた

これ以降フルルドリスはキープとして男への奉仕により一層の熱を入れて、シトリス不在時の世話係を引き受けたりと献身的に支えるようになった

また、シトリスを恐れ、怯える性玩具たちに緩衝材として指導や親身に相談に乗って良好な関係を築くことでシトリスによる支配をより盤石なものにする

「どうフルルドリス?調子はいい?」

「ああ、問題ない。ご主人様の存在が私に勇気と活力を与えてくれる。この想いがあれば私は私でいられる」

男に尽くし甘やかすという使命はフルルドリスの中で誇りとなり、内なる存在に抗う力となっていた



女性たちは男に選ばれようと自身の肢体をアピールするが男が選んだのは手で乳房を隠すフルルドリスであった

手で隠しているといってもシトリスに捕まったころよりもさらに大きくなった乳房を隠しきれず、突起を覆い隠すだけでむしろ強調するような形になっていた

さらにいつも積極的に奉仕への姿勢をみせるフルルドリスがこのような行動を起こすのには意味があると男は考え好奇心と期待に胸を高鳴らせて彼女を指名した

「ありがとうございますご主人様」

フルルドリスは顔を赤く染めて礼を言うと

男はフルルドリスの身体を舐め回すような視線を向ける

男が初めて見た頃は鍛え上げられた引き締まった身体は全体的に肉付きのいい丸みを帯びた体型に変わっていた

これはフルルドリスが男の好みに合せて体型を変えているからである

シトリスがフルルドリスの健康面を意識して協力を行っているのもあるが、それはフルルドリスが男のために積み重ねた努力の結晶であった

「気になりますか?……」

フルルドリスは乳房を覆うと手をどけて乳首を露出させる

2つの乳首は異なる色をしており、片方は男に何度も吸われ続けたために黒く染まりもう片方は一度も吸われたことがないような淡い桜色をしていた

これはフルルドリスが身体の主導権を取り戻す前はエクレシアに似た顔をしていたことに着目し研鑽を重ねることで他の聖女の身体の一部を自身のものとして利用できるようになったからである

体型も調整が効くが自身の身体がもっとも魅力的であるという自負があるために男が望んだりしない限りは他の部分はそのままである

男はもうたまらないといった様子でフルルドリスの極上に熟した果実のような乳房を揉みしだく

「あんっ……ご主人様の好きなように……」

言われるまま男は本能に従い フルルドリスの乳房の感触を貪る

何度触れても飽きることのない柔らかさと弾力を堪能するように捏ね回す

「欲しくなったのですね?」

男が願望を口にする前にフルルドリスの乳首からとろりと母乳蜜が滲み出る

男はいますぐむしゃぶりついて甘味なそれを味わいたいという衝動に駆られるがここで問題が発生する

黒色と桜色2つの乳首はどちらも男にとってはあまりに魅力的でどちらを選べばいいのかわからなくなってしまった

「どちらもご主人様のものですから、じっくり考えてどちらも楽しんでくださいね」

フルルドリスは男を急かすことなく慈愛に満ちた優しい声音で語り掛ける

男はしばらく悩み続けようやく片方の乳首を口に含むと舌の上で転がすように弄しつつ喉を鳴らしてごくごくと母乳蜜をのみ腹を満たす

もう片方の乳房は搾乳するように揉みしだき乳首を引っ張ったり押しつぶしたりする

吸って、揉みしだいて、母乳蜜を味わう時々弄る乳房を変えて男はフルルドリスに甘える

「ご主人様……赤ちゃんみたいで可愛いいです」

男は夢中で乳房に吸い付き搾るようにして母乳を飲み続けるその姿が愛おしさを感じたフルルドリスは男の頭を優しく撫でる

「ご主人様、いっぱい甘えて、いっぱいお漏らししましょう」

授乳で疼く男の肉棒をフルルドリスは優しく愛撫する

すでに滑り気を帯びていたそれを軽く握り上下にしごく

キープとして長年積み重ねた経験によって得た竿を知り尽くしたような愛撫によって男を甘く責め立てる

恵まれた容姿、シトリスから授かった母乳蜜、聖女としての力、それらに驕ることなく日々邁進しそのすべてが男を悦ばせるためのモノへとして昇華していた

その本質は最強の騎士と謳われてもなお大切なものを守るために誰よりも努力を重ねたころと変わっていない

フルルドリスが全身全霊をもって尽くすことでの男の中にある童心は最大限に引き出され包まれる幸福に溺れていく

柔らかな双丘も甘味な蜜も下半身に与えられる快感もすべてが男の欲望を駆り立てていく

「ご主人様のおちんちん、素直に甘えられていい子ですね。私のおっぱいで喜んでくれて、本当に素敵です。かわいいご主人様」

心を溶かすような甘い声は男の自尊心をグズグズに崩し快楽へと溺れさせていく

男は呼吸することさえ忘れて乳房にしゃぶりつく

「んっ……ご主人様……もっと吸って……」

フルルドリスはそれに応えるように乳房を押しつけ男の頭を抱きしめるとさらに授乳を激しくする

男は全身でその甘さを感じながら懸命に舌を動かす

「ご主人様、ちゅぱちゅぱ上手ですね。それにお漏らしも」

肉棒から情けなく溢れる我慢汁を指摘され男は恥ずかしさで頬を染める

「なにも恥ずかしいことはありません。それはとっても元気で健康でいい子な証。だからたくさん気持ちよくなってください」

フルルドリスはどこまでも優しく語りかける

「どうしました?ふふっ、わかってますよ」

男は乳房から口を離してもじもじと腰を動かしている

フルルドリスはそんな男の仕草に微笑むと肉棒から手を離して乳房を持ち上げて待ち構える

「ご主人様、どうぞ」

深く柔らかい乳房の肉裂は男を誘う魔性の穴のようで男は抗うことなどできるはずもなく勢いよく肉棒の切っ先を突っ込もうとするが興奮のあまり跳ね上がるような動きで狙いが逸れてしまう

「ああっご主人様、落ち着いてください。ほらっ……」

フルルドリスは肉棒の矛先を手で補正してぴたりと狙いを定める

「……入っていきましたよ。」

フルルドリスは肉棒をゆっくりと乳房の谷間に挿入していく

少し落ち着いたところで残りの竿を深く突き入れる。どこまでも沈み込む柔肉に埋め込んでいく

ぬるぬるとゆっくり突き進みやがて肉棒の全てがフルルドリスの乳房に飲み込まれ捕食される

「ふふっ、全部食べられちゃいました。」

フルルドリスは慈母のような愛に満ちた瞳を見せるとそのままゆっくり乳房を上下させ始める

肉棒を柔らかな肉の海に沈められる感覚に男は身悶える

男はまるで生まれたての子鹿のように足を震わせることしかできない

「もっと、もっと気持ちよくなってくださいね」

フルルドリスは乳圧を強めて肉棒を圧迫する

「どうですか?気持ちいいですか?」

男は返事をする余裕もなく必死に首を縦に振ることしかできない

フルルドリスはその様子に微笑みを浮かべるとさらに責め立てるように乳房を強く押し付け上下に激しく揺さぶる

上下左右あらゆる方向から包み込んでくる肉感的な感触は男を魅了して離さない

「ああっ……ご主人様のおちんちん、私のおっぱいの中で凄く熱くなってます」

敗北

男のなかでその二文字が浮かぶ

男は支配者であるシトリスから寵愛を一心に受け思いのままに性玩具の女性たちと

交わる

だがいま行われている乳奉仕はフルルドリスの乳房が男の肉棒を完全に征服していることを示す証左である

男はフルルドリスがどんな人生を辿ったかは知らないがその所作やシトリスに対しても恐れや萎縮する様子を見せないことからきっと自分には到底手の届かないような強く、高潔な存在であったのだろうと感じた

「ご主人様、私のおっぱいで感じてもらえて凄く嬉しいです」

フルルドリスは歓喜に打ち震え快楽に悶える男に愛情を込めて奉仕する

男は乳房の温かさと柔らかさをこれでもかと堪能させられていく

一瞬抱いた敗北感はフルルドリスの乳房から与えられる圧倒的な快楽によって書き換えられていく

それどころかむしろそれほどの女性が自身のためにここまで尽くしてくれているという事実に優越感とそれを与えてくれたシトリスへの感謝によってこの世で一番幸福なのは自分なのではないかとすら思える

「ビクビクと可愛らしく震えています。もう我慢できないのですか?おっぱいの中でびゅーびゅーって出してくださいね」

フルルドリスの言葉に男は素直に従って欲望を解き放った

「ああっ……ご主人様のものがいっぱい出ています。ほら見て下さい」

男に見せつけるようにフルルドリスは谷間を指先でなぞると糸を引くように白い粘液が伸びる

その様はとても淫靡であり男の興奮をさらに高める

男は左右色の違う乳首に肉棒に付着した精液を擦りつけ自分のものであるとマーキングする

「ふふっ、ご主人様に私のおっぱいが染めらてしまいました」

男がなにをしても揺らぐことなく

慈愛の笑みを浮かべたままフルルドリスは受け入れてくれる

男はその優しさに包まれながらまだ足りないとフルルドリスに抱きつき唇を奪おうとする

フルルドリスは優しく微笑むと静かに唇を重ねて男の願いに応える

「んっ……ちゅっ……んんっ……」

舌を絡ませあい互いの唾液を交換する

やがて唇を離すと名残惜しむように糸を引く

「また昂っているのですか?まだ元気ですね」

フルルドリスは寝転がると男を誘うように股を開く

「さあご主人様。私を犯して、組み伏せて、めちゃくちゃにしてください」

その言葉に男はフルルドリスの上に覆い被さる

「ああっ……ご主人様のおちんちんが入ってくるっ!」

男は一気に奥まで突き入れるとそのまま勢いよく腰を動かす

ぱちゅんぱちゅんという音と共に肉がぶつかる音が響き渡る

男が腰を引く度に柔らかな肉襞は逃すまいと吸い付き離さないように絡みつく

男が押し進める度に膣奥から愛液が溢れ出し床にに染みを作る

もっと味わいたい、もっと貪りたいと思う男であったが一突きするごとに身体を震わせる強い刺激に耐えられず動きが散漫になってしまう

「どうしました?」

フルルドリスは男の心境を察して問いかける

男は自身が不甲斐ないと恥じる

「ふふっ大丈夫ですよ。こういったときは助け合いです。ご主人様ががんばったご褒美に私がたっぷりご奉仕させていただきますね」

男が横になるとフルルドリスは身を起こしてガニ股で跨るような体勢になる

その一連の動きだけで男の肉棒は膣内で

震え歓喜に震える

「私が動きますから、ご主人様はたくさん気持ちよくなってくださいね」

フルルドリスは大胆に下半身を弾ませながら尻を打ち付けるかのように腰を動かす

それに呼応して悩ましげに揺れる果実のような乳房が男を視覚的に刺激し興奮を高める

フルルドリスはこれまで静観していたシトリスにちらりと目配せをする

シトリスはにっこりと微笑むと男に耳打ちをする

「フルルドリスの弱点知りたい?」

男は躊躇いなく頷く

「お尻を打ち付けるタイミングで腰を押し上げてあげるの。そうするとね、すごく喜んでくれるから」

フルルドリスが快楽に悶える姿が見たくなった男はシトリスの言葉に従い腰を突き上げる

「ひゃうんっ!?」

フルルドリスは突然の刺激に可愛らしい悲鳴を上げながら背筋を反らす

「あっ……あぁっ……そこはだめぇ……」

フルルドリスの反応を見て男はさらに責め立てると彼女は快楽から逃れるように身体をくねらせる

男の突き上げは決して強くはないがそれでもフルルドリスは悦楽に喘ぐ

「んんっ……だめです……そんな優しくとんとんされたらおかしく……」

「ふふっすごいわ。あのフルルドリスがこんなになっちゃうだなんて」

これは戦略である

これまでフルルドリスは甘やかすうえで男に自身の雌として強い部分を見せて箔付けをしてそれを崩させることで男の自尊心を最大限に高めるために

男ははじめてみたフルルドリスの可愛らしい反応をもっと見てみたいと思って更に激しく責め立てる

「ああっ……だめですっ……そんなされたらもう私……」

男の執拗な追撃にフルルドリスはついに限界を迎える

身体を弓なりに反らし一際大きな声を上げると身体全体を痙攣させる

あまりの締め付けに男も耐えられず肉棒から大量の白濁液が吐き出される

男は脱力感を味わいながらフルルドリスの秘部から引き抜くと収まりきらなかった精液がどろりと流れ出した

「ご主人様……愛しています」

フルルドリスは優しく微笑むと男の頭を膝の上にのせる

男はフルルドリスに勝ったという強い充足感と幸福を感じつつ意識を失った

フルルドリスは男を労るように頭を撫でる

「お疲れ様です。ゆっくりと休んでください」

男はフルルドリスの膝の上でまどろみながら心地よい余韻に浸っていた

「フルルドリスがこれをやるときはあの子の終わりが近いんだなって感じさせるわね」

「ああ、そうだな。寂しくなるな」

シトリスとフルルドリスは男を寝かしつけると談笑をはじめる

「正直あなたがここまで乗り気になってくれるとは思ってなかったわ」

「惚けないでくれ。本当は気づいていたのだろう私とお前が似ていると」

「それは興味深いわね。教えて?」

シトリスは茶化すように笑う

「大切なもののためならどんな手段でも取れること。たとえそれでなにかを犠牲にしたとしても……」

「それはようするにシスコンということでしょ?あの子とエクレシアを重ねていたと?」

「言うな!……まあ、否定しないが」

フルルドリスは愛おしそうに男の寝顔を眺める

「それは置いておいて。シトリス、私を蟲惑魔にしてれないか?今のご主人様が最期を迎えたあとに」

「………本気で言っているの?」

「本気だよ。出来るのだろう?」

母乳蜜は身体の構造をシトリスの疑似餌に近づけるためのもので全身を改造すれば蟲惑魔になることは可能であった

「『できる』ことと『実行する』ことは違うのよ。私になんのメリットがあるの?」

シトリスから笑顔は消えて冷たい視線がフルルドリスに刺さる

「蟲惑魔は人を糧にしなければ生きていけない。あなたがこれまで愛してきた存在は食糧にしか見えなくなる。私だって今でもあの子やあなたたちを食べたくてウズウズしているのよ。蟲惑魔は人を魅了するけれどそれと同時に多くの憎しみと畏れをその身に受ける。あなたにはその覚悟がある?」

「私がそれで臆すると思うか?私もシトリスと同じ幸福を与える存在になりたいんだよ」

フルルドリスは怯むことなくシトリスに真っ直ぐな眼差しを向ける

するとフルルドリスからキープとして外されていた身体から養分を奪われる感覚が戻っていく

「思い上がらないで。幸せにしてあげるだけなら人のままでもよかった。それで満足すべきだった。あなたはどこまでいっても私に捕食される哀れな犠牲者でしかない」

「だからだよ。私もシトリスと同じ思想を持っているのにその一点だけでシトリスだけがすべての憎しみを背負うことになる。それではあまりにも不公平だ。私はお前に庇護されるのではなく………」

フルルドリスは少し間をあける

「友でありたいんだ」

フルルドリスの目には強い覚悟が宿っていた

「それが思い上がりなのよ。もういいわ。終わらせてあげる。あなたはあの子のお気に入りだからその後になるけれど」

「それでかまわない。私は既にシトリスに命を預けた身だ。最後に私の意思を伝えられたならそれで十分だ」

「ふふふ、あははっ」

シトリスはおかしそうに笑う

「ごめんなさい。あなたを試すような真似をしてしまって。ちゃんとあなたの気持ちは伝わっているから」

「まったく勘弁してくれ」

フルルドリスとシトリスには互いに目を見合わせて笑いあった

その後男は幸福な最期を迎えるとキープたちが己の今後を決めるときが訪れる

「フルルドリス飲んで」

シトリスは他のキープたちを人払いするとフルルドリスになにかを手渡す

それは母乳蜜を得るために飲んだものによく似ていた

その時と同様にフルルドリスの内にある幾多の魂が彼女に抗議したがフルルドリスは気にすることなく一気に飲み干す

「あぐっ」

フルルドリスは身体の中心から熱いものがこみ上げてくるのを感じる

その熱は全身を駆け巡りやがて行き場を求めてフルルドリスを内側から焼き尽くすかのようであった

しばらくするとフルルドリスは口から種子のようなものを吐き出した

やがてそれは芽吹き紫色の美しい花を咲かせた

「どうやら成功したみたいね。疑似餌を作って見て。なりたい自分をイメージするの」

すると花は形を変えてフルルドリスと同じ姿へと変化した

「なるほど。これが疑似餌」

「ねえこれどうする?あなたが食べる?」

シトリスはフルルドリスの魂を宿していた肉体に指をさす

「いや、流石に自分だったものを食べるのは……」

「わかったわ。……いただきます」

シトリスはフルルドリスだった肉体をゆっくり噛み合い味わうように消化していく

「ふぅ…わかっていると思うけどここを出ていってもらうわ。ここは蟲惑魔は立入禁止なの。それに私の友達になりたいなら食べるものぐらいは自分で調達してきなさい」

「ああ、わかっているさ」

「それともうひとつ。蟲惑魔は蟲惑魔を食べないけれど信用してはいけないわ。蟲惑魔はみんなずるくて、嘘つきだから」

「なるほど。わかった」

フルルドリスはそういうとシトリスから離れる

「これからあなたの旅路はは蟲惑魔とも人間からも外れた道よ。それでもあなたの進む先には幸せがあることを祈っているわ」

フルルドリスはシトリスの言葉が本心なのかを聞くことはなかった

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