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軍貫マン
「こんなことが……」

神巫は言葉を失う

シトリスによって人が溶けて消えていく様に

シトリスは女性の謝罪の言葉を聞くことなく処断をくだす

神巫はフゥリに視線を向ける

神巫はフゥリから男への奉仕について指南を受けるように言われていた

フゥリは骨だけになったものに一瞬悲しげな表情を浮かべると両手を合せて目をつむる

その所作は神巫が信仰する宣告者への祈りに似ているが人が惨たらしく殺されたこの場ではあまりにも異質であった

「彼女が一体なにをしたというのですか……」

宣告者の理念は許しだ

罪や過ちがあってもそれを自白し償いの意思があるものには許しを与え前に進む勇気を与える

たとえシトリスが捕食者であり支配者であろうといたずらに命を刈り取ることは許されない

「これはシトリス様による慈悲なのだと私は思います」

フゥリは神巫に向き直り、微笑む

「なにを……言って……」

「幸福は釣り合ってこそ意味を為します。

ご主人様、シトリス様、私たち、それぞれがここに居たい、共に在りたいと、心から思わなければ真の幸福は訪れません。その均衡が崩れれば暗い影を落とす。それは命を落とすことよりも辛いことです」

「それはあまりに一方的な考え方です。そんなもの誰も望んでいません。フゥリさんがここで生きることを望んでいると言うなら尚更です。このような理不尽は許されません」

「そうですね。私はご主人様を愛し、愛されたいと思っています。でも、もしご主人様が私のことを嫌いになって、不愉快な思いをさせてしまったら、私は心の支えを失ってしまう。それでは誰も幸せになれない。それにもう私は十分過ぎるほどに満たされています。それを与えてくださったシトリス様が私を糧にすることを望まれるならこの命、喜んで捧げます」

「フゥリさん、あなたは……」

神巫は言葉を詰まらせる

あまりに他者に依存したフゥリの生き方は神巫にとって理解しがたいものであった

そんな神巫の意思をよそに時は流れついにフゥリから男への奉仕を実践するときが訪れる

「神巫さん。いまからすることをよく見ていてくださいね」

フゥリはまず手本とばかりに男と唇をあわせ、口内に舌を差し込む

「んちゅ、ふぅ……はぁ」

その刺激で肉棒は徐々に大きくなっていく 男は我慢できずにフゥリの乳房を揉みしだきはじめる

「んっ、ご主人様、お乳が飲みたいんですか?」

男は強く頷き乳房に口をつけるとフゥリはそれに応えようと自らの乳房を揉みながら母乳蜜を溢れさせる

「いっぱい飲んでくださいね」

男はそれを吸い付くようにして飲むと肉棒はさらに大きさを増していく

「ふふっ、いい子ですね」

フゥリは男の頭を撫でながら褒めると男は嬉しそうに肉棒を脈打たせる

「どうですか神巫さん?ご主人様はとても可愛いでしょう?」

「えっ!?……はっ、はあ」

男が欲望の赴くまま赤子のように甘える姿はお世辞にも可愛いとは思えなかった

「ふふっ、恥ずかしがらなくても大丈夫ですよ。ご主人様は褒められることが大好きなのですから」

フゥリは乳房を男の口に押し付けながら優しく微笑む

「ご主人様、おっぱい美味しいですか?」

男は母乳蜜を飲みながら頭を激しく上下させ返事をする

「さあ神巫さんも」

男はフゥリの乳房から口を離し神巫に舐め回すような視線を向ける

「ひぃっ」

神巫は思わず悲鳴をあげるとその視線に耐えきれず咄嗟に身体を隠す

「神巫さん、ご主人様があなたのことをお待ちですよ。見せてあげてください」

「でも……」

「大丈夫です。自信を持ってくださいきっと気に入ってもらえます。そうすればキープにも選ばれてもっと幸せになれますよ。私だってもっと神巫さんと一緒になりたいと思っています」

「ううっ」

フゥリにそのつもりがないがそれは男に媚びなければ生きられないという脅迫も同然だった

神巫は悩みながらもゆっくりと隠していた手を退ける

「ご主人様、どうですか?可愛いでしょう?」

涙目になりながらもいますぐ逃げたい気持ちを抑えて恥ずかしそうにもじもじと身体をくねらせながらその肢体を晒す

男は興奮した様子で鼻息を荒くしながらまじまじと見つめる

神巫の身体は鍛え上げられたフゥリと比べて全体的に華奢だが大きいとはいえないが形の良い乳房は確かな存在感を放っており幼い顔立ちと相まって男の劣情を駆り立てる

「きゃっ!?んぐっ……」

男は神巫の唇を略奪するかの如く貪り、口に舌を入れ蹂躙する

「ふふっ、ご主人様ったらそんなに興奮して……可愛い」

フゥリはその様子を微笑みながら見つめ、頭を撫でてあげると男は嬉しそうに肉棒を震わせる

「んっ……はぁ……んっ!」

神巫は突然のことに男を甘やかして媚びるという思考は抜け落ち男を払いのけようと身体を跳ねて暴れる

「だめですよ神巫さん。ちゃんとご主人様に奉仕してあげないと」

フゥリは暴れる神巫をなだめるよう声をかけるが神巫には届いていない

「いやっ…やめて!」

神巫は必死に暴れて男からのディープキスから逃れると男と距離をとる

「ああっ!!」

その瞬間神巫は身体から力が抜けていくのを感じると同時に一瞬刺すような冷たい視線を感じ取る

シトリスだ

穏やかに笑みを浮かべているがその目は支配者として振る舞うときと同じ冷酷なものに変わっていた

その威圧感に神巫は全身を震わせる

「ご主人様大丈夫ですか?お怪我は?」

フゥリは男を抱き寄せるとあやすように頭を撫でる

「怖かったですよね。でももう大丈夫です。私が側にいますから」

しばらくの間フゥリは

男を優しく抱きしめ、背中をさすりながら落ち着くのを待った

「すみませんご主人様、私が至らないせいでこのようなことに」

男はフゥリは悪くないと慰めるように頭をすり寄せると一瞬神巫に揶揄するかのような視線を向ける次はないぞと言わんばかりに

「あっ…ああ、ごめんなさいご主人様。初めてで気が動転してしまって……もう二度とこのようなことはしませんからどうか許してください」

神巫は恐怖から逃れるために膝をつき男にすがりつくように謝罪する

男はしたり顔で許すと告げる

「ああ……よかった。神巫さん一度落ち着きましょう。次はきっとうまくいくと思います」

神巫は心を落ち着かせるために深呼吸をしながら自身に逃場はないのだと悟る

「ご主人様……いっぱい触ってください」

神巫は震えながらもなんとか言葉を絞り出し

その様子に加虐心を刺激された男は神巫の胸を鷲掴みにする

「ああっ!んぁっ……だめぇ」

神巫は未知の感覚に身を悶えさせるが、同時に恐怖で押し潰されそうになっていた

しかし男はそんな神巫の気持ちなど知る由もなく容赦なく責め立てる

「ひゃんっ!?あぁ、そこはだめですっ!」

男が乳房を荒々しく揉むと不快感が襲ってくる

「あんっ、こりこりしちゃ……やぁ」

しかし、不快感とは裏腹に神巫の乳首は痛いほどに硬くなり主張をしていた

男はそれに気づくと爪を立てたり指で弾いたりして反応を伺う

「ああ…やだっ…舐め…ないで」

男は次に下で乳房を舐め周し舌先を押し込んだりしながら柔らかさを堪能する

「神巫さん、もっとご主人様を褒めてあげないとだめですよ。素直になれば自然と言えるはずです」

「そんなこと……言われても……」

浮かんだ言葉は気持ち悪いや気色悪いといった否定の言葉ばかりで神巫は思わず口を噤んでしまう

「そうですか……」

フゥリは悲しげな表情を浮べている

シトリスに溶かされた女性は見つめるときと同じものを

神巫は危機感を募らせるが恐怖によって萎縮しうまく言葉がだせず返って追い詰められている

「ひゃあ、吸わないで」

男はそんな神巫の葛藤などお構いなしといった様子で乳房を乱暴に吸い上げる

「きゃんっ!そんな強く吸わないでぇ!」

母乳を絞り出そうとするような吸引にたまらず悲鳴を上げるが男はやめることはなく、むしろ激しさを増していく

「ひぃ、そんなもの擦りつけたら……」

すっかり興奮した男は肉棒を神巫の腹部に押しつけ前後させはじめる

神巫はあまりの嫌悪感で一瞬顔をしかめるが、これ以上男やシトリスの不興を買わないために必死でぎこちない笑顔を作り耐える

しばらくして男は乳房から顔を離し神巫は安堵といった様子を浮かべるがすぐに肉棒は腹部から下へと降りていく

「待って、心の準備が……あぐっ!」

男は神巫の静止を振り切り容赦なく肉棒を秘部に突き刺す

「んぐあっ……痛いっ!」

神巫はあまりの激痛に涙目になるが男は構わず動きはじめた

「うわぁ…抜いて…ください」

肉棒を抜き差しされる度、神巫の股からは血が流れ男の肉棒が蹂躙される様子が見て取れる

「神巫さん、肩の力を抜いてもっとリラックスしないと痛いままですよ」

フゥリが助言をしてやるが神巫は痛みでそれどころではなかった

「ああ……ご主人様、もう動かないでください。お願いします」

神巫の悲痛な表情は男の興奮を煽るためのスパイスでしかなく、逆に激しさを増すだけであった

「いやっ!だめっ!」

男は神巫が痛みに慣れる暇も与えず容赦なく責め立てる

「もうやめて……こんなの無理です。本当におかしくなるから……」

神巫は藁にもすがる思いでフゥリに視線を送り助けを求める

「今日のご主人様はかっこよくて素敵です。神巫さん、ご主人様を受け止めてあげてください」

男はフゥリに良いところをみせると言わんばかりに勢いに任せてピストンを繰り返す

「お願いですから……もう許してください」

神巫は男の責めに耐えきれず涙を流して許しを乞うが、男は一切聞く耳を持たず射精に向けて一心不乱に腰を振り続ける

「ご主人様ぁ!だめぇ!!奥に当たってる!」

男が一際深く突き入れた瞬間、神巫の膣内で精液が放たれた

「ああぁっ!熱いのが……はあ…はあ」

神巫は肩で息をしながら膣から溢れる精液を放心状態で見つめている

「ご主人様どうでしたか?」

男はまだできるが疲れたのでフゥリに癒やしてほしいと訴えかける

「甘えん坊で可愛いご主人様に戻ってしまったみたいですね。いいですよ、任せてください」

男は寝そべるとフゥリは上に跨り自ら秘部に肉棒を挿入する

「んっ……ご主人様、気持ちいい」

フゥリは男を抱きしめるとこれまで何度も甘やかした乳房に顔をうずめるよう誘導する

「ご主人様は甘えん坊ですね。よしよし、沢山甘やかしてあげますから」

フゥリのフェロモンがたっぷりとつまった

乳房に男は赤ん坊のように吸い付く

一方下半身はフゥリの鍛えられた肉体が織りなす上下運動によるストロークは男の肉棒を芯まで揺らすような強い快楽を与えていた

「ご主人様、私は幸せです。もっとたくさん可愛がってあげますからね」

神巫の瞳に映るフゥリの表情は慈愛に満ちており自身と違い心から男を受け入れているように見えた

フゥリの膣は男から搾り取ろうとするかのように激しく蠢き、男の肉棒を刺激する

「あんっ……ふふ、本当に可愛らしいですね。たくさん中出ししていいですよ。もっと気持ち良くなってください」

フゥリから漂う甘い香りにあてられた男は下半身からこみ上げるものを感じる

「ご主人様、好きです」

フゥリの甘い言葉が決定打にになった男はフゥリの膣内に精を放つ

「んんっ!ああ……ご主人様の熱い子種がたくさん……ありがとうございます」

フゥリは甘い快楽に浸りながら男の頭を撫で、男を癒すように優しく抱きしめた

神巫にはその光景がとても遠いものにみえた

その後神巫とフゥリは2人きりで話し合う

「神巫さんお疲れ様でした。どうでしたか?ご主人様に可愛がってもらえるのは?」

「ううっ……」

神巫の瞳から悲しみや恐怖などの感情が涙として溢れ出た

「ごめんなさい神巫さん。力になれなくて」

フゥリは神巫に慰めるように抱きしめるが、死者を看取るようなその優しさは今の神巫には苦痛でしかなかった

「うわあああん!もうやだぁ!」

神巫は今までにないくらいの大きな声を上げて泣く

「大丈夫、大丈夫ですから。きっと神巫さんにもこの幸せに気づく日が来ると思います。それにいずれはシトリス様が……」

フゥリの抱擁は真綿で首を絞めるような優しさで神巫の心を蝕んだ

「宣告者様……宣告者様」

1人になった神巫は祈りを捧げる

しかし、大陸の外ではその声を聞くことはできない

「もうなにもできないのでしょうか」

すると神巫の中で声が聞こえる

それはかつて宣告者が人々の罪を許し救いを授けた言葉

幾数百の言葉は今でも神巫の心の中で息づいている

そして気づくのだ

それらの言葉を受けて未来へと歩みを進めることを決めるのはいつだって自分自身であったことを

神巫は暗闇しかない道のなかで一筋の光が差し込むのを感じ取る

「宣告者様、どうかこの私に立ち向かう勇気を……」

たとえそれが無謀な試みであったとしても神巫は進むことを選ぶ

「どうしたの?なにか聞きたいことでもあるの?」

シトリスは先程見せた威圧するような様子とは打って変わって、親しげに神巫に問いかける

「その…お願いがあって」

神巫は思わず身構えるが思いの外敵意を向けられていないことに驚いた

「私はシトリス様の行いがすべて間違っているとは思っていません。それに救われた方もいることも知っています。ですがそれを望まず苦しんでいる方も大勢います。合意を得たうえでという形にはできませんか?」

蟲惑魔も人も食べてなければ生きてはいけない捕食は自然の摂理でシトリスがやっていることも歪んではいるが食材への感謝に近い

人と蟲惑魔は対等ではないがそれでも寄り添える道はあるのではないかと神巫は考える

「つまりフゥリみたいな心からあの子を好きでいてくれる子とだけでやればいいと?」

「……そうなります」

神巫の言葉はなんの力も持たない単なるお願いだ

そうであっても少しでもシトリスの心に響いてほしいという願いがあった

「神巫は好きな食べ物はある?」

「えっ?」

あまりにも突拍子のない質問に神巫は呆気にとられる

シトリスは答えを聞くことなく話を続ける

「あなたはそれを毎日、毎食食べているわけではないでしょう?それと同じ。あの子だって甘えるだけじゃなくてなにもせずゆっくり過ごしたり、おはなししたり、うたったり……あなたみたいな子を虐めたりしたいときだってあるのよ。だっていくら楽しいことでもそれだけでは飽きてしまうんだもの」

そういってシトリスは両手を伸ばす

「こうやっても全部に手が届くわけじゃない……でも」

シトリスは神巫の手を掴む

繋がった手と手で輪が生まれる

「こうやって輪を広げていけばどんどん掴めるものが増えていってそれであの子を幸せで埋め尽くしてあげられる。私はねみんながフゥリみたいになってほしいわけではないの。みんな違ってみんないい。あなたが怯える姿だってあの子は気に入っているのよ。それはフゥリにはできないことだから」

「ひどい……」

あまりに身勝手な考えに神巫は怒りが込み上げる

「あなたは人を愛する心だって持ち合わせているはずなのにどうしてそんな簡単に人を弄ぶことができるんですか?」

「あなたは正しいわ。でもそれがすべてじゃない。どうして罪に許しを求めるのか考えたことはある?それは怖いから。誰かに嫌われたり、憎まれることが怖くてしょうがないからでしょう?でもね、裏を返せばそれさえなければなんだってできるの。私はここにいる誰からも愛されなくてもあの子が幸せな最期を迎えられるならそれでいい」

神巫はなにも言い返せなかった

言葉でどうこうできる相手ではないと悟ったから

「だがらあなたは私やあの子のことを好きにならなくてもいいのよ」

「………」

神巫は生きる意味も気力も見い出せなかった

「じゃあ最後に宣告者に代わってお告げをあげる。あなたがいなくなったら神巫の役目と同じで誰かが後を継ぐのかしら?もしかしたらあなたの友達や信徒の人かもしれないわね」

「!?」

「ふふっ、少しわやる気になった?」
神巫は生にすがる
他の誰かに同じ苦しみを与えないために

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