FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

「なんだか、一生懸命なキスだな」
「あなたが口を開けというから」
「もしかして男性とこういう事はあまり……?」

 図星だ。

「准将だってご存知のはずだ」
ライトニングは頬を染めてそっぽをむいた。
「ボーダムの警備軍の任務はハードでプライベートに割く時間なんて……」
「シドでいい」
剥き出しの二の腕に、覆い被さる彼のマントがふれる。
高級そうな生地のしなやかな肌触りが心地よかった。
「こんな時は名前を読んでくれ」
レインズはそういって、またくちびるを押しあててきた。
軽く開いたくちびるの隙間からぬるりと舌が入り込んでくる。

 背中にデスクの板材の固い感触。
 身体の上に覆い被さるシド・レインズの身体。

スノウが話がわかるやつだというから。
ファングが世話になったといったから。
軍属にいたころ、何度かその姿を遠くから見かけたことがあったから。

 深夜の呼び出しについ応じてしまいこのザマだ。

急所を蹴り飛ばして逃げてやろうかとも思ったが、一軍をあずかる准将にそんなことをしては、
いくら自分が軍を離れたといってもまずい気がしたし、何より開かされた足の間に彼の腰があって、
動きを封じられていては不可能だった。

瞼をうっすら開くと、ライトニングの咥内を味わう准将の閉じた瞼と、さらりと耳元にながれる
彼の黒髪、そして彼の肩越しに、夜空が見えた。大きなガラス窓一面のコクーンの夜空。
不吉ささえ漂うその暗い蒼色に、ライトニングは怯えを感じてすぐ側にある温かな身体にしがみついた。

やがて、満足したらしいレインズがようやくくちびるを離す。
はあはあ荒く呼吸を繰り返しながら、ライトニングは掠れ声で問う。
余裕のない自分をごまかそうと早口になる。
「職場でいつもこんなことを?」
「まさか」
即座に否定される。
ライトニングとは正反対に、静かに息を吐きながら彼は答えた。
ライトニングはさっきから鼓動がどんどん早くなっているのを自覚していた。
そんな自分をからかうように見ているレインズの余裕に苛立つ。
「そんな軽い男に見えるかな」
「見えないからきたんだ」
ふてくされた表情で答えたのに、レインズはライトニングを抱き寄せ、嬉しそうに頬を寄せて腕の力をつよめた。
「本当はルシの烙印のことをたずねたかっただけなんだが」

 だが、なんだ?
 つい、からかってしまったとでも?
 男慣れしていない、軍人あがりのわたしを?

ライトニングの複雑な胸中をきれいに無視してレインズは身体を離す。
「これも仕事なのでね」
ハイネックの襟元のファスナーに手がかかる。
ライトニングはとっさに広い胸に手をあてて押し返そうとしたがレインズはなんなくそれを抑えこんで、
一気にファスナーを引き下げた。
 開かれた胸元に夜の空気がふれてぞくり、とライトニングの身体が震える。
 レースもフリルもない、色気のない、彼女らしいといえば彼女らしい黒い下着に半分かくれるようにある
ルシの烙印が、外光に照らされて白い肌に不気味に浮かび上がった。
「烙印の進み具合を見るだけだ。何もしない」
いうがはやいか、手袋をはめたままの手がやや乱暴に下着をずりさげた。突然そんなことをされて、
ライトニングの顔に血が上る。
「じゅ、准将!」
レインズはうろたえるライトニングを自重でおさえこみ、無遠慮な視線を裸の胸におとす。
「ふむ……」
ライトニングは羞恥に目をつむった。
からかわれているのだろうか。
キスは本当に冗談で、これは仕事なのか?
耳の奥で血液が脈打っていた。
わずかに身体を震わせていたライトニングだったが、暖かなものが乳房にふれた感触で瞳をひらいた。
ひじで支えるように上体を少し起こす。見ると、胸の烙印にレインズがくちびるを押しあてていた。
「穢れるとか、思わないのか……?」
黒髪がさらりと流れて、胸の上のレインズがライトニングを見た。
どきん、と鼓動が打つ。
前髪のすきまから、ライトニングをみつめる瞳は、悪戯っぽい光をたたえていた。


 「訂正しよう」

 レインズは胸の烙印からくちびるを離すと、ライトニングの手を握った。

 「ここからは、仕事じゃない」

 見つめられてほっぺたが熱くなるのをライトニングは感じていた。

 「……だから、いいだろう?」

 低い声で問われ、ライトニングは反射で頷いてしまった。
では遠慮なく、といわんばかりにレインズはライトニングの身体にふれた。
柔らかな胸のふくらみをすくい上げるように持ち上げ、立ち上がり始めた先端を指先でつぶす。かたく
しこりはじめると、こんどは口にふくむ。男性にそんなふうに胸にくちづけされたこと自体ほとんど
経験がなくて、それだけでいたたまれないくらい恥ずかしいのに、笑いたいのか泣きたいのかわからない
感情が胸に込み上げてきて身体の芯が熱くなった。心臓が爆発しそうなくらいとびはねている。心臓の
すぐ側に敏感な舌をあてているレインズにはライトニングの動揺がまるわかりだろう。
手袋をはめたままの指先の愛撫は、動きは優しかったけれど冷たい皮の感触だったから、この人の
てのひらの感触はどんな感じなんだろうと想像して、ライトニングはまた顔を赤くする。

 こうやって胸にふれるくちびるが暖かいからだ。
 だからそんな変なことを考えてしまったんだ。
 わたしが低俗な女だからじゃない。断じてちがう。

「昼間の顔とまるでちがうんだな」
ライトニングの表情をちらりと見てレインズは笑った。
こどもみたいな笑顔だった。
「准将だってまるで……ひゃん!」
ちがう、といおうとしたとき、口にふくんだ先端に軽く歯をたてられ、あられもない声がこぼれてしまう。
自分から出た声に驚いているライトニングにレインズはまた笑う。
「シドでいいといっただろう」
言葉に真剣なものを感じとって、ライトニングはシドの目を見た。シドも、ライトニングの目をみていた。
「君のもっといろんな顔をみてみたくなった」
どちらかが促したわけではないが、自然と、くちびるとくちびるが重なった。
くちゃ、ぴちゃ、と水音が暗闇のおちた部屋に響く。
おおきな手で後頭部を支えられ、よりくちづけが深くなる。
 
 こういうときは、もっと、慣れたキスのできる女のほうがいいのだろうか。

ライトニングには、そんな風にできなかった。ただ、受けいれて、つなぎとめるだけで精一杯だった。
余裕のないライトニングに、シドは優しくふれる。
ゆったりしたリズムで続けられている胸への愛撫も、ずっとくっついているのに息苦しくないキスも、
経験の差を思いしらされるのにそれが不思議とここちよくて、ライトニングは目を細めた。

このまま、一線を越えても後悔はしない気がして、ライトニングはシドの胸元のベルトに手をのばす。

が、しかし。

「准将!いっしょに飲もうぜ!」
声と同時に部屋のドアが開くと、ワインのボトルを片手にドアをおしあけたリグディを筆頭に、
どやどやとホープ以外のルシ一同がなだれ込んできた。すでに一杯始めていたらしいほろ酔い気分の乱入者たちと、
普段軍務に使用されている高級な准将のデスクのうえで折り重なっているシドとライトニングの間に、
なんとも微妙な沈黙が流れた。

「もしかして、お取り込み中だったか……?」

何秒か経ってようやくサッズが問うと、
「ちがう!」
胸元を書き合わせ、真っ赤になってライトニングが否定する。
このねえちゃんでもそんな顔するのかとサッズが驚愕する。
「ありゃ、まー」
「あー、ワルイ」
「ね、義姉さん……」
明らかにショックをうけた表情のリグディが、なにも見なかったことにして、
無言で扉をしめようとしたので、ライトニングは叫んだ。
「待て、行くな!」
そして、まだなお自分を抱きしめているレインズの腕の中でばたばたと暴れた。
「いつまでそうしているんだ!」
「わかった。みんなで飲みなおそう」
あきらめたように、レインズは一同にむかっていった。
だが、ライトニングを解放するとき、耳元こうささやくのも忘れなかった。


「お楽しみはまた今度」
タグ

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

どなたでも編集できます