FFシリーズ総合エロパロスレのまとめ

 階段を上りながら、少しばかりバッツは考え事に耽った
 今までいたのが25階、次の魔物がいるのが28階
 目的の28階まで3つしか階を上がらないとはいえ、
 その間にももちろん他の魔物たちと出くわす
 この塔に棲んでいるのは、壁に埋め込まれた連中と、
 マジックポットという変わりものを除けば、全てみな、若い女性の魂を持つ魔物である
 あの2匹以外にも多くのシェリーやチャムキュビアがいるわけだ
 なぜ女の魔物ばかり一所に固められているのかというと、答えは単純な話で、
 ここに生息している彼女たちの性の本能は魔物の中でも抜きん出ており、
 その欲望は決して尽きることなく、ときにその矛先は仲間の魔物たちにすら及んでしまう
 味方を片っ端から吸い尽くされては敵わない、そのため同族同士で隔離されているわけだ

 ところで、22階で衣服を脱いで、バッツは以後ずっとそのままの格好でいる
 別に彼の仕事の内容上、裸のままでいることは彼自身さして気になるようなことはない
 また、下の階での出来事があって、バッツの全身は血や、汗や、精液や、愛液にまみれている
 つまり、性の臭いをたっぷりと身に纏っているわけだ
 対して部屋にうろついてるのは、常に男の味に飢えている淫猥な魔物たち
 裸で、自分たちの大好きないやらしい臭いを身につけていて、しかも若く精力に満ちている、
 当然そんな男がやってきたら、バッツ自身は気にしなくても向こうは大いに気にかける
 案の定、階段を一つ上がるたびに、女たちは訪問者の姿を見つけて、
 好奇と歓喜と、たっぷりの情欲に満ちた挑発的な眼差しを投げかけてくるのだった
 そして何匹かはそれを実際に行為に移そうとする
 すなわち、バッツの身体にまとわりついたり、情熱的な言葉をささやきかけたり、
 もしくはいきなり衣服をはだけて、問答無用でバッツに飛びついてくるものまで
 だがバッツはもちろんそんな連中など相手にしない
 軽い挑発は受け流し、強引なものは強引にはねのける
 彼の頭にあるのは、主君であるメリュジーヌの命令を全うすることだけなのだ
 女たちも、バッツにまったくその気がないのを知ると、
 引き際の程度の差こそあれ、みんなそのうちに諦めていった
 また、他の冒険者が来たときのように、バッツの命を取ろうとする者も決していなかった
 バッツが気にかけているのはそこだった
 この魔物たちが俺を素通りさせていくのは、恐らくメリュジーヌ様が手を回してのことだろう
 だが、なぜだ?
 あのチャムキュビアは、俺を人間だと思っていた、22階のシェリーもそうだ
 なぜ彼女たちにだけ、メリュジーヌ様はなにも言わない
 あいつらがいったい何者だというんだ
 あいつらが、俺とどんな関係があるというんだ?
 
 バッツは足を止めた
 28階への階段を上りきっていたのだ

 そして彼の疑問はまた心の奥におしこめられる
 メリュジーヌへの忠誠心によって



 階段を出て、フロアを見渡す
 ここで最後の魔物、またチャムキュビアか、もしくはシェリーか
 それとも・・・・、
 
 だが、予期に反してそこには誰もいなかった
 バッツは首を傾げる、フロアを一回りしてみたが、やはり誰もいない
 念のために逆からもう一回り、やはり結果は同じ
 なぜ?メリュジーヌ様が間違えたのか?
 いや、そんなはずはない
 階数を確かめようと、バッツは階段へと引き返しかけた
 そのとき、


 ぬるり


 ふいに首筋を過った奇妙な感触に、バッツは飛び上がった
 振り向くと、絡み付く絹糸のような長い紫の髪とともに、湿っぽい吐息がかけられる
 目の前に、美しい女の悪戯めいた微笑があった

 口を開こうとするバッツ、しかし途端に長い髪の奥にある瞳が、妖しく彼の心をかき乱す
 そうこうするうちに、バッツの唇は塞がれてしまう
 口を満たしてくるその異様な感覚に気付き、バッツは目を見開いた
 甘い
 なんだこれは、
 糖蜜でも流し込まれているんじゃないか
 だが、それは、彼女のぬめぬめとした舌から分泌される、大量の唾液の味だった
 蜜でいっぱいになっているバッツの口の中を、生き物のように女の舌が這い回る
 甘美な味はバッツの脳髄深くにまで染み渡り、恍惚の中で気が遠くなっていく
 身体の内側から溶かされていくような心地・・
 
 ようやく舌の愛撫から解放されて、バッツは自分に手をかけている女の姿を見た
 女は、長くしなやかな尾をくねらせながら、天井から逆さにぶら下がっていた
 彼女は男っぽい口調でささやく

「せっかちなやつだな・・せっかく来たのに、どこにいくつもりだ?」

 どうやらこの女が最後の魔物らしい
 ここまで上ってくるまでにも彼女と同じ種族の魔物を見てきたから、
 バッツはその姿を見ても驚きはしない
 美しい女性と、蛇の身体を半身ずつ備えた魔物、

「・・コムサ・ベラ・・・・貴様が、この階の魔物か?」

 バッツのその問いかけに、ふいに彼女は顔を歪ませた

「・・・・お前、生意気だな」

 そう呟いたかと思うと、いきなり彼女はバッツの首に腕を回した
 そして天井に張り付いていた蛇の尾が、今度はバッツの身体に巻き付いていきた 

「ぐあっ・・く・・は!」

 身体中の骨が、みしみしと悲鳴を上げる
 たまらずバッツはうめき声を出した
 そんなバッツの顔を見て、コムサ・ベラは嘲笑うような声をかける

「キスだけじゃ足りなかったか?」

 軽やかな声とは裏腹に、バッツを締めつけるその力は生半可なものではない
 メリュジーヌに強化された魔物の肉体を持つバッツですら、
 それ以上締めつけられないようになんとか抑えるのが精一杯だった

「ほどいて欲しいか?」
「ぐっ・・くそ・・!」
「それなら、ほら・・俺を喜ばせてみろよ」

 そう言うと、コムサ・ベラは胸を覆っていた布の結び目をするするとほどいた
 結びを解いた途端、ふっくらとしたボリュームの二つの膨らみがその重みにしたがって
 薄布を地にふり落とす
 ぽろんと、彼女の大きな白い胸が露になった
 バッツは一瞬拘束されている事も忘れ、それに釘付けになる
 一体あの小さな布にどうやって包まれていたのかと疑いたくなるような豊かな乳房、
 彼女はそれを、苦悶の表情を浮かべるバッツの顔に押し付けてきた
 
「ふふ・・ほら、さっきの威勢の良さはどうしたんだ?」

 挑発的な声を出すコムサ・ベラ
 だが一方のバッツの耳には、そんな声など届いていない
 なにしろ、ただでさえ全身に巻き付いた尾によって苦痛に喘いでいる所に、
 彼女のマシュマロのような胸で顔を潰されて、息も出来ないのだ
 傍から見れば天国のごとく幸運な状況にも思えるが、
 冗談ではなく、バッツは今まさにその天国に足を踏み入れそうになっている

 ・・このままじゃまずい 
 既に砕け散りそうになっている意識の欠片を総動員させて、バッツは口に力を入れた

「あっ・・!」

 乳房の先に痺れを感じてコムサ・ベラがのけぞる
 快感のせいか、彼女はいっそう尾を締めつけてきて、バッはより強い苦痛を与えられる
 その苦痛はさらにバッツの口の動きを激しくさせ、それは彼女をより深い快楽の中へ・・
 淫猥な循環に苦しめ続けられながら、バッツはひたすら口の愛撫に意識を注ぐ
 気のせいか、彼女は肌からすらも甘い味を発しているようだった

「あっ、は・・あっ、んぁ・・そうっ、そこっ・・」
「んむ・・むぐ、むぅ・・!」
「いっ・・ふぁぁ、ぁん・・・・おま、え・・上手い、じゃないか・・」

 喘ぎ声を出しながら、コムサ・ベラが熱っぽい目でバッツを見下ろす
 バッツは黙々と、乳飲み子のように彼女の胸にしゃぶりついている
 口の中に含んでいた彼女の蕾がピンと固くなっていった
 バッツはなおも舌の動きを緩めず、彼女を懸命に責めつづける
 

 突然コムサ・ベラはバッツの顔から胸を引き離し、彼の口を解放した
 口を半開きにしたまま、バッツはつい意外そうな声を出してしまう 
 
「あ・・?」
「ふふ・・もっと欲しいのか?・・このいやしんぼ」
「・・・」
「でもだめ・・、今度は、俺がご馳走になる番・・」

 艶っぽい笑みを浮かべると、彼女は相変わらず長い尾をバッツに巻き付けたままで
 するすると器用に上体をずらしていく、下へ、バッツの腰の方へと・・

「やらしいな・・お前のコレ、よだれ垂らしてるぜ」
「・・・」
「なぁ、そんなに俺が欲しいのか・・?ほんとにいやしんぼだな・・うふふ」

 彼女の言う通り、バッツのそれはすっかり欲情して腫れ上がり、
 既に限界までそそり立つ先端から、快感の雫を溢れさせていた
 コムサ・ベラはそれをピチャピチャとなめとり、バッツのモノに塗りたくっていく
 それをしながらも彼女の視線はバッツを見上げていて、
 彼女の目が自分を見据えるたびに、バッツは針で突かれるような刺激に身悶えた
 あえやかな誘惑の目つきで、抵抗の意志はそがれてゆく
 バッツはもはや目的も忘れかけ、彼女のなすがままになっていた

「おいしい・・・・ふふ、もう我慢できないな・・覚悟しろよ・・?」
「え・・・?・・うあっ!!」

 出し抜けに、股間のモノを包んだ感触にバッツは震え上がった
 コムサ・ベラが、バッツの性器を激しく吸い立てだしたのだ

「んっ・・んっ・・・んふふ・・んむっ・・」
「くっ、あぐ・・や、やめ・・あぅっ」

 彼女のぬめるような口の動きに弄ばれ、バッツは女のように喘いだ
 先程のチャムキュビアの懸命な舌使いとはまったく異なり、
 コムサ・ベラの口は、明らかにバッツの弱みを意図的にくすぐってきた
 さっき味わったあの甘い舌の感触を、口よりもずっと敏感な場所に与えられるのだ
 やがてバッツは限界を迎え、呻き声と共に彼女の口中へおびただしい量の精液を放った

「・・・こくん」

 小さく喉を鳴らす音
 コムサ・ベラは口を開けて彼の精を飲み切ったことを示し、
 ゆっくりと、なまめかしく、バッツにむかって舌なめずりをしてみせた

 ・・なんて顔しやがる

 バッツは必死でそれから目を背けた
 とんでもなくいやらしい、まるで女の性の部分を極限まで引き出したような・・
 あんな顔を見たら、二度と彼女から目を背けられなくなるのではないか
 だがバッツのそんな意志も、蚊ほどの抵抗の意もなしてはくれなかった
 なぜなら、次の瞬間、再び下半身に痛烈な痺れが走ったからだ

「うわっ!?」
「よそ見するなよぉ・・・・ふふふふ」

 卑猥な笑い声、たまらず目を戻すと、
 たった今果てたばかりのバッツのそれをコムサ・ベラがまたもくわえこんでいた 
 ほとんど痛みに近い快感がバッツの全身を走り抜けていく
 数分と待たず、彼は再び絶頂に達した
 震えながらコムサ・ベラを見ると、彼女はまたも口を開き、
 それから真っ赤な舌をなめずって、バッツのモノを口に含む
 彼女の唇も、舌も、自らの腫れ上がったものも、全てが真っ赤な世界が視界を覆い・・

 終わりの無い、苦痛と快楽の連鎖

 やがてバッツの意識は、甘い唾液の泉の中に溶けていった・・

 どれくらいの時間が経ったろうか
 軽い失神に陥っていたバッツは、目を開けて天井を見上げた
 いつのまにか彼は床に寝かされていたが、背中に冷たい石床の感触は無い
 あるのは、身体に巻き付いているざらついた蛇の鱗の肌触り

 そうだ、俺はコムサ・ベラと・・
 今の状況を思い出し、視線を下に移そうとした途端、
 下半身に電撃が走り、彼は即座に熱い精を吐き出した

「ぐあっ!」
「・・あんっ・・・ふふふ」

 コムサ・ベラのいやらしい瞳がまた彼を見据えている 

「・・・お前・・すごいな、こんなに出してやったのに・・」
「うあ・・ぁ」
「こんなたくさんごちそうになったの・・、初めてだよ」
「はぁっ・・!く・・かは」
「ここまで来れるやつなんてほとんどいないんだぜ?ましてや、お前みたいなやつ・・」
「うっ・・・おぁ・・」
「なぁ・・、お前、ここにずっといろよ・・・俺と一緒に・・なぁ?なぁ・・」

 バッツの性器を細い指で責め立てながら、
 彼女は甘ったるい声で語りかけててくる、極上の誘いを
 その言葉で、バッツは忘れかけていた自分の目的を思い出した

「お・・俺は、お前たちに・・・」
「ずっと可愛がってやるよ・・・悪くないだろ」
「や、めろ・・・ちがう・・」
「・・こんなことだって・・・してやるぜ?」

 声にならない抗議を示すバッツに、コムサ・ベラはさらに追い打ちをかけた
 その豊満な二つの胸をバッツの腰へと持ち上げ、
 グロテスクに赤く腫れ上がっているバッツのそれを挟み込んだのだ

「うがっ・・あああぁぁ!!」
「んふ・・ふ、どうだ・・?」

 既に限界に近かった今までの刺激より、さらにいっそう鋭い衝撃が突き抜ける
 コムサ・ベラはバッツの顔を意地悪そうにうかがいながら、
 はちきれそうな二つの胸をむにゅむにゅとこねくりまわし、
 わずかに顔を出しているバッツの先端を、舌先でチロチロと舐めた
 ぴちゃぴちゃと、生き物のような二つの乳房が、バッツのモノをねぶりたおす
 既に幾度となく限界を超えて精を吸い出され、
 彼のそれはレモンの搾りかすのようになり果てているというのに、
 彼女のむっちりとした胸の抱擁にかかり、バッツの男はまたしても奮い立ってしまう
 その快楽もまた絶頂に近づきだし、バッツは必死で身をよじった
 既に彼の腕はまともな力を失っている
 バッツの呼びかけに応えたのは、かすかに弱々しい指先だけ

 その指が、コムサ・ベラの尾を覆っている鱗のひとつを引っ掻いた


「ひぁんっっ!!」

 ふいに彼女は愛撫の手をとめ、甲高い声と共に激しくのけぞった
 バッツは驚きながら、ビクビクと震えている彼女を見つめた
 気付けば自分に巻き付いている尾の締め付けが緩んでいた
 それを振りほどこうとして、また彼の手がコムサ・ベラの鱗を擦る

「あぁっ、あっ!!」

 ・・まさか?
 バッツは訝しげに身を起こしながら、さらに彼女の尾に手を這わせた
 コムサ・ベラはその一つ一つの動作に敏感な声を上げる
 バッツは注意深く彼女を観察しながら、その感度の高なる部分を探り当てていく
 やがてとうとう軽い高潮に達したらしく、ビクビクとひときわ激しく痙攣した後、
 彼女の身体はぐったりと力を失い、荒い呼吸をしながら床に横たわった

 なるほどな・・、
 どうやらコムサ・ベラの下半身は、それ自体が敏感な性感帯らしい
 バッツは、まだ恍惚とした顔で余韻に浸っているコムサ・ベラにのしかかった
 
「ぁは・・ん・・はぁ・・・」
「・・ココか?」
「ひっ、やあ!アンッ!やめっ、やめ・・てぇ・・・あぁぁ!!」

 さっき探り当てた要領で彼女の弱い部分を責め立ててやると、
 たまらずコムサ・ベラは悶え、バッツの手から逃れようと身をよじった
 だが、彼女の尾はその急所をバッツの左手でしっかりと抑えられ、
 さらに力強い右腕が彼女の身体をぐいと抱き寄せた

「どこにいくんだ?」
「んはっ・・!や・・し、しっぽから手を離せよ!」
「離せ?」

 左手で強く尾を引き掻き、同時に右手の方で胸の先をつまみ上げてやる

「あぁぁっ!いぎっ!やぁぁ!や・・めて、よ・・、離してぇ・・っ!」

 悲鳴を上げながら、コムサ・ベラは首を振った
 バッツは彼女の抗議を無視しつつ、今度は顎を引き寄せて、艶のある赤い唇をきつく吸う

「あむ・・ん、んふぅ・・ふぁ・・あむっ・・」

 それから逃れようと、力無くさまよった彼女の手はバッツの胸をおしかえそうとしたが、
 そのうち彼女の手は愛おしそうにバッツの胸を撫ではじめ、もう片方の手は首に回された
 彼女はそれなりに抵抗の素振りを見せたものの、次第にバッツに身体を任せてゆき、
 青い瞳を取り憑かれたような色でとろませながら、彼のなすがままにされていった
 弱みを握られてしまったせいだろうか、彼女はまるで別人のように従順になっていった

 バッツはぞくぞくするような気分だった
 ほんの少し前まで、あれほど自分を翻弄し尽くしていた女、
 いまその声には高圧的な含みはなく、ひたすら与えられる愛撫に狂う声だけ
 バッツを見つめるその瞳は、彼に蹂躙されることへの期待と、それへの羞恥でうるんでいた
 これが固い鱗に覆われた、彼女の本性なのだろうか
 いまやコムサ・ベラは綺麗ではなく、可愛いという呼称が相応しい女になっていた
 先程までいやというほど性にどっぷりとひたった淫猥な痴女の彼女を見知っていたので、
 いまの恥じらいに満ちているうぶな乙女そのものと言った彼女が、いっそう可愛らしく見える

 そしてそれは、バッツをさらにサディスティックな欲望へと駆り立てていった

「あん、あはっ、あっ、あぁっ!!」
「久しぶりの客だって言ってたな」
「あんっ!あん!ひぁっ・・やっ、そこっ!」
「覚悟しろとか言ってたっけ」
「ひっ・・!あぅ・・だめ・・そんな、もっとやさっ・・しく!」
「俺を吸い尽くすんじゃなかったのか?」
「ち、ちがっ・・あはっ、あぁぁん!もっと、もっとぉ!!」

 さっきまでの仕返しとばかり、バッツはしきりに彼女の耳をささやき声でくすぐる
 肌を粟立たせながら、ますます頬を紅潮させていくコムサ・ベラ
 その間にもバッツの手は間断なく動き、執拗に彼女の感度を深めていく
 背筋に指を這わせ、胸を揉みしだき、鱗の筋目に爪を立て、口の中をかきまわし、
 コムサ・ベラの嬌声はおさまる事なく膨れ上がっていくばかりだ
 やがて彼女はバッツをのぞきこみ、彼の胸に自分の豊かな胸を押し付けた

「んぁ・・・うふ・・ふふ、・・お前の胸、熱い・・・手は、こんなに冷たいのに・・」
「それが気持ちいいんだろ?」
「やっ・・!あぁ・・あはっ・・・いい匂い・・お前の、匂い・・だ・・・」

 バッツにすがつくコムサ・ベラの目は、もうすっかりとろみきっている
 まるで彼女の方が魅了されたかのように、うっとりとした表情でバッツの胸板にもたれると、
 コムサ・ベラは、淫蕩な舌使いで、夢中で彼の胸をぺろぺろと舐めだした
 その顔に、バッツはまたぞくっとさせられる
 そして彼はさらに愛撫の深度を深めていった・・


 しばらくのあいだ、部屋の中を粘り気のある水音と、荒い息づかい、
 そして絶え間なく上がるコムサ・ベラの甘い声で満たされていた
 既にコムサ・ベラの肢体は、這い回るバッツの手によって何度も絶頂に導かれていた
 だが、その一つ一つの余韻を味わう間もなく、バッツの責めの手は緩むことがない
 コムサ・ベラは思考に浸る間もなくひたすらよがり狂っていった
 
 一方のバッツはといえば、いくぶん落ち着いた様子でコムサ・ベラの狂態を見ていた
 なぜだろうか、不思議なことに、バッツは自分が彼女の弱い部分を
 手にとるように把握していることに気付いたからだ
 そしてその部分を的確に、執拗に、いやらしく・・・、
 バッツが冷静にそれをこなすたびに、彼女はよりいっそうの高みへと昇り詰めていった

 とはいえ、冷静になるとバッツの頭の中でだんだん目的の存在が大きくなっていった
 この女を鳴かせるのは楽しいが、そろそろ仕事を終わらせなければならない
 しかしバッツとしても、今ひとつ踏ん切りにかける思いだった
 なにしろあれだけ好き放題やられたのだ
 もう一つくらいやり返してやらないと、気が済まない

 そうして先程からバッツの腰は、ねっとりとした液で濡れていた
 歓喜に震えているコムサ・ベラの腰から溢れ出してきた雫だ
 彼女の腰のその辺りにも、通常の女性と同じように、淫らな穴が口を開けていた
 バッツはそこに自らの固い部分を擦り付けていく
 彼女はそのたびにビクンと身をよじりながら、しかしそれ以上には決して事が進まないため、
 バッツに切なそうな、物足りなそうな顔を向けていた

「あ・・、あん・・はぁ、はぁ・・」
「・・・」
「な、なぁ・・早く・・・もう、俺・・」
「・・なにが?」
「あん・・やぁん・・・じ、焦らすなよぉ・・・・早く、コレを・・」

 コムサ・ベラはバッツの肩にすがりながら、
 懸命に彼のモノに自分のをあてがおうとするのだが、
 あと少しという所で、意地悪なバッツの腰は身を引いてしまう
 息を切らせながら、泣きそうだしてしまいそうな顔になっているコムサ・ベラに
 バッツはまたぞくぞくするような快感を覚える
 それからバッツは彼女の耳を舌でなぞり、こうささやいてやった


「・・・・いやしんぼだな、お前」

 途端にかっとコムサ・ベラの顔が紅潮する
 その様子がまた可愛らしくてたまらない
 バッツはしごく満足げに彼女の唇を吸い立ててやり、
 そして彼自身も我慢の限界だったそれを彼女の中へと押し込んでいった

「ん、はぁ、あ、あぁぁぁぁぁぁぁ・・!!」
「・・・・くっ!」

 恍惚とした吐息が溢れる
 彼女の熱い肉壷に己を挿し込むと、流石にバッツも平常心ではいられない
 きゅうきゅうと締めつける膣内の無数のヒダが、まさに蛇のようにねっとりと絡み付き、
 バッツのモノから全身へと、息をつまらせるような電流を走らせる
 コムサ・ベラの方も同様、今までとはまた比較にならない快楽に身悶えている
 バッツの背中に懸命にしがみつきながら、貪るように彼から唇を離そうとしない
 バッツはゆっくりと腰を動かしだした
 まるでぬかるみに身体を突っ込んでいるように、腰がもの凄まじく重い
 一往復ごとに全身の力をこめなければならず、気を抜けばすぐさま果ててしまいそうだ
 それでもバッツはあえて激しく動いた
 どのみち、ただ入れているだけで果ててしまいそうなほど、彼女の具合は素晴らしかったのだ
 コムサ・ベラの方は、そんなバッツ以上の快感によがりまくっている

「あっあっあっあっ!!お、大き・・い、あんっ、あっ!あぁは!」
「はっ、はっ・・!」
「アン!アンッ!あン!あぁ、あふっ!んあっ!あっ、あっ!!」

 あらん限りの声を出しながら、コムサ・ベラはまたもするすると尾を巻き付けてきた
 バッツの身体に鱗をこすりつけて、少しでも快感を得ようとしているのだろう
 バッツは体勢を変えて、床に背をつけた
 細身のコムサ・ベラの身体を、上へ上へと強く突き上げる
 彼女も貪欲にバッツをしゃぶりつくそうと、いやらしく腰をくねらす
 それに合わせて、彼女の豊かな双丘がぶるんぶるんと激しく揺れた
 手を埋めると、モチのような感触とともにバッツの手はその中に吸い込まれ、
 コムサ・ベラはまた敏感に彼の愛撫によがった
 二人の動きの一つ一つがその感度を相乗しあい、
 よりいっそう彼らを激しい熱情へと突き動かしてゆく
 バッツは突き上げながら、彼女の柔らかい腰に手を添えた
 湿った手触りだった、彼女の肌は朝露のような汗でつやつやと照っていた
 彼女の額に、濡れて美しく変色した紫の髪が張り付いている
 自らの上にまたがり、苦悶にも見えるような表情で、歓喜に頬を染めるコムサ・ベラは、
 まぎれもなく・・・美しい

 ふいにバッツは動きを止めた



「・・なぜ泣いてるんだ」
「え・・・?」


 バッツはコムサ・ベラの手を取り、それを彼女の頬へとあてがった
 しなやかな指が彼女の涙でかすかに濡れる
 コムサ・ベラは困惑に満ちた表情を浮かべた
 本来、魔物には涙を流す力などないはずなのだ
 だから、彼女はそれの存在自体も知らない
 それなのに・・、

 流れるはずの無い涙が、いま、彼女の両目からとめどなく溢れていた


「なんで・・・?」
「・・・」
「何だろうこれ・・・なぁ・・・・どうして・・」
「・・・」
「変だな、どうして・・・・とまらないよ・・」
「・・・どうしたんだ」
「わからない・・・・ただ・・・」
「・・・」
「お前が・・、お前がここに来るのを、ずっと待ってたような、そんな気がして・・
 変だよな・・お前の顔なんて、初めて見たのに・・・・変だな」
「・・・そうだな」
「変だな・・・・でも・・、なんでだろ、・・・・いま、すごくうれしい・・」
「・・・」

 身を起こし、バッツは再び激しく腰を動かしだした 
 それに合わせて彼女もまた、髪を振り乱しいやらしくあえぐ
 涙を流しながら、嗚咽のような嬌声を上げてコムサ・ベラは腰を振った
 バッツは、彼女の美しい顔に舌を這わせて、頬を伝う涙を舐めとってやる
 彼女も同じように舌をのばし、貪欲に、愛おしそうに、バッツの顔じゅうを舐めまわした
 いまや二人の身体は、顔も、胸も、足も、お互いの体液でぐしょぐしょに濡れて、
 二人の肌が擦れあうたびにクチャクチャと卑猥な水音が部屋に響いた
 やがて、荒々しい二人分の息づかいが、終わりに向かって高鳴ってゆく

「アン、アッアッ、はん・・ン、はァッ!」
「・・クッ、・・ハァ、ハァ」
「あん!あん!い、イイッ・・イイよ!もう、だめ・・イ・・きそぅ・・あぁっ!」
「俺も・・だ・・・・うぅっ!」
「あっ、はぅ・・・な、なぁっ・・お、まえっ、・ぁんっ!おまえは・・、誰・・なの?」
「・・・・俺・・は・・・」


 ・・・・・バッツ?


「イくぞ!」
「あああああああああぁぁぁぁーーーっっ!!」

 限界を迎えたバッツが大きく腰を押し付けると、
 コムサ・ベラは絶叫しながら汗ばんだ胸を思い切りのけぞらせ、ビクビクと激しく痙攣した 
 同時に彼女の尾が激しく身体をしめつける
 耐え切れずバッツも彼女の中に自らを吐き出した

 だらりと力無く絡み付いたままのコムサ・ベラの手や尾をほどき、バッツは彼女から離れた
 結合した部分を引き抜くと、ごぽごぽという音がする
 それが気持ちいいのか、コムサ・ベラが小さく喘いだ
 絶頂のなかで気絶した彼女は、それでもなお涙を流していた
 バッツは顔を近づけ、それを指ですくいとる
 口に含むと、すこし塩気のある、哀しい味がした

 ふいにバッツの口が塞がれた
 彼女が無意識のうちにバッツを感じ取り、その唇を求めたのだ
 蛇族の舌が、生き物のようにバッツの口内をかきまわす
 バッツはしばらく好きなようにさせていたが、やがて素っ気なく口を引き抜いた
 立ち上がり、お互いの口に糸を引いている唾液を手で払う
 やがてバッツは、訪れたときと変わらぬ無表情のまま、彼女に背を向けた
 背後では、まだ彼を求めているかのように、半開きの口でコムサ・ベラの舌が震えていた

 階段を下りかけたところでバッツは立ちどまる
 そして、彼女の方は振り返らずに、小さく、かすかに呟いた


「・・俺は、メリュジーヌ様の忠実な魔物、・・・それだけさ」

 もっとも、意識の無い彼女からは何のいらえも無かった

「遅かったのね、坊や」

 一階に戻ると、待ちかねた様子でメリュジーヌが呼びかけてきた
 彼女の股の辺りから太腿に、透明な雫が伝っていた
 見れば、後ろで旅の剣士らしい男が下半身を剥き出しにしたままの哀れな様で息絶えている

「申し訳ありません」
「あんまり退屈だったから、つまみ食いしちゃったわ、腹の足しにもならなかったけど」

 ”食べ”おわった男を見てせせら笑うメリュジーヌ
 それから彼女はバッツの頬に手を添えて、ささやき声でたずねた

「・・・それで?」
「ご命令通り、両方の魔物に種を植え付けて参りました」
「そう・・、彼女たちはなにか言っていなかった?」
「私を知っているような様子でした」
「それから?」
「片方はやはり、私のことをバッツと呼びました」
「・・それで、あなたはバッツなのかしら?」
「いいえ」


 バッツは虚ろな目で答えた


「私はメリュジーヌ様のもの、私にあるのは貴女様への愛だけ、名前など必要ありません」
「そのとおりよ、坊や」

 メリュジーヌはぞっとするほど妖しげな顔で笑う
 それからバッツの頬に口づけをした

「私のかわいい坊や・・ご褒美をあげるわ」

 メリュジーヌが軽快に指を鳴らす
 それを合図に彼女を覆っていた細長い従僕共が離れ、その美しい裸体があらわれる
 いかなる芸術家だろうと、描ききれようもない完璧な起伏
 バッツは息をのんだ
 メリュジーヌはそんなバッツを優しく床に横たえると、その上にゆっくりと覆い被さった
 ずぷり、と鈍い水音を立てて、二人の身体が繋がる
 堪え切れず、バッツはうめき声を漏らしながら、メリュジーヌにしがみついた

「う・・ぁ」
「あぁ・・坊や、たまらないわ・・」
「メリュジーヌ・・様・・」
「坊や・・・私だけを見るのよ、貴方は私だけのもの・・」
「はい・・」
「そうすれば・・、私も貴方だけを愛してあげる・・・・永遠に・・」

 やがてメリュジーヌは歓喜の声を上げた



「・・行くわよ坊や、とりあえずここにもう用は無いわ」
「はい」
「もっとも、またあの娘たちとしたいようなら、いつでも連れてきてあげるけれど」
「ありがとうございます」

 とてもありがたくなど思っていないような声に、メリュジーヌはくすくすと笑った
 それから、先程おいやった蛇の従僕を呼び戻そうと、彼女は出口に向かった





 その背中を、鋭い衝撃が貫いた 

「・・・・な・・・・・・ぜ・・?」

 メリュジーヌは愕然として、我が胸を貫く刃を見つめた
 透き通るような白い肌を、胸からしたたる血が赤く濡らしている 

 そして、それを突き刺したのは・・

「ありがとう、メリュジーヌ」
「・・坊や・・どうして・・・」
「おかげで、全て思い出すことができた」

 バッツの手に、旅の男がもっていた騎士剣が握られていた

「思い出した、ですって・・?」
「みんな俺を覚えていてくれた・・レナも、クルルも、ファリスも、あんな姿になってまで・・
 俺みたいな・・こんな救いようの無い奴を・・・・信じてくれてたんだ」
「・・・貴方は・・私を・・私を裏切るつもり!?」

 激昂したメリュジーヌの声と共に、舞い戻ってきた彼女の従僕がバッツに襲いかかる
 けれど、バッツはきわめて落ち着き払っていた
 素早くメリュジーヌの身体から引き抜かれた剣が宙空で弧を描き、
 飛びかかる二匹の首を音もなく切り落とした
 残る一匹は、バッツの左腕に食らいついたと思った瞬間、
 もう一方の右腕で首を掴まれ、痛みを意に介する間もなく絞め殺された

 それらを終えて、彼は再びメリュジーヌに向き直る
 その凄まじいまでの強さに、メリュジーヌは震え上がった
 皮肉なことである、利用しようとして強化した肉体が、いま彼女自身に牙をむいているのだ

「やめて、坊や・・」
「俺は坊やじゃない」

 風のように澄み切った色を瞳にたたえて、彼は言った


「俺の名はバッツだ」

 穴をあけられた胸から絶え間なく血を流しながら踞っていたメリュジーヌは、
 その言葉を聞いて、ふいにひどく打ちのめされたような表情になった
 それはバッツの強さへの恐怖というよりも、大切な何かを喪失してしまったような・・、
 そして、今度は急に取り乱したかとおもうと、彼女は懸命にバッツにすがりつきはじめた

「いいえ、いいえ・・貴方は坊やよ・・私の坊やだわ・・」
「坊やは・・もういない」
「違うわ!貴方の身体は私が創ってあげたもの、あなたはまだ私のものよ!」
「・・メリュジーヌ」
「考え直して、坊や・・貴方はもう私の身体なしには生きていけないはずよ・・!」
「・・・」
「ね、それは貴方が一番よくわかっているでしょ?私もそう、貴方がいないと・・」

 言いながら、メリュジーヌはバッツの足にそのふくよかな胸を押し付ける
 そして、彼のモノに手を這わせた
 なまめかしい手つきで、それはすぐに雄々しく膨らむ
 彼女はそれに自信を得て、なおも情熱的にバッツに語りかけた

「ほら、ほら・・貴方はこんなに私を求めてる、私のことを愛しているからなのよ・・」
「・・・」
「よく考えて・・何が貴方に必要なのか、ね、私を見て、坊や」
「・・・」
「・・あの娘たちが気になるの?いいわ、私が人間に戻してあげる・・私にはそれができるの、
 それだけじゃないわ、貴方の望むことは何でも・・だから私から離れないで、お願いよ・・」
「・・・」
「坊や・・、愛してるのよ・・貴方を・・・・心の底から」


 切なげに見上げるメリュジーヌの視線と、バッツの視線が交わった
 その瞬間、彼らの間に見えない電気が走ったようだった
 バッツは剣先を下ろし、すがりつくメリュジーヌの頬に手を添えた

「あぁ・・」

 メリュジーヌは目を閉じて、その手の感触に浸る
 そしてその顔にこの上ない喜びをたたえながら、
 今度はバッツの背にするすると手足を絡めだした
 やがて、彼女は自らの膣内に彼を優しく導いてゆく

 腰を振る彼女の胸を、例えようも無い快感が満たす
 それは千年の時を生きてきた彼女ですら、味わったことの無いほどの
 まぎれもない幸福の絶頂の中で、メリュジーヌは果てしなく声を上げ続けた
 バッツの目はもう虚ろなものではなかった
 けれど、今その瞳に映るのは確かにメリュジーヌただひとりだけ
 バッツの瞳の中にその事実を認め、彼女はいっそう深い喜びにその肢体を震わせた

 そして、昇り詰める直前、バッツは強く彼女を抱きしめた

「あぁ、坊や・・・!」


 なんの違和感もなく
 なんの痛みもなく
 彼女の胸を、再び冷たい刃が貫く
 違えることなく、その切っ先はメリュジーヌの心臓をとらえている 


「・・キス・・・して・・」

 バッツは両の手でしっかりと彼女を抱きすくめ、その唇を吸った
 メリュジーヌも目を閉じ、最後の意識をその味に注いだ
 彼女の顔は、まやかしのない、純粋な美しさだけで彩られていた

 やがて背に回されたメリュジーヌの手は力を失いだした
 そして、バッツが目を開けたとき
 目の前には彼女の姿はなく、甘い香りとともにかすかに霧だけが漂っていた

 最後の瞬間、バッツは頬に熱い雫が触れたような気がした
 だが、それもすぐに霧と化して、あとには何ものこらなかった
 ただ彼の口の中に、わずかに彼女が存在したという名残だけが焼き付いていた


「さよなら、メリュジーヌ」

 バッツは砂漠をしばらく歩いてから、塔を振り返った

 バッツは泣いていた
 泣きながら、大切な仲間たちのことを思った
 レナ、クルル、ファリス・・
 かつて共にクリスタルを手に戦った彼女たちは、今は魔物の仲間に成り果てている
 全て自分のせいだった
 弱かった自分が、そして彼女が、メリュジーヌが憎かった
 しかし、その想いは不思議な安らぎと共に、やり場の無い憤りに変わってしまう
 そう、真に憎むべきはメリュジーヌではないのだ
 彼女のさらにその向こうにいる存在・・

 たとえ何をひきかえにしても、仲間たちを救い出したかった
 だが、それをするのは今ではない
 悲劇を招いたのは自分だから
 自分が幕を下ろさなければならないのだ
 無の果てにいる、全ての元凶を打ち倒して


 かつてバッツと呼ばれたその魔物は、最後にもう一度だけ塔を振り返り、
 そして再び砂漠の彼方へと歩みだした

 彼の歩みが止まるとき、世界を覆う異変もまた、終わりを迎えることだろう
 



 ・・もしも、
 遠く歩みながら、バッツはふと思う
 もしも、彼に出来ることを為してなお、彼女たちが人間に戻らなかったら・・
 あの人間離れした狂態を思うと、それはそう考えられないことでもなかった

 もしも彼女たちが一生魔物のままだったら・・



 ・・構わないさ

 バッツは小さく笑う
 そうしたら、またここに戻ってくればいい
 それはまんざら悪いことでもないように思えた
 愛する彼女たちと共に、ただの一匹の魔物として呪われた生を紡ぐのだ




 ────あの魔性の塔の中で




 終
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